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突如として噴出してきた表現規制問題の最前線である「警察庁の『漫画・アニメ・ゲーム表現規制法』検討会問題まとめ @Wik」はhttp://www11.atwiki.jp/stop_kisei/ へ。


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いるかネットブックスさんより「禁術禁武(上巻)~両刃剣士と「森の街」(368円)」、「禁術禁武(下巻)~「森の街」大乱 (735円)」が刊行されました。

中世~近代ヨーロッパを想起させる架空の大陸が舞台で、「両刃剣追放令」を受けて、突如として犯罪者になってしまった少年剣士、フィンが、祖国、ベスファリア公国を追われ、向かった先の「森の街」と呼ばれる自由市で、多くの人と出会うとともに、大陸全土を巻き込む陰謀に直面するというストーリーです。

緒方りんこ先生が、美麗なイラストを描いて下さりました。ありがとうございます。


また、最近では「PJNEWS」の方で、児童ポルノ禁止法の問題点などをテーマに、記事を執筆しています。

今まで私が出した本の一覧です。


「バレっ! ドウッ!!」(でじたる書房、ポケット.jp)長編アクション系? 小説

「喧嘩商売解析ブック」(ポケット.jp)謎本

「電子の海 1巻」(ホンニナル出版)中編近未来ファンタジー小説

「親ロリコン宣言」(でじたる書房)ロリ問題についての中編評論

「三十分でわかるサッカー戦争」(ちょっと印刷)「サッカー戦争」についての短編レビュー

「妄想格闘技伝説」(そらゆめ)格闘系小説

「吹矢番長」(そらゆめ)吹矢要素多めアクション小説

「『運動会』の幕引き」(創英社)短編小説選集「忘れがたい者たち」収録、アクション系

「剣闘士コモドゥス異聞1~3巻」(幻想文庫)歴史物、仮想戦史、アクション系

 

「本当に危険な『未成年者保護系法』と「受け手犯罪者化」の恐怖」(でじたる書房)評論

 

「暗黒法治社会 1~8巻」(いるかネットブックス)児童ポルノ禁止法などの問題に言及した小説



「禁術禁武 上・下巻」(いるかネットブックス)両刃剣禁止など、武器禁止令などを重要な要素とした、中世・近代ヨーロッパ的な戦乱小説

 

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2012-03-10 06:00:50

「大阪府警捏造事件」から見えてくる「児童ポルノ禁止法」の危険な性質

テーマ:反児童ポルノ法
ここ数日、警察の不祥事、とりわけ、大阪府警において相次いで発覚したとされる「証拠捏造」事件が、大きく報じられることとなっています。こうした不正は大問題と言っていいものであることは間違いありませんが、露見した、明るみに出ているということは、不正が闇から闇に葬り去られる状態よりはずっとマシであるとも言えると思います。

さて、飲酒検問の際に、警察官が、数値を水増し、捏造した事件に関しては、各紙の報道によると、「デジタル式」と呼ばれる検査器を用いた上で、

「デジタル式は事前に自ら飲酒するなどして数値が印字された記録紙を用意することが可能(読売)http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20120307-OYO1T00715.htm?from=main1より」

「事前に自ら飲酒し、基準値以上の数値が印字された記録紙を用意していた可能性が高い(読売)http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20120307-OYO1T00188.htm?from=topより」

「飲酒の検知作業は違反者の目の前で実施する決まりだが、山下容疑者は検知器が男性から見えないようにしていた(毎日)http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120307k0000m040012000c.htmlより」

というようなやり口が用いられ、捏造がなされていたと言われています。また、捏造したとされる当人が

「署に1台しかない「呼気中アルコール測定器」を自由に持ち出すことができる立場(朝日)http://www.asahi.com/kansai/news/OSK201203070082.htmlより」であり、「相手男性への聞き取りや呼気の測定などを1人で実施していた(朝日)http://www.asahi.com/kansai/news/OSK201203070082.htmlより」

だったことも、問題の発生につながったのではないかとみることもできるでしょう。さらに、

「男性は検問時、警部補に「350ミリ・リットルの缶ビールを飲んだ」と説明していたが、検事の取り調べで証拠書類を見せられた際、500ミリ・リットルの缶ビールを飲んでいたことになっていた(読売)http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20120306-OYO1T00699.htm?from=topより」

と、微量ではあるもののお酒を飲んだ人をターゲットにするという方法を絡めてもいます。ターゲット自身にも、「飲んだ」という認識があるため、不正が露見し辛いということかも知れません。一種の「心理トリック」とも言えます。

こうした、仕掛けた側の警察官にとって非常に有利な状況と、物理的、心理的ないくつものトリックによって支えられた捏造も、「検問時に警部補からアルコールの検出数値が表示された検知器を見せられてもおらず、不審に思った男性が翌10月、「数値が高すぎる」と同署に抗議し、検出数値を水増しした疑いが浮上した(読売)http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20120306-OYO1T00699.htm?from=topより」ことから露見することになったわけですが、深刻な問題、脅威だったことは間違いないでしょう。明確な法的な基準で区切られているからこそ、法と「検査」の正当性が生まれるわけであり、それらの点がないがしろになってしまえば、不正な処理によって、市民が不利益を被ってしまうからです。

もっとも、「捏造の危険」は、現場の努力によってかなりの程度まで食い止めることが可能ですし、ここまで大事になってしまったからには、警察サイドも何らかの抜本的な対策に乗り出すものと考えられます。さすがに、便利なデジタル式計測器を旧型のアナログ式に戻してしまうということはないでしょうが、検査器の徹底した管理と、検査時の複数人態勢を順守することで、捏造リスクを相当数下げることはできるはずです。

一方で、事件の摘発にあたって、客観的な「数値」が機能しているとは言いがたい案件も存在します。とりわけ、「児童ポルノ禁止法」絡みの事案は、その典型例とも言えます。

法的に、「児童ポルノ」の要件を満たすには、「年齢」、「露出の度合い」、二号および三号ポルノに関しては、「性欲喚起性の有無」の三つが問われるわけですが、

「三号ポルノ」の一部については、露出的定義が、

「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H11/H11HO052.html)より」

であれば抵触するということになっているわけですが、どこまでを「衣服の一部」を着けていないものとして法規制の対象にするのかという部分が、極めて曖昧です。場合によっては、半裸状態だけではなく下着や水着、あるいはそれ以上に露出の少ない状態のものでも、違法とされかねず、逆に取り締まる側が、水着レベルの画像を摘発したとしても、「不当性はない」ということになるわけです。

「一号」、「二号」、そして、「三号ポルノ」の一部である、「衣服をまったく着けていない姿態」画像や映像の部分に関しては、露出的な定義は一応比較的明確化されていると言えますが、もっとも性的な度合いが強いとされる、「一号ポルノ」、すなわち、

「児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態」

を映した画像や映像以外の場合、「性欲を興奮させ又は刺激するもの」かどうかによって、違法性が問われる形となりますが、「性欲の喚起性」を判断するのは、取り締まる当局側の一存によります。

そのため、普通はなかなか性欲を喚起するとは言いがたい乳幼児の裸の写真を「黒」と判定されても「不当」ではありませんし、逆に、「二号ポルノ」にあたるような「児童」の明確なエロ画像を「白」と判定したとしても「不当」とは言えません。

露出的定義の曖昧さと併せて考えても、警察は二号及び三号ポルノの合法性と不法性を、ほぼ完全に独断で定められる権限を有していると言えるのです。平等であるはずの法において、堂々と恣意での運用の「合理化」とも取れる条文が記載されているとも言えるわけですね。

もっとも確かなように思える「年齢」の部分についても、恣意的運用がまかり通っています。児童ポルノ禁止法の場合、年齢を客観的なデータから知ることができなくても、当局側が「見えた」と「判断」すれば「被写体は児童」ということになってしまうからです。今や全体の半数近くが特定年齢ではなく、「鑑定」によって「児童と主張」されたからということで、立件されているような状況です。

つまり、「露出」、「性欲喚起性」、「年齢」の全てで、客観的判断が可能な数値が存在していなかったり、あるいは恣意的運用が可能な状況があるわけです。飲酒検問で言うなら、警察側が「飲んだ」と言えば、客観的な証拠もなしに有罪にされてしまうという状況なわけで、これはもう、どうにもなりません。

もちろん、「水増し」もやりたい放題です。

というよりも、「露出」にしても、「性欲喚起性」にしても、水増しが半ば公認されているような法体系になっているので、「捏造した」と問題視されることがまずあり得ないという形になってしまっています。

「年齢判断」の部分にしても同様です。

確たる物証ではなく、自白ですらなく、ある意味では、取り締まる側の主張がそのまま「証拠」になってしまうのです。

客観的な数値をもって違法の基準としているわけではないので、今回の大阪の事件のように、数値の不備を突くこともできなければ、裁判で反証することもできません。トリックによる捏造の危険はあっても、常に客観化、数値化した物証を求められる飲酒絡みの事案と比べると、児童ポルノ禁止法の悪い意味での曖昧さ、客観性の無さ、恣意での運用を半ば「公認」している危険性は、特に際立つものがあると言えるでしょう。

単純所持者、取得者に対しても、その法的処罰範囲を拡大しようとする動きのある児童ポルノ禁止法ですが、もし仮に処罰範囲が拡大したとなると、法律の性質上、大阪の水増し事件と同等、あるいはそれ以上にひどい恣意的運用の横行は避け辛いものがあると言わざるを得ません。そして、「一枚の画像を見ていただけで百万人を逮捕することが可能」な法律である以上、警察が本気を出せば、そうした危険な法律の脅威に、年間で数万人、あるいは数十万人以上の人が晒されるという事態は、普通に考えられると言えるでしょう。

本日のまとめ

● 警察による不祥事報道が相次いでいるが、情報が隠ぺいされた結果表に出てこないからすれば、かなりマシな状況ではある。

● 大阪での飲酒捏造事件に関しては、いくつものトリックと、それを可能にする状況によって行われたが、露見した。数値が明確化されており、提示された数値と実情の明らかな違いを指摘できたことが大きかったと言える。

● 一方で、児童ポルノ禁止法には、「露出的定義」の部分で曖昧な点が大いにあり、二~三号ポルノに組み込まれた「性欲」定義も、極めて主観的で、半ば、法律が当局による恣意的な運用を「公認」してるとさえ言えるれべるであり、「年齢」に関しても、画像の見た目だけで判断して立件することが公認されていて、しかも極めて常態化している。

● 客観的物証など望めない部分が多過ぎるため、法律的に大阪の事件にあったような、あらゆる水増しが行われるのを防ぐことができず、被逮捕者側は、不正を突くこともできなければ、裁判で反証することもできない。ある意味では、警察官の言葉がそのまま「証拠」になってしまう。

● そんな物証主義の対極に位置するような法律による処罰を、情報の取得者、ないしは単純所持者まで拡大させようとする動きがあるのが現状だ。もし取得・単純所持罪が成立し、警察が摘発に本腰を入れたならば、「一枚の画像を見ていただけという百万人を逮捕する」こともできる法律だけに、年間数万人~数十万人以上の人が、この「水増し恣意的行使何でもアリ」の法律の脅威に晒されることも現実的に考えられる。

参考文献 児童ポルノ禁止法条文 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H11/H11HO052.html
2012-02-17 04:03:43

「年齢推定」が全体の半数弱にまで達し、「特定証拠なき立件」、「推定有罪」の常態化が極めて顕著に 

テーマ:反児童ポルノ法
2011年の児童ポルノ案件に関する統計が警察庁より発表されたことで、各マスメディアが内容を報じている模様です。まずは、こちらをご覧ください。

以下引用

児童ポルノ摘発、過去最多 共有ソフト悪用が急増

 昨年1年間に18歳未満の子どものポルノ画像を製造、提供するなどして摘発された事件は1455件(前年比8・4%増)で過去最多だったことが16日、警察庁のまとめで分かった。

 ポルノ画像流通の手口では、ファイル共有ソフトを利用した事件が368件(同135・9%増)と大幅に増加した。

 警察庁は、ネットでポルノサイトへのアクセスを強制遮断する「ブロッキング」を昨年から大手プロバイダー(接続業者)が導入したため、抜け道として共有ソフトを使い、画像データを直接やりとりする手口に移行しつつあるとみている。

 児童ポルノ事件の被害者は638人(同3・9%増)で過去最多。うち小学生が85人で、未就学児が20人。被害者で最も年齢が低かったのは3歳の女児。被害者を特定できず年齢を鑑定した画像648のうち、小学生以下の可能性があるとされたのは約9割の570に上った。

 児童虐待事件は1年間で384件(同9・1%増)、409人(同6・2%増)を摘発。被害児童は398人で、うち39人が死亡した。

 一方、刑法犯として摘発された20歳未満の少年は7万7696人で、8年連続の減少となった。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201202160101.html

引用ここまで

読売でも報じられており、その内容は以下の通りです。

以下引用

児童ポルノ事件の摘発も過去最多

 昨年1年間に全国の警察が摘発した児童ポルノ事件は前年比8・4%増の1455件で、2000年に統計を取り始めて以来、最も多かったことが警察庁のまとめで分かった。 ネット上にわいせつ画像を公開されるなどした被害児童も最多の638人で、約16%に当たる105人は小学生以下だった。

 児童ポルノ対策としては、昨年4月からインターネット上のポルノ画像への接続を強制遮断する「ブロッキング」がスタート。警察当局ではブロッキングで防げないファイル交換ソフトを使った事件の取り締まりを強化していて、昨年は前年比約2・3倍の368件が摘発された。
(2012年2月16日11時21分 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120216-OYT1T00395.htm
引用ここまで


