何者

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朝井リョウの同名小説を映画化した作品。原作は未読です。

 

就職活動の情報交換のため集まるようになった大学生の拓人、光太郎、瑞月、理香、隆良。海外ボランティアの経験や業界の人脈などさまざまな手段を用いて、就活に臨んでいた彼らは、自分が何者かを模索し、それぞれの思いや悩みをSNSで発信していましたが、いつしか互いに嫌悪感や苛立ちを覚えるようになります。そして、内定を決めた者が出てくると、抑えられていた嫉妬や本音が噴き出して...。

 

かなり気持ちがザワザワしました。就職活動をする大学生たちを中心とした物語になっていますが、就職活動がテーマではなく、就職活動という行為によって見えてくる人間の内面を抉り出す物語となっています。人間の闇を見せつけられるような、怖いオハナシでした。

 

就職活動の在り方という点については、私自身の時代とは随分と趣が違っていますので、分かり難い面もありますが、そこは本筋ではないので、あまり気にならなかったです。

 

本作の一番の怖さは、登場人物たちの闇自体にあるのではなく、彼らの抱える闇が特別に悪い人間ではないはずの自分自身の中にあるものと地続きのものとして感じられるところにあるように思われます。

 

嫉妬、他人を見下す傲慢さ、弱さに蓋をするための強がり、自分の正しさを押し通そうとする強引さ...。

 

人が闇を抱えるのは、今に始まったことではありません。昔から、人には、他人には見せられない裏の面があったわけです。けれど、昔と違い、各種SNSなどが、その闇や裏を白日の下に晒してしまいます。紙に書いて燃やしたり、地面に掘った穴に叫んだり、こっそり呪いをかけたり、自分以外の誰にもわからない発散の方法の代わりに、SNSで呟いてしまうと思わぬ形でしっぺ返しを食らってしまったりします。

 

自分の中にある闇をどう受け止め、どう向き合うか、自分の中のモヤモヤをどう処理し、自分という人間をどう形作っていくか、その過程で、人は、涙を流したり、傷ついたりするものだと思います。本作では闇が提示されてエンディングを迎えますが、ここに登場する人たちが、泣いたり苛立ったりしながら、自分を見つけていく過程も見たかったような気がします。

 

こんな形で、人様が作った映画について無責任に勝手なことを書き散らしている自分自身についても考えさせられてしまったりもしました。

 

まぁ、でも、結局、書いてしまっているワケですが...。

 

観ていてとても心地悪い作品なので、繰り返し観たいとは思えませんでしたが、一度は観ておいてよかったかもです。

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