ガマの油

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億単位の大金を動かすトレーダーの矢沢拓郎は、プール付きの豪邸に、妻、輝美と息子の拓也の3人で暮らしていました。ある日、幼馴染のサブローが少年院出所の日を迎えます。サブローは、出所後は、矢沢家に住むことになっており、拓也は、サブローを迎えに少年院に行くのですが、その途中、車にはねられ...。その経緯を知らず拓也の携帯に電話をかけてきた恋人の光と話をした拓郎は、光に拓也と勘違いされてしまいます。拓郎は光に真実を告げられないまま、サブローと旅に出て...。


親として、子どもを失うこと程、大きな喪失感を抱く出来事はないだろうと思います。けれど、それでも、生きていかなければならないのが人間。いっそ死ねたら楽なほどの哀しみも、実際には、なかなか人を殺しはしないもの。


そして、生きていく以上、どこかで、その哀しみを処理していかねばならないもの。本作では、それぞれ、少しずつ違った立場から、一人の人間の喪失を乗り越えていく人々が描かれます。


映画製作に対する情熱も意欲も感じられるのですが、想いの強さが表面に出すぎて、空回りしてしまっているような印象を受けました。少々、詰め込み過ぎな感じがする一方で、ダラダラと間延びしてしまった部分も感じられました。そして、輝美の役割が、もっとしっかりと描かれていても良かったような気がします。拓也と光の組合わせもカップルとしてはどうもバランス悪い気がしますし...。ラストの仏壇のシーンとか無駄な感じのする部分も目立ちましたし...。


そして、株を全部売ってしまった拓郎ですが、それで、貧乏になってしまった...のですよね...。それなりに、儲けを出すような株を持っていたのなら、金持ちになりそうなものですが...。違うのかなぁ...。この辺りのリクツは、よく分かりませんでした。


もうちょっと、ポイントを絞って、テンポ良く作られていたら、ずっと面白い作品になったのではないかと思いますが...。ところどころ、心に残るセリフもありましたし...。特に、神様や仏壇にはいろいろ祈りごとをするのではなく、「ありがとう」と一言、お礼をすればよいという辺り、胸に響きました。


億単位で稼ぐトレーダーの仕事より息子の供養のための旅を取る、とか、自分の中にあるガマの油売りとの思い出を大切に生きているとか、人に大切に思われ抱きしめられた想い出が生きる力になるとか、いろいろと伝わってくることはあるのですが、盛りだくさん、全体にボヤけてしまっています。


そして、タイトルにもなっている「ガマの油」。確かに、ガマの油売りの不思議な存在感は印象的でしたが、正直、「だから、何?」という感じ。彼らの存在の必然性のようなものがきちんと描かれておらず残念でした。


それでも、ところどころに光るものは感じられるので、「次回作に期待」というところでしょうか?



公式HP

http://gama-movie.com/



ガマの油@映画生活

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