奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ

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奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ[DVD]/ステファン・バック
¥4,104

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これはパリ郊外の貧困層地区、荒れ果てたレオン・ブルム高校での実話を基にした作品。
 

情熱的なゲゲン先生は、学校からも見放された問題児だらけのクラスを歴史コンクールに参加するように促します。生徒たちは、最初は反発していましたが、授業に招いた強制収容所の生存者の経験を聞いたりするうちに変化が起こり始め...。

ダメダメな高校生たちが学ぶことに前向きになっていく成長物語としては、肝心な部分が描かれていません。何故、生徒たちがゲゲン先生を受け入れたのか。コンクール準備の最初の授業に生徒たちが次々に現れたのはどうしてなのか、唐突な感じがして気になりました。

 

ホロコーストの歴史を学ぶ作品としても、生徒たちの成長物語としても、様々な民族、宗教が入り混じる生徒たちの融合の物語としても、描写が薄く、中途半端な印象を受けました。

 

忘れっぽい私たちにとって、歴史を語り継ぐことは大切です。けれど、基本的に歴史は勝者、強者の視点から描かれます。"ブーヘンヴァルトの誓い"にナチスと闘ったとして名が挙げられる国の中にも、ナチスに協力もしていた国の名が入っています。まだ、生存者がいる生々しい出来事ですから、感情的なものが多く入ってしまうことは仕方ないと思います。けれど、感情とは切り離し、様々な状況に見舞われた時に人はどう反応するものなのか、そこを冷静に見つめ、悪を支える組織の構造を見極めていかないと本当の意味で”.歴史から学び同じ過ちを繰り返さない"ことはできないのだと思います。ホロコーストに関わった者たち全てを罰しても何も変わらないのではないでしょうか。ナチスによるものだけでなく、これまでに虐殺や戦争犯罪などに手を貸した者全てを罰するということになった場合、どれだけ多くの人が罪に問われることになるか...。ホロコーストの歴史を描く作品としても、その視点をもっと拡げてほしかった感じがします。

 

言いたいことはわかるような感じがしますし、生徒たちの成長も素晴らしいと思うのですが、映画作品としては魅力が感じられませんでした。

 

悪い作品だとも思わないのですが、残念な感じがしました。

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ザ・ビートルズのツアーを追ったドキュメンタリー。

 

リバプールで音楽活動を始めた4人の若者たち"THE BEATLES"。彼らは、イギリス、ヨーロッパで成功を収め、アメリカ進出を図ります。アメリカの人気テレビ番組"ジ・エド・サリヴァン・ショー"出演。世界的な知名度と人気を得て、1964年6月に初のワールドツアーを開始。ツアー活動を停止した1966年8月まで、15か国で166公演を行った彼らの全盛期を追います。

 

ビートルズが活動を終えてから既に50年。もう、世界ツアーの熱狂を直に知る人々は減ってきています。それでも、一定の人気を維持していて、2010年にも、所謂、"赤盤"と"青盤"のりマスター盤が発売されて大きな話題になっています。私自身も、ワールドツアー当時のビートルズは知りませんが、それでも、青春の頃から、随分とビートルズの曲を聴いています。

 

アメリカでは、初めて野球場でコンサートが行われ、日本では、初めて武道館がロック・コンサートの会場となります。今では当たり前のように行われていることを初めて行ったグループということになるわけで、それだけでも、当時の人気の凄さが伝わってきます。

 

あまりに熱狂的なファンに囲まれ、コンサートでは、とても音楽を届けるというような状況ではなく、ただファンの叫び声が響き渡るだけという異様な状況の中、ビートルズのメンバーたちは、コンサートに辟易していくわけですが、本作には、まだ、人気を得るようになっていく過程に高揚し、ファンたちの熱狂に喜びを感じていた時期の彼らも映し出されます。特に、エンドロールに重ねられる1963年を振り返る4人のメッセージ。元々ソノシート(!)に吹き込まれたものとのことですが、ヒットチャートで1位になった喜びが素直に語られています。そして、その高揚感も、その後の疲弊も、全て、曲作りに繋げていく彼らにプロとしての力が感じられ、改めてビートルズの音楽家としての偉大さを実感させられます。

