ミックマック

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地雷により父を殺され、そのショックで母は精神を病み入院、バジルは孤児院に入れられますが、環境に馴染めず脱走します。その後、仕事を得ますが、発砲事件に巻き込まれ頭に銃弾を受けてしまい、仕事も失ってしまいます。その上、事件の際、手術を受けたものの、頭に銃弾が残ったまま。ある日、彼は、ホームレスの男性に声を掛けられ、彼やその仲間たちとともに生活するようになります。そんな日々の中、バジルは、父の命を奪った地雷を製造した会社と自分の頭の中に残る銃弾を製造した会社を見つけます。バジルは、仲間たちと2つの武器製造会社を懲らしめるために立ち上がり...。


ファッションや文化といったソフトな部分での影響力が大きいというイメージの強いフランスですが、実は、世界的でも有数の武器輸出国。イラン、イラク戦争でも、敵味方の双方に分け隔てなく武器を売って大儲けしていますしね...。


本作では、大手の武器製造メーカー2社が糾弾されます。それぞれ、トップが行方不明になったり、罪に問われたり...。けれど、どちらの会社も潰れたりはしないのではないでしょうか?例え、この2社が傾いても、その代わりをするメーカーが現れるわけで...。武器を製造する会社があるから、武器が使われるという面があるのも確かですが、メーカーというのは、需要があるからこそ成り立つわけで...。


まぁ、なかなか痛快な作品にはなっていると思います。"いたずら"自体も気が利いていましたし、奇妙な登場人物たちの個性を巧く活かした仕掛けの数々は面白かったですし、テンポも良く、作品の世界に浸ることができました。ただ、敵の強大さに比べ、彼らの復讐があまりにこじんまりとしすぎていて、バランスの悪さが感じられました。もう少し、復讐を思い立つ理由の部分を軽いものにした方が、純粋に彼らの"いたずら"でスッキリできたような気がします。重いテーマを軽妙に描き出し、しっかりと風刺を利かせた辺りは見事だと思うのですが...。


「デリカテッセン」「ロスト・チルドレン」 の世界を思わせる世紀末的な黄色っぽい世界、奇妙な人々や不思議な道具類の数々、微妙なバランスの上に繋がっていく仕掛け、大胆かつ練られていながらどこかゆるい感じの作戦...。それぞれに、本作の監督であるジャン=ピエール・ジュネの個性が出ていたと思います。ただ、「デリカテッセン」の完成度を越えるのは、なかなか、難しいのかもしれません。


そして、バジルの仲間たちが、身を危険に晒しながらもこの"いたずら"に参加した動機が、今ひとつ薄い感じがした点も残念。バジルが仲間を得るまで、特に、頭に銃弾が残ったまでの経緯の描き方は、実にコンパクトでありながら、しっかりとストーリーが伝わってきて見事だったと思うのですが、彼の仲間たちの動機の部分は、もっと丁寧に描いて欲しかった気がします。


ブラックでシニカルな笑いと奇妙な人々の作り出す御伽噺の世界を楽しめる作品です。観ておいて損はないと思います。



公式サイト

http://www.micmacs.jp/



ミックマック@ぴあ映画生活

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