クリスマス・ツリー [DVD]/ウィリアム・ホールデン,ブルック・フラー
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10歳になるパスカルには、母がいませんでしたが、父のローランに愛され、父の恋人、カトリーヌとの関係も良く、幸せな日々を過ごしていました。夏休みをローランとコルシカ島で過ごしますが、海で遊んでいる時、近くに核爆弾をつんだ飛行機が墜落。その日から、パスカルは体の不調を訴えるようになります。病院で診察を受けたところ、放射能のため白血病に侵されていることが判明。った。医師は、ローランにパスカルの命はあと半年と宣告します。ローランは、あと半年をパスカルの思い通りに過ごさせてやろうと決心し...。


幼くして余命半年との宣告をされてしまう僅か10歳の少年。その短い人生の最期を幸せなものにしようと奔走する周囲の大人たち。父のローランにとっては、たった一人の子ども。経済的な余裕もある様子のローランですから、その気になれば、パスカルのために相当のことができるワケで、パスカルは様々な物を与えられます。


そのこと自体は、親心としてとてもよく分かるのですが、それでも、法に反するような行為までしてしまうのは、どうかと...。ローランの中に、パスカルの病の原因が核爆弾であり、その責任がフランス政府にあるという思いがあったからこその行為なのだとは思いますが...。


幼い子どもに死が迫っているという親にとって受け入れがたい状況の中、苦悩するローランの気持ちは良く描かれていると思いますし、その哀しみや理不尽さへの怒りのようなものが切々と伝わってきます。


それでも、若干、美しすぎるのは気になりました。ローランが医師からパスカルの今後について説明を受ける場面で、医師はパスカルが苦しむであろうことを伝えていますが、その様子はほとんど見られません。身体に大きな負担がかかるような治療をしなかったことで、苦しまずに済んだという面もあるとは思うのですが、それにしてもです。


ローランの"犯罪行為"にしても、実際は、もうちょっと警備もしているでしょうし、あんなに巧くいくわけもなく、盗んだ代物は、素人に簡単に扱えるものであるはずもなく、そもそも、海での飛行機事故の時水中にいたローランが全く無傷で何の影響も受けていないというのも不思議だったりしますが、まぁ、この辺りは、目を瞑るべきところでしょう。


お約束のようなお涙頂戴、幼い子供の難病もの。ストーリー的には平凡ですが、美しい映像と抑えた描写が観る者の涙を誘います。