 

そして、アメリカでの最初のツアーの際の人種隔離政策に対しNoを突きつける姿。かなり初期の段階から、政治的な問題にもきちんとコミットしていく姿勢があったことを知らされます。

 

ビートルズを知る世代にとっては懐かしさを刺激され、また新たなビートルズの魅力を感じされる作品になっていると思いますし、ビートルズを知らない世代にとっても、歴史を学べる作品となっていると思います。ビートルズは、確かに"歴史"だったのです。

 

ビートルズの概要を知ることができる作品として分かりやすくまとまった作品になっていますが、一方で、全体に、掘り下げ方が浅い感じはしてしまいます。特に、曲が作られていく過程については、もう少し、深く描いて欲しかった感じがしますし、解散に至る過程についても、もう少し触れて欲しかった感じがします。深く描こうとすればキリがなく、映画という形にまとめるためにはどこかを切り捨てざるを得ないわけで、残念ではありますが、致し方のないところでしょう。基本的には、バランスの取れた作品になっていると思います。

 

後期の曲が登場しないのも寂しいところですが、それでも、有名な曲がふんだんに流されていて、その点も本作の魅力になっていると思います。

 

繰り返し観たくなる作品かもしれません。今回は、レンタルのDVDでの鑑賞でしたが、買おうかなぁ...。

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ブロードウェイでヒットした舞台を映画化した作品。

 

ニューイングランドの小さな大学構内に住む教授夫婦ジョージとマーサは、結婚23年目。大学総長の娘であるマーサは、当然のようにジョージは尻にしいていました。夜遅くパーティから戻った2人は、酔った勢いもあり、いつも以上に皮肉や軽蔑で応酬しあいます。そこに、総長に訪問を勧められたという若い生物学の教授、ニックと妻のハニーが訪ねてきて...。

 

凄まじい夫婦喧嘩です。限りない罵詈雑言。マーサの父親の部下夫婦とは言え、仮にもお客がいる前でよくここまでやるものです。観ていて嫌になってくるレベル。けれど、不思議と画面を消そうとは思えませんでした。

 

汲めども尽きぬエネルギーに圧倒させられます。よくこれだけ濃密で強烈な喧嘩を続けられるものです。普通なら、ものの5分と立たずに諦めてしまうことでしょう。この熱量の喧嘩を持続させるのは、相手への情熱の強さなのでしょう。パーティーから夜中に帰ったところだというのに、相当な精神力、体力です。それだけのものを相手に注ぎ込めるのですから、そこには、確かに愛があるのでしょう。愛の反対は憎しみではなく無視することというのが、真実だと実感させられもします。

 

ジョージを演じたリチャード・バートンとマーサを演じたエリザベス・テイラーは、W不倫を経て1964年3月15日に結婚し1974年6月26日に離婚、その後、1975年10月10日に再婚し1976年7月29日に、再度、離婚しています。本作は1966年の作品ですから、最初に2人が結婚して3年目の作品。実際に夫婦だった時です。もしかしたら、実際にこんな喧嘩をしていたのかもしれません。

 

登場人物は4人だけ。リチャード・バートンとエリザベス・テイラーは、勿論、熱演なのですが、それを受けるニックを演じたジョージ・シーガルとハニーを演じたサンディ・デニスも負けていません。特に、ジョージ・シーガルの最初と最後では人格が変わってしまったような変貌ぶりは見事。そのニックの変化からも、ジョージとマーサの毒気の強烈さが伝わってきました。

 

そして、単なる喧嘩に終わらず、その進行とともに登場人物たちの人生が浮かび上がってくることで、ただの喧嘩に厚みと味わいが加えられます。その辺りも、辟易しながらも最後まで観ることになる要因となっているのでしょう。

 

それにしても喧嘩が長すぎる嫌いはありますし、最後まで観ると、結構、疲れます。観るために、体力も精神力も要求される作品ではありますが、それでも、一度は観ておきたい作品だと思います。

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2016年から2017年へ

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あけましておめでとうございます。

 

