無数の中の~20 | 恋愛小説 くもりのちはれ

『あいつ異常に似てるだろ。だから関係ない名前だけど、ミッキーって一度呼んで


みたら何の抵抗も無く返事すっから、いつのまにか連中もミッキーって呼ぶように


なってさ・・・でも普通、関係ない名前に返事なんてしねぇだろ?


そこんとこも、まさにミッキーだと思わねぇ?フッ・・・まっ、今じゃあいつが本家より


遥か先にいっちゃてる感じだけど・・・』


「何も関係ないの?あんなにそっくりなのに?」


『ははっ・・・そっくりだよな。』


「うん・・・怖いぐらいに似てる。ミッキーさんの子供なんじゃないかと思うくらい。」


『あぁ・・・世の中には、そっくりな奴が3人はいるって言うけど、ヤスのおっさんと


二人のミッキーで、まさに三つ子みてぇで笑えるな。まったくの赤の他人なのにな。』


微笑んで話す尚斗君・・・私も面白くて微笑み返す。


「フフッ・・・そうだねぇ。ヤスさんも似てるね。じゃ、ヤスさんもミッキーって呼んだら


返事するのかな?」


『イヤ、親父が昔、ミッキーに似てるって笑ったら、俺は鼠じゃないっすってマジで


答えたらしいよ。はははっ・・・それもらしくねぇ?』


「鼠?あぁーミッキーって、そのミッキーだと思ったのね。ホント面白い。」


んっ?何?


すっかり何処にいるのか忘れてしまっていた私は、ふと異様な視線を感じる。


そして、聞こえてくる声


〝すげぇ・・・あの尚斗さんが女相手に笑ってんじゃん。


 で、あの子も普通に話してんじゃん。尚斗さん目の前にしてビビんねぇのか?


 俺、あんな近くで、あんな顔見せられたら、失神しそうだけどな。


 待てよ、まさかお前そっち?


 違げぇっつうの。ノーマルでも尚斗さんだったら、男でも見惚れるって話。


 まぁな・・・男が見ても良い男だからな。でも平気みてぇじゃん、彼女。


 だけどさぁ・・・普通じゃねぇ?


 あの子、可愛いけどさ・・・やっぱさ・・・〟


赤髪男の話は、未だ続いてるけど、私はやっぱり注目を浴びているらしく、コソコソ


と話す声も、否応無しに聞こえてくる。


はぁ・・・やっぱり誰が見ても私じゃつりあわないよね・・・はぁ・・・


〝普通だよな・・・俺もっと、超がつくほ〝バンッ!!〟突然、尚斗君が目の前の


椅子を蹴り倒した。


『おいっ!こらっ!今、普通ってほざいた奴、出て来いっ!!』


スイッチが入った尚斗君の怒りのオーラは半端ない。


そしてビルの中全てが、一瞬で静まり返った。





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