2009-08-24 00:29:39

『新しい労働社会--雇用システムの再構築へ』濱口桂一郎著

テーマ:ブログ

 秋口から、友人の建築家の方に頼んで、念願のキッチンリフォームをしようと思いただいまいろいろと調査中。家電売り場にもよく出かけているんですが、白モノ家電は価格落ちなくていいですね。

■日立が冷蔵庫値上げ 2、3万円程度
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/080826/biz0808262047006-n1.htm
 以前AVに特化したメーカーに常駐してて、同僚と家電売場をみにいくたびにどんどん価格が下がっていることに悲しくなったものです。白モノはやっぱり“メカ”って感じがするせいでしょうか。白モノメーカーの開発者はよくがんばっているなあ。
 日立のこの50万円の冷蔵庫とか、すごかったー。冷蔵庫というより収納棚だった。もちろん買えないんですけど(笑)。

http://kaden.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/03/04/3615.html

 冷蔵庫の買い替えと同時にキッチンリフォームをしたくなる人が多いと聞きますが、確かに、冷蔵庫がすごくてキッチンが貧相なのは悲しくなりますね。ただ、私は、会社にいたときはまとめ買いをしてましたが、今は時間的余裕があるので基本的にレシピをメモしてメモ通りのものしか買わないようにしているので、冷蔵庫のこの高級化傾向は見る分には楽しいんですけど、中くらいの大きさで高機能のが欲しいんだよね。そうなるとあんまりよい機種がない気がする。中くらいのだと、冷凍室が大きすぎるんだよね。あまり冷凍をしないので。何かいい機種ありませんかね?

 そんなこんなお店めぐりは楽しいのですが、大手家電量販店にに行くと、メーカー側から派遣されている店員さんが多いです。小売の店員さんより、一般的には商品知識があるし、まるで東急ハンズで電球買いにいったらシャンデリアのつけ方まで教えてくれそうな勢いで、話をしていてもおもしろい。でもこれ、「販売応援」という口実のもとの人件費削減。あまりに慣用化され過ぎ。大手量販店の体力勝負合戦は業界を疲弊させてしまう・・・難しいなあと思います。


 さてさて、いつもブログを拝見して勉強させていただいている濱口桂一郎先生 の新刊を読ませていただきました。

 新しい労働社会―雇用システムの再構築へ (岩波新書)/濱口 桂一郎

 今の労働問題を歴史的な経緯、法の意図も概観したうえで、まともな解決法を探る試みをされている素晴らしい本です。感動的に頭がすっきりしたので、長いエントリーになりますが、お許しください。

 「ちょっと前は“会社人間”を批判していたのに、正社員になりたい若者が増えて保守化しているのは、“貧困”論壇のせい!」みたいなことを以前バブル世代に言われたことがあるんです。いやいやいや別にそもそもバブル期でもふつうに会社に就職してた人のほうが多くて、「内定10社!」とかいばっていなかったっけとか心の中で呟いてみたり(苦笑)したのですが、今も昔も変わることなく「日本ではどうして会社人間になってしまうのか!」という初歩的な疑問をお持ちの方にまずお読みいただきたい本です。

 

 また、選挙が終わった暁には具体的に労働施策が論じられることは間違いなく、諸制度変更の土台として政治家や記者の方々も読んで頭を冷やしてほしい。


 加えてこの本は赤木さんへの「返答」という意味でも、一時さまざまな論者が返答したり反応してたり怒ってたりしてましたが、一番誠実に答えていらっしゃると思いました。

 以前、濱口先生は赤木さんの本にも丁寧なエントリーを以下のように書かれていましたよね。

--------------------------------
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post_2af2.html

