児童ポルノ所持罪と「自殺」の関係性
テーマ:反児童ポルノ法以下引用
児童ポルノ:単純所持に罰則も検討 自民が法改正へ
インターネットによる児童ポルノ画像などの拡散に歯止めをかけるため、自民党は23日、児童買春・児童ポルノ禁止法を改正する方針を固めた。販売目的でなくても、画像や写真などを個人で集める「単純所持」を禁じる規定を新たに盛り込むほか、処罰規定も検討対象とする。超党派の議員立法で今国会に提出する考えだが、処罰規定には与野党とも「わいせつの定義もあいまい。捜査権の拡大を招く」といった慎重論がある。
自民党は月内にも森山真弓元法相をトップに小委員会を設ける。販売や提供の意図がない単純所持について「電磁的記録の保持」を禁じる規定を設ける案が出ている。処罰規定は、罰金を科すことを軸に検討する。迷惑メールなど、一方的に画像を送りつけられるケースがあるため、適用対象を収集の意図が明らかな場合に限る。アニメやコミックの児童ポルノへの規制は「表現の自由を侵す恐れがある」との意見が強く、見送られる見通し。
この問題では、国際的な取り組みが必要と米政府が昨年、単純所持を禁止する方向での法改正を要望。鳩山邦夫法相も4日の参院予算委員会で、単純所持にも処罰規定が必要と述べた。
現行法は99年施行。処罰対象なのは児童(18歳未満)の性的に刺激が強い写真や画像、ビデオについて▽制作と販売▽販売・提供目的での所持▽ネット公開--など。販売や提供目的でない個人収集は対象外だ。
与党は04年の法改正時にも、単純所持を禁じる規定を盛り込む案をまとめたが、野党の慎重論に配慮して、外して成立させた。しかしネットに画像を流した人物や組織を突き止めることは難しく、自民党内に「画像の拡散がやまない。法的規制が必要だ」との意見が再浮上していた。
同党は超党派での国会提出を目指すが、勝手に画像を送りつけられ、取得に気づかないケースも想定され、民主党内には「捜査権がいたずらに広がる可能性がある」(幹部)との異論がある。【堀井恵里子】
毎日新聞 2008年2月24日 2時30分
引用ここまで URL http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080224k0000m040109000c.html
ネット各所で意見が出される状況になっています。そもそも、画像の拡散の食い止めや、流した人物の特定が困難であることが、単純所持を違法化することへの理由として記事では言われているようですが、これは全く理に沿っていない、強引な理由付けだと言わざるを得ません。何故なら、既に「拡散」を防止するための策として、販売や公然陳列、そして提供(私としては、特定少数に対する提供を違法化するのは行き過ぎではないかと考えていますが)への罰則が設けられており、そうした行為を行う人を逮捕できるシステムは既に構築されているのです。つまり、拡散防止を望むのであれば、既存法の運用の実際が問われるべきであり、仮に単純所持罪が創設され、これまでとは比較にならないほどの量の「犯罪者」が「創作」されたとしても、問題の(あるいは問題視されていると主張されている)「拡散」そのものに影響があるわけではありません。児童ポルノの単純所持罪という法律は、適用範囲が極めて広く、しかも恣意的局面等で使われてきた既存の法律に比べ、遙かに政治的なニュアンスが少ないものと考えられている上、社会的なイメージも悪いために、正義の御旗のもとに、ノルマ稼ぎから政敵の追い落としまで、極めて便利に使われうる側面が強いことも、「拡散させている人間を逮捕するために単純所持を違法化する」的な論理的に整合性の薄い理由が持ちだされる一因のように感じられてなりません。
単純所持が違法化されている国では、しばしば大々的な「作戦」が行われることがあります。一度の「作戦」で、数千人以上の逮捕者が出た事例もいくつか報告されており、国際的なニュースとして報じられることも少なくありません。治安当局のノルマが一気に稼げるばかりか、対外的なアピールにもなりつつあるこうした計画的作戦は、メディアにおいて批判的に報道されることはほとんどありませんが、その危険性を示す事例も各所で現れるようになっています。「自殺」という形で。例えば、規制先進国のイギリスでは、
以下引用
英、幼児ポルノ摘発作戦で32人が自殺
