ジェット・リーその後

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鼻の頭が日焼けしているけど元気そうなジェット・リーと、相変わらず美しいニナ・リーの夫婦です。
足に軽く怪我をしたという情報でしたが、こうやって無事な姿がカメラにおさめられているのを見ると、本当にほっとしますね。

ジェット・リー……というより、私はやっぱり、リー・リンチェという名前のほうで認識しているんですけど、実は彼がでている作品で一番好きなのは『笑倣江湖II(スウォーズマン 女神伝説の章)』なんです。




タイトル: スウォーズマン 女神伝説の章〈ニューマスター版〉

みなさん『少林寺』とか『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地黎明(字)』をあげられることが多いように思いますが、最初にみたのがこの作品だったせいか、印象が強いですね。一作目の『スウォーズマン 剣士列伝〈デジタル・リマスター版〉』のサミュエル・ホイの印象も強かったので、たぶん、この『笑倣江湖』という作品自体が好きなのかもしれません。

それから、やはりとても印象に残っていて、作品としても好きなのが、『ハイリスク』なんです。ある意味、バリー・ウォンらしいはちゃめちゃなんですが、バリー・ウォンらしからぬバランスの取れた、といっては失礼なのかな、登場人物がいずれも魅力的で、あと脚本がしっかりしていて好みなのです。
あぁ、それから『レジェンド・オブ・フラッシュ・ファイター 格闘飛龍/方世玉』も好きだなぁ。

リンチェの奥さん、ニナ・リー、実は二番目の奥さんだという話もきいているんですけど、この人もとても好きなのですよ。
う~ん、彼女の作品となると、あれやこれや、語りたくなってしまうから、いっそのこと、男優・女優も一人ずつ語るカテゴリーを設けたほうがいいかしら。そうしたら、リー・リンチェ語りももっとできそう♪

ともあれ、本当に無事でよかった、リンチェ&ニナ!
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モルディブで休暇中に、スマトラ島沖で発生した巨大地震にまきこまれて、行方不明になっていたジェット・リーの安全が確認されたそうです。

ほっ。

いや、死者の数2万2000人と(2004年12月27日現在)言われており、おそらくさらに数は増えそうな状態ですから、そんなたった一人の俳優の安全が確認されたからといって、安穏としていられるものではないのですが。

それでも。
それでもやっぱり、生きていてくれて、嬉しいわ。

それにしても、新潟地震という、このスマトラ地震といい、本当に大変です。
とりわけスマトラのこの地震は、津波による二次被害がひどいようで、余震によりさらなる津波被害もでているとききますから、心配は募ります。

早くみなさまの生活が安全かつ安定しますように。http://news.searchina.ne.jp/2004/1227/entertainment_1227_003.shtml
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タイトル: 蜀山奇傳 天空の剣






原題:蜀山・新蜀山劍侠
英題:Warriors from the Magic Mountain
83年香港
第一回東京国際映画祭「蜀山」の題名で上映

監督:徐克ツイ・ハーク
指揮:鄒文懐レイモンド・チョウ
企画:何冠昌レナード・ホー
出演:元彪ユン・ピョウ、鄭少秋アダム・チェン、洪金寶サモ・ハン・キンポウ、林青霞ブリジット・リン、

伝奇映画、といってしまっていいだろう。特撮は今の目から見たらちゃちいだろうけれど(当時でもすでにちゃちかったのかもしれないけれど)、荒唐無稽な物語とカンフー・アクションが楽しい。
ツイ・ハークの作品としても、かなり初期に属するし、ブリジットもきわめて若い。いや、最後にでてくる仙女さまは、ジュディ・オングですよ。
ストーリーは、説明しようとするとかえって混乱しそうだけど、とにかく軍隊を脱走した若者、これがユン・ピョウです。
当時の蜀山は魔王に支配されているんだけど、ユン・ピョウ、その魔の山に紛れ込んでしまって、そのときに助けてくれるのが、アダム・チェンの仙人(とはいえ剣士姿)。
そこへやはり蜀山の乱れを嘆く僧侶とその弟子があらわれて、四人でこの危機をすくわなければというところへ魔王軍団来襲。
あわや全滅かと思われるところを、長眉真人(サモ・ハン・キンポー)があらわれて、魔王を磐に閉じ込める。
もっとも魔王は四十九日で甦ってしまうから、本当に魔王を倒すためには、紫青双神剣という一組の剣を使わなければいけないというのね。
で、この剣を探すために、四人組は旅立つわけです。
四人がまず訪れたのは瑤池で、ここで女主人である姫(ブリジット)に傷ついた僧侶の治療を頼むのだけど、姫は剣士仙人に恋してしまい、一方、仙人は魔物の毒のせいで魔物と化して、魔界へ旅立ってしまうのです。
そこで、姫に僧侶をあずけ、ユン・ピョウと、僧侶の弟子(マン・ホイ)は、姫の弟子(ムーン・リー)と共に剣を求めて旅を続けるという次第。
最後は天界で仙女(ジュディ・オング)から剣を授かり、姫の愛もあって魔物と化した仙人もすくわれ、みんなで力をあわせて魔王を倒しました、めでたしめでたし、というわけ。

