555+ | おとうさんのおもちゃばこ

555+

穏やかな陽光が作り出す連なり、緑色に乗って流れる二つの影は恐怖に怯え、駆け回る子鹿のようだった。
ヘビの様に見える身体を揺らしながら迫るオルフェノク。
ようやくオートバシンが見えてきた。
真理のこわばった表情はそれで緩むことはなかった。
オルフェノクはふと立ちどまり、空を見上げた。頭を揺らし首を回したその刹那!
蒼のキャンパスに緑が散り、銀色の身体が吸い込まれていく。
芝生を乗り越えアスファルトの駐輪場に駆け込む二人。
しかし…頭上を覆った影は轟音を響きわたらせて、アスファルトを砕いたあと…ゆっくりと立ち上がった。
真理はそのあまりの不気味な姿に立ちすくみ、遠のく意識をつなぎ止める事は叶わなかった。
恐るべき跳躍力で立ちふさがったオルフェノク!
「真理!」
巧は心の奥底に深紅の炎が燃え上がるのを感じた。
憎悪?…違う。
もっと原始的な欲求…欲望の炎。
早く555のクリムゾンスマッシュを奴に叩きこめ…。
揺らめく炎がそう囁いているようだった。