『トイレ行くから、頼むわね!!』
そう言い放ち、彼女は、戸惑う私と廊下の壁をつたい歩く赤ちゃんを残し、トイレに
消えた。
『パ・・・パ・・・パ・・・パーパ・・・キャッ♪キャッ♪』
なぜかニコニコの赤ちゃんは、彼女に似て美人ちゃんだ。
ガチャッ!!
『小暮!』
突然、、玄関のドアが勢い良く開き、鍵が開いてることに驚いたらしい先生の登場。
『パパ!』
さっきまで、はっきりしなかった言葉が、パパが現れたからなのか、はっきりとパパ
と言う単語になる。一瞬目の前の光景に固まる先生の口から出た言葉に、複雑な
今の状況がさらに解りづらくなる。
『ナツ!どうしているんだ?』
はっ?
それは私が知りたいよ。
先生の告白から一切消えている記憶。
「それは、先生が知っている・・・えっ?!」
『ナツ、お前のママはどこへ消えた?』
先生は赤ちゃんを抱き上げる。
『パパ♪』
赤ちゃんは、先生の腕の中で更に上機嫌。キャッキャッと楽しそうに笑う。
「先生・・・パパなの?」
どこからどう見ても、慣れた感じで赤ちゃんを抱っこする先生。
『はっ?』
『パパ!』
「やっぱ・・・パパなんだ。」
どこからどう見ても、美形の親子。
『小暮、なんか誤解してねぇか?』
『パパ!』
何が誤解なの?だって現にさっきからパパ、パパって呼んでんじゃん!
「あの時の赤ちゃんなんでしょ?やっぱり・・・そういうことだったんだ。」
『おいっ!嘘だろ!勝手に思い込むなって!コイツの名前はナツって言うんだぜ!』
焦ったように声を荒げる先生。
『パパ!グシュッ・・・』
その声に驚き赤ちゃんの表情が曇り始めた。
『親子で同じ名前なんて付けるわけねぇだろ!』
言われて見れば、それもそうだ。
『ちょっ、ちょっと・・・ナツ、何しちゃってくれてるの!もう信じられない!
ナツが泣きべそ掻いてるじゃない!ナツ何したの?ナツ、ママのところにおいで!』
トイレから出てきた彼女は、赤ちゃんを先生から奪うように抱き上げる。
もう何か、ワケわかんない・・・ナツ、ナツ、ナツって・・・どういう事なの?
まさか・・・コレって夢。
まさかの・・・今度はホントにホントの夢落ち?
↓クリックお願いします。