メゾン・ド・ヒミコ

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この作品の舞台となるのが、銀座の伝説的なゲイ・バーのママだった卑弥呼(田中泯)が開いたゲイのための老人ホーム「メゾン・ド・ヒミコ」。


卑弥呼の娘、沙織はゲイである父を嫌い、その存在を否定して生きてきたのですが、卑弥呼の愛人である春彦(オダギリジョー)は、癌で死期が迫った卑弥呼を想い、娘の沙織(柴咲コウ)を、雑用のアルバイトとして、メゾン・ド・ヒミコへ連れて来ます。そこで、父娘である沙織と卑弥呼の関係、沙織と春彦の関係を中心に、様々な人間関係が描かれていきます。


卑弥呼、沙織、春彦、それぞれに存在感を示していて、見事。主要な三人の登場人物以外も、それぞれに個性的で印象的な人物たちが描かれていて、独特の世界が築き上げられています。


ただ、何故か、今ひとつ心に迫ってくるものを感じることができませんでした。まるで、おとぎ話の世界を覗き窓から眺めているような印象でした。おとぎ話のような世界となっているメゾン・ド・ヒミコの内部。外側の世界との軋轢も描かれていますが、内部はあくまで静かにまったりと時が流れる別世界。中の人たちが外へ出かける場面もありますが、その場面も、何か不思議な雰囲気になり...。全体的に、夢の中の世界に連れて行かれた、そんな感じでした。


背景となった砂浜と海の美しさ、かなり正当派のお盆に関するメゾン・ド・ヒミコの住人たちの行動が、より、幻想的な雰囲気を盛り上げていたのかもしれません。


もっとも、やや現実感の薄れたおとぎ話の世界だったからこそ、メゾン・ド・ヒミコに集う人たちは救われ、安らげたのかもしれないし、沙織も父親への恨みを少しずつ和らげることができ、この場所を自らの居場所とすることができたのかもしれませんが...。


卑弥呼役の田中泯は舞踏家ですが、ほとんど動きを封じられながらも圧倒的な存在感があり、鍛えられた身体的表現力の凄さを見せ付けられる思いでした。「若くて美しい男」という形容そのままを表現しきったオダギリジョーもはまり役、すっぴんで美しさを捨てて勝負に出た柴咲コウも脇を固める人々もしっかりとした演技で、安心してみていられる質の高い映画だったことは間違いありません。


それだけに、もうひとつ、作品に引き込まれる力というか、作品そのものの迫力のようなものが欲しかったと思いますし、そういったものを感じられなかったのが残念でしたし、不思議でもありました。



公式HP

http://himiko-movie.com/



メゾン・ド・ヒミコ@映画生活
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