無翼の天使23 | 恋愛小説 くもりのちはれ

「あっ、あのね・・・慶人・・・どうして『俺の前でイチャこらすんなって言っただろ。


朝からうぜぇモノ見せるなっつうの。』


お兄ちゃんが、ダイニングの入り口から大きな声を上げる。


『うっせぇ。うぜぇのは、ナオト・・・お前だろ。真菜、お前の兄貴って手に負えねぇ


最悪な性格だと思わねぇ?フッ、極悪すぎだろ。』


そう言ってお兄ちゃんの方へ歩いていく慶人。


???


「えっ?・・・あっ、ちょっ・・・何?どういう事?」


あんなに険悪だった感じの二人なのに・・・まったく、わからない。


もしかしたら・・・殴り合いの喧嘩の後に・・・


〝仲直りだ。俺んち来る?!〟


〝おう!!〟


って感じで、青春チックに男の友情を確かめ合った?・・・ワケ無いよね?


イヤイヤ、うんうん・・・そんなワケ無い・・・だって慶人は、ギブスだし・・・


とにかくママに聞いてみよう。


そう思って、キッチンに立つママに近付いた私。だけど・・・


『あっ真菜、おはよう。ねぇ慶人君って、好き嫌い無いかな?』


「はいっ?」


『だから好き嫌い無いかしら?』


「えっ?」


『えっ?って・・・』


「ママ、どうして私に聞くの?」


質問したかったのは、私の方なのに・・・


慶人を連れてきたお兄ちゃんにならまだしも、どうして私に聞くの?


『だって・・・尚斗が、慶人君は真菜の彼氏だって言うから・・・


あれっ?それもそうよね?どうして尚斗が真菜の彼氏を連れてくるの?


えっ、まさか・・・ねぇ?真菜どういう事?あの慶人君の怪我・・・もしかして・・・尚斗?


真菜・・・ママ、わからなくなっちゃった。』


「・・・」


ちょっとママ・・・いくらなんでも、ソレは無いと思うよ。


私だって慶人の怪我の件、そりゃ一瞬は、お兄ちゃんを疑ったけどさ・・・でも・・・


ママは母親なんだから信じてあげようよ!って・・・言ってる場合じゃないや。




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