朱色に染まる5 | 恋愛小説 くもりのちはれ

夏&奈津~


基本練習をして殆んど遊びの様な2ゲームをした後の休憩・・・部員達は上機嫌だ。


『和倉っち、休みなのに暇なんだな。ホイホイ出て来るんだもんな。


やっぱ、お見合いした方が良いんでないの?寂しいっしょ?』


一時、広まった見合い話は、結局・・・


近藤と片山先生の結婚、保険医の室田先生の見合い結婚が決まった事で


二つの話が妙に間違って広がったみたいだと言う結末に至り、すっかり立ち消えた。


「ほっとけ!一応俺にも予定があんだよ・・・でも、仕方なく来てやったんだ!」


『見栄はらなくて良いって!先生、どっか欠陥あんだろ?


そんなに外見パーフェクトで、もてねぇってやばいっすよ!ギャハハハ』


大笑いする部員達。


その中で唯一来栖だけは、俺を怪しげな目で見ている。


「あのさマジで用事あっからさ、今日は後1ゲームで切り上げるから。」


お昼までに終らせると連絡を入れたにも関わらず、小暮からの返事が無い。


怒っているのかも知れない・・・アレほど楽しみにしていたんだから仕方ない・・・けど


一向に返事もこなければ、電話してもコールするのみ・・・出る気配も無い。


昼過ぎに皆を帰してから、立ち寄った小暮の家の近くの公園。


休日だけあって家族連れが多く、いつもなら殆んど車がない駐車場にも


十数台の車が止まっている。


「いいかげん機嫌直せよな」


何度目だろうか・・・これで出なければ帰ろうと決めて掛けた電話。


『もしもし・・・先生?』聞き取れないほどの小さな小暮の声。


「今から公園に出てこれないか?」


俺の言葉に返事もなく、切られた。


幾らなんでも・・・その態度はねぇだろ?今までの俺ならこの時点で、終った。


でもなぜか、携帯を握ったまま・・・車を出せないでいる。


はぁー・・・深く溜息を吐き、顔を上げた俺の視界に映ったのは、フラフラと


今にも倒れそうな小暮の姿。ゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。


「何やってんだ?」


俺は慌てて小暮の元へ走り、ふらつく身体を抱きしめる。


「おい、大丈夫か?」


虚ろな目で俺を見上げて、伸ばした手で俺の顔を触りだす小暮。


「おい、コレって何の洗礼?」


俺の言葉にビクッと驚いたように反応した小暮は、俺の顔をみて


「うそぉー先生?何してるの?」


寝ぼけていたのだと言い訳する小暮は、かなり泣いたらしく目がいつもと違う。


でも・・・今のはやっぱり・・・ちょっとヤバくないか?



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