新しい年がやって来ました。2017年(平成29年)となりました。

 

これまでに、ここを訪問してくださった方、読んでくださった方、コメントをくださった方、どうもありがとうございました。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

昨年は、「この世界の片隅に」「君の名は。」「シン・ゴジラ」と普通なら迷わずベストワンに押したい良作が揃った日本映画の当たり年でした。今年も、楽しめる映画に出会いたいものです。ここ数年は、概ね、週に1~2本映画館で、週に3~5本DVDで映画を観てという感じですが、今年もそのペースで映画を観ることになるのではないかと思います。

 

昨年の10月に今年用の手帳を買ったのですが、その時、改めて2017年のカレンダーを見たのですが、土曜日に重なる祝日が多くてガッカリ。2月の建国記念日、4月の昭和の日、9月の秋分の日、12月の天皇誕生日、何と4日も。まぁ、その次の2018年も5月の子どもの日、8月の山の日、11月の文化の日の3日ですから、何だかそんな年が続く感じがしてしまいます。2016年はそんな日がなかっただけにガッカリ感たっぷり。取り敢えず、今年は、敬老の日がある9月や年末年始の休みがある12月はともかく、2月と4月は、例年の6月とともに祝日休みのない月になってしまいます。

 

そんなこんなもありますが、新しい一年、映画を楽しみながら、その他のさまざまなことを楽しみながら、健康的に過ごしたいものです。

 

皆さまにとって、この一年が良い年となりますようお祈りいたします。

今年もよろしくお願いいたします。

今年も、日本インターネット映画大賞への投票と併せて、1年間に観た映画を振り返ってみたいと思います。日本インターネット映画大賞の投票の方法に変更点(日本映画、外国映画を別々の記事で投票→ひとつの記事で投票、作品賞は3作品以上10作品以下で持ち点合計30点の点数制で投票→3作品以上5作品以下で持ち点15点までの点数制か順位で投票、部門賞のカテゴリーの変更)があり、例年とは違う形になっています。

 

今年は日本映画29本、外国映画52本の合計81本を映画館で観ました。日本映画の方が少なかったですが、観た作品は満足できたものが多かったです。

 

日本映画 

【作品賞】(3本以上5本まで)順位(点数記入なし)、作品数(順位を削除)、自由採点(点数記入)から選ぶ 
1位  「この世界の片隅に」 
2位  「君の名は。」 
3位  「シン・ゴジラ」 
4位  「FAKE」 
5位  「団地」 
【コメント】 

 今年の日本映画は当たり年だったと思います。上位3作品は、いずれも日本映画史に残る名作だと思います。いずれも、細部まで丁寧に作られて見応えある作品に仕上がっていたと思います。きちんと真っ当に作られた作品の良さというものを改めて実感させられました。「FAKE」には、映画作品としての面白さだけでなく、ドキュメンタリーのリアリティと嘘について考えさせられる作品でした。

【監督賞】           
  [森達也] 
【コメント】

 「FAKE」では、何が真実で何が嘘なのか、"真偽"の危うさについて考えさせられました。ドキュメンタリー作品というものの本質をも見せてくれるような描写、対象への迫り方がとても印象的でした。「団地」も失われていく日本の風景が切り取られていて、ラストの違和感はありつつも今年の作品として覚えておきたい一本だと思います。

【最優秀男優賞】 
  [野村萬斎] 
【コメント】

 「シン・ゴジラ」のエンドロールに名前が登場した時は、「どこに出演?」と思いましたが、ゴジラの動作はこの人のものだと知った時に成程と思いました。「シン・ゴジラ」を名作として成り立たせるための重要な役割を果たしていると思います。

【最優秀女優賞】 
  [のん] 
【コメント】

 声優としての声だけの出演でしたが 「この世界の片隅に」のすず役は、すずの声はこれ以外にあり得ないと思わせられるような役柄の雰囲気にピッタリの声でした。

【音楽賞】 
 「君の名は。」 
【コメント】 

 RADWIMPSによる音楽が印象的でした。作品の世界にぴったりで、音楽の力で物語の世界の奥深くに魂を引き込まれた感じがします。

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外国映画 

【作品賞】(3本以上5本まで) 順位(点数記入なし)、作品数(順位を削除)、自由採点(点数記入)から選ぶ
1位  「ハドソン川の奇跡」 
2位  「ルーム」 
3位  「将軍様、あなたのために映画を撮ります」 
4位  「シリア・モナムール
5位  「最高の花婿」 
【コメント】 

