小さな恋敵2-2 | 恋愛小説 くもりのちはれ

奈緒side


『だから、あのガキは相手にするなって言ってんだろ!』


バイトが終わり、歩君と車で帰る途中、何度も聞かされたセリフ。


どうしてか分からないけど・・・いつもお店に来てくれる小学生の大樹君を敵視する。


小学生に対して、あまりに執拗な忠告・・・これって嫉妬?


「歩君、おかしいよ・・・大樹君は一年生だよ?」


今日も、タカ兄さんのお店で買ったという自転車で、会いに来てくれた。


補助輪を外して乗れるようになった、と嬉しそうに駆け寄る大樹君を抱っこした私


どうやら歩君は、それを見ていてご機嫌斜めになったようだ。


『イヤ、奈緒は分かってねぇ・・・アイツは計算高いガキなんだって。


まっ、アイツだけじゃねぇけど、とにかく奈緒は愛想振りまき過ぎ。勘違いする野郎


は、俺が見てても10人は超えてんだよ。とにかく身体は触らすな!』


はぁ・・・サービス業で笑顔で愛想良くしなかったら、私・・・首になっちゃう。


返事をしない私に苛立ったのか歩君は、私の腕を強い力で掴み自分の腕の中に


私を引き寄せ、いつもと違う声色で話し出す。


『今後一切、他の男に触らせる事は認めねぇ・・・何度も言わせるな、分かったか?』


私は、恐る恐る歩君の顔を見上げる・・・真剣な瞳は、少し怖い・・・


首を縦に振るしか許されない状況で、私は「うん。わかった。」と頷くしかなかった。


次の日、お店の前で大樹君が待っていた。


『今日も、ナオナオお仕事なの?』笑顔で声を掛けてくる。


「うん、そうだよ。」そう言って頭を撫でようと手を伸ばしかけた私の目線の先には・・・


『奈緒!昨日の話、忘れてねぇよな。』近付いてくる歩君。


歩君の声に驚いたように振り向く大樹君。


「あ・・・歩君、えっと・・・大樹君、あのね・・・」オドオドする私。


でも、そんな私を他所に二人はにらみ合う。そして・・・大樹君が


『オッサン、ナオナオは渡さないからな』突然、大きな声で叫ぶ。


はっ?どういう事・・・意味が分からず二人を交互に見る私を、又無視したまま


『悪いな、奈緒は元々俺の女だ。』


『ははっ、オッサンより僕の方がナオナオが好きなんだからぁ!』


『ガキには、ガキの女探せっ』


『オッサンみたいなヤンキーにはナオナオは、似合わないっ!』


ちょっと・・・こんな目立つところで・・・恥ずかしいよ・・・


いつまでも続く二人の言い合いに、付きあうのも馬鹿馬鹿しくなった私は、


二人を置いてバイトに入った。


『奈緒、俺言ったよな!あのガキは相手にするなって!』


帰りの車の中・・・また同じように懇々と説教のように話し始める歩君。


昨日のように怖いとか一切感じる事は無く・・・


「これってもしかして・・・歩君の愛情表現のひとつ?」なんて笑顔になる私。


『何、笑ってんだよ?分かったのか?』


そんな歩君に私は・・・


「歩君、大好きだよ」嬉しくて歩君に、抱きついた。


ポチッ↓としてくれると嬉しいです♪

 にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ

にほんブログ村


目次 /