イギリスってロリコンというか幼児ポルノにものすごく厳しい。画像や動画ファイルをPCに保存しているのが発覚すれば最高5年の実刑だ。
約2年前からネットにおける幼児ポルノの大摘発が行われてて、サイト運営者はもちろん、データを落とした閲覧者も大量に逮捕されている。これまでに有料サイトの登録者3729人が検挙され、約1600人が起訴され、1200人に有罪判決が下されている。
それだけでもすごいんだけど、この摘発作戦「オペレーション・オレ」の過程で、なんと32人もの自殺者が出ていたという衝撃的なデータが明らかになった。自殺者の大半は妻帯者で、幼児愛好者の容疑がかけられただけでも、仕事と家庭を失うと絶望、そんな恥辱を味わうくらいなら、と自殺したと見られている。
この作戦はFBIが、1月約4200円を払えば、300の幼児ポルノサイトにアクセス可能になるポータルサイトと契約していた顧客リスト7200人分を英国の警察に提供したことをきっかけに始まったもの。
引用ここまで URL http://www5.big.or.jp/~hellcat/news/0412/22a.html
と、2004年の段階で、三十名を超す「自殺」者が出ていることが明らかになっており、同じく、規制先進国として知られるオーストラリアにおいても、
以下引用
2004年10月02日ばれることは死を意味する? - 豪州児童ポルノ摘発で4名が相次ぎ自殺《びくびく度10》
オーストラリアの警察当局は、9月30日から、同国最大の児童ポルノ取り締まり作戦「オペレーション・オーキシン(Operation Auxin)」を展開している。既に400箇所への家宅捜索を行い、10月2日現在で数百名の容疑者を逮捕している。容疑者には、警官、教員、聖職者、保育園経営者らが含まれている。今後、取調べを受ける人の数は500名を超すとみられ、逮捕者はさらに増えそうな勢いである。
本来犯罪を取り締まるべき立場にある警官、子供を教育する立場にある教師、弱者を略取する犯罪者とは対極にあるはずの聖職者、親から子供を預けられる立場にある保育園経営者が含まれているという事実に「意外性」を感じる人は、意外と少ないかもしれない。日本でも、社会的信用の高い立場にある人による「恥ずかしい犯罪」が後を絶たない。
筆者は、以前、このブログの記事で次のようなことを書いたことがある。
立派な大人、特に社会的信用のある大人が恥ずかしい犯罪で捕まるケースがかなり多い。「びくびく度」の高さを半ばマゾヒスティックに楽しんで、恥ずかしい犯罪に及んでいるのかと思えることもあるが、むしろ「びくびく度」よりも「わくわく度」が勝っている場合の方が多いのではないか。
だが、キリスト教国オーストラリアでチャイルドポルノの罪を犯している人たちの場合は、やはり自分の罪を十分に認識した上で悪習を断ち切れないでいる人が多いのかもしれない。「わくわく」ではなく、究極の「びくびく」ではないかと思われるのだ。
というのも、オペレーション・オーキシンが開始されてからまだ3日しか経っていないのに、児童ポルノ禁止法違反の容疑で警察から事情聴取を受けた男性4名が次々と自殺した(と見られる)ことが現地から報じられているからだ。
たとえば、児童ポルノ所持で摘発された46歳電気技師は、10月1日に出廷するはずだったが姿を見せなかった。彼の様子を見に来た友人が彼の家に停められていた車の中で彼の死体を発見した。排ガスによる自殺(一酸化中毒死)と見られている。
これは憶測だが、自殺した4名は、おそらく違法なチャイルドポルノを所持していただけで、その制作に携わっていたのではないように思われる。この人たちにとって、自分の密かな犯罪行為があばかれることは、自分自身の信用や社会的立場の崩壊を意味し、死に値するほど恥ずべきことだったのだろう。だが悪習を断ち切ることはできなかった・・・ということなのだろうか。
引用ここまで URL http://rate.livedoor.biz/archives/7508508.html
と、「作戦開始」から僅か三日で四人もの「自殺」者が出ていることが示されています。
サンプル数こそ少ないものの、両国の事例において、逮捕者の中の1%弱という高い割合で自殺者が出ていることが一致していることは、注目すべき事実だと思われます。「チラシの裏(3周目)」さんのページに書かれている