まず音楽が、その昔の怪獣映画みたいで、すごく笑える。
そして古装の剣士姿のアダム・チェンは、異常にかっこいい(←すみません、私は東映チャンバラ映画のファンです)。
ブリジットは、まるで古代壁画の仙女のような、(つまりはアブナイ)格好ででてきてくれます。領巾を使った攻撃がすごい! そうか、領巾はあーやって使うのか(それは違うぞ)。
ユン・ピョウは昔も今もあまり変わらんぞーという切れ味のいいカンフー。サモハンが出場ってきているということは、武術指導がサモハンなわけです。だからあまり大仰ではないのだけれど、スピーディで小気味いいという感じ。

ツイ・ハークという人は、宮崎アニメの香港版を監修したりしてるから、たぶん、日本のアニメ特撮映画のマニアなんじゃないかと勝手に推測しているんですが、どことなくそういうテイストが残っていて、そこにカンフー・アクションを当てはめるのが、当時はまだ画面的にも違和感があって辛かった記憶があります。
これがある程度までこなれてきたのが『風雲』で、究極が『マトリックス』というところかな。いや、究極を『少林サッカー』にしてもいいんですけど。

でもこれが作られたのは83年。
香港映画で特撮そのものが珍しかった時代です。
一方で、この手の伝奇古装というのは、香港映画にはお手のもので、カンフー・アクションもまた然り。
どうせワイヤーで飛ぶんだから、特撮と合体、と考えたツイ・ハークに先見の明があったのではないかなぁ。

香港の特撮は、目から特殊光線ビビビとか変な方向に走っちゃう嫌いもあるんだけど、でもまぁ、これがひとつの出発点ではあったわけです。

ツイ・ハークは最近、この作品をリメイクしたようですね。
こっちもみてみたいな。




タイトル: 天上の剣-The Legend of ZU-
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ユン様?

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ヨン様の次はユン様ですか?
じゃなくって、『パイレーツ・オブ・カリビアン』ですよ、せんせー(誰のことだ)。
パート2にオファーがきているそうです、周潤發。
香港映画を少しかじっている人なら、發仔(ふぁっちゃい)とか、發哥(ふぁっこー)とか呼びそうなこの方が、ユン様……。
いや、たしかに、「潤」の字は「ユン」ですが……ですが……(爆)。

とはいえ、たとえユン様でも話題になって、韓流に負けない盛り返しが欲しいところではあります、昨今の香港映画。

もっとも残念ながら記事はハリウッドもの。
とはいえ、私の大好きな『パイレーツ・オブ・カリビアン』の続編情報。
すでに、キース・リチャーズが、ジョニー・デップの父親役で、というオイシイ情報が流れていますが、それに負けない(個人的に、ですが!)情報です。

しかも、しかも実在する、張保仔役との噂も!
あの、長洲島にいたとかいう海賊さんですか?
バルボッサ船長に負けないキャラですか?
期待してもいいでしょうか……しないわけにはいかないでしょう。

まぁ、中国のアップル・デイリーのすっぱ抜きなんで、ディズニー側の公式コメントがでるまでは小躍りできないわけですが。
いや、とにかく期待します。絶対しますとも!



タイトル: 神鳥伝説






原題:九一神鵰侠侶
英題:Savior of the soul
91年香港
監督:黎大煒デヴィット・ライ
脚本:王家衛ウォン・ガーワイ
撮影:鮑起鳴ピーター・パウ
出演:劉徳華アンディ・ラウ、鍾鎭濤ケニー・ビー、梅艷芳アニタ・ムイ、葉蘊儀グロリア・イップ、郭富城アーロン・コック

