『雪菜ちゃんもやっぱり聞きたい?聞きたいでしょ?』
高校に入学して2週間、新しい生活に少し慣れてきた昼休みの教室。
テンション高めのクラスメイト達の話題は、決まって男の子の事ばかり。
既に私は、その話題に飽き飽きしていて、異常な盛り上がりに合わせる事が上手く出来ない。
「何を?」
自分でも解る・・・上手く笑えていない・・・
どうせ、また同じような話だと察しは付くけれど・・・絶対に聞かなきゃいけない。
「何の話?」
会話の中心の萌ちゃんが『聞きたい?』って言った時点で、私のセリフは決まってて、私が
言わなきゃ始まらない状況。
そして・・・その私のセリフの後、これも又、決まってる萌ちゃんのセリフ
『カッコいい人、発見!!特進のクラスにすごーくカッコいい人がいるよっ♪』
昨日は隣のクラス、そして今日は特進・・・どうやら今週は同級生週間らしい。
特進って言ったら、陽君かな?
陽君って言うのは、いつも『付き合って!』って私をからかう同中の男の子で、見た目軽い感じ
なのに、簡単に特進に合格しちゃう秀才君。
『顔も良ければ、お金持ち!医者の息子らしいよ!』
あー・・・入学式で噂になってた人の事だ・・・でも正直、何も興味が沸かない。
入学式で生徒会の挨拶をしたお兄ちゃんよりも、注目を浴びてたぐらいの人だから・・・
余程、カッコいいんだろうけど。
あの時の私は、今以上にソレどころじゃなくて・・・
〝お兄ちゃんの事、聞かれたらどうしよう〟って、頭の中が一杯だった。
だから式後、教室に一目散に戻った私が、その人気な彼がどんな人なのか知るはずも無い。
って言うか、やっぱり興味が無い。
『うわっ!見てみて・・・あの子、カッコいい!!!』
突然、萌ちゃんが男の子を指差し発した声があまりに大きくて、教室中の視線を浴びる私達
すると萌ちゃんが指差した男の子が私に向かって手を挙げる。
『雪菜ちゃん!!ひっさしぶりっ!!』
それは、陽君。
『えぇっー雪菜ちゃん、知り合い??どうして今まで黙ってたの?
あんなカッコいい子知ってるなら言ってよぉー・・・てか、言わなかったのって・・・もしかして・・・
雪菜ちゃん、あの子の事す「違うからっ!!ただの友達だからっ!!ありえないからっ!!」
いつも話を聞くだけの大人しい私が、珍しく声を荒げた事に驚いた萌ちゃんは・・・
戸惑いの眼差しを私に向けて『あっ・・・えっと・・・ごめん』と謝った。
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