では、今回明らかになったデータに基づいて、分析を進めてみましょう。

件数は「自然なレベルでの」増加傾向、共有ソフト網の摘発増加も予想範囲内

2011年の児童ポルノ事件の総数は1455件と、前年を十%弱上回る結果となりましたが、前回の記事でも述べましたように、「いつまで」の区切りがない児童ポルノの性質上、年を経るに従ってリストが増え、件数も増加していくのは、是非はともかく自然な傾向だと言えます。また、共有ソフト網における案件数が増加していますが、性質上、受け手≒送り手という形になり、捜査を進めれば一斉に多くの人が摘発されることになる共有ソフト網の性質から、マークが厳しくなれば、一挙に件数が増えるのも自然だと言えるでしょう。これらの件に関しては、増加自体が予想の範囲内で、問題の悪化云々とは関係のない数値の増減だと言えます。

明らかになっている被害児童の割合は、今までと大きく変わらず

また、年齢を特定するに至った被害児童の中で、小学生以下は約16%、つまり、全体の約85%近くを中学生以上十八歳未満の未成年者が占めているわけで、少なくとも判明している部分では、十三歳以上十八歳未満の児童が大多数を占めているという日本における児童ポルノの現状は、大きく変化することがなかったと言えそうです。

被写体の年齢を特定せずに摘発・立件する「鑑定」案件がさらに増加、全体の半数弱にまで達する

今回の統計結果で特筆すべきなのが、児童ポルノ案件のうち、どれだけのケースを、被写体の年齢を特定せずに、取り締まり側の「鑑定」という名の判断で事件かしているかということが 明らかになったことです。2011年のデータでは、報道の情報を見る限り、1455件のうち648件と全体の約45%までが、年齢特定を経ない「鑑定」によっての事件化、つまり、全体の半数弱においては、被写体が「児童」かどうかという、本来最も重要であるはずの部分に、客観的な証拠が得られないままの摘発や立件がまかり通っていたということになります。

2007年の際は、報道から判明しているだけで約四分の一が「鑑定」でしたが、全体に今や半数に迫るほどの割合で、年齢特定ではなく「鑑定」が用いられ、「推定有罪」、あるいは「証拠なき立件」が常態化しているとさえ言えるような現実が見えてきました。

児童ポルノ案件の総数には、相当な割合で、児童を撮影する「単純製造」や、「製造したものを送信」といった事例が含まれていることが考えられ、そうした「接触事案」の場合、当事者の割り出しも比較的容易なので、「鑑定」は、ネット上の情報などのやり取りのみをしたような「非接触事案」に集中すると考えられるわけですが、全体でも約45%を占めているとなると、「非接触事案」の中では、ほとんど年齢を特定できずに立件していったのではとも考えていくことができます。そして、現在話題になっている、取得罪や単純所持罪などは、性質上原則として、児童との接触はない、「非接触事案」です。

つまり、今回明らかになった「鑑定」の割合は、もし仮に「受け手犯罪者化」が成り立った場合、受け手の大多数の人は、被写体の年齢すら定かではないという、「推定有罪」のシステムによって立件され、「犯罪者」のレッテルを貼られるという深刻な危険性を示唆したものだと言えるのです。もっとも、取り締まりサイドが情報を有していたかどうかを問わず、情報が回ってくることはないのですから、「受け手」の地雷原に足を踏み入れるような危険性は変わりませんが、情報を受けただけの人が、ほとんど皆、客観的な証拠ではなく、「推定有罪」によって犯罪者になってしまいかねない現状というのは、やはり深刻な脅威であると言わざるを得ないでしょう。

また、「鑑定」した画像のうち、九割以上が小学生以下の可能性がある、と、報じられており、そこだけ見ると、いかにも「鑑定」がミスがあり得ないような印象を受けるのですが、実はこの部分にはカラクリというかトリックが存在しています。

「小学生以下の可能性がある」とは言っても、そもそも、正確な年齢が分からず、見た目の個人差も激しいわけですから、よほど成熟しているように見えない限り、「可能性がない」と断ずることは困難です。しかも、人権上の問題のために、問題となった画像や映像が大々的に公開されるといったことはまず考えられず、そうした警察側の主張を客観的に調べていくということはできないので、主張を、ミスの出ない根拠として用いることは難しいと考えられます。

産経新聞は「身元が特定できた児童638人のうち、小学生以下は105人で最年少は3歳の女児だった。身元が特定できなかった児童の648画像について、医師が体形などから年齢鑑定を実施した結果、小学生以下の可能性があると認定したのは570画像。画像には重複している児童もいるとみられるが、被害者の半数以上が小学生となっている(http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120216/crm12021614290012-n1.htm)」と報じていますが、特定という根拠がない状態で、しかも「可能性がある」というレベルの主張にとどまっている中で、「被害者の半数以上が小学生」と断ずるには、かなり根拠が薄いと思います。

逆に、「小学生以下の可能性はない」と判断するに至った、七十件あまりの画像や映像等に関しては、冤罪等の危険が、相当に強いものだとも言えるかも知れません。

「年齢が明らかな場合に比べ、明らかに全体の年齢層が低いのは、推定有罪は危険が大きいから、慎重に運用されているんだ」と好意的に解釈することも不可能ではありませんが、そもそも、年齢という一番のキーポイントに対して、警察も本当のところは分からない、誰も裏が取れないというのでは、証拠やら刑事手続きやらの部分に関しては、まったく信頼できないということにもなるでしょう。

証拠という確たる基準がないだけに、ミスや悪意によって「解釈」がされた場合、それを覆す材料はありませんし、裁判で反証することも困難です。通常であれば検察側に証拠がない、あるいは不備であれば無罪という目が出てくるものですが、このシステムに限っては、被告側は、誰とも分からない写真や映像の被写体が、撮影当時児童ではなかったという、現実的にはほとんど立証不可能な証拠を手にしない限り、無罪を勝ち取ることはできず、確たる証拠がないままに、有罪判決を受けることになります。ある意味では警察などの取り締まり機関が裁判をしているようなものだとも言えるかも知れません。

今回、取り締まりサイドの正確な「鑑定」利用率が判明したことは、実情理解にはプラスでしたが、全体の半分弱までが年齢を特定しない状態で立件していたということが明らかになり、非接触的なネット案件に関しては大部分が「鑑定」で済ませていたことは、現状と今後にとって、深刻な脅威と言えるものです。

「鑑定率」が上がれば上がるほど、警察サイドが犯罪を構成するもっとも重要な要件を出さず、特定を進めないまま立件を進める割合が増大しているとも解釈できるわけで、今回明らかになった極めて高い「鑑定率」は、この事件に限っては、取り締まる側が「証拠」をいかに軽視しているかのあらわれだと言えるものです。

そして、当局が「楽」をすればするほど、被逮捕者側や、法治システムへのしわ寄せはひどくなっていきます。「証拠がないにも関わらず立件され、証拠がないからこそ反証できず、故に裁判も形骸化されていく」のですから、司法システムそのものの「不当性」は強くなっていきます。

そして、事案の性質上「非接触的」事象である取得者、所持者などの「受け手」に対する立件の際は、大多数が年齢特定ではなく「鑑定」によってなされることも予測され、そうなれば極めて多くの人が、この危険で理不尽なシステムによって被害を受けることにもなりかねません。

「鑑定率」が上がれば上がるほど、客観的な証拠ではなく、「主観」による「推定有罪」傾向が強まっているとも言えるわけで、今回の数値は極めて深刻なものです。

「過去最多だ」、「規制強化だ」という前に、まずは全体の半数弱を占めるもされている、物証主義の観点からはあってはまずいとも言える「推定有罪」での立件は原則として全廃の形に持っていく必要があるでしょう。

● 判明した被害児童のうち15%強は小学生以下。つまり、確たる部分の状況として明らかになっている被害児童の大多数が中学生以上という現状には変わりない。

● 全案件1455件のうち、被害児童の特定が不可能で「鑑定」によって児童「認定」されたのが648件で、全体の約45%にのぼる。つまり約半数弱に関しては、「被写体の年齢」という、もっとも重要な要素を踏まえずに立件化したものだと言える。

● 「鑑定」案件のうち九割以上にあたる570件は、「小学生以下の可能性がある」とのことで、「鑑定」の正当性と児童ポルノ案件の「低年齢化」を強調したような数字が出てきているが、そもそも年齢が特定できていない以上、人道上公開することのできない画像や映像に対して、小学生以下の「可能性がある」と「主張している」レベルに過ぎず、「鑑定」の正当性を補強するには根拠が弱い。

● さらに言えば、「鑑定案件」のうち、警察サイドの主張ですら、「小学生以下」である「可能性」すらない、百件あまりのものについては、「冤罪」の懸念が非常に強いということにもなる。もっとも、見た目で「判断」すれば立件が可能な「鑑定」案件だけに、冤罪と裁判所が認定することは期待できないが。

● 「小学生以下の可能性がある」画像や映像が「鑑定案件」の多数を占めたことに関しては、ある程度年齢が達した感のある画像などに関しては、「鑑定適用」が慎重だった結果かも知れないと見ることができる一方、「極めて広範囲な定義」の存在が大きく絡んでいる可能性がある。単なる裸や半裸、下着や水着といったレベルでも「認定」が可能な現行法上の基準では、ある程度、服を着なかったり、極めて薄着の状態であることが当たり前の、一定のラインに満たない子供たちの画像や映像を「認定」することは法律上極めて容易であり、故に、定義をぎりぎりまで使って「本気」で摘発しようとすればするほど、低年齢層の画像や映像が増加する傾向にある。

● 今回の総論としては、件数が児童ポルノ案件特有の、経年的増加を示す一方、被写体の年齢すら特定しないまま立件する「鑑定」事案が全体のほぼ半数弱にまで達し、単純製造罪などの分を除けば、ネット絡みの案件のほとんどは「鑑定」によって行われているのではと思えるほどの数値が出てきた。つまり、今後、無償取得や単純所持が罰則化されたとすれば、「受け手」のほとんどは、客観的なデータではなく、警察側の「見た目での判断」、つまりは単なる「主張」によって犯罪者に仕立て上げられるという危険性が極めて強いと言える。児童ポルノかどうかの判断自体も、「性欲を喚起」云々で、警察サイドの恣意で決められる余地が非常に大きいことなどと併せて考えても、これは恐るべきことだと言える。

● 「鑑定」については、「小学生以下の可能性がある」ものが大多数を占めるとして、安全性を強調する書かれ方がなされているが、そもそも、被写体の年齢が分からない時点で、小学生以下である可能性を排除することもまた、原則として困難であり、さらに言えば、その区分もまた、警察サイドの無根拠な「主張」に過ぎない。故に、このデータは「児童ポルノ案件」の低年齢化を証明するものではないし、「鑑定」の安全性を保障するものでもなったくなく、「証拠なき立件」が常態化している、非常に危険な現状と、取得や単純所持などの「受け手犯罪者化」政策によって、その危険性が極めて多くの情報の受け手に拡散しかねない脅威だけが明示化されたと言える。

● 「児童ポルノ」であるかどうかの定義の判定に、恣意的な判断が入り得る要素が極めて多いことを考えても、「推定有罪」の常態化は是認できるものではない。数値が増せば増すほど、全体としての危険性、不当性が向上しているとも言えるわけで、規制のさらなる強化を云々する以前に、「推定有罪」システムを全廃し、立件や刑事司法においての「最低限の安全性」が保障されるような是正が必要だと思われる。






2012-02-15 21:34:54

「いつ」と「いつまで」が存在しない「児童ポルノ」の永続性と潜在性

テーマ:反児童ポルノ法
● 「児童ポルノ」は「いつ」製造されたかを問わない

「児童に対する人権侵害」、「児童虐待の記録物」という名目で規制が行われている児童ポルノですが、現行法の基準では、被写体である「児童」(あるいは児童と主張可能な被写体)が、基準に抵触していれば、取り締まり当局によって「認定」がなされるという形になっていて、通常、人権問題の際に云々される、「誰が誰と」、「どんな状況で」撮影したかについては問われません。このことが、「恋人同士でも、自分自身が撮影しても虐待」という、通常とはまったく異なる「基準」で認定が進み、運用されている一因となっています。

そして、児童ポルノ案件においては、「いつ」撮影されたのかということも関係なく、一律に「児童に対する人権侵害」の基準を当てはめるという形になっており、別の「法の不条理」を生み出す原因となっています。例えば、ある人が十五歳の時に撮影された画像があったとして、撮影から五年、十年経ったところで、その写真をメールで送信したり、ネット掲示板に掲載した場合、その写真が取り締まりサイドに「認定」され得る性質のものだった場合、送信した人は、児童ポルノ禁止法違反、すなわち、「児童に対する人権侵害」の罪で摘発される可能性が出てきます。人権上の案件だけに、量刑の面でも罪は重く、検挙された場合、当然、対児童案件の罪として、統計に記載されることにもなるでしょう。

しかしながら、送信によって誰かの人権が侵害されたとして、その当事者は既に成人していることは明らかなわけで、行為によって、「児童の人権」が侵害されたとは言えません。故に現実問題として、画像送信という行為に伴う、児童への人権侵害という罪状や量刑、加算される統計は適切ではないと言わざるを得ない側面があります。写真の中の被写体は歳を取りませんが、本来、行為によって問題になるのは当事者の人権であるならば、本来、当事者の「現状」によって、問題の性質、意味するところは変わっていかなくてはまずいはずなのですが、この法律に関しては、まったくそうした部分が機能していない現実があります。当たり前の話ですが、成人が何らかの被害を受けたとしても、児童に対する犯罪と見なされることはありませんが、製造を除く児童ポルノ案件の場合、被写体が「元児童」であるケースが極めて多く含まれていると考えられています。こうしたケースに絡んで誰かを検挙したとしても、「児童の人権侵害」を回復するという期待は、当然達成されることはありません。