金庸原作『神鵰侠侶』を題材に、近未来でシティ・ハンターに生きる男女の複雑な恋模様を描くアクション映画。
ティン(アンディ)、チェン(ケニー・ビー)、クワン(アニタ)は、男二人女一人のシティ・ハンター。彼等が捕まえた悪人を、弟子の銀狐(アーロン・コック)が救い出す。そして師匠をこんな目にあわせたといって、彼等を殺しにくる。クワンをかばってチェンが銀狐の手にかかって死ぬ。ティンをまきこむのをおそれたクワンは、チェンが好きだったといって、ティンの前から姿を消すのだった。
クワンに恋心を抱いていたものの、告白しきれないうちにクワンに去られたティンは、チェンの妹ウェイハン(グロリア)を一人前のシティ・ハンターに育てようとする。

ってか、野球バット振り回したら、一人前のシティ・ハンターになれるんですか>グロリアちゃん
と思ったら、ほんとーに、野球バットで落ちを決めてます。おかしー。

とにかくクールなアーロンの殺し屋がスタイリッシュでお勧め。
アニタは、二人の男の間で揺れる複雑な女心を見事に演じているほか、クワンの姉役でコメディも演じるという八面六臂な大活躍。
個人的には、好きな役者のケニーが早々と退場したのが惜しまれます。

脚本は王家衛、微妙な恋愛関係とか、スタイリッシュなアクションとか、金庸原作とか、微妙に『楽園の瑕』を想像させます(笑)。
という冗談はさておいて。

まだ香港映画に嵌まっていないころに見て、何が何やら分からないという感じでした。
香港映画独特の枠組みってものがあって、それに慣れていないと、どうしてそういう展開になるんだー、という突っ込みどころがいっぱいあるわけですね。
ところが香港映画を何本か見て、慣れてくると、それが気にならない。
そういう意味で、自分にとって、ターニング・ポイントとなる作品であります。

で、冒頭、銀狐のでてくるアクション・シーンは最高。
この作品でアーロン・コックを認識したので、アーロンはシリアスな役がいいと思っております。(『風雲』が好きだ~)
ケニー・ビーも、早々と退場されてしまうのが残念ですが、相当にかっちょいい役です。
アンディはいかにもアンディらしい。ちょっとお軽い。そういう役柄は多い出すよね。
アニタの二役には脱帽です。アクションは『東方三侠』のほうがすごいけどね。
グロリアちゃんは……グロリアちゃんですね(説明になってないっ)。でも野球帽かぶって、必死でバット振ってる姿が印象的でした。

『恋する惑星』

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タイトル: 恋する惑星






原題:重慶森林
英題:CHUNGKING EXPRESS
1994年香港公開。1995年日本公開。
制作:劉鎭偉ジェフ・ラウ
監督:王家衛ウォン・ガーワイ
撮影:杜可風クリストファー・ドイル、劉偉強アンドリュー・ラウ
音楽:陳勲奇フランキー・チェン、ローウェル・A・ガルシア
出演:林青霞ブリジット・リン、梁朝偉トニー・レオン、王菲フェイ・ウォン、金城武、周嘉玲ヴァレリー・チャウ

私が王家衛作品にはまった、記念すべき一作。
とはいえ、前半は必ずしもよく分からなかった。
何しろ当時は、ブリジット・リンという役者を知らなかったのだ。そのうえ、ほぼ全編に渡って金髪ウィッグにサングラスかけたまま。これじゃあ認識しようがない。相方の金城武はパイナップルの缶詰相手にじたばたしているだけの若者(に見えた)だし。
後半、不思議な動きのフェイと、情けなさもここにきわまれりのトニーにいたって、俄然面白くなった。
たぶん、私はフェイ・ウォンという女性が、歌手としても女優としても、とても好きなのだと思う。
まぁほかに映画作品としてみたのは『恋戦沖縄』だけなので、(というか、それ以外の映画作品って『2046』ぐらいか? ちなみにこの新作はまだみていない)判断しようがあるか、と言われると困るが、この一作で完全にそのキュートさにノックアウトされた。
トニーは、とにかく芸達者な人なのだが、この警官ははまり役。情けない男のよく似合う役者は香港に多いのだけど、その中でも群を抜いていると思う。
そしてチャーミング。

前半は九龍半島先端近くのチョンキン・マンションを舞台に、後半はセントラルのサンドイッチ屋を舞台に展開される二組の恋物語(?)は、『天使の涙』を加えた三部作だったらしい。こういう、予定の半分しか一作品に入りませんでしたというのは、王家衛にはよくある話で、『欲望の翼』は『花樣年華』をへて『2046』で完成し、『楽園の瑕』は『大英雄』とセットなのだ。
香港の映画は、観客を飽きさせないために「90分」という尺を要求するということもあるかもしれないけれど、そもそも作品を完成させることに、多大な努力が必要らしい(そして撮影中も編集中も、ころころと方針が変わって、撮り直しは珍しくもないし、大半のフィルムを捨てて、せっかくでたのに画面に出してもらえないかわいそうな役者もいっぱいいる)王家衛であるから、そこにでてくる作品に完成度を求めてはいけないらしい。
いやひとつの作品に、いくつものバージョンがあるという話だし。

