『おっ、慶人・・・何、その腕?もしかして、真菜?まさか、まさか・・・慶人が女に
やられた?ははっ・・・笑える。』
うそぉ・・・なんでココにいるの?それに怒ってるんじゃないの?
お兄ちゃんの表情は、いつもの怒りの色は無く、逆に楽しそうに微笑んでる。
『で、2度と声を掛けるなって聴こえたけど、なぁ慶人・・・その言葉はさ、本心?』
ほら、どう見ても慶人の事からかって、楽しんじゃおう♪って顔だよ。
『あっ?』
慶人は、いまだ私のさっきのセリフとお兄ちゃんの言葉が、頭の中で消化できない
様で、困惑した表情。
『なんだよ・・・俺、わざわざ電車乗った意味ねぇじゃん。チッ、残念。
タイマンする気満々だったのに、久々気合入れてたのにな。そっかそっか・・・
夏樹の馬鹿、余計な心配させやがって・・・まっ、でも良かった。
おっ、真菜・・・何、お前ポカーンって顔してんの?
あぁ・・・そっかそっか・・・たった今、初めての失恋ってモノを経験したんだな。
そりゃ、ショックだろ。お兄様が慰めてやるよ。』
お兄ちゃんは、佇む慶人の肩を叩き『お大事に・・・じゃあ、またな。』と声を掛け
私の隣に座る。
『真菜、飯食ってから帰るか?』
「お兄ちゃん・・・」
『何、食いてぇ?カルビ?ロース?タン?』
「それって、焼肉食べたいって言ってるのと同じじゃん。」
『はははっ・・・別にステーキでも良いぞ。』
「結局、肉じゃん。」
『知らねぇの?失恋には、肉が効くんだぜ。』
「何それ・・・意味わかんないし・・・」
そう呟いた私の前に、異様なオーラを放つ慶人が立つ。
『なぁ、真菜・・・俺の方が意味わかんねぇんだけど。お前、渡会じゃねぇの?
ナオトがお兄ちゃんってどう意味だよ?!』
ひぃー・・・ちょっと、やっぱ只者じゃないよ、慶人。ハンパ無く、恐いって。
だから、お願いだから・・・私じゃなくて・・・隣のシラッとした顔のお兄ちゃんに
説明してもらってくれないかな・・・なんて言えるわけもなく・・・
「えっと、そうなの・・・私は渡会真菜で、お兄ちゃんは高宮尚斗です・・・」
と、また間抜けな私の返事に、更に火に油状態。
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