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ボストン南部の街、貧困と犯罪が渦巻く中で生まれ育ったビリーとコリンの2人。自分の生い立ちと決別するために警察官になったものの、マフィアへの極秘潜入捜査を命じられるビリー。一方、マフィアのボス、コステロに育てられ、"内通者"として警察に送り込まれるコリン。2人は、互いの存在を知らないまま、警察学校で学び、それぞれ、優秀な成績で卒業します。コリンは、警察の中で着実に昇進。ところが、警察側もマフィア側も、内通者の存在に気付き、マフィアはビリーに、警察はコリンに内通者の割り出しを命じられ...。
香港映画「インファナル・アフェア 」をハリウッドでリメイクした作品。
良くも悪くも、「インファナル・アフェア」はアジア的で、本作はアメリカ的。巧く、オリジナルをアメリカに移植しているといえると思います。特にラストの決着の付け方。このバイオレンスな雰囲気は、まさにアメリカン。
そして、スピード感のある展開、ドキドキ感もたっぷり味わえた点は良かったです。そして、何よりも、ディカプリオがカッコイイ!
ただ、警察が、何故、コリンが内通者であることに全然気付かずにいたのか、その辺り、疑問が残りました。マフィア側にしても、少々、お間抜けな感じがあったり...。大体、FBIと取引しているボスがいるマフィアに膨大な手間と時間をかけて潜入捜査員を送り込まなければならないものなのか...。まぁ、FBIと地元警察の間で有効な情報共有がなされていない可能性はあるわけですが...。そもそも、マフィア組織自体が、左程、必至になってつぶす必要があるほど、"大物"のようにも見えませんでしたし...。
で、ビリーが女医さんに渡した手紙はどうなったのでしょう?あれは、きちんと決着をつけて欲しかった気がします。もう、ビリーが死んでしまった以上、関係ない...ってことはないですよね?彼女が、コリンに気持ちを残していたからもみ消したというワケでもなさそうですし...。彼女の心の内が、今ひとつ、理解できませんでした。
そして、コリン。ビリーに比べ、あまりに悩みのない彼のあっけらかんとした雰囲気はどう形成されたものなのか、この部分も、もう少し描き込んで欲しかった気がします。ビリーもただ音を上げているだけな感じが先にたって、"必至に掴んだ身分を隠して、捨てたかった世界に生きなければならない悲哀"のようなものがあまり感じられませんでした。2人の人物の描き方はやや薄い感じがして、消化不良でした。
ラスト近くのビリーの行動も、何だか不用心。それなりに証拠も握っているわけだし、彼を知る証人もいるわけだから、もっと、慎重に行動しても良いわけで...。ラストで登場する人物を探すとか、いずれ登場するはずな彼を待つことだってできたでしょうに...。
ラストの決着の付け方は、オリジナルとは違いましたが、それはそれで、アメリカらしい変化が加えられていたのだと思えて、納得。ただ、「それで、いいのか...?」という疑問は残りましたが...。まぁ、良くも悪くもこれが、アメリカなのでしょう。
大きな伏線を回収し切れていないこと、結構、穴も目立つことなどがあり、本作の世界に浸りきれない部分もありましたが、ラスト10分前くらいまでは、ドキドキハラハラ感と迫力ある映像、出演陣の好演などがあり、それなりに楽しめましたが...。
オリジナルとの比較でいえば、作品の完成度ということもあり、オリジナルに軍配を上げたいところ。まぁ、Ⅰ 、Ⅱ 、Ⅲ の三部作を一本に纏めてしまったところで、無理してしまった面もあるのでしょうけれど...。