そんな中途半端さまでが魅力になってしまう王家衛作品であるからして、そこに魅力を感じられない大半の観客を置き去りにしてしまう。
そもそも娯楽性があまりない(娯楽作品が作れないわけではないと思う。王家衛脚本の娯楽作品って、かなり上質のものが揃っているし、面白いから)というのも、香港映画としてどうよ、とか本国では思われているらしい。
大体、王家衛作品が好きだ、というと、香港映画のディープなファンから、「しょせんガーワイものか」と冷たい目で見られるのがオチ……(笑)。

でも私は王家衛作品がすべて好きというわけでもない。
『ブエノスアイレス』は結局のところ、自分にピンとこないで終わってしまったし、『いますぐ抱きしめたい』や『天使の涙』はいまだ見ていない。
『花樣年華』も最後まで見通せていない。
それなのに、この『恋する惑星』と『楽園の瑕』は、大好きな香港映画ベスト5にはいってしまう。これは困ったことだ。
どうして好きなのか、よく説明できない。

ただ、ほかの王家衛作品を見て、あまり、と思った人も、別の作品を見てみることはお勧めします。かなり印象は違うと思う。

ところで、前半、林青霞も金城も、セリフは北京語だ。
ところが後半、トニーが広東語なのは当然として、フェイが広東語というのは、北京出身の彼女なのに、不思議だったりする。
が、そもそも林青霞は広東語をしゃべらない人で、金城の広東語は途中に電話のセリフがあるけれど、いまいちだったりする。
それに比べると、フェイの広東語は、(やはり北方出身の甘ったるさ……それは劉嘉玲に共通するものだけど……があるけれど)王家衛的にOKだったのだろう。
実際、フェイの広東語は大変に耳に心地よい。ついでにいうと、彼女の広東語のアルバムも相当にいけます。私が北京語より広東語が好きというのもあるけれど、フェイの広東語アルバムは、北京語に比べて遜色ないと思う。広東語でしか聴けない曲もあるし、彼女自身が「広東語で」作詩している曲だってあるのだ。(「討好自己」というこの曲が、また、とても好きなの~)

ちょい役のヴァレリーは、この時期、すごい勢いで露出してきた女優さんで、大変に背が高く、しかも頭のいい(何しろ香港大学出身!)帰国子女(そういう言葉が香港でも通用するのか?)である。しかし『月夜の願い』でも冒頭、トニーにからんでいましたね、この人は。

ところでここまで書いて、全然作品の説明にも紹介にもなっていないことに気づいたのですが、このままアップします。

『楽園の瑕』

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タイトル: 楽園の瑕






原題:東邪西毒
英題:Ashes of Time
監督:王家衛ウォン・カーワイ
撮影:クリストファー・ドイル
武術指導:洪金寶サモハン・キンポウ
出演:張國榮レスリー・チャン(歐陽峰・西毒)
   梁家輝レオン・カーフェイ(黄藥師・東邪)
   梁朝偉トニー・レオン(盲武士)
   張學友ジャッキー・チョン(洪七・北丐)
   林青霞ブリジット・リン(慕容兄妹)
   劉嘉玲カリーナ・ラウ(桃花・盲武士妻)
   楊采[女尼]チャーリー・ヤン(卵娘)
   張曼玉マギー・チャン(西毒嫂)

金庸原作の『射鵰英雄伝』に出てくる東邪西毒南帝北丐という伝説の四人の武士をめぐる物語……になるはずが、撮影中に監督の構想が二転三転して、かなり違う話になってしまった、という逸話のある作品。

歐陽峰(レスリー)は、武者修行をしている間に恋人(マギー)が兄に嫁いでしまい、これをたわけて出奔、砂漠のはずれで仲介業をしている。
つまり、自分の手では憎い相手を殺せない人に代わって金で殺人してくれる人間を紹介するサービスだ。
彼のところへは、ときどき、黄藥師(家輝)という男があらわれる。黄はかつて、慕容某(ブリジット)という剣客と知り合い、酒の席で、彼の妹を嫁にもらうという約束をする。が、酔った上での話と思って本気にしなかった彼を、慕容某は妹の仇と付け狙う。
そして慕容某は歐陽峰のところへ殺し屋の仲介を求めてやってくる。殺してほしいのは黄藥師だと。
数日後、こんどは慕容の妹と称する女があらわれ、兄を殺して欲しいと頼む。なぜなら妹は黄藥師に恋しているのに、兄は妹の恋路の邪魔をするからだ、と。
しかし、兄と妹と、そっくり同じ人物なのだ。
つまり、慕容兄妹は同一人物で、男装しているがために黄藥師にからかわれて、恋してしまったものの、それを認めることができず、兄と妹に精神分裂してしまったのだ。
やがて彼女はその事実に気づき、去っていく。

