ベトナムの風に吹かれて

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ベトナム在住の日本人女性が、ベトナムでの認知症の母親との生活を記した「越後のBaちゃんベトナムへ行く」を映画化した作品。原作は未読です。

 

ベトナムで日本語教師をしているみさお(松坂慶子)は、父の訃報に帰国。父の死も理解できないほど認知症が進んだ母シズエ(草村礼子)の姿を見て、シズエをベトナムに呼び寄せます。2人を温かく支えてくれる現地の人々との交流を通し、シズエは徐々に笑顔を取り戻していきます。けれど、シズエはケガをしてしまい、みさおの介護の負担が重くなり...。

 

80歳を過ぎたシズエをベトナムに連れて行く。それも、本人が希望したわけでもないのに。一般的に、高齢になって生活の環境を変えるというのは、当人にとってはかなりの負担。それが認知症を進行させる原因となることも多いわけで、他の家族がみさおに要求したわけでもなく、シズエのベトナム行きを強行してしまうということには違和感を覚えました。何か、ベトナムでの生活がシズエに良い影響を与えると考えた理由のようなものがきっちりと示されていれば、この辺りの違和感は薄まったと思うのですが...。

 

2人の周囲で描かれる物語は、なかなか良かったと思います。残留日本人兵とベトナムに残された家族の話とか、最後の舞台で輝く老女優の物語とか、介護職に外国人の受け入れをするとしながら消極的な面を見せる日本の在り方とか、団塊の世代のベトナムへの想いとか、印象的なエピソードも取り入れられていて、興味を惹かれる部分もありました。周囲のエピソードが強過ぎて、みさおをシズエの物語の部分が弱くなってしまったのは残念でしたが...。

 

ベトナムの温かな雰囲気は実に魅力的でしたし、その空気の中にいることでシズエが癒され、元気になっていくのも分かるような気がしました。

 

介護という重く暗くなりがちなテーマが、そのベトナムの穏やかな温かさとみさおを演じた松坂麗子のふんわりとした柔らかな雰囲気の中で軽快に描かれています。ただ、介護問題については、棚上げのまま。ここは、もうちょっと突っ込んで欲しかったところです。

 

全体の雰囲気は悪くないのですが、全体の構成はもうちょっとメリハリが欲しかったですし、介護問題について放りっぱなしはやめて欲しかったです。

 

観るにしてもレンタルで十分かと...。

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