- ポニーキャニオン
- ハイジ ファミリー・エディション
幼い頃に両親を亡くし、デーテおばさんに育てられたハイジは、その叔母の都合で、アルプス山中に住む祖父に預けられます。他人とのつきあいを拒み、一人、山で暮らす頑固な祖父は、突然のことに怒りを隠しませんが、結局は、ハイジを小屋に招き入れます。ハイジもぎこちないながらも、世話をしてくれる祖父に優しさを覚え、アルプスの大自然の中で健やかに育っていきます。そんなある日、デーテ叔母さんが現れ...。
「ハイジ」と言えば、「アルプスの少女ハイジ」。そして、「アルプスの少女ハイジ」といえば、高畑勲のアニメ版「アルプスの少女ハイジ」。TVアニメのハイジのイメージが、どれ程、強烈に刷り込まれていたかを改めて思い知らされました。
本作の中に、ヨーゼフの姿を求めてしまうのも、高畑アニメの影響なわけで...。
本作は本作で、悪くはなかったと思うのです。そして、本作を高畑アニメと比較して観るべきでもないのは、言うまでもないことなのです。けれど、どうしても、高畑アニメの場面が浮かんできてしまう...。
時間の制約もあるから仕方のないところでもあるのでしょうけれど、展開を急ぎすぎた感じは残ります。
ハイジが、おばあさんへのお土産にしようと白パンを箪笥に溜め込んでカビさせるエピソードにしても、その前におばあさんが黒パンを食べるシーンが出てこないため、原作やアニメからの知識を脳内補完させる必要があるし、ハイジが山へ帰りたがる理由についても、本作を見ているだけでは、「何故、ここまで?」という感じがしてしまいそうです。
もっとも、そうは言っても、短い時間の中に、ハイジとおじいさんの心の交流、クララの家に連れて行かれてのフランクフルトでの生活、クララのおばあさんとの触れ合い、山にクララを迎えての生活、立ち上がるクララ...。といった盛りだくさんの内容がこれだけ整理されていたことについては、評価すべきなのでしょう。
そして、何より、山小屋にしても、ワラのベッドにしても、スイスアルプスの広大な風景にしても、見事でしたし、主役のハイジ、おじいさん、ロッテンマイヤーさん...配役も絶妙で、それぞれ、雰囲気が出ていました。