歐陽峰のもとに、ほとんど視力を失った武士(トニー)が、仕事が欲しいとやってくる。故郷に戻って桃の花をみたいから、旅費を稼ぐためだという。
近くの村を馬賊が襲ってくるので、守ってほしいという依頼を受けるが、多勢に無勢でやられる。
死ぬ瞬間、彼は故郷に残してきた妻の桃花(カリーナ)を夢見る。妻は結婚式のその日、式に列席した武士の友人黄藥師に恋してしまい、それに気づいた武士は、妻を残して出奔するが、黄藥師もまた、彼女と通じることなく、去ってしまう。
桃花は一人、夫を待ち続けるが、帰らぬ人となる。

洪七(ジャッキー)は乞食同然の剣士だ。
あるとき、近くの村が馬賊の襲われ、弟を馬賊に殺された娘(チャーリー)が歐陽峰のもとに、仇をとってくれとやってくる。
しかし娘には、一籠の卵しか謝礼がない。歐陽峰は暗に身体を売って金にかえろと迫るが娘ははねつける。
洪七は娘の依頼を受け、卵の謝礼で馬賊を殺すが、己も九死に一生を得る。が、彼は「歐陽峰は卵で殺人はすまい。だが、自分はそうすべきだと思った。爽快だった」と言い残して、彼を追ってきた妻とともに去る。
かつて、武者修行の旅にでたまま恋人を放りっぱなしにしていた歐陽峰は、悔悟にくれる。

黄藥師は歐陽峰のかつての恋人(すでに歐陽の兄は亡くなり、寡婦となっていく)に毎年会っている。恋人(マギー)は、黄が歐陽峰の友人だと知っており、彼からかつての恋人の話を聞くのを楽しみにしているのだ。しかし、お互いに意地を貼っているうちに、己がもう若くも美しくもなくなっていることに気づき、失意のうちに死んでしまう。

兄が死に、恋人もなくなったと連絡をもらった歐陽峰は、砂漠の宿に火を放ち、故郷に戻っていく。

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ストーリーの説明書きながら、わかりづらい話だなぁと思います。
これって一言でいうと、「若さに奢って恋を全うできなかった男たちが、中年に差しかかって悔やんでももう遅い」という話ですね。
なんともはや(^_^;)。
ですから、話にはなにひとつ、進展もなければ結末もない。
なのに、なぜかこの映画、すっっっっごく好きなんです。
なにがどう好きなのかわからないぐらい好き。
どのぐらい好きかというと、まだ日本で公開される前にLD入手して、字幕を全部翻訳したぐらい好き。

役者が豪華、はいうまでもないでしょう。
一人で主役を張れる役者ばかり七人います。(本当はジョイ・ウォンも参加していたんだけど、あまりに拘束が長くて途中脱落)
このときはデビュー直後の新人だったチャーリー・ヤンも、その後次々と主役をやっていますね。(つい最近、ジャッキー・チェンの『新警察故事』で映画復活。楽しい話題です)

あと、クレジットにはいっていて、どの役やってるかわからない、倪星くん。またの名は鄒兆龍コリン・チョウ。そう、あのマトリックシリーズ二作目に出てきて、キアヌ・リーヴス相手に華麗な室内カンフーを見せたセラフその人が、名もなき端役で出ております。
武術指導がサモハンなので、そのご縁だと思いますが。

どうにもわけのわからないフランスの恋愛劇を、古装世界でやってのけた、というミスマッチ感覚。それがこの作品です。
香港映画ファンにはものすご~く評判悪いんですけど、たしかに香港映画のテイストとは違う。香港人の観客なんて、わけわからなくてブーイング続出だったそうです。楽しめるシーンもないしね。

