「はやぶさ」が帰ってくるとき、大気との摩擦で高温になるとブログに書きました。
あれ、最初は大気に突入したとき大気を圧縮することにより高温になると書いてあったんです。
でも、報道などで「大気との摩擦」と皆が言っているので書き直したのですが、そのままの方がよかったようです。
本当は摩擦熱じゃないのです。
最新号のNewtonで、最初の記述の方が正しいことが説明されていました。


一般的には「隕石等は大気圏に飛び込んでくるとき、大気との摩擦熱で燃え尽きる」と説明されています。
でも、本当は大気の断熱圧縮で高温になっているのです。
世界初の弾道ミサイル ドイツのV2号は、ロンドンの空から赤熱しながら落ちてきました。
それは摩擦熱じゃなかったのです。


皆さん自転車の空気入れでタイヤチューブを膨らましたことはありますか?
入れ終わったあとポンプをさわると熱くなっています。
あれはポンプ内のピストンがシリンダーと摩擦することによって発生する熱もあるでしょうが、多くは断熱圧縮による熱です。
断熱圧縮というのは、われわれに非常に身近なところでつかわれています。
冷蔵庫やエアコンは冷媒(昔はフロンでしたが最近は二酸化炭素など)を圧縮します。
すると冷媒は高温になるので放熱器で熱を発散します。それを今度は断熱膨張させると温度が下がります。
断熱圧縮と断熱膨張を利用して冷蔵庫やエアコンは温度を下げているというわけです。


「はやぶさ」は再突入するとき30Gの加速度(急ブレーキ)がかかっていたということです。
これが有人衛星なら人間はペチャンコになってしまいます。
このとき秒速12kmで突っ込んできて、表面温度は3000度になっていただろうと思われています。
ひらのXX的日常-saitotunyu

これに耐える材料はアブレーターといいますが、耐えるというよりは自ら犠牲になって守るという方が正しい表現かもしれません。
アブレーターは、炭素繊維やガラス繊維を合成樹脂で固めたプラスチックでできています。
これが溶けたり炭化したり昇華することによってカプセルを守ります。
特に昇華(液体から気化することを蒸発といいますが、固体から気化することを昇華といいます。)することにより発生するガスが、直接大気と摩擦しないように膜を作るように、カプセルを包み込むのです。

スペースシャトルは、5Gくらいでおりてきます。
その分温度も1500度くらいで納まります。
よって、繰り返し使えるセラミックタイルを使うことが出来るのです。


でも、なんで一般的に「大気との摩擦で・・・・」ということが言われるのかわかりません。
以前は本当に摩擦と思われていたので、あまりにも定着してしまい今更ホントのことを言っても受け入れられないのでしょうか?