キリンジ「Fine」

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試聴あり


キリンジは偶数枚目の作品が渋くて、はっきり言って大衆性が低いと思います。これは2001年リリースの4作目。aikoがバックコーラスで参加しているシングル曲「雨は毛布のように」などは、ポップで聴きやすい仕上がりですが、全体的にアーティスティックというか、閉じているというか。



それもそのはず、全11曲中7曲が高樹兄やんの作品。HMVいうところの、

「音楽性、風貌共にキリンジの頭脳プレイヤー」

「そのヘンテコだけど癖になるコード使いとメロディ、変態コードすれすれ、シュールな小技の効いたアダルトな歌詞世界」

「マニアックなナード気質」なんです。


HMV、あんまりうまく表現しているので多い目に引用しました。「ナード」(”NERD”)というのはアメリカのスラングで、「コンピューターやネットワーク分野のおたく。コンピューターやインターネット等にのめり込みこの分野の知識は豊富だが,一般的な社会性に欠けるような人を俗にいう」らしい。なるほど、音楽オタクね、高樹兄やん。オタク上等、いいじゃない。かく言う私も相当の音楽オタクだから、大いに共感します。



さて、6曲目のインスト「燦」でぐっとMOODYかつJAZZYにせまったところで、7曲目、兄やん節炸裂(でも結構新境地開拓です)の「切り花」。この作品のハイライトだと勝手に思っています。ひんやりとしたガラス細工のようなサウンドに、極めて文学的な歌詞が見事にマッチしています。音と言葉の幸福なシンクロ。




宵の花屋の眩しさに戸惑う

足早に過ぎる人 小糠雨の中を

知っているのか 花びらの噴くわけを

真水を啜りながら赤く映るわけを


濡れるガラスの向こうに

ひしめき生きる切り花

実をなし花をなせるもの

実のない花 花のない実

実らず咲かずして地に還る花の名は何?

と問えば




珍しく兄やんがボーカルを取っているんです。「Don't look back in anger」をリアム・ギャラガーに歌わせなかったノエル・ギャラガーを彷彿とさせます。自信作だったんだ、やっぱり。声量ないけど案外高音出てます。ライブではいつも音程が危なっかしいんですけどね。



ジャケットの赤と黄色の洋ナシがこれまたアーティスティック。芸術の秋、これからの季節にぴったりの作品だと思います。



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