告白

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2009年本屋大賞を受賞した湊かなえの同名小説を映画化した作品。原作は未読です。


中学1年生の担任をする悠子は、三学期の最後の日、クラスの子どもたちを前に一つの告白をします。「2月に学校のプールで死んでいた娘。事故死として処理されたものの、実は、殺人だった。その犯人は、このクラスにいる。」そして、犯人が誰であるかを明らかにします。悠子は、教師を辞め、2年生になったそのクラスは、新しく、空気の読めない熱血が担任になり...。


2人の母の存在が印象に残ります。悠子も大切な娘を殺された故に常軌を逸していく母親なら、少年Bの母も息子への想い故に息子も自身も追い詰めていきます。その2人の母、加害者の母と被害者の母、対立する立場ながらも、子どもへの想いに道を踏み外していくところは同じ。この2人が対比されることで、作品を包み込む狂気が重みを増していきます。これも"親ばか"なのかもしれません。親とて、鬼でも悪魔でもないはず。けれど、子どもへの想い故に闇に沈んでいく。


そして、子どもたち。何かと問題を抱えやすい時期にある少年少女。身体的にはリッパに大人なのに、社会を知らず、現実を知らないだけに暴走しやすい年代。その危うさがしっかりと表現されていたと思います。


哀れなのは、熱血先生。彼は、独りよがりだったかもしれないし、愚かだったかもしれない。けれど、決して悪人ではありませんでした。あの空気の読めなさ、突っ走り方は、時として人を傷つけもしたかもしれません。けれど、その愚かな善人を自分のために復讐に利用してボロボロに傷つけることは、やはり、大きな罪なのではないかと思います。


それに、ラスト直前の"どっかーん"。あれも、全く無関係に巻き込まれた人が大勢いたでしょうに。あの真相も、"牛乳への混入"と同じだったのでしょうか。


そして、違和感が残るのは、復讐を行う悠子に、ほとんど葛藤が感じられないこと。もちろん、それだけ、彼女の憎しみは深かった...ということなのでしょう。けれど、果たして、悠子は、復讐を果たして満足できたのか、愛する娘を失った悲しみを癒せたのか、スッキリできたのか...。とても、そうは思えません。この辺りの悠子の葛藤をもう少し見せて欲しかった気もします。


それにしても、松たか子、素晴らしい演技でした。特に、最後の表情、憎しみを前面に出すことなく、けれど、その心の底にある徹底的に冷え切った悪意が表現され、重い余韻を残しています。そして、少年B。その鬼気迫る狂気の表現が見事。少年Bの母親を演じた木村吉乃も、息子への盲目の愛情ゆえに狂っていく姿を真に迫る演技で見せてくれています。


救いのない作品ですが、この救いのなさこそが復讐の空しさを伝えているのかもしれません。


暗いし、かなりどよ~んとした気持ちになるので、覚悟をして観るべき作品ではありますが、一見の価値ありだと思います。



公式サイト

http://kokuhaku-shimasu.jp/index.htm



告白@ぴあ映画生活

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