 相変わらず、クリント・イーストウッドの作品は見応えあります。「ハドソン川の奇跡」は、今、揺らいできている正義について考えさせられる佳作でした。事件解決でメデタシメデタシではない「ルーム」の視点も良かったです。

【監督賞】           
  [ジェイコブ・トレンブレイ] 
【コメント】

 「ルーム」の事件解決後の物語を丁寧に描いた視点が印象的でした。

【最優秀男優賞】 
  [グンナル・ヨンソン] 
【コメント】

 「好きにならずにいられない」のフーシ役で、見事な存在感を発揮していました。確かに、好きになってしまいます。

【最優秀女優賞】 
  [ヴィッキー・チャオ]      
【コメント】

 「最愛の子」 のリー・ホンチン役が印象的でした。ちょっと滅茶苦茶なところも感じさせる人物に同情を引き寄せる説得力のある演技だったと思います。

【音楽賞】 
 「マジカル・ガール」 
【コメント】

 懐かしの日本の歌謡曲が巧く使われていて印象的でした。作品の雰囲気にもよく会っていたと思います。 

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【私が選ぶ"NOと言える日本"賞】 
  [八木景子監督] (「ビハインド・ザ・コーブ~捕鯨問題の謎に迫る~」) 
【コメント】 

 捕鯨問題について描いた「ザ・コーブ」。日本人として、日本への偏見を感じる作品でしたが、それに対し、NOを突き付けた作品です。初監督作品ということもあるのでしょう、映画としての完成度は必ずしも高くなかったと思いますが、こうした形で世界に向かって発信することはとても大切なことだと思います

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 この内容(以下の投票を含む)をWEBに転載することに同意する。
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Cafe Kailaのパンケーキ

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以前、行列ができる店として紹介されているのをTVで見た記憶があります。今回、お店の近くを通ったので、覗いてみたら誰も並んでいない、店内には空席もちらほら...ということで、試してみることにしました。

"カイラ・オリジナル・パンケーキ"とカフェラテ。パンケーキは、ハワイアンサイズ(直径約17cm)とレギュラーサイズ(直径約10cm)の2種類がありました。どちらも1人前が3枚ということで、レギュラーサイズにしました。

苺、ブルーベリー、バナナ、キャラメリゼされたリンゴがタップリ盛られていて、パンケーキはほとんど埋もれています。オレンジが一切れとオーキッドの花も乗せられ、実に華やかな雰囲気です。で、クリームとシロップが添えられていました。

パンケーキは、適度に小麦粉の風味が感じられ、フワフワ過ぎず、モチモチ過ぎず、全体的にバランスが取れた感じで、美味しかったですが、これといった特徴というか、個性が感じられない普通のお味。並んでまでとか、わざわざこのために出かけてまで食べたいかというと、正直なところ、???。量的にも、今回、注文した小さい方のサイズでお腹いっぱい。レギュラーサイズは、カイラ・オリジナル・パンケーキだけで、他のパンケーキメニューは、ハワイアンサイズのみ。2人でシェアしないとキツいかもしれません。

タップリとトッピングされたフルーツ類も基本的には美味しかったですが、苺はきちんと甘いのとほとんど味がしないのと、当たり外れがありました。リンゴのキャラメリゼは、程よい甘さと歯応えで良かったです。添えられたクリームも、くど過ぎず程よい感じ。

見た目はインパクトあるのですが、味は今一つ特別感に欠けた感じが否めません。ちゃんと美味しいことは美味しいのですが...。そして、問題はコストパフォーマンス。
カイラ・オリジナル・パンケーキ レギュラーサイズ 1800円
カフェラテ 570円
ということで、〆て2370円。
残念ながら、気軽にお茶という量やお値段ではありません。もし、ボリュームがレギュラーサイズの4~5割程度で、飲み物と合わせて1000円から1200円程度だったら、近くに用事がある時などに立ち寄りたくなる味だと思います。