以下引用
以前のイギリスの児童ポルノの一斉取り締まりで、
児童ポルノ単純所持で逮捕された者の内、なんと約300人が自殺してしまった
引用ここまで URL http://samayouengei.blog.shinobi.jp/Entry/570/
という記述も、2004年の時以来の「作戦」によって、合計1~3万人程度が逮捕された結果起こった事例だと仮定すれば、二つの事件で見られる「自殺率」に近くなっていきます。海外での自殺の理由などが、国内メディアで報道されるケースはほとんどなく、裏を取るのは難しい事例ですが、一定以上の信ぴょう性がある書き込みだと思います。
また、ブラジルでは、「作戦」によって、少年の自殺者が出たと報じられています。
以下引用
■家宅捜索中に飛び降り自殺=17歳の少年、6階から=部屋から児童ポルノ多数押収=リオ
2006年2月23日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十二日】リオ・デ・ジャネイロ市で二十一日、連警が児童ポルノ取締法違反の疑いで家宅捜索を行っている間に、容疑者の十七歳の少年がマンション六階の自室から身を投じて自殺するという事件が発生した。
捜査官らは家宅捜索令状はあったものの、容疑者の逮捕令状はなかったことから、連警当局は自殺が発作的なものか、あるいは捜査に行き過ぎがなかったかを、家族からも事情聴取をした上で追及していくことを明らかにした。
連警捜査官一行四人はリオ市北部マラカナン区にある容疑者の住むマンションを急襲し、家宅捜索を始めた。連警の捜査報告書によると、マンションには少年の両親と大学生の姉が在宅していて、居間で捜査を見守っていた。直後に少年は自室に引きこもった。捜査官は証拠隠滅のおそれがあるとして母親に少年を連れ戻すよう命じた。母親が迎えに行ったところ、すでに身を投じた後だった。救急車が呼ばれたが、少年は絶命していた。捜査官が押収した少年のインターネット、ビデオテープ、CDなどから多数の児童ポルノ物件が発見されたという。
連警では全国十一州で児童ポルノの摘発を一斉に行った。リオ市の今回の一件もその一端だった。これは国際的児童ポルノのルートを捜査しているスペイン当局が外交ルートやインターポールを通じて捜査依頼をしてきたもので、連警では昨年から内偵を続けてきた。取締はアザハル作戦と名付けられ世界二五カ国に及び、米国およびラテンアメリカ内のみで容疑者は百三十人に上っている。アザハルはアラビア語でオレンジの花で、イスラム経典では処女の純潔の象徴となっている。
引用ここまで URL http://www.nikkeyshimbun.com.br/060223-22brasil.html
彼らの死は、公式には自殺とされ、「作戦」や、所持罪の是非について、公式な場で是非が問われることは無いでしょう。取り締まる側は、「法に則って容疑者を処罰しようとした」だけであり、被逮捕者を死刑にしたわけでは無く、それ故に責任を問われることはないわけです。しかしながら、彼らは、所持罪によって自殺に追い込ました。イギリスやオーストラリア、そしてブラジルでは、一般刑法上の死刑は廃止されており(参照「死刑廃止国と存置国」http://homepage2.nifty.com/shihai/shiryou/abolitions&retentions.html)、仮にあったとしても、各国の政体からしてまず死刑にならないと見られる人々が、自死を強いられたのは、法律と社会的風潮(すなわち「正義」)と、そして意図的な作戦の立案・遂行が揃ってしまっていたからでしょう。もちろん、自殺はしなくとも、「作戦」で精神的・社会的側面において、量刑以上のダメージを負ってしまった人々は、自殺者よりも遙かに多く存在すると考えることもできます。規制する側は、「単純所持規制によって、人権侵害に対し成果が発揮された一方で、法によって国民生活を圧迫したり、人権が制限されるような問題は起こらない。各国でも配慮されている」と言うのかも知れませんが、各所で示されている自殺者の数は、正義や人権侵害への対応という名目で施行された児童ポルノ所持罪の、弊害の部分を理解するにあたっての、重要な一端ではないかと言うことができます。そして、「児童ポルノ」に対する規制推進が、現実の児童への直接虐待に対して効果はないことは、規制を日本に凄い勢いで要求している欧米各国の犯罪事例等々を見ても、明らかだったりします。
