「陽、お前さ・・・飯食ってからすぐに、いっつも何処に行ってんだ?」
俺のクラスは、学年でもトップの成績の奴等で構成されている為に、男女共学にも関わらず
女は、日本人形の様な髪型のメガネ、何かにつけてルールと規則(同じような気がするが)を
口にする風変わりなチビ女の二人しかいない。
まっ、こんなところで昼休みを過ごすのもつまらねぇのは解るけど・・・毎日、慌てて飯を食って
まるでスキップするように教室を出て行く陽。そんな楽しい事が、この学校にあるのか?
『へへへ・・・めちゃくちゃ可愛い子が普通クラスにいるんだって。顔もだけど、会話がさ今時いない
純なんだよ・・・色にすると真っ白・・・で、天然記念物なみのボケっぷり。これが又可愛いんだよ。
でも何度告ってもさ、通じないって言うか、わかって無いって言うか・・・中学の時から通算9連敗中。
なぁ、俺の何処が悪いと思う?今のところ誰とも付きあう気が無いっていうから、安心してんだけどね。
でも競争率高くてさ、クラスも違うし気がきじゃないワケ。別に話しかけるわけじゃねぇけど・・・
毎日、顔見せて俺の存在を主張してんだよ。と、言っても普通クラスの奴と賭けトランプしてんだけど。』
へぇー女ねぇ・・・そんな純粋無垢な奴いねぇだろ。計算して天然ぶってんじゃねぇの?
「一度俺も連れてけよ・・・昼休みめちゃくちゃ退屈なんだって。」
俺のセリフに一瞬考えながら俺の顔を見つめた陽。
『あぁー何か嫌な予感がするっ!ぜってぇユイカワ・・・そうだよ・・ぜってぇ、雪菜ちゃんに惚れるって・・・』
「他人の好きな女には手は出さねぇって。賭けトランプに興味があんだよ!連れてけって!」
ほんの少し沸いた興味・・・いつもなら面倒くせぇ事に首を突っ込むなんて避けて通る。とくに女の事は
一切興味などない。理由が無いがなぜか見たくなった、一度だけと軽い気持ちで。だけど・・・
信じられない事に、陽の予感は的中する。普通科クラスに入ってすぐ・・・聞こえた笑い声。
向けた視線の先には、今まで俺が見たことも無い汚れ無き少女の笑顔。
息を呑み、固まった俺・・・一瞬にして恋に落ちる。
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