でも斬新なアクションシーンや、光と影の巧みな演出とか、特にブリジットがらみのシーンはぞくっときます。
あ、カリーナの美しいおみ足もね。

そして、髭のレスリー、渋くてよいのです。なんというか、レスリーらしからぬというか、この人は王家衛作品ではそれまでにない姿を見せてくれるので、まったくもって侮れません。
長髪のレオン・カーフェイは、不思議な感じ。ブリジットがらみの、何か生きることに飽きているような、不気味な笑いが印象的です。
トニー・レオンは、とにかくかっこよい。一度も笑わないトニーというのは、この作品にでしかみたことないかもって感じ。
ジャッキーは唯一、「東邪西毒」と「大英雄」の双方同じ役なんですが、飯を食べるシーンが秀逸。

なんだろう。納得できる作品ではないんだけど、とにかく印象的なシーンが多くて、忘れられない、そういう映画なのです。

『聖戦』

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原題:聖戦風雲
英題:Undeclared War
公開:91年香港

監督制作:林嶺東リンゴ・ラム
製作総指揮:游定漢ウェリントン・フォン、張權リチャード・チョン
脚本:龍添武ティモシー・ロン、魯亦詩ルイ・C・ロス、門迪芭デボラ・グラント、南燕ナム・イン(リンゴ・ラムの兄)
撮影:劉鴻泉ラウ・ハンチュエン
音楽:陸崑崙ノエル・キンラン
編集:周國忠トニー・チョウ

出演:李修賢ダニー・リー(ボン)
   ピーター・シビス(ゲイリー)
   ヴァーノン・ウェルズ(ハンニバル)
   オリヴィア・ハッセー(レベッカ)
   關之琳ロザムンド・クワン
   黄光亮トミー・ウォン

題して「オリヴィア・ハッセーの無駄遣い」。
いや、そういう説明ではいけないと思うのですが。
チョウ・ユンファとダニー・リーの『友は風の彼方に(龍虎風雲)』をはじめとする風雲シリーズを監督したリンゴ・ラムの迷作。
いやもう、ハリウッド俳優は使うわ、ワルシャワ・ロケは敢行するわ、街中でバスは爆破するわ、やりたい放題なのに、この地味さ……。
決して、主役のダニー・リーのせいではないと思いたい。
いや、思う。断じて違うと信じたい。いや、信じるぞ。

これは兄を殺されたCIAのゲイリーが、テロリストのハンニバルを追って香港まで突撃してきて、香港側担当のボン(ダニー・リー)とぶつかりつつも、熱い友情で最後はテロリストを撃滅するぞって作品なのです。
ボン(劉定邦ラウ・ディンボンというのが役名)が泳げないという設定なんかも、お笑い要素として完全に浮いてるし。

で、無駄遣いされているオリヴィア・ハッセーは、ボスのハンニバルにいいように使われちゃう理想家肌のテロリスト。思想先行なんで、ボンSirに説得されて投降しちゃった挙げ句に、仲間だと信じていたハンニバルに殺されてはい終わり。いくらなんでもそりゃなかろうという展開に唖然。(つか、最後の最後まで、オリヴィア・ハッセーで引っ張ってほしかったわよ。いくら男の友情を描きたかったとはいえ)

個人的に美味しいのは、大変に好きなロザムンド・クワンがダニー・リーの婚約者役ででているということ。一生懸命がんばるニュース・キャスターなんですが、ボンSirにとってはそのがんばりが心配だったり……ま、これは基本ですね。

そして、ボンSirの相棒役ででているトミー・ウォン。いい役者です。前半はボンSirを兄貴と慕っている弟分みたいな役柄で、後半は裏切り。いや~、裏切る彼の演技がなかなか萌えが入ります、はい。

ダニー・リーは、眼鏡かけて背広で、政治部という香港警察の中でもエリートの所属する部門の刑事で切れ者という設定が、よれよれ李Sirファンにはちょっと浮いてるらしいんですが、背広専科で眼鏡フェチなわたしには超ツボに入っておりまして、ストーリーがどうだろうと、拷問シーンに目をそむけようと、「西洋人俳優はいらんわい!」と叫ぼうと、何度もみてしまうという矛盾が露呈するなぁ。
いや、萌えとはそういうものです。

脚本に四人もいるのは、もしかして船頭多くしてですか? と突っこみたいのですが、まぁいろいろと萌えポイントを探しながら見ると、それなりに美味しい作品ではあります。
なんかこーゆー紹介の仕方、自分でもどうにかならんかねぇ。

『大英雄』

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タイトル: 大英雄


原題:『射鵰英雄伝之東成西就』
英題:The Eagle Shooting Heroes-Dong Cheng Xi Jiu
監督:劉鎭偉ジェフ・ラウ
撮影:ピーター・パウ、ラウ・ワイキョン
音楽:黄霑ジェームズ・ウォン

