ひろのひとりごと

日本は財政危機ではありません。
日本にはびこっている財政破綻論に異議を唱えます。
「日本経済が頂点に立つこれだけの理由」にて作家としてデビュー致しました。
※当ブログのグラフは自由に使って頂いて構いません。


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先月号のVoiceにて藤井教授が寄稿されていたコラムに対して、原田教授の反論記事が今月号のVoiceに載っていました。


[アベノミクス第二の矢]ついに暴かれた公共事業の効果
http://shuchi.php.co.jp/article/1916


そこで先月号の藤井教授の記事と今回の原田教授の記事を比較検証し、自分の見解を述べたいと思います。

藤井教授の記事はこちら
[安倍景気の行方] ついに暴かれたエコノミストの「虚偽」
http://shuchi.php.co.jp/article/1878

まず、藤井教授は公共事業(公的固定資本形成)の推移と名目GDPの推移に相関があるとして、公共事業の効果を主張しています。
その部分を引用すると

『 これは先に指摘したとおりだが、ここで加えて図2をご覧いただきたい。これは、原田氏が「政府支出の効果はほとんどなかった」と断じている1990年代における、名目GDPと政府系の建設投資額の推移だ。ご覧のように、政府系投資額が右肩上がりで伸びているうちは名目GDPが伸び、その減少局面では名目GDPも減少していく。』

と、主張しているのですが、原田氏は『WEDGE』(2014年3月号)のコラムで1990年代以降の支出拡大は効果がなかった」と言及していました。
なぜか、「1990年代以降」が「1990年代」にすり替わっており、藤井氏は、1990年代のグラフしか提示していません。

原田氏は「1990年代以降」と言っているのですから2013年までの期間にて相関を見なければならないと思うのですが・・・

それで、原田氏は今回のコラムで1980年~2013年の期間にて「公共事業と実質GDP」、「マネタリーベースと実質GDP」の相関関係を調査しています。

その結果がこれです

相関係数とは1が完全にデータが相関、-1だと逆相関。ゼロだと相関なしとなります。
大体0.6以上あれば相関関係があるとされます。

1980年~1995年は公共事業、マネタリーベース双方とも実質GDPと高い相関を示しますが、1996年以降は公共事業は逆相関・・・つまり、公共事業を減らすと実質GDPが成長するという結果が出てしまっています(名目GDPでも同じですが)。一方マネタリーベースは全期間通して高い相関をもっています。(1995年以降、相関係数は若干落ちますが)

ですから、公共事業とGDPは必ずしも相関するとは限らないが、マネタリーベースと実質GDPは常に相関を持っていると言えるのではないかなと思います。

※注 誤解があるようなので一応書いておきますが、以上の結果をもって公共事業を減らせば実質GDPが成長すると言いたいわけではありません。ただ、公共事業費と実質GDPが逆相関になる期間があると言う事を客観的に述べているに過ぎず、私が公共事業自体を否定していないことは本エントリー最後の方を読めば分かって頂けると思います(2014/5/16追加)

ここで、なぜ名目GDPではなく実質GDPなのか?についてですが、金融政策、マネタリーベースの拡大によりインフレになっても、ただ単に物価が上がっただけでは意味がないからです。金融政策が実質成長に寄与するという事を示すために実質値を用いているのだと考えます。
(原田氏本人もそう主張しています)

さて、私もデータを引っ張ってきて自分でグラフを作成してみました。


グラフ&エクセルダウンロード

視覚的に見ると分かり易いと思います。
1995年以降は公共事業とGDPが逆相関になっていますよね。
一方マネタリーベースとGDPは全体的に正の相関がありそうです。


しかし、だからといって公共事業がまったく無駄であるとは考えていません。

公共事業の効果が小さい=予算を縮小しろ、減らせ
というわけではありませんので。

震災への備え、老朽化したインフラの整備、東京オリンピックの準備、東北の復興

と、やるべきことが盛りだくさんあります。これらの優先順位の高い事業に限られたリソースを集中させるのがベストだと思います。
そして、「景気対策のための公共事業」はこの際捨ててしまった方が良いかと。

これについては原田氏も

『ケインズは、失業者がいるのだったら、穴を掘ってまた埋めるような仕事でも、失業させておくよりマシだといった。賛成はしないが、一理はある。失業者にただお金を配って生活できるようにするより、そうしたほうがよいかもしれない(もちろん、有益な公共事業をすればなおさらよい)。
 しかし、建設工事費や建設労働者の賃金が上がっているということは、その分野ではもはや資材や人は余っていないということである。ケインズ政策を行なう前提が崩れている。』

以上のように述べています。

現在建設業界は賃金が上昇し、それでも有効求人倍率が下がらない状況にあります。つまり極度の人材不足に陥っているということですね。

たしかに、マクロ全体で見ると失業者はまだまだ多く居ますが、これまでサラリーマンをやっていて失業した人、もしくはニートだった人がいきなり土木関係の仕事に就くことができますか?という話です。
職種のミスマッチが生じているため、この業界に政府が予算を突っ込んでも失業対策として効果が出にくいわけです。
(もちろん供給制約の範囲内で公共事業はゆるやかに拡大させて行きますが)

それよりも、公共事業に拘らずに他の分野で政府支出を拡大すれば良いのではないでしょうか?
原田氏も言っていますが、防衛産業が有効だと思います。

自衛官はなりたい人がたくさんいますからね。
試験倍率は相当に高い、狭き門なんです。

自衛官採用試験の難易度・倍率
自衛官の採用を倍とかにすれば、有効な雇用対策になると思いますよ。
防衛産業については供給制約もそれほどでは無いと思いますし。

一旦ここで区切ります
マネタリーベースと期待インフレ率の相関については「その2」にてエントリーします。

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