2012-01-26 22:28:59

日本経済を成長させるためには・・・

テーマ:経済
経済を成長させるためには、どうしたらいいか

ダイヤモンド・オンラインの記事ですが、この筆者は経済を成長させるためには

労働生産性を上げるか、労働者を増やせばいい と述べています。

これは実質GDP成長率が「労働生産性上昇率」「労働者増加率」として表わされることに基づいているのですが・・・

記事ではさらに

>まず労働生産性から見ていこう。日本生産性本部がまとめた「労働生産性の国際比較2010年版(2010年12月20日)」によると、日本の労働生産性(2009年)は、1998年以来、11年ぶりに前年度水準を割り込み、順位もOECD加盟33ヵ国中、第22位、主要先進7ヵ国では最下位となった。

と日本の労働生産性が低下している事を指摘し

>ところで、経済を成長させるもう一つの方法は、労働者を増加させることである。中長期的には、出生率2.0を回復したシラク3原則に象徴されるフランスの先例に学び、わが国の人口を減少させない施策をパッケージで実行することが要請される。もちろんこれは、成果が出るまでには少なくとも20年近くの年月が必要となる(たとえそうであっても直ちに着手しなければ取り返しのつかないことになる)。

つまり・・・少子高齢化で労働人口が減って労働者の増加は望めない+生産性低下=日本経済が成長していない

と主張したいわけですね。

で、その対策についてですが、構造改革と経営改善による生産効率の向上と、雇用環境のグローバル化による労働力の確保と書かれています。
(教育環境のグローバル化で人材確保と育成についても書かれてますが)

うーん、果たしてそうでしょうか?

実質GDP成長率=「労働生産性上昇率」+「労働者増加率」

これは正しいのですが、労働生産性と雇用者数は自ずとある要素によってその上限が制限されます。


それは 『需要』 です。

需要が縮小する中、企業が労働生産性(労働者一人あたりの生産量)を維持するためには、リストラして労働者を減らす必要があります。
逆に雇用を増やしたら、一人あたりの生産量は当然減ってしまいます。(労働生産性が低下します)

需要がなくモノが売れる環境ではない状況で生産性と労働者を増やしてしまったら大量の在庫を抱えて倒産してしまいかねません。
だから、需要が無ければ生産性は頭打ちになってしまいますし、それでもムリに生産性を向上させようとすれば失業者を増大させるだけの結果になってしまいます。

ただ、
すべての企業が息をあわせて投資と雇用拡大をすれば、同時に需要も増えるので経済は成長できますがなかなかそうもいきません。
企業にとって需要がない場合、投資を控えリストラをして支出削減し、利益を最大化する事が最も合理的な経営選択だからです。

個々において合理的な選択であっても個が集まってできる集合体、マクロの経済全体で見ると非合理的になる。

この事を「合成の誤謬」と言いますが、これが日本で今起こっています。

また、筆者はサービス業を特に強調していますが、サービス業こそ需要の影響をモロに受ける業種です。
サービス業は需要の発生と共に供給が行われる性質がありますから。

在庫を作ってとっておく事ができないんです。(当たり前ですよねサービスですから)

よって、まず需要を優先的に増やさないことにはどうにもなりません。

でも、前述したように民間に需要を増やせと言ってもムリです。
名目金利より実質金利が大きいデフレ下で投資をしても収益が望める可能性は薄いですし、消費を増やそうと考える家計は皆無です。
(お金の価値が上がっていっていますので)

このようなデフレ不況下で率先して需要を創出できる部門は政府をおいて他に存在しません

で、その肝心の政府による有効需要の推移ですが・・・こんな感じです。

近年は多少増えてはいるのですが、バブル崩壊からまったくの横ばいです。

グラフを見ると政府最終消費支出は確かに増えています。(マスコミはここしか取り上げません)
しかしその分、公的固定資本形成(=公共投資)が大きく削られているためトータルでは需要が増えていないのです。

このグラフに民間の需要も重ねてみます。

民間の需要が増えない中、政府までもが需要を増やしていないのですから、日本の経済が成長しないのもムリはありません(-_-;)

・・・ここで「有効需要」という言葉を使っていますが、

民間や政府が支払ったり渡したりしたお金の内、GDPにカウントされる項目を有効需要と呼びます。
子供へのお小遣いや政府が支出する子ども手当は所得移転ですので、有効需要=GDPにはカウントされません。

