もしも昨日が選べたら

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「家族のため」と言いながら、家庭を顧みず仕事に励むサラリーマン、マイケル。ふとしたことから画期的なリモコンを手に入れ、そのために人生をバラ色にできるかに見えたのですが...。


何というか、「社会的に大きな成功をすることより身の丈にあった足元の小さな幸せを大事にしよう!」的な内容です。闇雲に仕事にすべてを捧げる生き方への批判にもなっているのですが、かなり、ドタバタでハチャメチャだったりもします。(もっとも、日本人的感覚からすれば、マイケルは、それほど、ひどく、「家族をないがしろにしている」ようにも見えなかったのですが、やはり、あくまでも「アメリカ人の感覚からすれば」といったところなのでしょう。)


分に過ぎた夢を追うために自分と家族を犠牲にすることも、使いこなす力がないのに強力な道具を持ってしまうことの不幸...。ドラえもんの存在によって、羨ましい限りの万能な道具の数々を使えるのび太はしあわせなのだろうか...などと、余計なことも考えてしまいました。


「幸せの青い鳥は、結局、自分たちの家にいたのだ」ということで小さな幸せを大切にすることをよしとするあり方は、平凡と言えば平凡ですし、こうしたストーリーは、新鮮味はなく、「古典」とさえいえるでしょう。けれど、リモコンという道具が効いていますし、時間移動の考え方がなかなか面白かったです。


可笑しくて下品で滅茶苦茶で、でも、段々とシンミリとさせられ、考えさせられる...。なかなか、上手く、観る者の心を引っ張っていきます。


そして、これから結婚しよう、家庭を持とうとしている、あるいは、今、家庭を持っている、家庭があり家族との関係に悩んでいる人にお勧めです。本作の様々な場面から、学べることも、きっと、多いことでしょう。家族に対し、パートナーに対し、言ってはならないこと、してはならないことが沢山出てきます。そして、「人を一途に愛する」ことの幸せも見せてもらえます。


上映館は少ないようですし、私が観に行った時など、観客が10人未満と言う寂しさでしたけれど、もっと、広く見てもらってもいい作品だと思います。



[以下、ネタバレあり]







あまりに「アメリカ~~~ン」な雰囲気には、今ひとつ馴染めませんでしたし、感覚的によくわからない笑いの場面も少なくはありませんでした。けれど、「時間を早送りする」という発想は、なかなか面白く、時間を移動するタイプの作品としては、他にない斬新さも感じられました。この作品で特に上手いと思ったのは「巻き戻し不可」というところ。何かを避けたかったら、とにかく、先を急ぐしかない。そのために、異常に行き急ぐことになり、様々な悲喜劇が起こります。そして、ストーリーが進むにつれ、マイケルがリコモンを受け取る時に言われた「返品不可」という言葉が重みを増していきます。


そして、最後、いわゆる「夢オチ」が好きでない私としては、一瞬、がっくりしたのですが、そこからラストの展開で救われました。下品な割には、保守的な雰囲気も漂わせる「家族が大切、家庭が第一」的なノリの作品ですが、暖かさがあり、慰められる感じがしました。


ただ、不思議なのは、この邦題。別に、昨日が選べるとか選べないとかいう作品ではないのですよね。このリモコン、時間を巻き戻して過去を覗くことはできても過去を変えることはできないわけです。早送りをして嫌な場面を飛ばせるだけで、人生を操れるわけではありません。私は、題名から、主人公が、あれこれ過去をいじって、思い悩んだりするストーリーを想像してしまいました。そして、原題は「CLICK」なのに、何故?この題名では、本作の実際の内容とは、随分、違ったイメージを持たれてしまうだろうと思うのですが...。






ところで、本作は、「仕事人間だった主人公が、未来の姿を知らされ、家族の大切さを知り、家庭を大事にするようになる」という結末になっています。ただ、イジワルな見方をすれば、仕事より家庭を取った先の未来が、仕事人間だった未来より幸福なものになるかどうか、保証はないわけですよね。仕事をないがしろにしすぎたために職を失って家族もろとも路頭に迷うとか...、そんな未来が待っていないとは限らず...。




公式HP

http://www.sonypictures.jp/movies/click/




もしも昨日が選べたら@映画生活

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