原題: 新碧血劍
英題: THE SWORD STANDED WITH ROYAL BLOOD
監督脚本:張海靖チャン・ハイチン
脚本:ワイ・サン
撮影:ラウ・フォンシン、マ・カンシャン、プーン・タックイップ
音楽:黄霑ジェームズ・ウォン
出演:元彪ユン・ピョウ、李修賢ダニー・リー、張敏チョン・マン、袁詠儀アニタ・ユン、呉孟達ン・マンタッ、午馬ウー・マ

金庸原作の『碧血劍』をもとに、豪華スターで作った古装アクションもの……のはずなのに、換骨奪胎の感を免れないのは、なぜだろう。
監督も撮影も脚本も、なんだかなぁという感じなのです。

冤罪で死んだ明末の武将、袁崇煥の遺児、袁承志(ユン・ピョウ)は謎の剣客、金蛇郎君(ダニー・リー)と義兄弟の契りを結ぶ。
金蛇郎君は愛し合った女性(マーガレット・リー)を奪い取った男(徐錦江チョイ・ガムコン)によって殺され、その秘刀・『碧血劍』を受け継いだ袁承志は、金蛇郎君の復讐を果たすのだ。
と書くと、とても悲壮な復讐譚のようだけど、脇にからんでくる阿九(チョン・マン)とこれの師匠(ン・マンタッ)夫婦の道化コンビやら、袁承志を殺しにやってきて惚れてしまう、要するに何しにでてきたのか分からない毒殺教団の主(アニタ・ユン)とか、奇妙な脇役がぼろぼろでてきて、何が何やら状態。
せっかくの金蛇郎君の悲恋が真っ青になるようなコメディ展開もみられる。
要するに、どこにポイントをおいたらいいのか分からずに作ってしまったという感じ。

見どころは、ほかに類をみない(いや、ショウ・ブラザーズ時代にはけっこうあったようですが)ダニー・リーの古装(爆笑……失礼。いや、ファンにとっては垂涎なんですよ)。
剣を構える姿も様になっていて、秋官(鄭少秋アダム・チェンのこと)さまに負けないぐらい里見浩太朗です(←ほめ言葉……念のため)。
いや、実際、ダニー・リーの古装をみるために、この作品をみたといっても過言ではないのだ。

原作を読むと、ダニー・リー扮する金蛇郎君はすでに故人で、袁承志は彼の娘と愛し合って、その絡みで一代の剣客金蛇郎君の思い出が語られるという感じらしいんですが、これが生きていて、しかも袁承志と義兄弟の契りを結んでしまったから、もうそのへんで話がこんがらかってきます。
いや、義兄弟の契りを結んだユン・ピョウとダニー・リーというのは、なかなかさまになるんですけどね(←腐女子的妄想あり、失礼)。

剣戟シーンもそれなりだし、アクションもさまざまに凝らしているし、冒頭の袁崇煥の葬儀シーンなんか、むちゃくちゃかっこいいのに、なぜかテンションを保てず、散漫な印象になっているのが、とーーーっても残念な作品なんです。

思うに、長大かつ有名な作品をダイジェストにするってのは、大変にむずかしいことなんでしょうね。
金庸の作品は素晴らしく香港では人気があって、たくさん映画化されていますが、やはり作品としては『笑倣江湖(スウォーズマン)』と『射鵰英雄伝(大英雄)』が、脚本として締まっていて、みていてわかりやすいでしょうね。
金庸作品ならば、香港人はたいがい読んでいるので、説明抜きでいっちゃえ~な『東邪西毒(これは、『射鵰英雄伝』にでてくる、東邪・西毒・南帝・北丐という四人の英雄を独立させたもの)』まであるわけだし。
そういう意味で大変残念な作りではあるんですが、まぁ、役者目当てでみるだけでも面白いですよ。


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