女帝 エンペラー

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唐王朝滅亡後の中国は、戦乱の時代を迎えていました。ある国で皇帝が亡くなります。息子であるがウールアンが皇太子となっていたのですが、ウールアンは恋人であったワンが父に妃にされてしまった後、都から離れて詩と舞に熱中する日々を送っており、皇太子であるウールアンを差し置いて、皇帝の弟が新たに皇帝の座についてしまいます。ところが、実は、この新帝となった先帝の弟が、先帝を暗殺しおり、ウールアンにも刺客を送っていました。そんな中で、ワンは...。


映像の美しさが印象的でした。戦いの様式美を追求したらこうなったという感じの映像の連続で、戦いというより、舞踏を観ているような雰囲気さえありました。特にワンとウールアンが剣を合わせる場面は、「『舞踏アクション』の極致」と言ってもいいのだろうと思います。そして、ワンが即位式に着る服の「あかね色」も見事。ただ、戦いの場面だけで、力を使い果たしてしまったのでしょう。そこに懲りすぎて、それ以外の部分がおろそかになってしまった感じが否めません。


ヒロインであるワンの心理描写も丁寧さに欠けていたように思えます。仮面を着けて登場するウールアンに対し、「自分の顔そのものを仮面にできるようにならなければだめ」だという意味のことを言い切った割には、表情が顔に出すぎるていましたし...。ワンだけでなく、権力の中枢で権力闘争の渦中にいる人たちにしては、新帝もウールアンもワンも宰相も脇が甘すぎるというか、用心しなさ過ぎるというか...。


要するに、彼らを戦わせることが目的で、その戦いを美しく撮りたかったのね...。という雰囲気の作品でしたそして、この美しさは見応えありましたが、それだけなら、もっとコンパクトにまとめて欲しかったような...。


ワンを演じたチャン・ツィイーは、美しかったです。したたかで逞しい、悪女っぽい妖艶さを表現するには無理があったのではないでしょうか。新皇帝を篭絡する辺りは、なかなか、頑張っていたように思えるのですが、新帝の死の場面は、もっと、平然と毅然とした表情でいて欲しかったし、ウールアンの死に際しても、衆目の前で涙を流すようなことはして欲しくなかったです。


ストーリー的には、「中国版ハムレット」です。そう思って観れば、ラストがどうなっていたのかもわかるハズ。シェークスピアの力を借りて、世界的にいかにも中国といった雰囲気の様式美を売り込みたかったということなのかもしれませんが...。


邦題の「女帝」というタイトルは、本作のイメージとは、ずれてしまっているような気がします。原題通り、「夜宴」で良かったのではないでしょうか。タイトルにミスリードされ、ワンが女帝となって、権力を縦にし、その中で、自分が新帝を殺してしまったことや、ウールアンの死を防げなかったことなどへの心の痛みに苦悩するといったストーリーの作品だと思ってしまっていました。



公式HP

http://jotei.gyao.jp/



女帝 [エンペラー]@映画生活

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