それは全然無茶ではないのです。そこがプチブル的リベサヨ「左派」のなごりなんでしょうね。「他人」のことを論じるのは無茶じゃないけど、自分の窮状を語るのは無茶だと無意識のうちに思っている。逆なのです。「カネくれ!」「仕事くれ!」こそが、もっともまっとうなソーシャルの原点なのです。それをもっと正々堂々と主張すべきなのですよ。
--------------------------------
 「もっともまっとうなソーシャルの原点なのです。それをもっと正々堂々と主張すべきなのですよ。」と先生は書かれています。私にとって「まっとうなソーシャルの原点」というのは何だろうと考えてみると、小学生のときに、地元倉敷の地域学習で「アイビースクエア」に行ったんですね。
 「アイビースクエア」は07年に「近代化産業遺産」に認定されている明治時代の紡績工場をリフォームして作られたホテルです。
http://www.ivysquare.co.jp/
 塾に行くのに近道なので中をよく抜けてましたが、その地域学習のときに、このレンガの“蔦”というのはお洒落やデザインのためじゃなく、当時はクーラーがなかったので、紡績工場の労働者がちょっとでも快適に仕事ができるように、科学的に検証されて作られたものだということを知りました。 「へえー」。きっと「働く人を守るということは、資産になるのかー」と思ったんだろうと思います。当時、子どもなりに、童話とかアニメとか観てると「金持ち=悪、働く者=奴隷」みたいなイメージがあったわけです。わかりやすいのだと「フランダースの犬」とか見てると、「なんでネロの牛乳配達の仕事を大の大人が奪うんじゃー、><(泣)」。しかし、目の前の元工場、ちゃんと考えている大人たちがいたんだ、と。
 そして、この工場のことを調べると、この会社(クラボウ)は倉敷中央病院も作ってます(祖父が最期の迎えた病院)。この病院は当時から会社の工員用だけにとどまらず、地域に開いています。そのほかにも銀行も作ってるし、商業高校も作ってるし、奨学金も作ってるわ、蒸気エネルギー政策も転換させて、電力会社も経営しているわ、女工哀史の前の時代から、貧乏な労働者のために社員寮は作ってるわ、託児所まであるわ、飯場制度(ピンハネと労働環境がひどかった)を徹底批判、従業員を雇って会社で教育してるわ、孤児院の経営資金も出しているわ・・・・。そのほかもいろいろあるんですが、ネロも倉敷に生まれていれば・・・牛乳配達どころか小さな牧場のひとつでももてたかもしれない、と思ったわけですね。
 明治の昔にも考えられていたことが、それが今生きている自分の前にあるということが驚きだったわけですね。歴史とつながっているという安心感みたいなものもあったわけです。地に足がついた感覚。それが、私にとっては「ソーシャルな原点」だったんじゃないかと思います。
 社長である大原孫三郎は、社内で感染症のために、社員が死亡し、親が引責辞任をしたあとに跡を継いだ若い社長でした。工場に泊りこんで「どういった職場が快適か」ということを研究所まで作って考えていました。従業員のための饅頭まで作ってるんですが、倉敷中央病院もそういう思想だから、あのまずい「青汁」ができちゃうことになったのか・・・・「あれ嫌いだったけど、いいよわかったよ、がまんして飲む・・・うーまずー」とか思ったものです(笑)。大原は「命を守ること」、「快適であること」を重要視していたように思います。

 『新しい労働社会』は、「労働は命かかっている問題なのです!」という先生の熱さがまず伝わってきましたし、「カネか時間か」だけではなく、「命や健康」という一番大切なところが、確かに「残業代ゼロ法案」からは抜けおちていたと思います。反省しました。 
---------

 厚生労働省当局が振り回していた「自律的な働き方」という空疎な概念を(企業経営の立場からすれば、そんなものが虚構に過ぎないことは重々承知の上で)いかにもそれを信奉しているかの如き態度を取ることで、「どれくらい高給であれば残業代を払わなくてもいいのか」というまさに労使が決めるべき課題に正面から向かい合うこともなく、逃げの議論に終始してしまったと批判されても仕方がないでしょう。

 これに対して、労働政策審議会における労働側の反論は筋が通ってました。JAM(機械企業産業労組)の小山正樹氏は「本当に自律的に、仕事量も自分がすべて調整しながら働いているなどという人はいないのではないか」「本当にそういう人がいるというのでしたら、具体的な職場なり働き方の方においでいただいて、ヒアリングでもしてみたら、どうかと思うのです」と皮肉をかませながら、「実態としてはそこに自由な働き方、自律的な働き方などというのはないのだと。むしろ長時間働きすぎて、それによって過労死や過労自殺が生じているのだという実態を踏まえていただきたいと思います」と突っ込んでいます。

