2008-08-10 04:11:32

検閲対象のほとんどが児童ポルノサイトではなかったというブロッキングの現実

テーマ:反児童ポルノ法
ここ数日、ネットスター社によるフィルタリング基準がひどいということが各所で話題になっているようです。「二次元至上主義」さん(http://daigamer.hp.infoseek.co.jp/)や、「反ヲタク国会議員リスト」さん(http://otaku.rulez.jp/kill_the_assholes/)などの記事を読む限りでは、ロリ系の成人向けCGサイトだったりするサイトの多くが「不法」という取扱いを受けているように感じられます。ちなみに、彼らが主張するところの「不法」の基準は、

以下引用


不法 1. 違法と思われる行為 詐欺、痴漢、窃盗、殺人、強姦、売春など日本国内で違法となる行為に関する情報提供*1
2. 違法と思われる薬物 麻薬など、日本国内で違法となる薬物及びその利用を助長すると思われる各種の情報提供*2
3. 不適切な薬物利用 一般の薬物、処方箋が必要な薬物について、不適切な利用を助長すると思われる各種の情報提供

*1 著作権や肖像権の侵害。その他違法行為を誘発・助長すると思われる各種の情報。明らかに違法なものだけでなく、違法らしく思われるものを含みます。なお、いわゆる「フィッシング」サイトについては明らかに詐欺行為につながると思われるもの、「不特定多数を対象に交際の場を提供する」ようなサイトについても、いわゆる「出会い系サイト規制法」にふれると思われる一部のサイトは登録されます。

*2 明らかに違法なものだけでなく、違法らしく思われるものを含みます。栽培法 や海外で当該薬物を利用できる場所の紹介や体験記も対象となります。

引用ここまで URL http://category.netstar-inc.com/category.html

といったものです。二次元創作物への規制がない日本であれば、どのようなCGを描こうと触法性が疑われることはないのは明白なのですが、それでも「不法」扱いされる不思議。当方も色々とチェックしてみたのですが、すべてではないにしろ、やはり多くのCG掲載サイトが「不法」という扱いを受けていることが確認できました。官能小説を掲載しているサイトや、実写系のアダルトサイトなどは、きちんと「アダルト→性風俗」、「成人嗜好→文章による性的表現」というような、一般的な価値観と合致するような基準が付けられていたことを踏まえて考えると、ロリ系CGサイトに対する「不法」はあまりに異様で、作為的なものを感じます。

また、フィルタリングをかける側に「不法」と認識されていることは、最近日本でも導入すべしとの声が上がっている、「違法なサイトへのアクセスを不可能にする」、ブロッキングと呼ばれる措置が現実化してしまった際、本来合法であるはずのCG掲載サイトが、不当な検閲を受けてしまうといった事態に直結していくことになります。こうした懸念は、決して可能性の低いものではありません。そもそも、極めて問題が多いとされる「閲覧を禁じる」ブロッキング措置ですが、実際運用されたケースでは、単なる偶発的なミスや問題では片づけられないような事態が発生しているのです。

以下引用

■他国の規制も他人ごとではない





 昨年末フィンランドで児童ポルノサイトへのブロッキングが実施されたが、翌1月にMatti Nikki氏の運営するLapsiporno.info(フィンランド語で児童ポルノの意)というサイトがブロッキングの内容を解読する「リバースエンジニアリング」を行い、ブロックされたサイトのDNS名とIPアドレスの一部のリストを公開した。ところが後にこのサーバーもブロッキングされたため、それ自体が児童ポルノを含まない検閲批判サイトまでブロックすることは法を逸脱しているのではないかと問題になった。

 フィンランド国内の団体が2月19日にこのリストに含まれる1047のサイトを精査したところ、9つのサイトが児童ポルノを掲載していたほか、9つのサイトが年齢不詳のポルノを掲載していた。28のサイトは違法か合法か判断が難しく、46のサイトは創作性の認められる児童をモデルとした作品、残り879サイトは合法コンテンツのみだったという。この結果から、ブロッキングが行われる場合には法に基づいて適切に運用されているかどうか十分な監視が不可欠といえるのではないか。



