誤解 | 恋愛小説 くもりのちはれ

『加奈ちゃん・・・送ってくよ・・・』先輩の大きな声


振り向く事もせず・・・歩く。


『女の子を一人で帰すわけにはいかないんだよ。


俺、これでもキャプテンだし・・・。』


義務感で追いかけてるんなら・・・来るなっ!って心で叫ぶ。


でも、そんな風には決して言えなくて・・・


いつもの強がり。


「木村マネを送って行かなくて良いですか?私は一人で平気ですから!」




事の始まりは・・・部活後に遡る・・・


『下宿所のおばちゃんが風邪をこじらせて、夕飯が出ない』と


下宿住まいの先輩を含めた部員達数名とマネージャー3人で


ラーメンを食べに行った。


仲良く雑談しているみんなと違って、先輩と木村さんは二人でボソボソと


真剣に話をしている。


一人が『キャプテンと木村さんって最近、いい感じっすよね?』と言い出し


『そういや、この前なんて・・・夜遅くなったミィーテングの日、抱き合ってた。』


『夜中、下宿所の休憩室でキャプテンが電話してたんだけど、木村さんの名前


を呼んでた。』とか・・・みんな、先輩と木村さんの話で持ちきりになる。


隣の二人は、そんな事でみんなが盛り上がっているとは知らず、


未だ話を続けている。


どうして私はこうも、学習能力が無いのだろうか・・・


モテる人への片思い、成就する確立なんて、


私が東大に合格する確立よりも、ずっと低いってわかっているのに・・・


ちょっと甘い優しい言葉に、「もしかして・・・私のことは特別?」


なんて思ってみたりして・・・。


ラーメン屋を後にして解散した後、モヤモヤした気持ちはおさまらない。


そんな私を、小走りで追いかけてくる先輩。



さっさと戻ってください。だから、私は一人で平気です!」


そう言って、足を止めて、振り向いて驚く。


いつの間にか真後ろに来てたようで、


先輩の胸の辺りに鼻先がつくほどの至近距離・・・


見上げた先輩の顔・・・


ニヤッと笑った気がした・・・嫌・・・確かに笑った・・・そして


『フッフーン・・・分かっちった・・・俺


加奈ちゃん・・・もしかして・・・妬いたの?』


うっ・・・やばい・・・バレる・・・咄嗟に向き直り赤くなる顔を隠し


「何言ってるんですか・・・なんで・・・私が・・・」


再び歩き出す。


「誤解しないでください!」そんな私の言葉に・・・


『お前の方が誤解してんじゃないの?』


はっ?誤解の誤解・・・どういうことよ?!



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