そして、「自殺」をするのは、その多くが、普通に生活をしていた人々なのではないか、と推測することができます。「イギリスで自殺者数百人」と書き込んだ方は
以下引用
その約300人の殆どはただ普通に暮らしていた人だ
その人達にも家族や友人がいて、彼らはその人の死を大いに悲しんだことだろう
引用ここまで URL http://samayouengei.blog.shinobi.jp/Entry/570/
と自殺者像を推測し、オーストラリアでの事例に対する記事を書いた「なんでも評点」でも、
以下引用
これは憶測だが、自殺した4名は、おそらく違法なチャイルドポルノを所持していただけで、その制作に携わっていたのではないように思われる。この人たちにとって、自分の密かな犯罪行為があばかれることは、自分自身の信用や社会的立場の崩壊を意味し、死に値するほど恥ずべきことだったのだろう。だが悪習を断ち切ることはできなかった・・・ということなのだろうか。
引用ここまで URL http://rate.livedoor.biz/archives/7508508.html
と書かれていますが、私も同感です。どこの世界、どんなものであっても、違法コンテンツによって稼ぐ人々は存在しますが、そうしたプロ的な人々が、所持罪で逮捕されたからって、自殺するとは、ちょっと考えられません。むしろ、「販売で挙げられなくて、不幸中の幸いだった」とでも思うのではないでしょうか。
今回紹介した「自殺者」問題は、児童ポルノ法における所持罪の是非という論点からすれば、少し遠いものかも知れません。ただ、今日に至るまでの「作戦」の数と規模、そして、対象範囲の広さから考慮すると、こうした事例は、法によらない被逮捕者の自己責任として、無数に起こってきた事例でしょうし、この日本においても、間もなく、他人事では無くなるかも知れない話なのです。
今回、二次元創作物がどうやら規制対象にはならなそうだ、ということで、「自分は実写ロリには興味ないからOK」と考えてしまう方もいるかも知れませんが、それはあまりに危険です。「安心」することによって、素通りさせてしまったり、実写ロリ嗜好の人々を叩いたからと言って、それで規制推進派が新たな規制案を持ち出さなくなることなど無いことは、これまでのスタンスからあまりにも明らかですし、ロリであるかどうかを問わず、単純所持罪には危険すぎる要素が満載されていることは、既に多くの論者が指摘している通りです。今日の価値観において、「児童保護」は、極めて普遍的な正義の一つですが、抗い難い正義は、危険な法律や計画を通す際、「麻酔」として強力な効果を発揮してきたということも、忘れてはならない側面なのではないかと思います。





1 ■意外な切り口に感心いたしました
お久しぶりでございます。
このごろは、再び知識を深めようと思い隠居していたのですが、満足しうる考えを得たので、こちらにもたびたびコメを残させていただきます。
僕らは児ポ保護法の持つ本質がおっしゃられたように普遍的な正義であるために、『劇場のイドラ』状態に陥っています。(ここでは麻酔という表現を使われていましたが、的確さに寒心いたしました。)
その麻酔から覚醒するためには、『目に届かない現実』まで網羅する必要があると思います。
その点ではこの記事は非常にそれを満足しているのだと思います。
完全に補足ですが、日本において自殺は考えられにくいのではないかと思います。可能性はまったく否定できませんが。
ただ、西洋は基本的にキリスト教が彼らを無意識のうちに統治しているといっても過言ではないと思うのです。その中で、やはり児童ポルノというのは、中世ごろにおける肛門性向等々と同等の扱い、つまり『異端』という扱いを受けました。歴史を見ると、一国の王ですら教会からの『破門』=『異端扱い』が脅威に感じられたのですから、一般レベルに掘り下げて考えてみても、露見は自殺に相当すると思います。
それは、日本のように無意識のうちに行動を統制する何か、という概念が薄いので考えられにくいと思ったのです。
揚げ足を取るようで申し訳ないです。
長文失礼しました。