★クラーベとブラジルのリズムについて。ネルソン・ファリア(ブラジルの名ギタリスト)はこう書いています。「クラーベは、ほとんどのリズムパターンの基本単位であるリズムの細胞(cell)とでも言うべきもので、パーカッションのクラベスによく聴かれ、ドラムセットではリム・ショットで代用される。」

 

個人的な見解ですが、ブラジル音楽のサンバやボサノヴァに、私自身はクラーベをあまり感じたことはありません。ブラジルというよりは、やはりブラジル以外のラテンを感じますね。ブラジル音楽で言えば、ボサノヴァというよりは、マルシャやマルシャ・ランショのリズムに近いのかな、という感じでしょうか。(サンパウロの坂尾英矩さんの説では、ボサノヴァはマルシャ・ランショのリズムが元になったとのことですが、私はこれにはちょっと異論があります。)

 

クラーベは、やはり「ラテン独特のアクセント」と考えていいのではないでしょうか。ブラジルの場合は、確かにラテンの国の一つではありますが、他のラテン諸国とは違って、アフリカの6/8拍子やヨーロッパのマーチなどのリズム、それにヨーロッパのハーモニーの影響が強いという感じはします。あと、中南米諸国でポルトガル語圏というのはブラジルだけで、他は全部スペイン語圏。言語が持っているアクセントやリズムの違いもあるでしょうね。昔、アルゼンチンに行った時は、現地のタンゴを聴いてやはりブラジルとは全く違うものを感じましたし、中米カリブ海のベリーズという国にも行ったことがありますが、こちらはラテンとブラジルとアフリカのミックスみたいな感じでした。地理的な問題や、移民などの歴史も当然関係して来ますよね。

 

あと、3___22___3の違いですが、これについてはブラジルのパルチード・アルトのパターンのように、ラテン音楽によく聴かれる小節逆転パターンという風に、簡単に考えてもいいんじゃないかな?とは思います。本当は現地生まれのミュージシャンでないと分からない、もっと深い違いなのかもしれませんが、日本人にはその程度の理解しかできないような気もします。尚、ポルトガル語の「clave(クラヴィ)は、英語では「clef」。「音部記号」という意味なので、他のラテン諸国とは、やはりちょっと一線を画しているような気もしますね。

 

*尚、ウィキペディアには、こんな文章もありました。

「ブラジル音楽でのクラーベ

クラーベはブラジル音楽にも存在すると主張するミュージシャンもいる。クラーベと呼ばれることもあるところのブラジルのリズムは時として(しかし常にではなく)リズム上の類似点をクラーベと共有することがあるが、異った音楽的機能も有している。文化的、言語学的、そして民族背景的に、キューバとブラジルは共に非常にはっきりと際立ったものである。しかしながら、18世紀から19世紀にかけての交易やその他の相互作用の結果、 同じ音楽的素材が交換されたことも考えられるが、これについては歴史的検証を待たなければならない。」

 

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