虹の向こう側24 | 恋愛小説 くもりのちはれ

『トイレ行くから、頼むわね!!』


そう言い放ち、彼女は、戸惑う私と廊下の壁をつたい歩く赤ちゃんを残し、トイレに


消えた。


『パ・・・パ・・・パ・・・パーパ・・・キャッ♪キャッ♪』


なぜかニコニコの赤ちゃんは、彼女に似て美人ちゃんだ。


ガチャッ!!


『小暮!』


突然、、玄関のドアが勢い良く開き、鍵が開いてることに驚いたらしい先生の登場。


『パパ!』


さっきまで、はっきりしなかった言葉が、パパが現れたからなのか、はっきりとパパ


と言う単語になる。一瞬目の前の光景に固まる先生の口から出た言葉に、複雑な


今の状況がさらに解りづらくなる。


『ナツ!どうしているんだ?』


はっ?


それは私が知りたいよ。


先生の告白から一切消えている記憶。


「それは、先生が知っている・・・えっ?!」


『ナツ、お前のママはどこへ消えた?』


先生は赤ちゃんを抱き上げる。


『パパ♪』


赤ちゃんは、先生の腕の中で更に上機嫌。キャッキャッと楽しそうに笑う。


「先生・・・パパなの?」


どこからどう見ても、慣れた感じで赤ちゃんを抱っこする先生。


『はっ?』


『パパ!』


「やっぱ・・・パパなんだ。」


どこからどう見ても、美形の親子。


『小暮、なんか誤解してねぇか?』


『パパ!』


何が誤解なの?だって現にさっきからパパ、パパって呼んでんじゃん!


「あの時の赤ちゃんなんでしょ?やっぱり・・・そういうことだったんだ。」


『おいっ!嘘だろ!勝手に思い込むなって!コイツの名前はナツって言うんだぜ!』


焦ったように声を荒げる先生。


『パパ!グシュッ・・・』


その声に驚き赤ちゃんの表情が曇り始めた。


『親子で同じ名前なんて付けるわけねぇだろ!』


言われて見れば、それもそうだ。


『ちょっ、ちょっと・・・ナツ、何しちゃってくれてるの!もう信じられない!


ナツが泣きべそ掻いてるじゃない!ナツ何したの?ナツ、ママのところにおいで!』


トイレから出てきた彼女は、赤ちゃんを先生から奪うように抱き上げる。


もう何か、ワケわかんない・・・ナツ、ナツ、ナツって・・・どういう事なの?


まさか・・・コレって夢。


まさかの・・・今度はホントにホントの夢落ち?


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