そして、この「いつ」を問わない枠組みが、「児童ポルノ問題」を、永続的に、しかも年々エスカレートしたものにしていきます。どんな経緯であれ、一度児童ポルノと「認定」された画像や映像は、実在の人物とは違い「写真の中にいる人は歳を取らない」ので、ずっと「児童ポルノ」であり続けるからです。故に、当局側が把握する「児童ポルノリスト」は増加を続け、ネット上に存在する「危険な」画像や映像の種類も増え続けてしまうということにもなってきます。

● 半永久的に増え続ける「児童ポルノリスト」と非現実的な「脅威」、情報の受け手に対する危険性

例えば、ある年に、(極めて広範な現行法の範囲の中で)児童ポルノ禁止法に抵触し得る写真や画像、映像が二千点ほど「製造」されたとして、その中の二割にあたる四百件について、当局が「認定」し、摘発したとしましょう。製造段階で情報で掴んで摘発したものが二百点、残る二百点は、WEBサイト上に貼り付けられたり、共有ソフト網に流されたりしたものを「認定」したものとします。つまり、この年、当局側の「児童ポルノリスト」に四百点の画像や映像などが加わったことになります。

このペースでの製造と摘発が、仮に二十年続いた場合、当局側には八千件の「児童ポルノリスト」が作成され、うち四千点に関しては、「児童ポルノ認定」がなされながらも、ネットに流れ続ける画像や映像ということになります。「写真の中の被写体は歳を取らない」ので、リストは増えることはあっても減ることは期待できません。そして、捜査手法の先進化を考慮しなくても、ネット上に無数に存在する画像や映像のうち「二百点」の動向しかリストアップして監視できない状況と、「四千点」を監視している状況では、後者の方がはるかに「違反」を摘発できる余地が多いのは当然のことです。

児童ポルノ禁止法は、十八歳未満の児童を撮影したものを対象にしているわけで、二十年あまりの月日が経過したとなると、当然、一、二年目に被写体となった人たちは、確実に児童ではなくなっています。日本に限って言えば、「認定」された「児童ポルノ」の大多数は、十三歳から十七歳の間に限られているわけで、製造や流通から五年程度を経過すれば被写体は児童ではなくなっており、物品やデータが動くことによっての「児童に対する人権侵害」は考えられない状況になっているとも言えるのですが、「児童ポルノリスト」は減少せず、故に児童に対する人権侵害のレッテルを貼られる案件も増加を続けることになるのです。

近年、刑法認知件数が減少を続け、児童買春など、未成年者絡みの事案も概ね抑制的な状況が続いているにも関わらず、児童ポルノ事件だけが「過去最悪」を記録し続けるカラクリの一つがここにあると考えられます。年数が経てば経つほど「リスト」が増え、法に抵触する対象が増え続けているのだから、件数が伸びて行くのは必然的な結果でしかありません。また、法施行から時間が経過するほどに、ネット網など公開の場所での摘発に注力化していく限り、(製造案件に対する強力なテコ入れが無い限り)摘発対象の画像などの中で、被写体となった人が今でも十八歳未満というものの割合も減少していくわけで、児童に対する人権侵害に対処するという、元々の法律の目的からは、どんどんと遠のいていってしまうことになるわけで、今のままのシステムで運用する限り、児童ポルノ禁止法は、「リスト」が永続的に増え続け、検挙の理由も検挙案件も増加していく一方で、「児童に対しての」という、もっとも基本的な部分から外れる割合が増え、児童の人権擁護の効果も薄れていく、「危険な空回り」が進んでいってしまうという、欠陥を有していると言えるでしょう。

しかも、件数が増加すればするほど「過去最悪」ということでメディアの「煽り」が入る余地が生まれ、ますます実体とはかけ離れた「子供への危機」が喧伝される悪循環が生まれることになってしまいます。先ほどの例でもありましたが、「一年目」と「二十年目」で、「児童ポルノ禁止法」での検挙件数が十倍も違っていたとするならば、メディアは「脅威の拡大」と報じる可能性は極めて高いですが、しかし、「実際に被写体となった児童が今でも児童である」割合が変わっていなかったとすれば、画像や映像の製造、流通による「児童に対する」人権侵害の度合いも悪化しているとは言えないわけで、件数だけ見て比較することは、十倍分「実態とは異なる脅威」に振り回されることを意味します(もちろん、望まない情報の流出等々は問題ですが、事の性質が異なる以上児童に対することとは別の問題意識が必要になってくるでしょう)。
 
このように、現在のシステムは、「リスト」の内実と事件の件数と「脅威」を、雪だるま式に拡大再生産する一方で、時間が経つごとに、肝心の児童の人権問題への法律のアプローチを弱めていってしまう性質があります。

実態とは別に法規制の対象が「拡大再生産」され続けるという「児童ポルノ」案件特有の性質は、「受け手犯罪者化」が絡むと、さらに危険なものになります。先ほどのケースでは、二十年間で二百件から四千件と、二十倍の数の「認定児童ポルノ」が、ネット上などに流れる形になりましたが、一方で情報の受け手は、何が「認定」された危険な画像や映像かを正確に察知することはできません。「認定児童ポルノ」だけを、正確に弾くということもできません。つまり、年数が経てば経つほど「危険性が継続される」ばかりか、「逮捕される危険性が高まっていく」わけで、逮捕されれば実態とは関係なく、「児童への人権侵害者」のレッテルを貼られる形となります。

例えるなら、年々敷設された数が増加していく、しかし、どこにあるのか正確には知ることもできないという「地雷原」の中で、(法律が抜本的に是正されるまで)下手をすれば数十年以上暮らしていかなければならないというような形にもなり得るわけで、法に抵触せずに凌ぎ切ることは、取り締まりサイドがある程度きっちり仕事をしたとすれば非常に難しいと言わざるを得ない部分があります。

しかも、何年前のものでも、取り締まる側は「後付け」で「児童ポルノ認定」することもできるので、今日まで十年間、摘発対象にならなかった画像や映像だとしても、安心はできません。明日唐突に「認定」がなされて、その画像の受け手が全員逮捕されたとしても、「通る」話ではあるのです。もし法律がこのままの状況であれば、受け手側の市民は、双方向性があり、情報へのアクセスが記録されるインターネットというメディアから「避難」するか、国家による超強力な検閲を受け入れざるを得ない事態に追い込まれるかも知れません。実際問題、「人の画像や映像」という、見た目的にも区別が非常につきづらい写真やデータ等の受け手を当局の判断で好きに検挙できるという法律ができたなら、そうでもしない限り、完全に社会的身分や法的安全を保障することは困難でしょう。

● 「いつから」という縛りがないために、膨大な数の写真や映像が児童ポルノだと「認定」されかねない潜在的な脅威が

児童ポルノ禁止法が制定されたのは、九十年代末のことであり、単純製造罪が作られたのは、さらに後になってのことです。法律が制定され、施行される前であれば、仮に「児童ポルノ」(あるいは児童ポルノと解釈されかねないもの)を撮影したことがあったとしても、「児童ポルノ製造」罪に問われることはありません。

これは、「法の不遡及」の原則からしても当然のことですが、では、法制定前に撮影された写真や映像は「児童ポルノ」としてみなされることはないのかというと、そうでもありません。先ほども少し述べましたが、「児童ポルノ認定」には「後付け」が可能です。つまり、法制定前の写真であっても、後から勝手に「認定」して、法規制の対象にすることができるのです。児童ポルノ禁止法には、「いつまで」の縛りも確認できず、「いつから」の縛りもないということになります。そして、その基準は極めて広く、「児童」、あるいは児童に見える人が性的行為に及んでいるものだけではなく、単なる裸や半裸、下着や水着姿に至るまで、当局の判断次第で規制対象に含めることができ、しかも、芸術作品だからということで免責されるという規定もありません。

これらのことを総合すると、「たとえどれほど昔のものであろうと、少なくとも写真や映像であれば範囲に含まれ得るし、その対象は単なる裸や下着レベルの露出などでも抵触し得る。過去に芸術作品として評価を受けたものであっても、そのことで規制対象からの除外が保障されるわけではない」ということになるわけで、定義の広範さからしても、それこそ膨大な数の歴史的資料が、遡及的に「認定」をされてしまい、合法的な形で社会から抹殺されてしまうという危機が存在していると言えます。

実際に、現在までに、過去に芸術作品として公的に発売され、世に出た経歴のあるいくつもの作品が「児童ポルノ認定」を後付けで受け、社会的な立場を失っています。「退廃芸術の排除と抹消」のように、芸術作品や文化的資料を「なかったこと」にできる力がこの法律にはあり、深刻な脅威に繋がっていると言えるのです。もちろん、撮影されてから長い年月が経っている写真や出版物をいかに規制しようと、実在の児童に対する人権侵害には何の影響も及ぼすことはありません。新たに負のレッテルを貼られる写真が増え、実態とはかけ離れた「児童に対する」というレッテルを貼られて捕まる人が出てくるというだけのことです。しかも、取得や単純所持といった形で、受け手への法的処罰もあり得るという法体系なのですから、「焚書」どころか、極めて多岐にわたる範囲での「焚書坑儒」という部分にまで脅威が及んでいるとすら言えるのが、現行法の児童ポルノ禁止法なのです。

「潜在的認定」の脅威は、百年以上昔に撮られた歴史的な資料から現在のものに至るまで、共通するリスクだと言えるでしょう。「後付けで、大昔の資料すら認定し、焚書の対象にできる」以上、たとえ今は何ともなくとも、未来のある時期に、権力を有する誰かが、自分にとって目障りな、あるいは都合の悪い、いくつもの写真や資料を「児童ポルノ」だと認定し抹消の対象と定め、所有者を投獄するというような恐るべき暴挙に法律が利用される下地は、既に出来上がってしまっているとも言えます。しかも、「法的な事実」の枠内では、「焚書坑儒」を指示した為政者が「児童の人権を擁護した、人道的な人間」とされ、資料は「児童虐待の記録物」として、徹底してその価値をおとしめられ、所有者は「児童に対する人権侵害者」としてレッテルを貼られることになります。故に「公式発表」の枠内においては、焚書が実に人道に沿った行為であるという、価値観の転倒が起こってしまうことになり、為政者はその罪を問われないということにもなります。


「実在の児童の人権侵害に対応する」という目的の法律のはずが、被写体の実情を無視して、「いつから」と「いつまで」を考慮に入れなかったがために、「実在の児童に対する人権保護」とはかけ離れた形で、今回述べたような無数の問題と脅威が生まれることになってしまいました。そして、そのリスクは、法律が施行されてから年数が経てば経つほど、法的処罰範囲が拡大すればするほど深刻化する傾向にあります。他にも様々な問題はありますが、画像や映像の公開や流出問題を、あくまで「その行為で、児童に対する人権侵害が行われた」場合のみ「児童に対する人権侵害」の罪で裁くという、現実と合致する形に改めない限り、実情実態とはかけ離れた「脅威」とリスクの拡大再生産は止むことはないでしょう。その点に関しては、抜本的な是正が必要だと言えますし、逆にできなければ、時間が経つほど、様々な実態とはかけ離れた問題が噴出するものと考えられます。

本日のまとめ

● 被写体の実情を調査し、「その画像や映像によって、被写体となった人が現在でも児童である場合のみ、『児童への人権侵害』の枠に入れる」という規定が存在しないために、年を経るに従って雪だるま式に、「児童ポルノリスト」が増えていく。リストが整理されない以上、「認定」された児童ポルノの数は増えていくが、被写体が既に児童でなくなっているというケースも増えていくので、そのために、年数が経過すればするほど、リストも摘発事例も、実在の児童に対する人権侵害という要素が薄くなっていく。


● 「リスト」中では児童ポルノではあっても、被写体が既に「児童」ではないというものが多数を占めてくるようになると、当然、「児童に対する人権侵害」という罪状のレッテルが現実とはかけ離れた容疑者が加速度的に増加し、故に統計結果も、現実の児童に対する脅威とは別に膨れ上がっていく。件数が増えれば増えるほどメディア報道は危機を煽る方向に傾斜していきがちだからである。こうなると社会は、実態とはかけ離れた「被害件数」の数字に振り回されることにもなりかねない。実体の薄い「脅威」が雪だるま式に拡大再生産されるのだ。

● 「リスト」が増加していく一方となると、「受け手」の側へのリスクも高まる。単に「長期間受け手に回るリスクに晒される」ことで、定量的に「犯罪者リスク」が高まるだけでなく、リスク原そのものも増加を続けていくので、加速度的に危険性が高くなっていく。例えるなら、どこに埋められているかも定かではない、しかも着々とその数が増えていく地雷原の中で生活を長年しなければならないような危険性がある。

● 児童ポルノ禁止法には、「いつから」という基準もなく、「後付け」もできる。故に、少なくとも写真であれば、どんなに古いものであったとしても、基準に適合しさえすれば、後付けで「認定」することができ、社会的に抹殺することができるということになる。芸術作品としての価値も問われるものではなく、実際に日本では、過去に公刊されたいくつもの芸術作品が「児童ポルノ認定」を受けたという経緯がある。つまり、芸術だろうと資料だろうと後付けで「認定」しさえすれば、「焚書」の対象にできるし、規制の進展次第では、受け手を摘発する、「焚書坑儒」さえも可能になっていく。この規定は当然、特定の資料や証拠等々を証人ごと葬り去りたい危険な為政者にとっては極めて「有用」なものだろうが、一方で撮影から一定以上の期間が経過した資料を対象に「焚書坑儒」をどれだけ強力に行おうと、「児童の人権」に対しては何の効果もない。既に被写体となった人はとうに成人に達しているからだ。

