真っ白な髪。


と言っても老人の白髪ではない。


若い子が髪の色を抜いて抜いて抜きまくって、その上から入れた白だから、ほんとに目を見張るくらいきれいな白さだった。


私はその日初めて、日本人の髪に限界がないことを知った。


しかもその頭を盛りまくってるんだからすごい。


一言で例えればライオンさん?


ガイ(※1)にしか見えないけど、色は全く黒くない。


この落ち着いた店でこんなに派手な客を見たことがなかった。


というか、町でも白メッシュはいても髪全部が白いガイなんて見たことがない。


ここは東京でも大阪でもない、知名度の低い日本のすみっこの小さな県なのだ。


「こんな派手な人が満足するようなギャルなんてこの店にはいないよね・・。」


女の子の誰かがコソっと言った言葉が耳に届いた。


とりあえずみんなの視線をさらっていった。


とりあえず目立っていた。




場違いの若い客。




嫌な予感がした。




「もえさんお願いします」


メンバーに言われて私の予感が的中したことを知った。


私はとりあえず若いだけでギャルじゃない。


ガイに気に入られるとは思えず気が重かった。


「なんか・・すごい方ですね」


できる限り嫌味をこめて言った。


たいていフリーであれば1セット50分で女の子が3人かわる。


しかしそれはあくまで目安で、2人しか変わらないときもあれば、4人変わるときもある。


言外にこの客につくのは嫌だと匂わせて、次の女の子の交代までの時間を短くして欲しいとお願いしたのだ。


「そうですね。今日は女の子も余ってるから回転よくやれると思います。」


「お願いします。なんかあの人不機嫌そうですよね?」


「がんばってください」


ガイが不機嫌そうだということは否定してくれなかった。





※1)ガイ マンバの男性版。センター街で見かけることから「センターGUY(ガイ)」と呼ばれている。




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