公式サイト
http://www.cafe-kaila.com/shop/omote.html


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Little Pie Factoryのアップルパイ

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新宿高島屋、催事場で開催中の"春の美味コレクション"で、初めて知ったアップルパイです。

手のひらサイズの小振りなパイで、中には、果汁100%のりんごジュースを煮詰めたシロップ、りんごジャム、りんご果実とのこと。

添えられた説明書に従い、20秒チンして、そのままトースターで3分、おさらに上に2分ほど放置して粗熱が取れてからいただきます。丁度良い熱さで、パイ生地はバターの香りがしてサクサク、中はトロッととろけます。りんご果実はかなりシャキシャキ感を残していて、シャキッとジャムのトロッとが混じり合っていい感じでした。自然な感じの程よい甘さとほんのりとした酸っぱさが口の中に拡がります。基本的に、アップルパイは、少し煮込んでシャキシャキ感を残したりんごを使ったものが好きなのですが、これはこれでありかと...。

丸々一個いただいて、ちょっと小腹の空いた時の軽食にピッタリといったボリューム感でした。

広尾にお店があって、テイクアウトは勿論、イートインコーナーもあるようです。このために、わざわざ広尾に行きたいとも思えませんが、何かついでがあれば、日常的に行く場所で売っていたりしたら、また買いたいです。


Little Pie Factory 公式サイト
http://www.l-p-f.jp/


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ヴェルサイユの宮廷庭師

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ヴェルサイユの宮廷庭師 [DVD]/ケイト・ウィンスレット,マティアス・スーナールツ,アラン・リックマン
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1682年フランス。とある田園地方で造園家として植物や土をいじる生活を送っていたサビーヌ・ド・バラ。ある日彼女のもとに、国王ルイ14世(アラン・リックマン)から、ヴェルサイユ宮殿の庭園建設への参加を求める書状が届くきます。それはヴェルサイユ王宮の庭園建設参加を求めるものだった。サビーヌは、国王の庭園建築家で庭園建設の責任者であるアンドレ・ル・ノートルの面接を受けますが、(マティアス・スーナールツ)伝統と秩序を重んじる彼と対立してしまいます。しかし、ル・ノートルは、自由な精神で向き合う彼女の言葉が忘れられず、宮殿における中心的な庭園造りをサビーヌに任せることにし...。

本作でサビーヌが造ったとされる"舞踏の間(別名"ロカイユの木立")"は、実際には、ル・ノートルが造ったもので、サビーヌは架空の人物です。無機的で幾何学的なル・ノートルの作品において、"舞踏の間"はとても有機的な色彩に満ちているといわれており、ル・ノートルの作品の中で異彩を放っており、その辺りに本作の着想もあったのでしょう。

ただ、本作は、基本的には、過去の愛に捉われ臆病になっていたサビーヌが新しい愛に出会う物語と、形だけの結婚生活から本物の愛に目覚める物語を中心に据えたラブロマンスとなっています。庭師として名を上げていく成功譚のような雰囲気で始まるので、はぐらかされた感じも受けました。もっと、ヴェルサイユ宮殿の全体的な構造とその中での"舞踏の間"の位置づけや存在意義といったものが示されていると、サビーヌの仕事の意義が、もっと感じ取れたのではないかと思いますが...。

"秘密の部屋"でのオンナ同士のおしゃべりが印象的でした。女性の地位が低く、自分の力で思うように生きることが今よりもずっと、そして、当時の男性たちよりもずっと難しかった時代を、それでも、逞しく生きようとする女たちの哀しさと強さが感じられる場面でした。現代でも、女性の方が男性よりもうつ病になりやすいとされていますが、男性の方が自殺などのリスクが高い背景として、自身の体験を話すことによるストレス発散の効用が挙げられていますが、女同士のおしゃべりでお互いを癒すことで生きる力を育んできたのかもしれません。