● これら種々の脅威を取り除き、児童ポルノ禁止法を、「本当に」、児童の人権への侵害と保護という本来の目的上の形に立ち戻らせるには、「画像や映像の被写体となった人物が、違法行為がなされた際にも十八歳未満の児童であることが明らかな場合に限って」、「児童に対する人権侵害」罪を適用するというように、実情との破綻がないような形に組み直していく必要がある。もちろん、性的な画像の無許諾公開が、人権的に問題があることは明らかだが、当事者が成人に達している画像や映像に関しては、他の画像流出案件と同様、「成人に対する人権問題」として扱われるべきだろうと思われる。
2012-02-10 00:01:24

対岸の火事ではない!? 授乳写真が「児童ポルノ」と認定されてしまうリスク

テーマ:反児童ポルノ法
「児童ポルノ」の定義が、児童虐待防止を建前にしながら、実際には、自分の裸を撮って公開した未成年者にまでも当てはめてしまうなど、法文上の理念とはかけ離れた運用が見られることは、珍しいことではありませんが、海外では、赤ちゃんに授乳している光景を、写真や映像に記録すると、なんと、「児童ポルノ」と判定されてしまったという、にわかには信じられないような事例が発生しているようです。

この事件の詳細は(「我が子への授乳写真は児童ポルノ?」http://suzacu.blog42.fc2.com/blog-entry-52.html)に記されていますが、結局は、様々な部分で、何の問題もない家族に甚大な被害が及ぶという結末に至りました。

しかし、このような事例が、残念ながら「対岸の火事」とは言えそうもない現状が、我が国にもあります。

何故なら現行の児童ポルノ禁止法では、条件さえ合致すれば、「授乳している側が何歳であっても児童ポルノと認定され得る」リスクが存在しているからです。

あくまで「児童に対する人権侵害への対処」をするために作られたはずの児童ポルノ禁止法の枠内で、一体どうしてこんなことが起こってしまうのでしょうか。ケース別に見ていきましょう。

1 授乳している側が十八歳未満、あるいは十八歳未満に見えると判断されたケース

胸部を露出し、赤ちゃんに授乳しようとしている方が十八歳未満であった場合、その時点で「衣服の全部または一部を脱いでいる」の部分に抵触するため、「3号ポルノ」にあたると見なされる可能性が出てきます。

また、ネット上に置いてあった画像や映像などで、身元が未確定な場合でも、お乳をあげている側が若く見える場合は、「鑑定」システムによって、児童ポルノだと「判断」されてしまう可能性があります。

2 授乳している側が十八歳以上、すなわち「児童」ではあり得なくても認定され得るケース

このあたりは、通常の児童ポルノ禁止法の基準通りと言えるものなのですが、授乳写真に関しては、「授乳者の年齢を問わず」、児童ポルノに認定されてしまう危険性を払しょくし切れてはいません。

理由は、本来「3号ポルノ」よりもずっと定義が狭いはずの、「2号ポルノ」に含まれています。「2号ポルノ」の定義としては、

「他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」とあり、現行の児童ポルノ禁止法における「性器等」は「性器、肛門又は乳首をいう」(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H11/H11HO052.htmlより)

こととされています。

これらの点から考えると、女性のおっぱい(乳首)に、赤ちゃんが口を付けていたり、授乳に際して、乳首を赤ちゃんが手でいじくっているというような写真や映像は、すなわち外形的には明確に2号ポルノの要件を満たしている、ということになってしまうわけです。

もう一つの児童ポルノであるかどうかを問う基準である「性欲を喚起させる」か否かの点についても、「成熟した女性が胸部を露出させている」わけですから、喚起させうるものと「認定」される危険性を無視することは難しいと思います。少なくとも乳幼児の裸や下着姿よりも、一般的な判断基準からすれば、喚起し得るものではあると言えるのではないでしょうか。となると、外形的な部分も、「性欲」基準においても条件をしっかりと満たしてしまうということにもなってしまうのです。

もちろん、こうした観点は単純な法律論的な話であって、明るみになった際の反発等々の部分なども考えると、警察サイドが授乳写真を公開している人を重点的に容赦なく摘発していくという事態は考え辛いところではありますが、上記のように、授乳写真が「児童ポルノ」になり得てしまうといった、およそ常識とはかけ離れた基準が提示されてしまいかねない条件が揃っていることは、もし仮に逮捕されてしまったら、「自分の子供に対する児童ポルノ製造、公開」という話になってしまうわけで、社会的なダメージは本当に酷いものになると予想されるだけに、かなり深刻な問題と言えるでしょう。

判例にしても、児童ポルノ禁止法が、個々の事例(写真や映像)について判断していく形になっているために、もし一方で無罪判決が出たとして、どこまでその概念に共通性が期待できるかという懸念もあります。

授乳写真が児童ポルノになるという、理不尽な危険性を回避するには、現在の「露出+性欲」という曖昧な基準から、あくまで「虐待性の有無」を問うような定義の抜本的変更が求められるところでしょう。

本日のまとめ

● 海外では授乳写真が「児童ポルノ」とされた事例が発生したが、日本においても起こり得る要素がある。

● 授乳者が十八歳未満の場合、胸部を露出している時点で「3号ポルノ」の違反基準に抵触する危険性があり、授乳者が十八歳以上であっても、「2号ポルノ」に当てはまる危険を無視できない。「2号ポルノ」は、他人の性器等に児童が触れているものを対象に含んでおり、法律上の「性器等」には、乳首も含まれているからである。

● 「性欲を喚起させる」か否かの部分についても、成熟した女性が胸部を露出させたりしている関係上、「喚起させる」と言われる危険性がある。

● だからといって警察サイドが、積極的に授乳写真公開者の摘発を行っていくとは考え辛いが、もし摘発がなされた場合、被害は甚大であり、「児童ポルノ」の定義そのものの抜本的な変更が必要だと思われる。具体的には、「露出度合い+性欲喚起」という現行法の曖昧な基準から、あくまで「虐待的かどうか」を問う定義に変更し、万が一にも授乳写真が児童ポルノになったりするような事態が発生しないような形に整えていくことが重要だと思われる。
2011-09-22 16:41:19

京都府「児童ポルノ規制等に関する条例案」に関する分析

テーマ:反児童ポルノ法
京都府の「児童ポルノ規制等に関する条例案」。単純所持や有償取得に関する規制、罰則がということで、全国から注目が集まっています。未だ「条例案」の段階でありますが、分析や調査などをしたりしたところ、規制の範囲は、条例案としては以下のような形が想定されているようです。

1 「児童ポルノ廃棄命令」の範囲

児童ポルノを「所持していた」として、廃棄命令に含まれるもの。命令が下っても直接刑事罰がということはありませんが、命令を拒否すれば罰則となるようです。

この「廃棄命令」に含まれるものは、「児童ポルノ」のうち、「法第2条第3項第1号及び第2号の児童ポルノ並びに同項第3号の児童ポルノのうち衣服の全部を着けないもの又は性器若しくは肛門を写したものに限ります(http://www.pref.kyoto.jp/seisho/resources/1309827428947.pdfより)」

ということになっています。

早い話が1、2号ポルノの全てと全裸などの3号ポルノの一部が含まれる形になっていて、「3号ポルノの一部を除いた多くの『児童ポルノ』」が廃棄命令の対象となり得ると考えることができます。

この基準ですと、単なる裸の画像や映像までが含まれていますので、かつて合法とされていた芸術的な作品群が命令の対象になることも考えられますし、個人的な画像や映像であったとしても(「正当」と見なされなかった場合)、対象にかかってくる可能性が少なからずあると見ることができます。

2 廃棄命令を飛び越しての直接的な罰則に関して

また、この条例案では、「児童ポルノ」の性質によって処分が変わってくるという特徴があり、「違法性の高い」児童ポルノを有償で取得するなどの「悪質な行為」に関しては、廃棄命令を経ずしての直接的な罰則が科せられることになっています。具体的には、

一 児童ポルノのうち、被写体が十三歳未満の男女のもので、

二 法第2条第3項第1号及び第2号の児童ポルノを

三 有償取得した場合、

直接罰則の対象になるようです。つまり、十三歳未満(あるいはそう見える)の男女の性交等の画像や映像を有償取得した場合、罰則の対象になるとのことです。

いわゆる「児童ポルノ」の大多数は十三歳以上、十八歳未満の画像や映像で占められていますし、しかも単なる裸などを示した「3号ポルノ」を除外しているわけですから、相当限定された基準だとも言えますが、直接罰則対象外だったとしても、施行後に府内で廃棄命令対象の画像や映像を取得した≒所持した場合などは、廃棄命令処分の対象になり得ます。

さて、この条例案が全国に波及する影響という部分に関してですが、

1 観光客が児童ポルノを所持した状態で府内へ入ったような場合

は、少なくとも法律上では、命令の対象になり得ると言えるようです。「領土」に入るわけですから、入った時点でその自治体の条例が適用されるのは、必然と言える模様です。実際には、持っていることが明らかな場合に、府側が対応にあたるといった慎重な運用が考えられますので、どこまで適用されるかは未知数ですが、特に、京都府内に長期滞在されるという方は、注意をした方がいいかも知れません。

2 他の自治体の自宅に廃棄命令対象のものを持っている人が府内に入った場合

京都府の調査の範囲や、知事権限で行える命令の兼ね合いもあり、本当に受ける確率は「1」よりもさらに低いと言えるものの、「所持」の概念を、「その人がその物を所有している状態」だと定義した場合、法的には引っかかる部分がないとは言い切れないかも知れません。気にし過ぎるのも良くないのでしょうが、一応、注意をしておくに越したことはないかも知れません。

といった感じで、実際上はともかくとして、少なくとも法律的には、他の都道府県在住の人にも影響が否定し辛いものになっています。「単純所持」を禁じているために、領内に入りこんだ時点で法的な処分が発動してしまうような形になってしまっているとも言えます。

有償取得での直接処罰に関しては、むしろ民主党案よりも限定的な内容でもあるわけですが、単なる裸であっても廃棄処分命令の対象になったりと、不穏な点が少なくないのも特徴だと言えます。

また、奥村弁護士がアップされている条文によると

「何人も児童に係るわいせつな行為を視覚により認識することができる方法により描写した写真,電磁的記録(電子的方式,磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって,電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう以下同じ。)に係る記録媒体その他の物で児童ポルノに該当しないものを,正当な理由なく,製造し、所持し,提供し,又は運搬しないように努めなければならない(http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20110922#1316670818)」

との条文があり、罰則なしの努力義務規定という形ではあるにせよ、「児童ポルノではない」画像や映像等にまで、「所持したりしないように努めなければならない」とする文が盛り込まれている点も不穏だと言えるでしょう。京都府は条例案についてのQ&Aで、実在しない児童の姿態を描いた漫画やアニメ等の二次元の表現物は、(児童ポルノにあたらず)条例の範囲外だと明言しています(http://www.pref.kyoto.jp/seisho/resources/1309827428947.pdf)が、仮に二次元創作物を除外したのだとしても、「児童ポルノは児童の性的な人権侵害の記録」であるから、所持規制にまで踏み込んできたというのが条例の趣旨であるはずで、児童ポルノとは言えない、すなわち、児童に対する性的な人権侵害とは言い切れないものの所持等にまで「しないように」と言及するのは行き過ぎではないかと考えられるところです。

現時点で明らかになってきた内容を総合すると、取得に関しては規制範囲が限定的なものの、廃棄処分規定に関してはかなり広く、他の部分にも不穏な点が見受けられるということが言えそうです。また、現段階はあくまで「条例案」の段階であって、成立段階までに条文が変化する可能性もゼロとは言い切れない部分も抑えておく必要があるでしょう。

本日のまとめ

1 「廃棄命令」は、「児童ポルノ」の中の「3号ポルノ」の一部を除いた全てに適用される

2 「直接罰則」は、「児童ポルノ」のうち、「十三歳未満の男女の」、「1、2号ポルノにあたるもの」を、「有償で」取得した場合に科せられる

3 観光や長期滞在等に際して、府外在住の市民も廃棄命令の対象になることもあり得る
2011-08-03 18:54:39

児童ポルノ禁止法改正案 民主党WT試案分析 優れた点は多いが「グラビア規制」の危険性も

テーマ:反児童ポルノ法

谷岡郁子議員のページ(http://www.taniokachannel.com/report/report.html#dateより)で、民主党児童ポルノ禁止改正案(WT試案)が公開されました。「反復かつ有償での取得」が現行法に加わったなどのいくつかの変更点は既に報じられていますが、当ブログでも、試案に対する分析をしていこうと思います。

1 「性欲」条項は以前と変わらず存在 条文が変更されたことで、ジュニアアイドル(十八歳未満のグラビア)への規制への懸念も

まずは、「児童ポルノ」の定義についてです。以前から「性欲」等の曖昧な規定に関しては、恣意的な権限の行使を招くという批判もありましたが、この民主党WT試案でも、二号及び三号ポルノに存在していた「性欲」云々の部分は残されています。

また、批判の多かった「3号ポルノ」に関しては、

「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部または胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、殊更に性欲を興奮させ又は刺激するもの」

という条文構成になっていて、性器が露出していなくても、お尻や胸部が露出している状態だったりすれば、児童ポルノと認定されうる定義となっています。

また、そうした部位、胸やお尻などが「強調(恐らくポーズなどで)」されているだけでもアウトとも読み取れる条文構成にもなっており、そのあたりを考えると、いわゆる「大胆な」アイドルのグラビアなどは、極めて危険な状況になっていると言えるかも知れません。