需要、需要という言葉をよく聞きますが要するに
有効需要 = 名目GDP  です。 

日本政府はバブル崩壊以降、負債を実に2倍以上増やしていますが、その負債によって得られた資金をすべて税収が減った分の補填に使ってきました。
つまり有効需要の増加為には使われなかったので、政府の負債が増加してもGDPは成長しないという最悪の事態を招いてしまったという事です。

余談になるかもしれませんが、国債を増やして、もしくは公共事業を削減した分の予算を回して増えた政府の支出項目は一応あります。それは・・・

子ども手当や年金支給、生活保護などの政府の所得移転系の支出です。(グラフのクリーム色の部分)
これらの所得移転系の支出は、直接有効需要にはならず受け取った人が消費や投資をして初めて有効需要=GDPとして計上されるため、GDPに与えるインパクトは小さいです。


さて、記事のタイトルでもある「日本経済を成長させるにはどうすればいいか?」に戻りますが、もう答えはほとんど出ているかもしれません。

今までの赤字国債発行に加えて建設国債を発行し、公共投資などの直接有効需要(=GDP)になる支出項目を増やす事です。
所得移転を増やしても効果が薄いので極力控えたいです。


ですが、日本政府の支出はどんどん増えているではないか?
と思われる方がいらっしゃると思いますが、それはマスコミが創り上げた間違ったイメージです。

増えているのは一般会計の歳出で、特別会計を含む政府と地方を合わせた一般政府の支出は増えていません。
他の国と比較してみます。

政府支出推移

これはIMFのデータを元に、1980年の政府支出額を100としてその後の政府支出の推移をグラフ化したものです。
ただし、アメリカなどの1980年からデータ集計がされて無い国についてはデータ集計開始した年を100としています。
(※なんでデータが無いのかについてはIMFに聞いて下さい・・・)

他の国に比べて日本はまったく支出が増えていません。

日本は放漫財政だから財政が悪化した?  ・・・マスコミはウソを言わないで下さい。

これのどこが放漫財政なんでしょう? 2001年から集計開始したアメリカにあっさり抜かれています。
それにグラフからはみ出している国もありますし(^_^;)

ちなみにグラフの縦軸のスケールをオートにすると、日本のグラフはほぼ一直線になります・・・

そして政府支出と名目GDPとの関係ですが、

支出vsGDP(先進32ヶ国)

このグラフは先進32カ国の過去30年間の政府支出増加率(前年比)と名目GDP成長率(前年比)を平均化し、それぞれの国のデータを横軸政府支出増加率、縦軸名目GDP成長率のグラフにプロットしたものです。
(※アメリカなどのデータが途中からしかない国はデータがある期間のみを平均しています)

政府支出増加率と名目GDP成長率の間に正の相関関係があるのが分かりますよね。

ちなみに赤い点はどの国か分かりますか?

・・・そう我が日本です。

日本の経済が成長しない理由についてマスコミやエコノミストがいろんな理由を付けてごちゃごちゃ言っていますが、何のことはありません。

ただ単に政府が支出を拡大し有効需要を増やしていないことが、日本経済が成長していない最大の理由なのです。

政府が需要を増やせばその需要に対応するために(というか稼ぐために)、企業は設備投資や雇用を増やして供給力(生産性+労働力)を拡大します。

その設備投資と雇用はまた新たな需要となりますので、さらに企業は生産性を向上させる。

と、今のデフレスパイラルとはまったく真逆の好循環が発生します。

今の日本の取り組むべき最優先課題は『需要の創出』です。
生産性の向上と労働力は需要が増えれば自然に改善されるので今は優先順位が高いとは言えません。

ただし、支出を増やすにしても子ども手当などの所得移転系はNGです。

でも、同じ所得移転でもエコポイントや自動車減税などの消費(需要)が発生してから初めて支給されるような支出はOKです(^_^;)
エコポイントの経済効果は絶大でしたから。(過去記事参照)


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※参考過去エントリー

家電エコポイントの効果
http://ameblo.jp/hirohitorigoto/entry-10924682849.html

日本が今取るべき政策
http://ameblo.jp/hirohitorigoto/entry-11108060843.html 

日本経済を成長させるには?
http://ameblo.jp/hirohitorigoto/entry-11084059988.html

経済成長って何だろう?
http://ameblo.jp/hirohitorigoto/entry-11076938640.html 

※出典
各国政府の支出、名目GDP・・・IMF
http://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2011/02/weodata/weoselgr.aspx 

