われらが背きし者

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ジョンルカレの小説を映画化した作品。原作は未読です。

 

妻のゲイルとバカンスでモロッコに滞在していたイギリス人の大学教授ペリーは、ロシアンマフィアのディマに声を掛けられます。やがて彼から、マフィア組織の資金洗浄をめぐる情報が入ったUSBメモリーをMI6に渡してほしいと頼まれます。ディマと彼の家族に危険が迫っているのを知り、躊躇しながらも、ディマの依頼を引き受けますが...。

 

演技陣、特にディマ役のステラン・スカルスガルドが迫力の不気味さを出してかなり頑張っていたと思いますし、物語の大枠も悪くはなかったと思います。

 

けれど、物語の核となるペリーとディマの友情の描き方が薄く、何故、通りすがりの素人なペリーがそこまでするのかが、今一つ伝わってきませんでした。この肝心な部分が弱いうえに、展開が読めるような流れで、あまりにご都合主義な部分もあり、物語として弱くなってしまった感じがします。

 

ペリーが初対面のディマにのこのこついていくのも不自然だし、ペリーから情報を得たMI6がド素人で足手まといになる可能性が高いペリーとゲイルをこんな形で巻き込むとか、もっとしっかりと理屈をつけないと違和感が残ります。逃亡中に子どもたちにスマホをいじらせているというのも危なすぎです。

 

ディマを狙う側もどこまで本気なのか分からないような緩さを感じました。本気だったら、家族全員とまではいかなくても、誰かを殺すチャンスはあったように見えてしまいました。

 

ペリーのゲイルに対する過去の裏切りと妻との関係回復への想い。

ディマの家族を守るためのマフィアへの裏切り。

MI6のヘクター元上司で国会議員になっているロングリッグとの確執と正義感からの組織に背を向ける行為。

ロングリッグの国に対する背信。

 

それぞれその背景にあるものは違いますが、様々な裏切りが描かれ、愛も描かれます。

 

銀行設立に関する問題のある資金が流れ込んでいるという指摘に対し、"黒くても金は金"的な対応は、暗い現実がそこに現れているようで、怖くもあり、変に納得させられたりもしました。

 

ペリーとディマが友人となる過程を丁寧に描き、そこを中心に、様々な愛や裏切りの物語を絡めていけば、もっと面白くなったと思うのですが...。

 

面白くなりそうな要素がいろいろあっただけに残念な感じがしました。

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