リコⅢ2 | 恋愛小説 くもりのちはれ

『麻井・・・行くよ!』


突然、私の腕をつかみ、優は走り出した。


いまいち盛り上がりに欠けるパーティーが終わり、2次会のカラオケに


半数近くが向かおうとしている。


「ちょっと・・・良いの?」


何度も振り向きながらも、優と走る。


『悪いっ!俺達、今からデート!!じゃあな!!!』優が叫ぶ。


「そっ、そんなこと言ったら、また誤解されるよ!!」


『いいの、いいの、ほら行くよ。』


掴んでた腕を放して、ひとりスタスタと前を歩き出した。


後方で、未だクラスメートの誰かがこちらに向かって叫んでいる。


『ぬけがけ反対っ』とか『黒岩、ずりぃーぞっ』とか・・・


私は、仕方なく優の後を追う。


しばらく歩くと優がおもむろに振り向き・・・


『麻井、まだ時間大丈夫?行きたいとこあんだけど・・・良い?』って言うから


うーん・・・時計の針は19時45分・・・まだ、いいかな・・・


「少しくらいなら、大丈夫だけど・・・」


『じゃっ!』


優が左手を差し出してくる


「えっ?」


『あー時間ないな、ちょっと走るよ。』


右手をつかまれて、少し戸惑う。


煌びやかな光の中、手をつなぎ、ふたりで雑踏の中へ。




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