政府、民間需要・・・内閣府 国民経済計算確報
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html 


コメント

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1 ■無題

ホントにエコポイント制度は良かったですよね。普段あまり消費しない私でさえ
液晶テレビ+商品券に目がくらんで買いにいったんですから。
あの政策の発案者は一体どなたなんでしょう。
優秀なブレーンさえ
いれば経済は動くんですね。
私の案は高齢者(主に老後の不安から貯金を貯め込んでいる層)
対象の「国内限定トラベルポイント」。
代理店経由、宿泊施設等支払時に商品券ゲットとなれば国内中お金が
回ってくれると思う。シーズンオフ特典オプションつければ少しは渋滞解消に
つながってくれるかな。

2 ■お願い!

 情報の歪みを直して下さい!
今日は仕事が早く終わったので、家帰って久しぶりに夕方の番組(Ten)を見ていたのですが、
その内容の酷さに、耐えられない気持ちでした。
「貿易収支31年振りに赤字転落!。日本はこれまで輸出で稼いで豊かになってきた。しかし貿易収支が赤字に転落したことで、お金がどんどん海外に逃げていく。やがて外国から借金しなくてはならなくなり、借金の金利が上昇し、借金が返せなくなって、やがてギリシャのようになる・・・これから日本はどんどん貧乏になっていく・・・・」的な番組内容。
これ・・・本当に深刻だなあと思いました。
恐いのは、ちゃんと正しい知識を持っている人が見れば、こんな番組内容ははっきりデタラメだと分かるのですが、普通の一般人なんて、そんな正しい知識なんて持っていません。まだまだそういう人が大多数で、そういう人が間違った政治家を選んで、間違った政治が実行されてしまう。本当に深刻だなぁ・・って感じます。
 あと、不思議でしょうがないのは、一体一体どうしてここまで間違った内容の番組が延々と放送され続けてしまうのでしょうか?
一体一体どうしてこんなにも情報の歪みが醜いのでしょうか?一体一体この情報の歪みの原因の黒幕は何なのでしょうか?
 何かどこかに外国のスパイか何かがいて、意図的に操作してるのか?それとも日本人って、そもそもそんなに狡猾な民族ではないから、ただ「何となく、雰囲気で・・・」、「財務省がそう言ったから・・」的な原因なのでしょうか?
 あと、現在は一昔と違って「ネット」という第2のメディアが生まれたことで、この情報の歪みというのは少しづつではあるが改善されつつあるのでしょうか?希望は持てるのでしょうか?
 ひろさんはどうお考えでしょうか?

3 ■Re:無題

>傳さん

そうですね。
当時需要の先取りだと批判されていましたが、需要の先取りが起こることが「需要の増加」だと思うんですけどね。

トラベルポイント案は面白いですね。
高齢者限定ではなくて私たちにも適用して欲しいですw。

結構旅行好きですし、前回の家電エコポイントは利用できませんでしたから。

家電一通り買い揃えたばかりだったので・・・

4 ■Re:お願い!

>ウッキーさん

「ただなんとなく雰囲気で・・・」
というのはあると思います。

政治経済に興味を持っている人はあまり多くありません。自分の周りで経済について話せるような人はいませんね。

だからマスコミがそう言ったら

「ああ、そうなんだ・・」

と考えるのもムリはないかと思います。

情報の歪みは深刻な問題ですが、個人でできることには限りがあります。

自分にできることはコツコツとブログを書き続けることしかありませんので、これを愚直にやり続けるしかありません。

5 ■トラベルポイント

元々年齢認証はユルユルで構わないので若い
世代でも対象可能です。
そのかわり渋滞対策としてGW、お盆、年末年始は除外させていただきます。
一応期間限定にしますが延長、延長で対応すれば良し。
各地方の観光地はポイント対象者に独自の特典をつけて誘致合戦
すれば盛り上がるんです。

6 ■Re:トラベルポイント

>傳さん

確かに渋滞が発生しないような配慮は必要でしょうね。それには対象時期を限定するのも良いのですが、高速鉄道や高速道路などの交通インフラを強化して対応するというのはどうでしょうか?

観光需要と共に公共事業による需要も増えればダブルでお得です。

公共事業によって所得が増えた人が旅行にいけば相乗効果が期待できます。

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