---------

 マスコミ側がこの論理に気づかす(私も含めて)、「労働時間規制」とか「休息期間の規制」という考えが出なかったのは、どうしてかなあと考えると、自分たちはやってるんですよね。出版社にいると割とふつうなことでしたけど、前日深夜残業していると、昼すぎても会社にこない人はけっこういます。「○○へ打ち合わせ直行」とか前日にホワイトボードに書いて家で寝てたり。ある種、黙認された健康管理といいますか。例えばオウム事件のときは私は新人で9時に出社してました。編集長は電車が遅れてて何かあったことには気がついていましたが、友達がいる出版社が事件のあった路線で、心配で電話したんですが、バイトさんしか来てなかったです。先生がお書きになっているEU指令「最低連続十一時間の休息期間」みたいなものでしょうか。そういった「裁量」は「黙認」されているのが当たり前で、マスコミの人はずっとマスコミにいる人が多いですから、マスコミ以外の多くの会社員の働き方にイメージがわきにくいんじゃないかと。マスコミの人だと「自律的な働き方」≒「休息期間の規制が勝手についてくる」みたいなイメージだったんじゃないかなあと思いました。


■労務管理のプロと労務のOJTが企業に必要!

 企業側としても社内がさまざなま雇用形態の人であふれていることを考えると、「自分を守る」「仲間も守る」労働の基本的な知識についても、濱口先生のような労働法の専門家を会社にきちんと入れて、「労務」の基本的なところについてはOJTでやればいいんじゃないかと思います。職場の仲間が「理不尽な目にあってもいい」と思っている人はいないんじゃないかと思います。
 例えば、企業のマスコミに対するリスク管理については、TBSと戦った郷原教授という専門家がいたわけです。
 非正規のメンバーはテクニカルな人事のこと(人間関係の機微も含めて)や雇用契約に関する話はどこにもできないので 「正社員のための(戦う)労組」までいかない段階で、大きな会社なら社内に「労働法相談室」「リスク管理室」が「リーガル」部門みたいなかんじでいてくれるといいなあとは思いました。 
 ただ、中小はそんな余裕がないでしょうから、やはり「企業別の正社員のための労組」だけではなく、もう少し開けた組織(開けた専門家個人)が必要なんだろうと思います。会社だって、なんらしかトラブルになって、国会で企業名を共産党に連呼されたり、
ネットでブラック呼ばわりされる前にそういった相談窓口やOJTがあったほうがよいような気がするんですけどね。
 派遣会社側にいらっしゃってもよいかもと思います。
 派遣会社が中小乱立していて、濱口先生のような法務知識に疎いから、派遣社員側が何かあったときに守れないといいますか、企業側も悪気なく使い倒してたりする場合もあると思うので、結果的にはそういった専門家がいる派遣会社のほうが信頼されると思います。 

 「長時間労働」など、心身ともに過酷なときって、1Fのファーストフード店で夕ご飯買うのも無理、もうクタクタ・・な人にとって、距離の近さは重要な気がします。電話やメールで話せないようなこともあるでしょうし。
 例えば、セクハラ研修とかは、私がいた企業で、講習がありました。商品の性質上、女性がかなり多い会社なので女性が強いもんで、セクハラはなかったですけど、海外勤務があったので日本だと許されることが海外だとNGのことがあります。訴訟なんぞ起こされたら大損になるので、会社持ちの立派な弁当つきの講習でしたよ。男性側はおもに加害者にならないための研修でしょうが、女性側はそういう目にあった場合はどうしたらいいか含めて。
 「労働問題をきちんと考えないと大損である!」ということがわかればそれを勉強することは仕事の範囲内ということになるんじゃないかと思います。


 続く~(論点がたくさんあるので分割してあげます)
 

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

hiromiyasuharaさんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

コメント

[コメントをする]

コメント投稿

AD

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

      ランキング

      • 総合
      • 新登場
      • 急上昇
      • トレンド

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。