過度なリスクは目的そのものを削ぐ
2010-04-19 01:17:12 Theme: 社会どのような仕事でも、リスクのある仕事はやりたくないものです。レベル感はそれぞれでしょうけれども、失敗するとお客さんに迷惑がかかるものや、失敗を取り返すことが非常に時間のかかるものなど、大きなプロジェクトなどは社運がかかっているものもあるかもしれません。そのような業務を携わることは、いいように捉えると非常にやりがいがある、となるのでしょうけれども、その分失敗したときに影響、いわゆるリスクというものも比例して大きいものになるような気がします。
一般的に業務やプロジェクトを遂行する上でリスク管理などを行い、そのリスクの影響を管理すると思います。そこで重大な影響が考えられるリスクが発見された場合は、その業務・プロジェクトを継続するかどうかという判断も入ってくるのが普通です。継続して後で取り返しのつかない状態になるよりは良いと思います。
一般的にリスク管理は自分達の身を守るために重要なものだということは誰も異論は無いと思いますが、その重大なリスクというものがすでに自明になっている場合は、もうだれもその業務やプロジェクトそのものを実施しなくなるという現象が生まれてしまいます。
このことが最近躊躇に現れて問題になっているものが、医療業務関係のように思えます。特に外科や内科、小児科などが躊躇にこの問題の影響を受けている気がします。もともと過酷な労働条件が問題になっていることもありますが、それよりも医療関係のミスというものは、場合によっては取り返しのつかない事態、いわゆる人が死亡する可能性があります。そしてそのことが、個人に対して訴訟されてしまうということがメディアやマスコミなどで報道されてくると、医学の道を歩もうとしている学生さん達にも当然耳に入ります。過酷な労働条件に加え、そのようなリスクがあるのであれば、はじめから外科や小児科を専攻に選ぼうとは思わなくなるでしょう。そして現場の人不足が増えて、過酷な労働条件につながり、よりミスしてしまう環境なっていく・・というような負のスパイラルに陥っているように思います。
医療系の業務は確かに過酷なようです。身内の外科医が実家に来たとき、非番であるにも関わらず2時間おきくらいに昼夜関係なく電話がかかってきていました。そして勤務病院の当直医師の専門外の急患などが入ったら、すぐ病院に直行です。はっきり言って寝る暇がないだろうと思える状況でした。そんな過酷な勤務状況でさらに上記のようなリスクがあるのであれば、どんなに給与が良くてもやりたがる人がいなくなるのも納得がいくように思えます。また、これはずいぶん前の話ですが、別の学生さん達が専攻に歯科や皮膚科を選んだ理由には、重要な問題になりにくく訴訟リスクが少ないからという声が多かったようです。
リスクを考え、自分の身を守ることは非常に重要だと思います。ですがそのリスクが過度なものであったり、その矛先が個人にいってしまうような状況があると、人は目的そのものを放棄してしまいます。いわゆる『やらなければリスクはゼロ』です。しかし本来やるべきことがリスクを考えることによって放棄されてしまうという現象は本末転倒であり、結局は自分たちの不利益に繋がっているような気がしてなりません。このような逆転現象を起こさないためにも、何かしら社会的な体制を敷き、医療現場など過度なリスクや条件にさらされないようにする必要があると思うのです。