出演:張國榮レスリー・チョン(東邪)
   梁朝偉トニリー・レオン(西毒)
   梁家輝レオン・カーファイ(南帝)
   張學友ジャッキー・チョン(北丐)
   林青霞ブリジット・リン(三公主)
   張曼玉マギー・チョン(国師)
   王祖賢ジョイ・ウォン(小妹)
   劉嘉玲カリーナ・ラウ(全真教副教祖)
   葉玉卿ヴェロニカ・イップ(王妃)
   鍾鎭濤ケニー・ビー(全真教教祖)

『東邪西毒(楽園の瑕)』がなかなか編集できず、公開日迫ってもモノにならなかったために、八日で作った怪作、という評判が高いが、実際は、『東邪西毒』とセットで作っていたもの。
 昼間はシリアスな『東邪西毒』を撮り、夜になるとマッドな『東成西就』を撮っていたと、スタンリー・ンガイの王家衛論に書かれている。
 本当のところがどうかはわからないが、この作品はお正月公開作品。『東邪西毒』には正月映画らしいところは皆目ないので、こちらが間に合わせというのはうなずけなかったりする。

 正月映画というのは、さまざまなキャラクターがでてきて、あれこれすったもんだしたあげくに、最後はハッピーになるという展開が要求されて、クリフトン・コウが得意なのだが、『黒薔薇vs黒薔薇』という怪作で、一躍「おかしてものを作らせたら天下一品」と名前のあがったプロデューサーのジェフ・ラウが監督をしている。
 このジェフ・ラウ、王家衛作品では常に制作者として名を連ねるが、脚本も監督もオッケーな人。香港にはこういう異才が多い。
 で、この作品は逆に王家衛がプロデュースしている。

 話は……国王の後妻(葉玉卿)と結託した後妻の従兄弟歐陽峰(梁朝偉)は、国王の印を奪って、後妻とのあいだにできた子供を王位につけようとするが、王璽を持っているのは、じゃじゃ馬で名高い三公主(林青霞)だった。
 後妻と峰は三公主を狙うが、侍女たちの機転で三公主は馬に乗り、師匠の住む九宮山へと逃げる。
 後妻と峰は国師(張曼玉)を脅して三公主の行き先を狙わせ、空飛ぶ靴を入手した峰が三公主を追っかける。
 ところ変わって九宮山で、仲良く剣(?)の練習をする黄藥師(張國榮)と小妹(王祖賢)。七歳で山にはいってから、小妹以外の女を知らない黄は、「私のことだけ思っていてね」という小妹にうなずくものの、師匠の居場所を聞きにきた三公主に一目惚れ。三公主とともに去ってしまうから、小妹は大激怒。師匠に背いて山をおりようとすると、従兄弟(張學友)に「許嫁の仲だ」と呼び止められ、こいつを蹴散らして、黄の後を追う。
 失意の従兄弟くん(こいつ、乞食族のボスで、北丐と呼ばれる)自殺しようとするが、そのとき、空を飛んできて、空飛ぶ靴に火がついてしまい、急降下する峰と激突、九死に一生(?)を得る。
 死にたい北丐は峰に自分を殺せと迫るが、いくらがんばっても殺せない峰は、どんどんひどい状態になっていく。

 一方、全真教の教祖(鍾鎭濤)がついに悟りを開いて山からおりるという日、弟弟子(劉嘉玲)と弟子たちが揃って出迎えようとすると、空から降ってきた靴が頭にささって教祖は死んでしまう。ちょうど通り掛かった三公主は教祖の遺言を聞いてその衣を手にして後を追うが、錯乱した弟弟子に兄弟子の仇と追いかけられることになる。

 さて、南の帝国の王子(梁家輝)は、胸に666と刻まれた「真心人」に「愛している」と言ってもらえれば昇天して仙人になれる、と父親に言われ、666の愛人を探して旅立つ。
 彼等が一堂に会した旅籠、そこが混乱のはじまりだった……。

 いわゆる「旅桟形式」(『ドラゴン・イン』なんかに見られるやつですね)をパロったこの作品、随所にパロ満載らしいんだけど、もうギャグを通り越してなにやってるんですかな状態になる。
 たとえば、カリーナ・ラウと三人の弟子たちによる「四人の白鳥」のパロディとか。
 家輝女装してレスリー襲う(だろう)とか。
 首になっちゃった家輝をサッカー玉に見立てて蹴りまくるレスリーとか。
 まぁ、あれとかこれとかいろいろあって、最後には究極の力を得た峰を、みんなが三公主助けて倒すって話なんだが……。

