「それってさ、俺の彼女がまるで浮気者みたいな言い方ですよね」
もじもじと俯いたままの木村さんの態度が、更に俺を腹立たせる・・・
「俺の彼女の事、侮辱する様な話なら聞く必要ないんで、もう帰っていいですか?」
強い口調で言うと、慌てたように顔を上げ
『違うの・・・ホントにそんなつもりじゃなくて・・・結城君が彼女と別れたのか?
本当はそれが聞きたかっただけで・・・ごめんなさい。』
あっ?まったく理解できない・・・
困惑した俺に気が付いたらしく、木村さんは話を続ける。
『別れてないなら、噂だと思うの・・・ただ、聞いちゃったから
ホントのとこはどうなんだろう・・・って考えちゃって・・・
ワタルにも聞いたんだけど・・・
あっ・・・ワタルってキャプテンの事ね・・・
お見舞いに行ったときに見た二人・・・
結城君も彼女もすごく仲良さそうだったって言ってたし・・・
でも、火の無い所に煙は「木村さん!」
大きな俺の声に、木村さんの口の動きが止まる・・・
えっ?なんで話を止めるの?と言わんばかりのポカーンとした顔
「年上の人に失礼ですけど、言ってる事、さっぱりで・・・
なんか意味わからないんっすけど!!」
今度は違った意味でイライラする。
『あっ・・・ごめんなさい。』と頭を下げた後
木村さんは、深呼吸らしき一息をついて
『わたし、実は、クロ・・・あっ・・・黒岩君の彼女?なんです。』
彼女・・・だと思うんだけど・・・と、なんとも不可解な告白をする。
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