6才のボクが、大人になるまで。 ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]/パトリシア・アークエット,イーサン・ホーク,エラー・コルトレーン
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メイソンは、テキサス州に住む6歳の少年。父、メイソンSrと別れ、キャリアアップのために大学で学ぶと決めた母オリヴィアに従って、姉サマンサと共にヒューストンに転居した彼は、そこで思春期を過ごします。アラスカから戻って来たメイソンSrとの再会、母の再婚、義父の暴力、そして初恋...。周囲の環境の変化に時には耐え、時には柔軟に対応しながら、メイソンは静かに子供時代を卒業していく。やがて母は大学の教師となり、オースティン近郊に移った家族には母の新しい恋人が加わります。一方、ミュージシャンの夢をあきらめた父は保険会社に就職し、再婚し、子どもも得ます。メイソンも高校を卒業し、母の元から巣立つ日を迎え...。

いろいろあったメイソンの少年時代ですが、少なくとも今どきのアメリカ社会において、特別に不幸なものとは言えないでしょう。両親の離婚や再婚といった子どもにとっては大きな事件も起こりますし、義父のDVの問題もありました。誕生日に銃のプレゼントとか、いかにもアメリカ的でドッキリでしたし...。けれど、基本的には、母は愛情を持って子どもたちに接しているし、実父も悪い人ではなく、彼なりに努力もしていますし、子どもたちへの愛情も嘘ではありません。

メイソンの経験も、同じ時代の同じ地域の少年にとっては普通のものだと思いますし、特別にドラマチックとまでは言えないような気もしますが、登場人物の1人1人が自然に年を重ねていく感じが良かったです。12年間という長い年月を描きながら、1人の人物が同じ人物をずっと演じ続けるという画期的な試みが上手く活かされていると思います。

身勝手で子どもたちを振り回しているようなオリヴィアですが、自分の目標に向かってきちんと努力を重ねていることも確か。その姿を子どもに見せたこと自体が子どもたちにとって大きな意味のある教育になったことでしょう。"子どものために"と自分を犠牲にするというのも親としての責任かもしれませんが、自分の夢に向かって頑張る姿を見せるのも子どもにとって大きな意味を持つのではないかと思います。子ども2人を抱え、日常の生活を成り立たせながら、大学の教員になれるレベルまでの勉強をするという困難を成し遂げる姿を子どもたちに見せることができたのですから。

DVの義父の元に取り残された義父の子どもたちはどうなったのかとか、途中退場した人物のその後が気になる部分はありましたが、"あの人はどうなったのだろう"と気になりながらもわからないままの人が少なからずいるというのもリアルと言えばリアル。ドキュメンタリーでなく、フィクションにすることで生々しさを巧く調整しながら、リアルに1人の少年の成長と家族の物語を描いたといったところでしょうか。

このような作品は二度と撮れないのではないかと思われるレベルの作品ですが、単なる物珍しさを超え、一つの作品として楽しめる作品に仕上がっていると思います。淡々と多くのエピソードが繋がれていくのですが、構成も巧いのでしょう、165分という長さを感じずに最後まで観ることができました。一度は観ておきたい作品だと思います。


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