そして、年齢的な定義も、児童ポルノにおける「児童」、すなわち十八歳未満の男女が対象になってくるので、過去に自治体でなされた水着規制などよりもずっと厳しいものになってくるということになります。

U-13やU-15どころではなく、十八歳未満の、普通に雑誌等に水着グラビアアイドルとして出ているレベルの写真や映像が「児童ポルノ」になりかねない部分も、最悪、含まれていると言えます。雑誌のグラビアだけでなく、DVDなどの映像作品、あるいは、「定義」に示した内容が含まれた、過去に制作された映画等も含まれる可能性があります。また、非商業的な写真などにも、「児童ポルノ」の定義はあてはまるわけで、水着等の写真を誰かに送っただけでアウトということにもなりかねないとも言えるでしょう。

さらに、今回の規制案では、有償での反復しての取得、すなわち「繰り返しての」購入まで、罰則化されていることも考えると、今回の「定義」の改変によって、十八歳未満の男女の水着や大胆な衣服等でのグラビア等が、かなり危険なことになってくるばかりか、過去に発売された、あるいは現在発売されているグラビアを何度か購入しただけの人までが「犯罪者」になりかねない規定とも読み取れます。

個人的には、「二次元規制にNO」を突きつけた姿勢や、購入罪にも反復を設けて、冤罪に一定の対処を示した部分などは良いものだと思いますが、「定義」は、あまりにもまず過ぎるように感じます。以前の民主党案でも、水着等の規制に踏み込むのではないかと危惧していたわけですが、その危険性が全く払しょくされていないばかりか、「性欲」条項まで温存されているとあっては、特に、水着等の写真に関して、現行法よりもまずいことになるのではないかと危惧せざるを得ません。

2 「芸術」という観点からの除外は盛り込まれず ただし、医学その他学術研究目的のものは除外

同時に、「児童ポルノ」の定義を示す一文の中に、

「(専ら医学その他の学術研究の用に供するものを除く)」

という、但し書きが盛り込まれてもいます。これによって、医学や、何らかの文化的資料等々の目的があるものは、「児童ポルノ」としての扱いを受けないという保証が明文化されたことになります。ただ、「芸術」目的での除外は盛り込まれておらず、前述したように、むしろ定義が拡大したとも考えられる中で、過去に制作された穏当な作品群が、「児童ポルノ」という不当な評価から解放されるには不十分な記述とも考えられる部分があります。もっとも、「芸術」も学術研究ということで、通せるだけの余地も含まれているようにも感じます。

3 反復有償取得罪が加えられるも、他の罪の量刑の強化はなし

今回のWT改正案のポイントの一つとして、「反復かつ有償で取得した場合」の罰則の新設があります。この反復購入罪に関しては、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金という量刑になっていますが、他の製造罪、提供罪、公然陳列罪といった、従来から存在する刑については、量刑の強化は見られません。

4 反復購入罪に関しては、被写体が「児童」だと知ることができなかった場合、罰せられない可能性も?

この購入罪に関しては、違法な「裏モノ」のDVD等を購入するといった場合でなくても、合法なアダルトコンテンツ等を買ったつもりが、制作者側のミスや、「児童」側の虚偽申告によって、「児童ポルノ」を購入してしまうという危険性が、僅かながら常に存在しています。そのため、単純に購入を規制することだけをしてしまうと、そうした「事故」によって、無数の人が児童ポルノ犯になりかねない危険性が存在していました。

ただ、今回の改正案では、「児童の年齢を知らないことを理由にして、罪を免れることはできない」とする、年齢の知情による免責不可規定が適用されるのは、第五条、第六条、そして、第七条二項から第七項までとされており、反復購入罪を示す、第七条第一項は記載されていません。

つまり、被写体の年齢を知り得なかった場合は、罪を問われない、とも現時点では読みとることができます。もしそうであるなら、合法AV等を買った結果の「事故」によって、罪に問われるという懸念については払しょくされているということになるでしょう。

5 「漫画、アニメ等規制対象外宣言」や、実在児童への保護を目的とした条文も盛り込まれている

既に報道などにあった、いわゆる「二次元創作物対象外」宣言や、実在児童への保護に重点を置いた条文もしっかりと盛り込まれています。この点については素晴らしいのではと思います。


今後の修正協議などでどうなっていくかは分かりませんが、「医学及び学術研究目的は除外」、購入罪そのものの是非は置くとして、冤罪や「事故」に対応した「反復購入罪」、「フィクション除外、実在児童保護に重点を置く」等々、至るところに議論を尽くされ、考えられた成果を見ることができます。ただ、肝心要の「定義」が、水着等の「着衣」でも普通に当てはまるものになっているばかりか、「性欲」という恣意的な運用が行える定義までが温存されているのは、あまりにもまず過ぎます。「児童」の定義が十八歳未満なだけに、今まで自治体で行われてきたジュニアアイドル規制の比ではないほど年齢の幅は広く、罰則も厳しく、購入者まで逮捕され得るとあっては、
十八歳未満のグラビアという、文化、芸能、芸術の一大ジャンルが、壊滅的に近い状況にまで追い詰められかねません。他の部分には優れた点は多く見受けられますあ、「定義」については、より絞り込んでいかなければ本当にまずいと思われます。

本日のまとめ

1 「児童ポルノ」の定義に、以前と同様「性欲」規定が含まれている。また、胸部や尻という広い範囲を「性的な部位」とし、「露出」しているのみならず、「強調」されていれば、要件を満たしてしまうという、着衣の状態でも、「児童ポルノ」に当たり得る形になっているため、「大胆な水着グラビア」や「大胆なポーズ」は丸ごと危ないとも取れる条文構成になっている。
 
しかも、法律上の「児童」の定義が十八歳未満であることから、U-13、U-15どころではないほど、広い年齢層の映像、作品が対象になる危険があり、個人の画像も、この基準で罪を問われることになる。

2 有償反復取得(購入)罪が新設。「反復」にしていたり、年齢の知情規定による免責不可規定から除外したりと、かなり慎重かつ丁寧な条文構成になっている。ただ、前述の定義のため、「グラビア・水着映像購入」が犯罪になりかねないという危険性を有してもいる。

3 実在児童への保護を目的とした条項の新設や、「二次元創作物対象外」宣言なども含まれている。

4 全体としては丁寧な造りになっており、素晴らしい点もいくつか含んでいるが、肝心要の定義が拡大化し過ぎて、「十八歳未満グラビア規制」法案とすら言えるような形になってしまっている上に、恣意的運用を可能にする「性欲」条項が温存され、しかも購入者が処罰すらされるという形にすらなっている。これでは、「買い手」を含めた、十八歳未満のグラビアに関わった人の多くが「犯罪者」に仕立て上げられかねない。量刑も重く、基準となる年齢も、U-13どころかU-15ですらないという厳しさだと言える。
 
この定義が運用されれば、実写グラビア界全体に大きなプレッシャーになるだろうし、非商業的な部分への悪影響も大いに懸念される。「三号ポルノ」の部分に関しては、「グラビア叩き」にならないよう、定義を絞り込み、再考すべきだろう。

2011-07-28 07:35:15

児童ポルノ犯になるという「事故」を防ぐために(6)単純所持規制編 下

テーマ:反児童ポルノ法
今回では、いよいよ、仮に、「児童ポルノ」の単純所持規制がなされた場合、手持ちの画像や映像に対し、どういった行動を取っていけばいいのかを考えてみたいと思います。

そもそも、「単純所持」罪は、本来、刑が過去に遡って適用されることを禁じている「刑罰不遡及の原則」が存在する法治国家において、極めて遡及性が高い性質を持っています。

そして、「児童ポルノ」がその対象となった場合、何十年も前の写真や書籍、記憶媒体が保管している数々のデータの中から「児童ポルノ性」があるものを全て廃棄しなければ罪に問われることになります。しかも、その画像や映像が「児童ポルノ」かどうかの判定は、「受け手」の私たちには不可能で、実質上、警察当局の判断に委ねられることになります。しかも、「鑑定」という名目で、「児童」かどうかの判断に、取り締まりサイドの主張がそのまま反映されてしまうことになります。

つまり、少しでも怪しいと思われるものは、残さず廃棄しておかないと、身の安全は保障できないということになります。冤罪云々を抜きにしても、十年以上前にネット上で拾った「エロ画像」の所在や内容を全て把握し、廃棄する、何十年も前に買った本の内容を逐一チェックし、完全に廃棄していくことの難易度は、今まで単純所持が禁じられていたものへの対処に比べてはるかに厳しく、常識的なレベルで考えるなら無理筋に近いような話でもあるのですが、それでも、もし、単純所持処罰規定が成り立ってしまったのなら、完璧にこなさなくてはなりません。

また、「単純所持でアウト」の「事故」に見舞われた場合、最悪、懲役もあり得るような罰則を科され得る上、会社を解雇されたりといった形で、生涯的に見れば一億円規模に達する経済的損失や、計り知れない社会的ダメージ、人間関係への打撃を受けることにもなりかねませんので、その意味では、手間やコストを一切度外視して、対処に臨む必要があるとも考えられます。

さらには、対処は、法律的には「児童ポルノ単純所持処罰規定」が施行されるまでに完璧に行う必要があり、「児童ポルノ」の疑いが少しでもある画像や映像に関しては、人の手を介さず、自分自身の手で廃棄を行わなければならないでしょう。施行された段階で、「児童ポルノ」を所持していたなら、その時点で、単純所持処罰の必要条件を満たしてしまい、廃棄するにあたって、誰か人の手を介した時点で、所持罪よりもさらに重い提供罪が法律的には成り立ってしまうからです。

実際に単純所持処罰規定が運用される際には、先日報道されたような「児童ポルノ愛好者データベース」が、所持容疑者のリストに「化ける」形で利用されたり、「それっぽい」画像へのアクセス記録を捕捉されて、家宅捜索がなされると想定され、定義の広さや捕捉率の高さから考えても、今後は今までよりもずっと多くの家宅捜索がなされると思われます。ある日突然警察が家にやってくるという事態は、決して、ニュース番組の世界ではなく、自分にもいつふりかかってくるか分からない緊急事態なのだという認識のもと、徹底した対処を行っていく必要があるでしょう。具体的な対処の方法としては一例として、次のような形が挙げられます。

1 出版物、映像作品、個人的な写真などを必要性や危険度に合わせて、いくつかのカテゴリーに区分けし、保管、処分方法を考える

「児童ポルノ」の「単純所持」が処罰対象になるということは、ありふれていた書籍の中の写真や映像作品、あるいは手元にある「エロ画像」の多くが、麻薬や違法薬物クラスの危険性を有する「性質」を持ってしまうということです。故に、どれだけ時間と手間がかかっても、所有している蔵書や映像作品、新聞、個人的な写真に至るまで、その全てを徹底的にチェックし、区分けし、必要に応じて処分方法を考えていく必要があります。

一例としては、所有するこれらの「情報物」を、A~D群といった形で四つに区分けしていくという方法が考えられます。具体的には、


A群 「児童ポルノ」が含まれている危険が全く存在せず、かつ、仕事や学業などにおいて有用な情報物   いつでも手に取れる本棚などに保管。


B群 「児童ポルノ」が含まれている危険が全く存在せず、仕事や学業などにおいて、必ずしも有用とは言えない情報物 「A群」のものとは分けて、本棚に保管するか、ダンボール箱の中などに保管する。新古書店への売却なども可。


C群 仕事や学業にとって有用、あるいは個人的な思い入れがあるかどうかに関わらず「児童ポルノ」と認定される可能性がある画像や映像が含まれている情報物 「A群」、「B群」とは分けて、写真を切り取る、情報物そのものを廃棄するといった方法で処分する。 新古書店などへの売却、及び他人への譲渡などは不可。


D群 「児童ポルノ」に認定される危険性が比較的高い、「児童」の大胆な画像や映像、あるいは、被写体がもし仮に「児童」だった場合、法に抵触する危険の高いものが含まれる情報物 「A~C群」の情報物とは分けて保管し、法施行前に、他人の手を介さず廃棄する。誰かの手に触れないよう、処分までは厳重に施錠した空間に保管するのがベターかも知れない。他者への提供は絶対に不可。

といった形の保管、処分方法が考えられます。ポイントとしては、「情報の性質」によって徹底的に区分けし、一か所にまとめることによって、「危険な」情報を見過ごす懸念を最小限度に抑え、「ミス」のリスクを減らし、処分を迅速化する狙いがあります。

また、「安全」なA、B群の定義としては、「文章や音楽、漫画や、アニメ、イラストなどで、ある程度若い人物の実写写真や映像が一切含まれていないこと」としており、業務上などの有用性や、思い入れがある写真などでも、十八歳以上と年齢を特定できない「若い」男女の写真や映像などが含まれていた場合、無条件で「C群」、及び「D群」に当てはめるべきだと考えます。

何故ここまで徹底した対策を講じる必要があるかということなのですが、それは、単純所持摘発の実務、つまり、摘発を受けた市民にとっては緊急事態なわけですが、そうなった場合、

2 「受け手」の見た目での判断、及び「児童ポルノ」の定義そのものが、信用できなくなる

からです。

と、言うのも、ある家に警察官が家宅捜査に来るという時点で、一定以上「捕まえる気満々」だと考えることができ、

● 「所持」は現行犯なので令状は要らず、現場の警察官の一存で、逮捕に至ることができる

● 本来、もっとも重要な「児童」かどうかの判断も、警察当局が「見た目」で判断すれば立件可能に

というような条件が重なっているので、違法薬物の取り締まりなどでは到底不可能なゴリ押し検挙がし放題の状況があるのです。重要なのは、対象の画像や映像に対して、「自分が児童ポルノと思うかどうか」ではなく、「捜索に来た警察当局に認定される危険はないか。ねじ込まれるリスクは本当にゼロではないのかどうか」を価値判断の基準にしなければならないということです。

