第一印象が良くないと、普通の事をしたとしても良い様に見えるのかな?
イヤ違う・・・指示した事は何でもこなしていく柳田さんは、間違いなく本物だ。
まさにマネージャーに成るべくしてなった!って感じ。
何でも出来ちゃう要領のよさ、些細なことにも気が利いて、私なんかより数倍も
飲み込みが早い。
部室の片付け、ドリンクの用意、私が苦戦したスコア付けだって意図も簡単にこなし
部員達の心を数時間で掴んだ彼女。
『ヤナギィー、最高!彼氏居んのかな?』
『ちょっ、おいっ・・・抜け駆けは無しだぜ!』
そして恋心までも芽生えさせ、すっかり人気者・・・何だか複雑な私
『真菜、帰るぞ!』
すっかり端から入部してました!的な存在の慶人
「えっ?!もう着替えてきたの?ごめん、待ってて!」
『姐さん、後はまかせて。私はキャプテンと一緒に帰るから♪』
いつの間にか約束を取り付け、邪魔しないでねって感じでニコニコの柳田さん
部長もどうやらその気らしく『渡会、おつかれ!』なんて・・・満更でもない笑顔で
私に手を振る。
初日とは思えないほど馴染んでる彼女の事は、気に掛ける必要もないらしい。
「じゃっ、帰ります。」
とにかく慶人にどうしてこんな事になってるのか、柳田さんの事、部活の事、あと・・・
理穂ちゃんの様子も、きちんと説明してもらわないと。
慌てて着替えを済ませ体育館前に行くと、数人の部員達に囲まれ苦笑いの慶人
『悪い、えっと・・・あっ真菜が来たから・・・また、明日という事で・・・』
私に気がつき、まるで部員達から逃げるように、私の手を取って駅へと一目散。
「慶人?」
今まで見たことの無い程、疲れきった慶人
聞きたいことも聞けない・・・て言うか、聞きづらいんだけど・・・
『マジ無理っ・・・』
「はっ?」
『着いてけねぇ・・・』
「どうしたの?」
『どうしたも、こうしたも・・・何だよアレ?ありえねぇ・・・一緒に頑張ろうぜっ!って、
気持ちワリィ・・・俺、あぁ言うの無理っ。』
完璧だと思ってた慶人の弱みは、熱いスポーツに青春を掛ける部員達のテンション
のようだ。慶人の周りにいる喧嘩に命を掛けるヤンキー達とそう変わりは無いと
私的には思うんだけど・・・
『はぁー・・・真菜、やっぱ辞めねぇ?俺、あれはやっぱ無理かもしんねぇ。』
そう言いながらも、『明日の朝練は何時からだ?』と、確認してくる慶人。
どうやら慶人は、パパに宣言した通り徹底的に、私を守るという事に全力を注ぐ
つもりみたい。
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