無翼の天使19 | 恋愛小説 くもりのちはれ

『おっ、慶人・・・何、その腕?もしかして、真菜?まさか、まさか・・・慶人が女に


やられた?ははっ・・・笑える。』


うそぉ・・・なんでココにいるの?それに怒ってるんじゃないの?


お兄ちゃんの表情は、いつもの怒りの色は無く、逆に楽しそうに微笑んでる。


『で、2度と声を掛けるなって聴こえたけど、なぁ慶人・・・その言葉はさ、本心?』


ほら、どう見ても慶人の事からかって、楽しんじゃおう♪って顔だよ。


『あっ?』


慶人は、いまだ私のさっきのセリフとお兄ちゃんの言葉が、頭の中で消化できない


様で、困惑した表情。


『なんだよ・・・俺、わざわざ電車乗った意味ねぇじゃん。チッ、残念。


タイマンする気満々だったのに、久々気合入れてたのにな。そっかそっか・・・


夏樹の馬鹿、余計な心配させやがって・・・まっ、でも良かった。


おっ、真菜・・・何、お前ポカーンって顔してんの?


あぁ・・・そっかそっか・・・たった今、初めての失恋ってモノを経験したんだな。


そりゃ、ショックだろ。お兄様が慰めてやるよ。』


お兄ちゃんは、佇む慶人の肩を叩き『お大事に・・・じゃあ、またな。』と声を掛け


私の隣に座る。


『真菜、飯食ってから帰るか?』


「お兄ちゃん・・・」


『何、食いてぇ?カルビ?ロース?タン?』


「それって、焼肉食べたいって言ってるのと同じじゃん。」


『はははっ・・・別にステーキでも良いぞ。』


「結局、肉じゃん。」


『知らねぇの?失恋には、肉が効くんだぜ。』


「何それ・・・意味わかんないし・・・」


そう呟いた私の前に、異様なオーラを放つ慶人が立つ。


『なぁ、真菜・・・俺の方が意味わかんねぇんだけど。お前、渡会じゃねぇの?


ナオトがお兄ちゃんってどう意味だよ?!』


ひぃー・・・ちょっと、やっぱ只者じゃないよ、慶人。ハンパ無く、恐いって。


だから、お願いだから・・・私じゃなくて・・・隣のシラッとした顔のお兄ちゃんに


説明してもらってくれないかな・・・なんて言えるわけもなく・・・


「えっと、そうなの・・・私は渡会真菜で、お兄ちゃんは高宮尚斗です・・・」


と、また間抜けな私の返事に、更に火に油状態。


ポチッ↓としてくれると嬉しいです♪

 にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ

にほんブログ村


18 /目次 / 20