 このリストに日本の大手プロバイダーの管理するサーバーも含まれていたので、筆者から当該プロバイダーにフィンランド警察から照会があったか問い合わせたところ、フィンランド国内からの接続が遮断されていることは認識しているが、先方から特に連絡はなく、どのコンテンツに問題があるかまでは把握していないという。最近は中国からヤフー・ジャパンが一時閲覧できなくなったということが起きた。日本国内でブロッキングが行われていないといっても、外国でのネット検閲が日本のサーバーにも及んでおり、国内事業者にとって他人ごとではなくなりつつあるのである。

引用ここまで URL http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMITbe000008082008&landing=Next

ブロッキングを批判するサイトが「児童ポルノブロッキング」を受け、リストに掲載された1047「児童ポルノ」サイトのうち、確実に879のサイトは児童ポルノを掲載したサイトではなく、逆にリアルな意味での児童ポルノを掲載していたのは、僅か九つに過ぎなかったという、驚きのデータが浮かび上がってきました。パーセンテージで言うと、「児童ポルノのブロッキングを大義名分として掲げていたにも関わらず、本当に児童ポルノだったのは、全体の1%未満に過ぎなかった」ということになるわけです。仮にフィンランドで二次元創作物が規制されており、調査団体が「年齢不詳」、「合法か違法かの判断がつかない」としたサイトすべてを児童ポルノだったと仮定し、違法コンテンツの量を最大限にしてみても、「児童ポルノブロッキング」で弾かれた大多数のサイトが、児童ポルノでもなんでもない、合法なコンテンツだったことについては変わりません。最悪、「冤罪率」が99%を超えるようなシステムは、もはや、「児童ポルノブロッキングを材料に、検閲を全般的に進めていくための方策」としか思えません。日本でのフィルタリングの不当性を示す様々な情報が、決して特別でないことが、今回の報道で明らかになったと言えるでしょう。

こうしたブロッキングの措置に対して、規制推進派が、「これはネットの規制の問題ではなく、人権の問題だ」と発言したこともありましたが( http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070329-00000099-mai-soci)、個人的には「フィルタリングやブロッキングこそ、『有害情報』や児童ポルノの問題というよりは、もっともらしい理由によって行われる広範な検閲であって、深刻な人権問題」のように思えてなりません。

コメント

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1 ■無題

確かアメリカの三つのネット接続会社が自主的に児童ポルノサイトへのブロッキングをするというニュースがあったような気がしますが…


讀賣新聞に児童ポルノ改定案にブロッキング導入の記事が載った時にブロッキングを導入すれば単純所持違法化する必要ないのでは?と考えた人がいるみたいですが…


インターネットが普及すればするほど表現の自由が脅かされているような気もします

2 ■キ・リさん、コメントありがとうございます。

様々な問題点を考慮せず、児童ポルノの拡散が人権の侵害に繋がるという部分のみをピックアップした場合、ネットにアップしたり、販売したりしない人が大多数を占める「受け手」を丸ごと「犯罪者」扱いするよりも、何らかの目的で公然陳列しているサイトをネットから弾いてしまった方が、効率的かつスマートに事を進められるのは確かでしょう(ただ、閲覧する行為そのものを禁じるには、一般法的に見ても憲法的にも、閲覧を禁ずる何らかの法的根拠が必要になるでしょうが)。

しかし、規制推進派は、「違法なホームページを閲覧できないようにするブロッキングと呼ばれる手法が「画像の拡散を防ぐ唯一の方法だ」としつつも、「画像の所持が禁止されないと、この犯罪と戦うのはとても難しい」と語っていますし( http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070329-00000099-mai-soci) 、そもそも閲覧を禁じた時点で自動的に所持や取得・購入も禁じられることになります。いわゆるブロッキング規制は、単純所持とは別の規制策ではなく、「受け手」違法化と並行して、あるいはその後に来る更に厳しい規制案だと思った方がいいように感じます。

ネット社会は情報の発信をとても簡便にしましたが、同時に万事に証拠が残り、違法な情報や不都合な情報やその発信者を、極めて簡単に摘発できる構造になっていますから、様々な理由で、情報を違法化させようとする動きが活発化しているのではないでしょうか。一旦違法となれば、堂々と合法的に取り締まることが可能になるのですからね。

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