児童ポルノかどうかを判断するのは、多くの場合受け手ではなく、「捕まえる気満々の警察」であるだということを考慮するとなれば、ほんの僅かでもあてはまる危険があったなら、その時点で無条件に、「要注意」のC群、「危険度高し」のD群に当てはめ、廃棄を行っていかなくてはならないでしょう。

さらには、

3 自宅、自室に存在する、情報物以外の物品も、可能な限り整理、処分する

ことも、重要になってきます。前回述べた「準空気銃」や「両刃ナイフ」への対処という部分もありますし、物が整理され、少なくなればなるほど、本や映像、記録媒体を、どこかに置き忘れ、チェックを怠ってしまうという「事故」の危険性を減らすことができるからです。可能な限り物品を整理しておくことが、比喩でも何でもなく、社会的な「生き残り」の確率を左右することになるでしょう。



さて、画像などの情報を記憶するROMなどの記憶媒体に関しては、一体どのように対処すればいいのかという疑問が出てきます。媒体の形式が古い等々の事情があると、書籍とは違い、中にどんな情報、画像が入っているかどうかなども、容易には見ることができません。そして、何年も、下手をすれば十年以上も前に、どんな情報を取得、保存していたのかなど、正確に思い出すことなど、まず不可能です。そんな、置きっぱなしの古い記憶媒体に関しては、

4 記憶媒体に関しては「D群」として対処を進める

ことが必要になってくると思われます。一体、どんな画像を保存したか分からないということは、それが「エロ画像」や「色っぽい画像」である可能性も十分にあり、実写の画像であったとするなら、その被写体が「児童」、ひいては「児童ポルノ」ではなかったという保証はどこにもない、ということになります。媒体の中身をチェックして、「児童ポルノ」でないことを明らかに出来ない以上、それは、持っているだけで逮捕、のリスクがある強力な危険物ということになります。危険物であるならば、手を尽くして見つけ出して、もっとも危険な枠組みのものという前提で、廃棄等の処分を進めなければならないでしょう。


5 PCや携帯電話などの機器は、単純所持規制施行前に、一旦買い替えるか廃棄するのも有力な選択肢

過去の情報を記憶する媒体を有しているという性質は、PCや携帯電話などのIT機器にも同じことが言えますが、情報を閲覧することができ、削除もできるからといって、安全とは言えません。たとえ、問題のありそうな画像や映像などをこぞって削除したとしてもなお、「児童ポルノ単純所持罪」等に問われてしまう危険性が指摘されています。捜査にあたった警察当局が、データ内に含まれたキャッシュ(閲覧記録)があることを指摘し、児童ポルノ所持のかどで逮捕をしたようなケースも、海外では報告されているのです。日本で仮に単純所持処罰規定が施行された場合も、同様のことが起こらないと楽観することはできません。

故に、法が施行される前に、専門的な手段を講じて、データを抹消するなりといった方法が必要となってくるわけですが、完全に「復元できないように」データを抹消することはかなり難しく、「抜け」があった場合のリスクは重いものがあります。そうしたことから、単純所持規制施行前にPCや携帯電話の買い替えを行い、古いものを廃棄するといった選択肢も、有効であると考えるところです。


常識的な範囲で考えるなら、児童ポルノ禁止法が制定されるずっと以前から存在し、取得や所持に対し、罪に問われることがなかった、「実写の映像や画像、写真等々」の一部を突如として持つことすら禁じたとなれば、多くの人は、「犯罪者」にならざるを得ない状況に追い込まれてしまいます。罪の認識も持てず、故に廃棄することもできず、「過去の合法」が「違法」にすり替わる遡及的な形で、冤罪ではなく「正当」な形で法の処罰を受けることになるでしょう。誰が、犯罪者としてレッテルを貼られるか、どれだけの人が犯罪者として処罰されるかは、警察がどれぐらい「本気」で、誰を的にかけてくるかにのみ左右されます。そして、「児童ポルノ」に、「いつ」を問う概念が無い以上、潜在的な「児童ポルノリスト」の総数は増大することはあっても減少することはなく、児童に対する人権侵害云々とは関係なく、年月が経過すればするほど、市民が「児童ポルノ」を取得、あるいは所持して逮捕される危険性は増大していきます。情報を受ける側の市民には、根本的に、違法性を認識する材料がない場合が多いため、犯罪を回避することが物理的にできないのです。

「児童ポルノ」の取得、及び単純所持による処罰規定は、今までの法律とは根本的に異なります。たった一枚の画像から、数万人、数十万人の「虐待者」が、法律的に作り出され、画像のアクセス記録から、彼らは捕捉され、法的処罰の対象になるという、従来のものとは、「違反をしてしまう確率」、「捕捉される確率」、「違反者の絶対数」のいずれも、ケタ違いに大きい法律規定に、社会は支配されることになるでしょう。

しかし、どれほど厳しい状況でも、逐一対策を行っていけば、「生存率」を上げることはできます。社会が「地雷原化」する以上、どれほど努力しても法的に処罰される人が出てくることは避けられないでしょうが、それでも、現在の生活を確保し、将来の夢に向かい、家族の生活を守るためにも、「違反をしてしまう」危険性を徹底的に排除し、何とか頑張っていく必要があります。

私がこの「児童ポルノ犯になるという『事故』を防ぐために」シリーズを書かせて頂いたのも、この記事を読まれることで、一人でも多くの人の「事故」を防ぐ一助になればという思いからでした。

対象物が何であれ、「一億人が持っていれば、一億人が犯罪者となる」、「情報」に対する「受け手犯罪者化」のシステムはいずれ崩壊するでしょう。人権上も実務上も、情報の「受け手」を犯罪者化して、延々と無数の「虐待者」を生産し続けるシステムは、あまりにも無理があるからです。しかし、もし仮に受け手犯罪者化が成り立った場合、政治の世界が間違いを認め、方針を転換するまでには、長い時間が必要とされるかも知れません。

違法薬物の「受け手」に厳罰を設け、抑え込みをはかろうとする「ドラッグ戦争」は、作戦が開始されてから約半世紀が経過した今になって、ようやく、多くのところから失敗だとする意見が出てきました。ただ、そこに至るまでには、薬物政策が、数十年かけて、米国が世界最大とも言われる刑務所大国にまでなったことに、最大級の「貢献」をし、世界中で数千万人ともつかない、膨大な逮捕者を出し、やっと、実利的には意味が乏しいのではないかとする結論にまで行きついたのです。依存性こそありませんが、受け手が違法性に気付けず、罪を犯してしまう可能性がずっと高い「児童ポルノ」に関しても、方針転換、作戦の瓦解までの間に、ドラッグ戦争と同等以上の「犯罪者」を生みだしてしまう確率は、決して低くないかも知れません。

しかし、しっかりと将来設計をし、安定した生活を送るということであれば、いかに難しかろうと、徹底的な対策を講じ、法的処罰を受ける危険性を排していかなければならないでしょう。そして、「受け手犯罪者化」政策が撤廃され、市民生活に安全が訪れる日まで、ある種の緊張状態を日常化させ、従来とは違うシステム、マニュアルに、完全に符合した日常を送る必要があるはずです。

長々と書いてしまいましたが、今回記しました「児童ポルノ犯になるという『事故』を防ぐために」シリーズが、実際に「事故」を防ぐ対処のためのパターン構築の一環となれば、私としては本当に幸いです。

本日のまとめ

● 書籍や映像作品などは、「児童が含まれた写真の有無」などの要素から、数種類に区分けし、ランクによって保管、処分方法を考える。

● 個人的な思い入れや基準より、「捜索に来た警察がどう判断するか」を基準にランク分けし、少しでも危ないものがあれば、徹底的に廃棄していくのが安全上の観点からは重要。捜索された場合、ある程度以上「逮捕する気満々」の警察官に、多大な裁量権があるという形で前提を組み、緩めないように気を付ける。

● 情報物以外の物品に対しても、本や映像等のチェックの「抜け」を防ぐ観点から、可能な限り整理し、情報の紛れを減らすように注意したい。

● PCが対応していない古い記憶媒体や、古い携帯電話などは、基本的に「最も危険な物品」として扱うべき。どんな画像を保存したのかなど、今では分からない以上、「児童ポルノ」が含まれていない保証はどこにもない。

● たとえ削除していても、キャッシュのデータなどから「児童ポルノ単純所持」とねじ込まれる危険性があるので、PCや携帯のデータは、入念に抹消するか、買い替え、古いものは廃棄する。

● 情報の整理、処分は、単純所持処罰規定が施行される前に完全に済ませておく必要がある。情報を持っていた時点で「単純所持」が成り立ってしまうからだ。

● 「情報」の取得、単純所持処罰規定に対応するのは簡単なことではないが、それでも徹底して対策を講じれば、「生存率」を高めていくことは不可能ではない。仮に取得罪や所持罪が成立したなら、いずれ「受け手犯罪者化」が瓦解するその日まで、対策をパターン化、日常化して、徹底して対処していくことが重要になってくると思われる。



2011-07-27 19:30:52

児童ポルノ犯になるという「事故」を防ぐために(5)単純所持規制編(上)「家宅捜索時代」への対処

テーマ:反児童ポルノ法
今回からは、想定される児童ポルノ規制の中でもっとも強力な、単純所持処罰規定への対処を考えていきたいと思います。

通常、法が制定される以前の、該当行為に関しては処罰しないというのが、「刑罰不遡及の原則」であり、法治の根幹の一つとも言えるわけですが、所持罪に関しては、「別」になります。

それは、かつて合法的に購入、あるいは取得したものであっても、購入してからどれほど時間が経過したものであっても、所持していれば、罪に問われてしまうわけで、実質上、遡及しての法の適用がなされると言えるわけです。

もっとも、法的には、所持罪は購入罪の遡及適用ではなく、あくまで「所持罪を犯した」という形が取られますので、遡及性はないものと解釈されますが、実質上は、遡及法としての性質を強く持っていると言えます。

そして、規制論議の結果によっては、「児童ポルノ」にまで、単純所持規制が設けられようとしていますが、この規定は、他の物品に比べてあまりにも危険が大きいと言えます。「児童ポルノ」は、銃や薬物とは異なり、「受け手」側が、物品の違法性を認識できない可能性が非常に高いという性質を持っています。また、定義によっては、過去に出版された書籍や映像、個人的な写真の中にも、含まれるものがたくさん出てきます。

デジタルデータを含めた「児童ポルノ」の単純所持まで禁じるということは、五年前、あるいは十年以上前に、ネットで拾ってきたような画像や映像を残らず廃棄し、かつ、数十年以上前のものまでを含めて、「それっぽい」写真や映像の全てを廃棄しなければ、罪に問われかねないことを意味します。これを逃れるためには、本当に徹底した、従来の常識からは考えられないレベルの防衛策を講じなければ、身の安全は到底保障できるものではないでしょう。

さて、単純所持罪、あるいは取得罪が創設された場合、取り締まり当局は、街頭での職務質問→逮捕の形を除けば、まず家宅捜索に入り、そこで証拠を押さえて摘発という形を取るものと考えられます。これは、「児童ポルノ」に限った形ではなく、所持、あるいは単純所持が禁止されている物品への捜査過程では、常套的に用いられる形です。そして、「所持」や、「取得」となると、今までの児童ポルノ犯一斉摘発よりも、その規模ははるかに大きくなると考えられます。

恐らく、ネット上の画像掲示板等に置かれた「児童ポルノ」画像等へのアクセス記録が「容疑者リスト」として運用され、あるいは、先日発表された「児童ポルノ愛好者リスト」が、「捜索対象者リスト」に「化ける」のかも知れませんが、児童ポルノ禁止法の単純所持・取得罪創設により、今までよりも、市民が家宅捜索を受ける可能性がかなり高くなったというのは確かでしょう。つまり、迫り来る「大家宅捜索時代」に対応し切れなければ、法的な処罰を受けることを免れるのは難しいということにもなります。

● 所持禁止物、とりわけ、両刃ナイフ「準空気銃」の廃棄を行っていくことが、リスクコントロールの上で重要

「家宅捜索」に対応するとなると、「児童ポルノ」、と可能性がある物品への対処はもちろん不可欠ですが、「犯罪者になる」という「事故」を防ぐためには、それだけでは不十分と言えます。自宅に所有している物品が警察当局にチェックされるわけですから、たとえ「児童ポルノ」が存在していなかったとしても、所持を禁じている物品があることが知れれば、その物に対する所持禁止の罪で法的処罰を受けることになります。

一般に所持禁止品というと、覚せい剤に代表される違法薬物や銃器など、合法品とはかけ離れた物を想像することができますが、実際は、そうとも限らないのが現状です。近年法改正によって、少し前までは普通に売られていた物がいくつも、現在では単純所持が禁止されている現状があるのです。

具体的には、銃刀法の改正によって、プラスチック製のBB弾を射出するおもちゃの銃(エアガン)のうち、基準以上の威力のものは準空気銃として、所持そのものが禁じられることになりました。基準としては6ミリBB弾を射出するものの場合、約0.989ジュール以上の威力を持つもの、8ミリBB弾を射出するものの場合、約1.649ジュール以上の威力を持つものに関しては、所持そのものが禁止という、極めて厳しい規制が、近年成立したのです(参照 STGAのQ&A http://www.stga.ecnet.jp/modelgun_qa.html)。つまり、基準値以上の威力を発揮するおもちゃの銃を持っていただけで、銃刀法違反に問われることになります。

