転々

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大学8年生の文哉は、家族もなく、天涯孤独の身の上。自堕落な生活の中で、いつの間に、84万円の借金を抱えていました。その借金の取立てにやってきたのが福原。3日後までに全額返せと迫ります。その後、再び、文哉のもとにやって来た福原は、吉祥寺から霞ヶ関までの"散歩"に付き合えば100万円をやろうと言い出します。他に返済の当てのない文哉としては、福原の要求を呑むしかありません。井の頭公園から、男二人の旅が始まり...。


これまでとは、ガラッとイメージチェンジした三浦友和が印象的です。観る前は、オダギリ・ジョーとの組み合わせでは、オダギリ・ジョーの方に分があるのではないかと思っていましたが、三浦友和もしっかりと存在感を出し、二人のバランスも絶妙だったと思います。


そして、三浦友和同様に、新しい一面を見せているのが、舞台となっている東京の街並み。人間の歩調に合わせたペースで、風景が変化し、主役たち以上にトンチンカンな人々との出会いがあり...。いろいろな姿を見せる東京の街並を移動しながら、福原と文哉の関係が深まっていく過程がしっとりと伝わってきます。


文哉と福原が東京を歩き回る前半、徐々に二人の間に暖かい関係が築かれ、その二人の関係が、さらに発展するような形で、後半の"擬似家族"体験へと繋がっていきます。全くの他人同士が、それも、特にお互いが相手を選んだわけでもなく、ひょんなことから、彼らの意思とは関係なく結びついてしまった集団。それが、不思議と家族らしい家族になっていく。それぞれの家族を欲する気持ちが結びついたということなのでしょう。


福原がその家族たち過ごす最後の夜のメニューに選んだのはカレー。そのカレーを作ったのは、"擬似妻"とマヨラーの娘(もちろん、擬似の)。福原が散歩のゴールを目指すちょうどその頃、彼女たちが作っていたのは、そのカレーの残りをソースにして作るパスタ。この辺りの展開も上手かったと思います。


かなり、思い切ったシチュエーションになっていますが、妙に説得力があります。よくよく考えてみれば、不自然なのですが、観ていて、格別、違和感を抱かずに作品の世界に入ることができました。


ところどころ小ネタが効いていて笑わせられます。


特に、岸部一徳。何だか、とても、説得力のある扱われ方というか、見事にハマッているというか...。福原を中心とした人間関係と福原の妻を中心とした人間関係、この二つの輪を上手く繋ぐ存在となっています。


擬似家族で癒された福原は、現実の世界に戻っていきます。後の3人は、これから、どうするのか?癒された先にあるものも少し見てみたかった気がしますが...。

公式HP

http://tokyosanpo.jp/indexp.html



転々@映画生活

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