メイク・ストーリー『追い風にのって』(後編)
~メイク・ストーリー、「後編」です
メイク・ストーリー『追い風にのって』(後編)
その顔で職場に行くと、さっそく同僚から、
「あ、きょう、原田さん、色気がでますね。」
と、いやみな感じでなく、誉められた。
なんだか、、照れくさい。こそばゆい感じがする。
いままで、メイクアップをすれば、
ただただ派手になるだけかと思っていた自分が・・わたしが、変わった。
こんなメイクダウンの方法があって、
それが、どうやら‘引き算メイク’ということらしい。
あたしはもうここ数年、バイクで仕事に行っている。
メットかぶるし、暑くて汗いっぱいかくけど、
これだけはいえる。
メイク、楽しくなった。
自分に合いそうな化粧品を探すのが面白くなった。
ワケもなく、ふらりと寄り道をしたくなる日が多くなった。
メイクなんて必要ないって思ってたけど、
それはただ、強がっていただけだった。
自分のことを、知らなかっただけなんだ・・
今日は、普段はしない格好をしてバイクにまたがっている。
胸の開いたカットソー、ぴったりとした細身のデニム、
ネイルも、久しぶりに塗ってみた。
色気づいた自分に驚きながらも、
こうして、毎日張り合いを感じることのできる自分。
女性として生まれてきた自分。
そう思ったら、急に、いとおしい気持ちになった。
いま、あたしのバイクとあたしは、
一直線にある場所へと向かっている。
そこは、いままで、ずっと行きたいと思っていたのに、
まだ行ったことのなかった海辺の公園。
あたしは、ハンドルを握る手に力を込め、
生ぬるいけれど、時折シャープな風を感じながら、
ぐんぐん加速していった。 (end)
・・・・・・・
原田さん、やりましたね!!
周りからの反響があると、がぜん、
メイクって、楽しくなりますし
自分への興味が沸き、知らなかった自分、
出会ったことのない自分に出会えるものですよね
追い風にのってバイクを操る、
クールでセクシーな原田さん、
きょうも、どこかお出かけしているんでしょうね・・
(じつは、この‘原田さん’には、モデルとなる人がいて
その方を思い描きながら、ストーリーにしてみました。)