ラストシーンの舞台となった庭園は確かに 見事でした。ヴェルサイユ宮殿の全景も映し出されるので、他のところとの違いを見ることができます。確かに、"無機的な中の有機的な空間"なのですが、日本的な庭園を見慣れていると、それでも、十分に秩序の中の収まっているように見えたりはするのですが...。

サビーヌが、庭仕事で泥だらけになる時も胸が大きく開いたドレスだったりするところは不思議な感じもしましたし、皆さん英語なのは違和感ありましたが、サビーヌ役のケイト・ウィンスレット、ル・ノートル役のマティアス・スーナールツが好演していましたし、ルイ14世役のアラン・リックマンもいい味を出して、作品の雰囲気を作っていたし、衣装や調度品も重厚で見応えありましたし、全体として悪くはなかったと思います。


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退職

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大学新卒で就職し、結婚しても、出産しても、ずっと勤務し続けていた職場でしたが、今日で最後の出勤となりました。勤続30年近くなります。就職した頃は、まだ昭和。しばらくしてバブル期に突入し、けれど、あまり景気が関係しない業界でほとんど恩恵はなく、バブルがはじけた後は、徐々に影響を受け、何かと厳しい状況が続き、まだ景気回復の有難みを感じる場面はなく...。

仕事自体には魅力を感じますし、遣り甲斐もあります。けれど、異動の多い職場、それも、特急や新幹線を使った遠距離通勤や単身赴任が当たり前な状況がある中で、これ以上、継続するのは厳しいかと...。正直、年齢とともに遠距離通勤でのフルタイム勤務は辛くなってきましたし、けれど、単身赴任までは思い切れず...。

振り返って見れば、様々な想い出が甦り、その時々の嬉しさ、悔しさなどが思い起こされてきます。色々ありましたが、多くの人と出会うことができ、沢山の経験をし、多くのことを学べましたし、そこからの収入で生活を支えてもらいました。この仕事をして良かったと思います。

最終日となった今日、通勤途中で、よく富士山が見えるポイントでは綺麗な富士山を見ることができました。何度見ても、綺麗に見えるとテンションが上がります。先輩、同僚や後輩から、メッセージやメールもいただき、温かい言葉に胸が熱くなったり...といったこともありましたが、思いの外普通の一日を過ごし、ほぼいつも通り帰宅しました。

この先のことは、全くの白紙。少し充電期間を設けてから次を考えたいと思います。


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算額@武田神社

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先日、山梨県甲府市にある武田神社に行ってきたのですが、手水舎の屋根の下に、算額を発見しました。算額については聞いたことがありましたが、実際に掲げられているのを見たのは初めて。算額があることを知らずにいたので、かなり得した気分。

算額.jpg

算額とは、江戸時代、額や絵馬に和算の問題や解法を記して神社仏閣に奉納したもの。和算家だけでなく一般の愛好家による奉納も多かったそうで、特に、江戸中期には盛んだったそうです。元々は、問題を解けたことを神仏に感謝し、ますます勉学に励むことを記念して奉納したそうですが、やがて、問題の発表の場として奉納されることも増え、それを見て解答や関連する問題を新たな算額にして奉納する者も現れ、問題を出し合い、解答を競い合うようにもなったとのこと。明治期に入り、西洋の数学が導入されても、昭和初め頃までは継承されいたのだとか。


で、今回、武田神社で見た算額は、一番古いものが昭和56年10月1日付けで、「算額の復活を祈願し一題を奉る」と記されていました。奉納したのは今井貞三さんという方。そして、京都市、山口市、松山市の3人の方の名前が正解者として載せられていました。その後も、昭和57年4月、62年4月、平成8年5月、15年11月、18年2月、20年1月、23年1月、27年2月に掲げられていて、全部で9枚ありました。

正直、問題を解いてみようと思う前に、問題を読んでも何を言っているのか、何を答えさせようとしているのか、チンプンカンプンで、到底、歯が立ちませんが、こんな伝統が、細々とでも継承されていることを知って嬉しくなりました。

今まで知らなかったのですが、都内でも今でも算額で出題と解答の遣り取りが行われている神社はあるようで、近々、行ってみたいと思います。楽しみです。


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