60年前、敗戦により廃墟のようになった東京。復興しようとする東京の片隅に始まった立喰い蕎麦屋。そこに現れたのは伝説の「立喰師、月見の銀二」...。そして、現代の日本。「立喰師」たちの新たな標的となったのは、ファーストフード店。私たちの食生活を変えたファーストフード店への「立喰師」たち挑戦が描かれます。


大げさな演出、これでもかと古風な硬い表現を駆使するナレーション。それぞれのあるのだかないのだかわからないような、凡人の理解の範囲を超えるような伝説の「立喰師」たちの仕事振りが語られます。


全知全能をかけて食べることに臨む「立喰師」たちの仕事振りは、飲食店を相手にした真剣勝負。そのあまりに真剣な姿に思わず笑いがこぼれ...。アニメなどのパロディーが上手く織り込まれ、楽しめる作りになっています。

ファーストフード店に挑んでいく「立喰師」たちの戦いは、現代的な産業、生活を支える巨大なシステムに対する挑戦にも見えます。隙なく構築され、多くの店を人を動かし、全国的に、世界的に均一の商品を同じレベルのサービスで供給するシステム。それを一人の「立喰師」の意気込みが突き崩していく様子は痛快でもあります。


ただ、一つ一つのエピソードは、面白かったし、所々、ひきつけられる場面もあったのですが、それぞれが、バラバラな感じがして、全体的な流れがやや弱かった感じがするのは残念でした。そして、多用されるナレーションも独特の雰囲気を作る要素にはなっていましたが、過剰な感じも否めませんでした。全体の仰々しい感じとはミスマッチなチープなアニメーションも良かったです。オリジナリティ溢れる影像は一見の価値があると思います。


昔、深夜のフジテレビで「カノッサの屈辱」で「ファーストフードの客」というテーマでやっていたのが、こんな雰囲気だったような気もしますが...。




立喰師列伝@映画生活