また、別の時期ではありますが、同じく銃刀法が「改正」されたことによって、刃渡り5.5センチ以上の「剣」(両刃ナイフ)の所持が、原則として禁止されることになりました。

これは、秋葉原で起きた通り魔事件がきっかけとなって規制対象となったとも言われ、一般には「ダガーナイフ規制」とも言われていますが、実際のところは、投てき等の目的で使われるスローイングナイフや、忍者が使う道具として知られる(万能スコップのようなもの)「くない」なども対象になります。また、ダイバーが趣味や業務で使う両刃のダイバーナイフも規制の対象になるようで、さらには、牡蠣(カキ)剥き用のナイフや養蜂に使う養蜂ナイフすら抵触する危険があると考えられ、物議をかもした経緯があります。

つまり、「刀狩り」ならぬ「ナイフ狩り」、「おもちゃ狩り」が、近年急速に行われつつあるというわけです。単なるおもちゃを規制して、治安にどのような効果が期待できるのか、芸術的、文化的な価値が高いダガー、競技的な価値を有するスローイングナイフ、伝統的な忍具である、くない、果ては、ダイバーが使うナイフや、牡蠣剥きや養蜂に使うナイフの所持までをも禁じるような法律に、一体何の合理性があるのか、あらゆる方面への弊害を甚大なものにしているだけではないかという疑問はありますが、今回着目すべきは、

1 児童ポルノ禁止法の規制強化によって到来する「家宅捜索ラッシュ」によって、今まであまり適用はされてこなかった、「おもちゃ狩り」や「ナイフ狩り」が本格化する

2 対処できなかった場合、最悪「児童ポルノ所持・取得+銃刀法違反」の罪で、児童ポルノが存在していなかったとしても「銃刀法違反」で逮捕されるという事態になる

3 「所持」は現行犯なので、令状を必要とせず、現場の判断で逮捕されるか否かが決定する

といった点だと言えます。

今まで、ダガー等両刃ナイフ規制や、準空気銃規制によっての摘発は、大々的には行われてきませんでした。いかに理由を付けようと、「ナイフ狩り」、「おもちゃ狩り」に過ぎないとも言える案件に、警察が総力を投じないのは納得のいく話ではあるのですが、児童ポルノ単純所持を理由にした、家宅捜査の頻発化によって、これらナイフやおもちゃの所持による法的処罰の可能性は一気に高まると考えられます。

いくら今まで本気ではなかったとは言え、捜査に入った家から物品が見つかったら、警察としては見過ごすわけにもいかないからです。

そのことが組み合わさった結果、児童ポルノ単純所持だけではなく、銃刀法違反でも摘発され、厳罰が科せられる危険性が増加し、あるいは、児童ポルノ禁止法での逮捕はなかったものの、銃刀法で逮捕されてしまうというような、思いもよらぬ事態に直面する可能性が高くなってしまっているとも言えます。

また、両刃規制に関しては、現行の児童ポルノの基準よりも厳密な基準が定められてはいるものの、それでも曖昧な点は残っており、養蜂ナイフなどに関して、合法か違法かと、物議をかもした例もあるのですが、「所持罪」の場合、現行犯で逮捕され、令状も必要としないという形になるわけで、恣意的に身柄を拘束されたりといったリスクも、通常の法処罰に比べて大きいと言える問題点もあります。

これらのことから、基準を超過したおもちゃの銃や、両刃のナイフなどが住居や物置などに保管されていないか厳しくチェックし、もしあったとしたら、できれば法的に身の安全が保障される何らかの方法でもって、それらのものを廃棄していくということが必要になってくると言えます。

実際には、廃棄猶予期限を過ぎた今となっては、所持していることが判明した時点で、「法律に違反」しているとも言える状況があり、法的には苦しい立場にあるのですが、だからといって放置しておいては、児童ポルノ単純所持と重複し、あるいは、銃刀法単独で摘発されるという危機に直面したままということにもなるわけで、保管しているかどうかのチェックと的確な対処は必要になってくるはずです。

次回は、このシリーズの締めとして、もし仮に児童ポルノの単純所持規制が成立してしまった場合、どのように対処するのがベストかを考えていきたいと思います。

正直なところ、場合によっては、数十年以上も経過した、「児童」の単なる裸を含めて廃棄しなければならない「児童ポルノ単純所持規定」は、難易度的に言えば、今回述べた両刃ナイフやおもちゃの銃とは比べものにならないほど、きっちり廃棄をするのは難しいですが、それでも完全な対処をしない限り、犯罪者のレッテルを貼られるのを避け、変わらぬ日常を送ることが難しくなってしまいます。可能な限りシステマティックな安全対策を講じていきたいと思います。

今回のまとめ

● 単純所持・取得罪の設置によって、対象者が広範に及ぶこともあり、従来よりもずっと多くの家宅捜索が行われるようになるものと考えられる。

● 家宅捜索が行われるということは、児童ポルノだけではなく、他の単純所持を禁じている物品を保管しているだけで罪に問われるということを意味している。その中でも、数年前まで合法だった、「準空気銃」と「両刃ナイフ」に関しては、うっかり所持している可能性が高く、持っていた場合、銃刀法違反で処罰されることになる。

● 今までは、「準空気銃」も「両刃ナイフ」も、捕捉効率の低さもあってか、あまり「本気」での摘発は行われてこなかったが、家宅捜索の際に出てくれば、警察としては当然処罰しなければならない。また、所持は「現行犯」なので、令状取得の必要がなく、現場の判断に委ねられる。両刃ナイフ規制に関しては曖昧な部分も多いのだが、「とりあえず身柄拘束」という形にもなりかねない。

● 「児童ポルノ」の単純所持処罰化がなされたという場合は、家宅捜索でのダメージ、あるいは、児童ポルノ単純所持容疑での捜索の際のダメージを緩和するという意味でも、「準空気銃」や「両刃ナイフ」が家にあるかどうかのチェックと、存在した場合法的に問題のない形での廃棄は必須であると考えられる。

2011-07-26 19:45:45

児童ポルノ犯になるという「事故」を防ぐために(4)無償取得罪編

テーマ:反児童ポルノ法
今回は、代償を伴わない、無償での「取得」が処罰対象になった際の対処方法を考えていきたいと思います。

有体物だけではなく、デジタルデータの取得までが法的処罰の対象となった場合、実質上、インターネット上の閲覧行為もアウトということになりかねません。何故なら、インターネット上の画像や映像に関しては、情報をダウンロードして(「取得」)はじめて閲覧ができるという性質があるからです。

そして、無償での取得までが処罰範囲となった場合、極めて多くの人が、「いつ逮捕されるか分からない」状況に追い込まれることになります。

IT化が進展した現在、メディアの進展は、とりわけアダルトメディアにも大きな影響を与えており、いわゆる「18禁」の画像や映像を見たりするための媒体は、紙やビデオからネットへと、変化しつつあります。つまり、

「エロ画像」を見たりするためにネットを使うことは、ごく当たり前の選択肢となって久しく、特に男性なら、嗜好性に関わりなく、画像や映像閲覧のためにネットを使うという人の割合は極めて多いものと考えられるのですが、いわゆる「児童ポルノ」の「取得」が禁じられるとなると、男性層の多くは、法的処罰を受ける危険と隣り合わせの事態を強いられることにもなりかねません。

そして、その危険は、かつてないほど大きく、しかも、いわゆる「ロリ好き」かどうかといった、性的嗜好とは原則的に関係なく危機に直面することになります。

何故なら、「若い女性が出ている」成人向けの画像や映像を好むのは、ごくごく普遍的な嗜好性と言えるわけですが、実際に、ネットの画面で見ている若い女性の年齢は、本当は何歳なのかは分からないからです。

二十歳かも知れないし、二十二歳かも知れません。しかし、その画像や映像の被写体が十八歳未満、あるいは、十八歳未満だと当局に「判断」された場合、その画像は「児童ポルノ」ということになり、それを見たり、画像をHDに保存したりした人は、犯罪の認識などまったく持てない、持てる材料すらない状況のまま、「児童ポルノ犯」になってしまうからです。

また、ネット上の情報に関しては、アクセス記録から、受信者を辿ることが容易であり、一つのサイトに貼られた画像が「児童ポルノ」として問題になった場合、アクセス記録が「容疑者リスト」として運用され、一つの画像や映像を起点に、無数の人が逮捕されてしまうという事態が発生します。

海外では、いくつかのサイト等を起点に、無数の人が逮捕されるというような「作戦」がしばしば発生していますが、それは、「アクセス記録から捕捉が可能」という性質があってこそのものです。見たこと、あるいは取得したことを、完全に証拠として押さえられるシステムは、ネット以前には考えられないものでした。

無償取得罪の創設は、ただ単に色っぽい画像を見ていたはずという無数の人を、一挙に犯罪者にしかねない危険性を持っています。しかも、逮捕される市民の側は、画像の「性質」について正確に認識し、判断する術は持っていないため、他の「普通」の法律に対するように、罰則対象行為を回避し、法律違反をしないように努めること自体が困難になります。

こうしたことから、無償取得罪の創設は、とりわけインターネット社会を「地雷原」のように、危険極まるものにしてしまいかねないと言えるのです。もし「地雷」を「踏んで」しまったら、犯罪者として扱われることになります。

そうした点から考えても、無償取得罪、及び単純所持罪に抵触するという「事故」を防ぐ行為は、提供や公然陳列、製造、購入を防ぐことに比べて、はるかに難易度が高いと言えます。正直なところ、どれだけ注意を払っても、常識的な方法では、「地雷原」からは逃れることは難しいと思います。

しかし、「事故」れば、場合によっては実刑もあり得るというのが児童ポルノ禁止法の規定ですから、「失敗しました」では済まされません。どんなにまずい状況の中でも、1%でも「生存率」を上げることができる方法を模索していきたいと思います。

● ネットの「巡回先」を完全に限定、「危険性」のあるサイトには意識的に近付かないようにする「絞り込み」を

ユーザーにとって、どれが「危険」な情報か分からず、「踏んだ」時点で「容疑者」となり、しかもその事実はデータとして蓄積され、捕捉、追跡されるという、あまりにも危険な特性が取得罪にはあります。

しかも、「児童ポルノ」は(現行法では)「いつ」を問わないことから、年数が経てば経つほど「児童ポルノリスト」は巨大化し、児童に対する人権侵害云々とは関係なく、「犯罪者になりやすい状態」が、年々強化されてしまうという性質を持っています。

しかし、ネット上があまりに危険な「性質」を法律によって持つに至ったにしても、現実問題、PCや携帯電話を通じてのインターネットでの情報閲覧、取得そのものを全て打ち切ってしまうことは、不可能に近く、今後、情報媒体の基盤がネットに移行していくに従って、さらに困難になっていくでしょう。

と、なれば、インターネット上で取得、閲覧する情報の「安全性」を、意図的に高いものにしていくことで、危険性を和らげていかなければなりません。

具体的には、マスメディアのWEBサイトなど、仕事や学業に必要な情報を取得したりするのに必要で、安全なサイトだけをリストアップし、そこだけを巡回する形を取ることが望ましいと考えられます。「児童ポルノ」が表示されたら、最悪その時点でアウトで、しかも、違法かどうかの認識ができない状況があるとあっては、従来のように興味に従ってネットサーフィンをしていくのは、「地雷原」で散歩をするような危険性を伴いかねません。

とりわけ、実写系のアダルトサイトを見て回るのは、非常に危険性が高いと言えます。

もし、取得罪が施行された状況でアダルトサイトを見て回るのでしたら、基本的に、漫画やアニメのイラストや小説など、実在の児童とは関係のない「二次元系」のサイトに限り、それも、実写系アダルトサイトへの画像付きリンク(被写体が何歳か分からない、つまり「児童ポルノ」の危険もある)がないサイトに限るのが最善と言えます。

もし、実写系のアダルトサイトに行くのであればAV制作会社が動画を配信しているなど、被写体が十八歳以上であることに、一定以上の信頼の置けるサイトを選ぶのが望ましいのではないかと思います(ただ、それでもネットの場合「事故」が発生した際の情報も蓄積、追跡されますので、ベストな選択肢とは言えない部分があります)。

インターネット上の掲示板などに貼られたURLは、リンク先に絶対の信頼が持てない限り、踏むべきではないでしょう。開いた先に出てくるのが、恐るべき「地雷」でないという保証がない以上、リンクを辿るのはデメリットが大き過ぎます。

● 画像読み込み機能オフ設定は、根本的な効果が見込める反面、当局がどう判定するかは不透明

さらに一歩進んだ対策として、PCや携帯電話などの「画像読み込み機能」をオフにして、性質に関わらず、全ての画像や映像の閲覧を一旦取りやめるという方法もあります。

そして、どうしても見たい画像があるという場合は、信頼のおけるサイト等であることを確認した上で、手動で読み込みをオンにして、見終わった段階でオフに戻すという形を取ります。

こうした設定機能を活用した情報遮断は、基本的に「全ての」画像情報などを閲覧できなくする、つまりは、情報をDL=取得できなくするわけですから、設定を怠らなければ、効果は絶大です。

今までのインターネット・ブラウジングとはあまりにも異なり、従来の常識的な防衛策からすれば、明らかに「強力過ぎる」機能制限ではあるのですが、「地雷原化」したネット空間から身を守る上では、効果的と言えるかも知れません。