峰すなわち西毒で、この役を『東邪西毒』ではレスリーが演じている。
レスリーが演じた黄藥師が東邪で、『東邪西毒』においてはレオン・カーフェイが。
という役柄のチェンジでもって話がわからなくなっているが、実際はこの『東成西就』は『東邪西毒』の続編なのだ。『東邪西毒』のラスト、愛する人を失った歐陽峰(レスリー)が、旅籠に火をかけ旅立った先が、この『東成西就』の舞台となる国なのだな。あまりにテイスト違うんで、信じられないかもしれませんが、そういう作りです。

 このふたつの作品は、金庸の『射鵰英雄伝』にでてくる伝説の四剣士、東邪、西毒、南帝、北丐の若き日の話、という設定になっている。
 香港人ならみんな知ってるこの話、「あそこにでてくる爺たちも、若いころはこんな感じだったかもよ」というわけですな。
(で、前半と後半でこんなにテイスト違うのかよ、と言われても、それは王家衛と劉鎭偉だから、としか言いようがない)

 役柄こそ違うが、役者のほとんどはかぶっていて(あまりに撮影長すぎて、王祖賢脱落とかあったけど)、役者たちの演技の幅を見るにはうってつけかも。つか、あそこまで、シリアス映画とお馬鹿映画を「同時に」やっちゃう役者たちって、すごいと思うよ、ほんと。

 最後、めでたく昇天する梁家輝があまりにもおめでたい、ひたすら笑ってほしい作品なのであーる。


脚本/監督:ケリー・コンラン
制作総指揮:オーレリオ・デ・ラウレンティス
音楽:エドワード・シェアマー
衣装:ステラ・マッカートニー

出演
スカイキャプテン(ジョー・サリバン);ジュード・ロウ
ポリー・パーキンス:グウィネス・パルトロウ
フランキー・クック中佐:アンジェリーナ・ジョリー
デックス:ジョヴァンニ・リビシ
謎の女:パイ・リン

文句なしに楽しい映画。
昨年は『パイレーツ・オブ・カリビアン』が一押しで、今年はこれって感じ。
いや、まったくもって、昨年の「一番セクシーな男優」がジョニー・デップで今年がジュード・ロウって、見事な流れなのかも。

で、ジュード・ロウ、「やらしい」冒険野郎を、それはそれは楽しそうに演じてる。
彼は制作にもからんでいて、グウィネス・パルトロウとアンジェリーナ・ジョリーに声をかけたのも彼自身らしい。
だから、三人のやりとりが絶妙に息があっていて、すんばらすぃ。

片目アイパッチの空軍中佐、フランキー・クック演じるアンジェリーナ・ジョリーは、もう絶対にばっちしと思っていたけど、見事なまでにばっちしだった。
撮影わずか三日だったとは思えない……出番は決して多くないけど、これ以上でたら、彼女の映画になっちまう、ぎりっぎりのところだったよ。

で、無鉄砲女ポリー・パーキンス。あまりにも整った顔の美女なんで、どうだろうと思ったら、はまるはまる。大はまり。あまりのはまり具合にのけぞるほど。
ラストの落ちまでばっちり引いて、ジュード・ロウとの息のあいぐあいも見事。

そして四人目。デックスのジョバンニ・リビシ、なかなかいいではありませぬか。これから注目だな。

この作品は、監督が自宅のガレージでMacの2ci(!)相手にコツコツ作り上げた六分のフィルムがもとで、夢が実現しましたの、それ自体、典型的ハリウッド成功譚だ。
しかしこの監督のバランス感覚たるや絶妙で、あれやこれや好きなものをいっぱい詰め込んでおきながら、細部に至るまで違和感がない。
もちろん「お約束」な話であるし、それはもう展開からして予想もつくことなのだけど、これだけ大がかりな謎の答えとしても、それなりに納得がいくものだったし、少なくとも「え?」と首をひねるところがないということ自体、すばらしいのではないかと思ってしまう。いや、そんなに見てるわけじゃないんですが。

それと、役者同士の軽妙なやりとりのもとになる脚本、これがよかったらしい。
(もっとも、アンジェリーナ・ジョリーの出番に関しては、彼女自身が「この時代の軍人はこんな口調でしゃべらない」とか、実在の人物にインタビューまでして調べてきた膨大な資料で監督をねじ伏せて(笑)手直ししたらしい。それがまた、実に、「らしくて」いいできなんだなぁ。いやー、根性ある役者さんや)

なんというか、肩の力を抜いて、ワクワクしながら笑って見てほしい映画である。

そうそう。
音楽がいい!
サントラ盤入手したいぞ。



アーティスト: サントラ
タイトル: スカイ・キャプテン