夏の終わり秋の始まりの海からの帰り道に出会った、とんでもなく可笑しなおっさんの話1 | 恋愛小説 くもりのちはれ

~それは、それは・・・何とも可笑しいオッサンの話1~(ミッキー見参!天使の悪戯より)



『おめぇら、もしかして足がねぇのか?乗ってくか?』


「えっ!!良いっすか?乗っけて貰っても良いっすか?」


あの日、○○鉄工所と社名入りの白い軽バンの運転席から、声を掛けてきた


その人を、俺たちはきっと忘れない。



仲の良い先輩が、三日前に取ったホヤホヤの運転免許証を掲げて、満面の笑みで


〝お前等、ドライブに連れってやるっ!!〟と、無理矢理連れて来られた海。


爽快!と言うよりは、それはヒヤヒヤもんの、まるで度胸試しドライブ。助手席に座る


喧嘩上等、周りに敵なしの先輩をも、顔色を変るほどの運転テクニックだ。


けど上機嫌のドライバーは、ジャイアン並みの歌唱力で、俺たちを色んな意味で


酔わせた。


そして、〝たまには野郎同士で波の音を聞きながら、語り合おうぜ!〟なんて言って


たくせに、たまたま海辺に居合わせた女二人のナンパに成功した為、幸か不幸か


後部座席の俺たちは、何も無い海の駐車場で車から降ろされた。


そんなこんなで歩き続け、やっと見つけたバス停。


「助かった・・・帰れる」なんて喜んだにもかかわらず、時刻表を見れば、つい10分前


に最終が行ってしまった後で、歩く気力も無くなり、俺たちは項垂れ途方にくれる


そんな俺たちに、救世主登場!と言わんばかりに、声を掛けてきたのは・・・


俺の親父と同じ歳ぐらいの赤茶髪の軽そうなオッサン。


『もうバス無いだろ?駅ぐらいまでなら乗せてってやるよ!ほら、後に乗れっ!』


そりゃあ快適と言えるような車では無いが、先輩の運転と比べれば雲泥の差。


「あのぉ・・・俺たち、金、そんな持ってなくて・・・」


一応、金銭面はきっちりしねぇとと思い、話始めた俺のセリフに、オッサンは


『ギャハハハ・・・俺、そんなコワイか?昔から見た目も恐れられてたからな・・・


コワイと思っちまったのは、仕方ねぇ・・・だってやっぱ、相手は俺だからな。


けど、ノンブレスレット!金は要らねぇよ!安心しな!ノンブレスレットだ!』


と大声で笑う。


おいおい・・・コレは・・・もしかして・・・俺の周りにも一人いるアイツと同じ感じ?


この際、救世主は救世主だから、ノープロブレム。突っ込んじゃいけない。


けどな・・・ノンブレスレット・・・きっと、それはノープロブレム(no problem)だろ?


『なんだな・・・お前達、青春してるな・・・男二人で哀愁の海っすか?良いねぇ・・・


そうだ、そうだよな。青い春だから海だよな。青いねぇ・・・何だか俺も懐かしいぜ。』


おいおい・・・青いは良いけど・・・今は秋だっつうの。


でも察しが良い人は解ったと思うが、そう、そう・・・その通り。もちろんこんなモノ


で済むはずがなかった。


ここまでは、まだ・・・強烈キャラ、赤茶髪オッサンとの遭遇の話、序章にすぎない。


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