ただ、問題は、取り締まる側が、「受け手」側からの情報遮断行為をしっかりと認識し、判断に反映させることができるかどうかという点です。例えば、ある画像掲示板にアクセスしたとして、「受け手」側が、画像読み込み機能をオフにしていれば、掲示板内にある画像がどんな性質のものだったにせよ、「受け手」のPCに画像が表示されることはないでしょう。

しかし、その掲示板に貼られた画像に「児童ポルノ」が含まれていて、無償取得が法的処罰の対象となっている場合、恐らく、当局側は、アクセスしてきた記録を、一定以上そのまま「容疑者リスト」にする形で、捜査を進めていくものと考えられます。

その際、アクセス者の画像読み込み機能のオンオフを読みとり、捜査・摘発に反映する技術があるのかどうかという部分に疑問があります。

もし仮に、画像が掲載されているページへのアクセス記録のみが「証拠」として扱われる形になれば、「受け手」側の画像読み込みのオンオフを問わず、捜査の対象になってしまうという懸念が残るかも知れません。

とは言え、情報をDLしていない=「児童ポルノを取得していない」という事実そのものは、非常に重要なことは確かであり、従来の常識に合致するかは置くとして、根本的な解決策としては有効と考えられます。

● 「不要な時は巡回しない」ことで、「失敗率」の減少を

先に、「事実上、PCや携帯でのアクセスそのものを全面的に中止することは不可能」と述べましたが、一方で、ネットにアクセスして情報を取得しない限りは、自分では違法かどうか分からない情報を、「極めて当局に捕捉されやすい形で」取得してしまうという危険は、原則的に防ぐことができます。

つまり「事故」のリスクは大幅に減少させることができるわけで、インターネット上で情報を取得する機会を減らすことができれば、その分安全度を上げることができます。犯罪の認識が得られないという時点で、軽犯罪を含めた通常の犯罪、あるいは軽微な交通違反よりもずっと犯してしまう危険性が高く、しかも量刑は、交通違反とは比較にならないほど重く、「過失」があった時点で懲役もあり得るという過酷さがありますが、だからこそ、「生存率」を上げるための努力はどれだけしてもやり過ぎではないと考えられます。

ただ、この記事でも何度も述べましたように、「受け手犯罪者化」は、とりわけ情報源基盤であるネット上を、「地雷原」にしてしまうものです。捕捉や追跡がなされることから、「追尾式」の地雷と言ってもいいかも知れません。

どれほど知識がある人が、どれだけ手を尽くしても、「踏む」ことを絶対に避けるというのは困難でしょう。先進各国で「児童ポルノ」という名目で、「受け手」が違法性を認識できない画像や映像の取得や所持に対して罰則が取られていますが、こうした法律は果たして本当に「守れる」法律なのでしょうか。

人の平均寿命が八十年だとして、八十年の人生の中で、ただの一度も「地雷」を踏まない、あるいは、数回にとどめるということが、インターネット社会、情報化社会が進展した現状において可能な選択肢なのか、個人的には極めて強い疑問を抱かざるを得ません。

そして、「守れない」のであれば、誰もが潜在的な犯罪者となり、社会は、刑務所がかつてないほどに拡大した超監獄社会か、常に当局者が恣意的に法執行の是非を決める、人が人を裁く、法治以前の人治社会に行きつくしかの選択肢しかあり得ないということにもなります。

市民側には、今までの法律とは全く「違う」受け手犯罪者化法にも、どうにか対応してやっていかなければならないわけですが、法律を作る側の態度として、大義名分や実効性云々以前に、(常識的な方法では)「守れない」法律を作ってしまうのは、あまりにも問題が多過ぎます。こうした規定を設ける前に、「本人の心がけ次第で八十年間守り続けられる類の法律なのかどうか」を考えるべきでしょう。

次回からは、「単純所持処罰」規定への対処について考えていきたいと思います。取得罪よりもさらに対処が難しく、遡及性も有していますが、その中でも、どのような対応策を練ればいいのかを考えていきたいと思います。

本日のまとめ

● 対象の画像等が違法かどうかの認識を持てず、しかも捕捉、追跡される、(特にネット上の)無償情報取得に関しては、今までとは全く違う、強力な防止策を講じる必要があるが、それでも「確実」とは行かない。

● ネットでの巡回先を、安全なサイトに完全に限定し、「児童ポルノ」が存在する危険のある「危険な」サイトには徹底して近付かないようにする。特に、実写系のアダルトサイトは、極めて危険性が大きく、サイト上のモデルが十八歳以上であるという、確かな保証がない限りは、そのサイトには行くべきではない。

● インターネットの匿名掲示板などに貼られているURLをクリックし、別のサイトにジャンプすることは止めるべき。飛んだ先に貼られているのが「児童ポルノ」ではないという保障はどこにもない。

● PCや携帯の画像読み込み設定をオフにすることで、画像等そのものを読みこまない=情報データを取得しないという、根本的な対策を取ることができる。ただ、「受け手」が見ていなかったとして、アクセス記録などから、捕捉、追跡を行うと考えられる捜査当局が、画像を読み込んでいなかったかどうかを判断し、さらに、免責の材料とするかどうかは未知数である。

● 不要な巡回を避けることで、情報閲覧の絶対数を少なくし、「失敗率」を下げることができる。

● ただ、ここまで述べてきた対策全てを講じても、「地雷原化」したネット空間に完全に対応するのは困難で、ましてや、人生の中において、一度も踏まない、数度しか踏まないということはまず考えられず、となるとこの法律は、「守れない」法律ということになる。

● 守れない、そして多くの人に影響が避けられない法律を順守するとなると、無数の人が犯罪者になる監獄社会か、常に人が法を裁く、法治以前の人治国家のいずれかという、恐るべき形に社会の形は落ち着いてしまう。法的処罰の範囲を拡大する以前に、そもそも、この法律が「守れる」法律なのかどうか、再考する必要があると思われる。


2011-07-25 21:34:09

児童ポルノ犯になるという「事故」を防ぐために(3)購入罪編

テーマ:反児童ポルノ法
今回からは、現行法では制定されていない、購入、取得、単純所持といった処罰規定が制定された場合、児童ポルノ犯になるという「事故」に遭遇しないためには、一体どうすればいいのかを考えていきたいと思います。

この記事を執筆している段階では、民主党WTの結論は出ていませんが、議論の行方次第では、取得や所持に対しての規制が加わることもあり得る以上、今のうちに対策を考えておくことも有意義だと考えます。

さて、購入罪(有償取得罪)は、文字通り、「児童ポルノ」を購入することによって発生する事案です。有償で支払って取得するというプロセスを踏んでいるので、単なる「取得(閲覧)」や単純所持に比べてハードルが高く、比較的「うっかりミス」が起きにくいという特徴があるものの、それでも「事故」の危険は少なくありません。

被写体が「児童」かどうか分からないということも少なくない上に、(現行法では)「児童ポルノ」の
定義が曖昧で大変分かり辛いからです。

児童ポルノ購入罪では、故意的に児童ポルノを購入したというようなケースを除けば、大きく分けて二種類の「事故」の危険性があります。具体的には、

1 一般ポルノだと思って買った成人向け作品の被写体が「児童」だった

2 児童が出演している穏当な作品を購入したら、その作品が「児童ポルノ」と認定された

という形での突発的なアクシデントが予想されます。では、「事故」の危険性をどうやって回避すればいいのでしょうか。

● 「裏モノ」は買わない、また、合法ポルノでも「事故」の可能性自体は皆無ではないことを把握する

まず、「1」のケースに関してですが、いわゆる、無修正などの「裏モノ」と総称される、実写系の違法なポルノに関しては、購入しないことが危険回避のためには重要になってくると考えられます。

「裏モノ」と言っても色々あるのだろうと思いますが、特に、ネットで拾った映像をDVDに焼き直したというようなものの場合、当然ですが、被写体の年齢を客観的な証拠でもって特定するという過程は取られません。つまり、買う方はもちろん、売る方でさえも、その映像が「児童ポルノ」であるかどうか分からない状況が存在するというわけです。

となれば、必然的に、被写体が「児童」だった、あるいは、「児童」だと「判断」されたというような形の「事故」の発生確率は非常に高くなり、購入罪が設置されたとなれば、買い手も犯罪者として立件される危険性が生じてくるのです。「事故回避」という観点からすれば、「裏モノ購入」は徹底して避けた方が良いのではないかと思われます。

一方、合法的に出版されている雑誌やDVDなどの成人向けコンテンツに関しては、厳格な年齢特定がなされています。企業として活動しており、何かあればすぐさま制作側が摘発、逮捕されるというシビアな状況に裏打ちされてもいることから、高い信頼性があると言えます。たとえ、モデルがいかに若く見えようと、AVやポルノに出演しているのであれば、十八歳未満ということは、原則としてあり得ないと考えられます。

ただ、どれほど厳格に確認をしようと努めても、年齢確認に「抜け」が発生するようなミスを、永久に発生させないようにすることはできないわけで、極めて低確率ながら、「ミス」が発生する危険性は存在します。また、「児童」自身が、身内の身分証明書を使うなりして、自分の年齢を偽ることもあり、そうしたことがきっかけで「児童ポルノ」が、製造、販売されてしまう危険も存在します(見た目で年齢を把握するなど、個人差から考えても困難です)。

年齢確認のミスは、完全に制作側の責任であり、「児童」が年齢を偽ったようなケースに至っては、ある意味では制作側も被害者と言えます。特に、後者の事例に関しては、「児童」側が年齢を偽ってまで「撮影させた」とも言え、「児童虐待」云々とはまるで性質の異なる事例だと考えられるのですが、では、ここで述べたような二種類の事例が発生した時、購入者側の責任は一体どうなるのかという部分は、非常に重要な論点だと言えるでしょう。

もし、被写体が「児童」だと認識していないような状態での購入も罪に問うとなると、合法的に販売されているアダルト向け作品を買うにも「事故」を恐れなくてはならなくなり、「児童ポルノ禁止法」が、児童とは全く関係のない一般ポルノを規制し、購入者を法的処罰の危機に晒してしまうような事態を招きかねません。事実上の「一般ポルノ規制法」として機能してしてしまう危険があるのです。

そうした点もあり、私は、購入者を含めた「受け手」の処罰化には反対という意見を持っているのですが、少なくとも、購入罪を設置するのであれば、「過失的購入者」の罪は免責するという規定を作ることは必須でしょう。

でなければ、一般の商業ルートで販売されることもあり、何らかの「事故」が生じた時点で、一挙に数千人、あるいは数万人以上の児童ポルノ犯が誕生してしまうという、恐るべき事態を避けることができません。

とは言え、実際に「過失購入者」への免責が行われるかどうかは不透明である以上、合法ポルノの中でも「事故」が発生し得るという危険性は認識しておかねばならないでしょう。

● いくら穏当な作品であっても、「児童」が被写体として含まれているのであれば、常に「定義」を把握し、拡大解釈にも注意する

「2」のケースに関しては、今度の児童ポルノ禁止法改定で示される定義にも大きく関係してくるでしょうが、現状では、「児童ポルノ」は一般の「ポルノ」よりも定義がずっと広く、穏当な作品にも当てはまり得るものです。

また、過去合法的に公刊されていた、さらに言えば、現状出版されているものにも当てはまり、しかも「認定」は、法律が制定されてから何年もの時が経過してから「後付け」でされることもあり、極端な話、つい昨日まで当たり前のように売られていた作品が、「児童ポルノ」として法的処罰の対象になってしまうような危険が存在しています。

こうした前提の中で、「購入」までをも処罰対象にしてしまうとなると、十八歳未満の未成年者が被写体の水着のグラビア、あるいは同程度の露出がある映画等を購入すること自体も危険になり、そうした作品を買わないことでしか、法律から身の安全を守れない、無茶苦茶な状況が作り出されることにもなりかねず、芸能や文化といったジャンルそのものが壊滅してしまう危険性すらあります。

故に、そうならないための法的な対処が求められるところですが、実際問題、対策がなされず、「後付け」が可能という状況で購入罪創設がされる可能性も十分考えられますので、十八歳未満の被写体が登場するグラビアなどを購入する際には、「将来的に児童ポルノ認定されるかも知れない」という「万が一」を、一応考慮しておく必要が出てくるかも知れません。

次回は、無償での「取得」(ネット上での閲覧等)についての「事故」防止について考えていきたいと思います。

もっとも、無償取得や単純所持の違法化、処罰化規定は、ネット上を丸ごと「地雷原」にしかねないほどの脅威を持っており、常識的な方法では、全てを回避するのは極めて困難と言えますが、そうした状況の中でも、「生存率」を1%でも上げるための方法を模索していきたいと思います。

本日のまとめ

1 年齢特定がアバウトな危険があるため、「裏モノ」は購入しない。また、合法ポルノであっても、ごく低い確率ながら、「事故」の危険性は存在する。

2 条文にもよるが、ヌードですらない穏当な作品でも、「児童」が被写体である限り、「児童ポルノ」に「認定」される危険がある。「認定」は、「後付け」で行われるため、つい昨日まで当たり前に発売されていた作品が「児童ポルノ」だと認定されてしまう危険性もある。

3 「児童ポルノ購入罪」が、「一般ポルノ規制」、とりわけ「合法アダルトコンテンツへの脅威」とならないように、出版側のミスが購入者の責任問題にならないよう、あるいは、「児童」自身の虚偽申告によって、関係者や購入者が法的な処罰を受けないよう、「過失購入」に関する免責規定が必要。また、「児童」が被写体の穏当なグラビア等が、「後付け」で児童ポルノ「認定」されうるとなると、文化や芸能ジャンル全体に大きな悪影響が波及しかねないため、「後付け認定」を防止するための何らかの方策が取られることが望まれるだろう。

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