国民は騙されている「小沢強制起訴の虚構」 | かこちゃんのブログ

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日刊ゲンダイ2011 2/2

【検察捜査のスタート「西松建設献金事件」はなぜ消えた】

小沢事件のそもそもの発端は、政権交代前後に発生した「西松献金違法事件」にある。


09年3月3日東京地検特捜部は民主党の代表だった小沢一郎の秘書を電撃逮捕した。衆院議員の任期が半年後に迫り、次の総選挙で民主党の勝利と政権交代が確実視されていた頃である。小沢が首相となり官僚主導の政治を廃し、「国民の生活が第一」の政策が次々に向う、そんな期待も膨らんでいた時期だ。

それだけに任意の事情聴取もすっ飛ばした逮捕劇のインパクトは強烈だった。 このときから小沢は「政治とカネ」とマスコミに叩かれ、報道に踊らされた国民からも「古い体質のダーティーな政治家」との烙印を押されるようになる。すべては西松事件から始まったのだ。ところが、あれから2年、西松献金事件は小沢疑惑の中心からスッポリ消え、裁判も1年以上止まったままだ。マスコミ報道も、まるでなかったかのような扱いなのである。あまりに異常だ。なにがあったのか。

西松事件で逮捕されたのは小沢の側近中の側近で。資金管理団体「陸山会」の会計責任者を務めていた大久保隆規である。大久保は西松建設からの迂回献金を知りながら、陸山会の収支報告書には政治団体の名を記し、2,100万円を虚偽記載したと報じられた。問題の政治団体は「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」の二つ。

検察はこれを西松建設からのトンネル献金に使われたダミー団体と断定した上で、「大久保にダミーを使った迂回献金を指示したのは小沢である」との全体像を描いていた。

「検察は大久保を引っ張りさえすれば、小沢関与の供述を引き出すことは簡単だと踏んでいたようです。しかし、大久保はまったく落ちなかった。小沢の指示どころか、迂回献金も認めなかった。二つの政治団体がダミーであるとの認識などなかったと主張したのです。(司法事情通)

大久保の供述を裏付ける決定打も10ヶ月後に飛び出した。昨年、1月、西松事件の第2回公判で、献金をした側である西松建設元総務部長の岡崎彰文氏が検察側の質問に対し「政治団体がダミーだとはまったく思ってはいなかった。事務所も借り、家賃も給料も団体が賄っていた。」と証言したのだ。こうなると迂回もへったくりもない献金をした側も、もらった側も否定。検察側の主張と事件は根底から覆され、「大久保無罪」も語れるようになった。

ここから裁判は迷走する。検察は岡崎証言の2日後に、まったく別の「土地取引・4億円虚偽記載」で石川知裕と池田光智の二人を逮捕。ナント、大久保の裁判を「西松」と「4億円」の二本立てにする訴因変更を行ったのである。

4億円に軸足を移し、西松事件の立証は事実上断念した格好なのだ。検察の焦りとつじつま合わせが透けて見える。

検察捜査に詳しいジャーナリストの魚住昭氏が言う。「西松事件」はもともと無理筋だったのです。問題の政治団体をダミーと認定できるかどうかは専門家の間でも意見が分かれていたし、虚偽記載の金額も岩手県第4区支部分を合わせても3,500万円と少額。“1億円以上でヤミ献金”という相場観からすれば、罰すべき違法があったとは思えません。迂回はヤミではなく、収支報告書に記載されているのです。前例に照らせば総務省が指導して、書き直せば一件落着でしょう。それを逮捕・起訴したのは公訴権の乱用にほかなりません。」

こんなデタラメな事件に振り回され、小沢は首相の座を摘まされたのだ。(つづく)