自分のビジョンや成長を重視する今時の転職傾向

 米国発のサブプライム問題の影響で、日本でも特に金融機関やその関連企業では、人員削減などを強いられるところが現われつつある。その余波は、IT企業にも大きな影響を及ぼしており、即戦力となる人材のみが採用され、生き残ることになると見るのは必然だろう。


 そんな中、企業に勤めるITエンジニアのキャリアアップや転職に対する意識は、どうなっているのか。


 ZDNet Japanの転職情報チャネルでは、5月26日から10月15日まで計5回にわたってアンケートを実施。選択肢の中から答えを選ぶ、「投票(poll)」形式のシンプルなものだ。シンプルであるがゆえに、回答者の本音がストレートに反映されており、今時の転職を意識しているITエンジニアの考えが読み取ることができる。まずは、転職のモチベーションから見ていくことにしたい。


転職するとしたら、何を重視しますか?


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 「転職するとしたら、何を重視しますか?」という質問への答えで最も多かったのが「キャリアプラン」。投票者中、約54%がこの答えを選んでいる。2位は「スキルアップ」で、あくまで自分自身のビジョンや成長を重視したいという気持ちが見て取れる。


 この結果は「35歳定年説」が囁かれるITエンジニアにとって、しっかりとした将来像を持ちたいという気持ちの表れだろう。IT関連企業が優れたエンジニアを確保するには、彼らにどのような長期的なビジョンを与えられるかがキーポイントになりそうだ。


 一方、「転職するとしたら、決め手となる指標は?」および「転職するとしたら、はずせない手当は?」のふたつの質問に対する答えからは、転職先企業に求めるものが具体的に見える。前者の質問への答えで最も多かったのが「経常利益率」、後者では「残業代」だった。安定した利益を出していて、残業代もきっちり払う──それが理想の転職先ということだ。一般的な企業でもこれらのポイントは当然の着目点だが、IT企業においては「3K職場」や「ITドカタ」などのマイナスイメージを抱かせないための積極的なアピールが企業には求められるのだろう。

職場の人間関係が円滑なら、転職はしない?

 そもそも現在勤めている会社に対して満足度が高ければ、転職する理由はないはずだ。転職を意識しているITエンジニアの不満とは何だろうか。「今の職場の改善点があるとしたら?」という質問への答えで最も多かったのが「人間関係」で、「将来性」がそれに続いている。


もし転職を考えるのであればどのような手段を用いますか?


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 逆に見れば、上司や同僚、部下との関係が円滑で、会社の経営が持続可能(サステナブル)なものであれば、あえて転職しようとは思わないということだ。これはあらゆる業界に共通して言えることかもしれないが、チームプレーが基本である開発業務での孤立や、技術トレンドの素早い変化についていけない場合の疎外感などが転職の動機となりやすいのかもしれない。


 ちなみに、「転職の手段は?」という質問で最も多かったのは、「人材紹介のコンサルタントに頼む」で、「知り合い、友人に頼む」が2位。転職で頼りになるのは、業界を熟知しているプロフェッショナルや人的ネットワークということである。


モチベーションと収入が、キャリアアップの2大要素


 ITエンジニアが転職を意識する背景までを見ると、現在の職場への不満という要素もたしかにあるが、必ずしもITエンジニアにとって転職の動機はそれだけではない。転職はキャリアアップのための現実的な選択肢のひとつでもある。


転職を考えている理由は、次のうちどれが一番近いですか?


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 今回のアンケートでも、こうした上昇志向の強い転職希望者が多い事がうかがえた。たとえば「自分のキャリアアップについて考えていますか?」という質問では、「しっかり考えている」と「漠然と考えている」の合計が77%に達した。キャリアアップをしたい理由としては、「明確な目標をもって仕事をしたいから」がトップで、「年収アップをしたいから」が続いている。モチベーションと適切な評価と待遇が、キャリアアップを目指す2大要素であることがわかるだろう。


 そうした転職への希望に向かって、ITエンジニアの多くは何に取り組んでいるのだろうか。「キャリアアップのために、あなたがしていることは?」という質問に対する答えは、「ビジネス書関連の本や雑誌を読む」が7割以上。


一方、キャリアアップを考えていない人に考えていない理由を尋ねたところ、「考え方がわからないため」という答えが過半数となった。仕様書やホワイトペーパー、事例といった情報に日頃から接しているエンジニアは本などの情報源からの情報収集に積極的な姿がうかがえる。その一方で、キャリアアップの希望はあっても、自分なりの方法論にたどり着けていない人も多いようだ。

青年はコンサルを目指す

 では、転職後のビジョンはどうなっているのだろうか。「転職後の仕事選びで重視することは?」という質問に対する答えで最も多かったのが「給与」の約42%。「案件の大きさ」や「労働時間」を大きく引き離した。


 「どのような働き方をしたいか?」という質問では、「大手企業でメンバーを育てながら安定的な仕事に携わる」「中小企業で裁量権のある仕事に携わる」がほぼ同数となった。やりがい、安定感、リーダーシップを発揮できる環境などを求めている人が多いことがわかる。終身雇用制は過去のものと言われている現在、ひとつの職場にしがみつくわけでなく、経験と実力に見合った職場でしっかりと長く勤めたいという心理が強いようだ。


 最後に、転職の先にある目標について見てみよう。「今後、何を目指したいですか?」という質問に対する答えで圧倒的に多かったのが「コンサルタント」だった。いよいよ複雑化するビジネス環境にあって、専門的知識を駆使しながら、正確に舵取りをし、顧客を成功に導く──。ITエンジニア業界で働く人たちが、最終的に自分の能力を最も過不足なく発揮できると考えている仕事がすなわちコンサルタントということなのだろう。


 ITコンサルタントはたしかに花形であるが、技術への理解や知識、顧客の経営課題を解決する力、プロジェクトを円滑に進めるためのコミュニケーション能力といった総合的な力が求められる。ZDNet Japan読者アンケートからは、転職を成功させ、こうした頂点を目指そうという意識を読み解く事ができた。自分自身を高め続ける限り、チャンスがあるのもIT業界の“はたらきがい”のひとつだ。ぜひ転職も含めた自分なりのキャリアアップを成功させて、後悔のない人生を送ってもらいたいと願うところだ。


(2008年11月14日 ZDNet Japan



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