今年も、日本インターネット映画大賞への投票と併せて、1年間に観た映画を振り返ってみたいと思います。日本インターネット映画大賞の投票の方法に変更点(日本映画、外国映画を別々の記事で投票→ひとつの記事で投票、作品賞は3作品以上10作品以下で持ち点合計30点の点数制で投票→3作品以上5作品以下で持ち点15点までの点数制か順位で投票、部門賞のカテゴリーの変更)があり、例年とは違う形になっています。

 

今年は日本映画29本、外国映画52本の合計81本を映画館で観ました。日本映画の方が少なかったですが、観た作品は満足できたものが多かったです。

 

日本映画 

【作品賞】(3本以上5本まで)順位(点数記入なし)、作品数(順位を削除)、自由採点(点数記入)から選ぶ 
1位  「この世界の片隅に」 
2位  「君の名は。」 
3位  「シン・ゴジラ」 
4位  「FAKE」 
5位  「団地」 
【コメント】 

 今年の日本映画は当たり年だったと思います。上位3作品は、いずれも日本映画史に残る名作だと思います。いずれも、細部まで丁寧に作られて見応えある作品に仕上がっていたと思います。きちんと真っ当に作られた作品の良さというものを改めて実感させられました。「FAKE」には、映画作品としての面白さだけでなく、ドキュメンタリーのリアリティと嘘について考えさせられる作品でした。

【監督賞】           
  [森達也] 
【コメント】

 「FAKE」では、何が真実で何が嘘なのか、"真偽"の危うさについて考えさせられました。ドキュメンタリー作品というものの本質をも見せてくれるような描写、対象への迫り方がとても印象的でした。「団地」も失われていく日本の風景が切り取られていて、ラストの違和感はありつつも今年の作品として覚えておきたい一本だと思います。

【最優秀男優賞】 
  [野村萬斎] 
【コメント】

 「シン・ゴジラ」のエンドロールに名前が登場した時は、「どこに出演?」と思いましたが、ゴジラの動作はこの人のものだと知った時に成程と思いました。「シン・ゴジラ」を名作として成り立たせるための重要な役割を果たしていると思います。

【最優秀女優賞】 
  [のん] 
【コメント】

 声優としての声だけの出演でしたが 「この世界の片隅に」のすず役は、すずの声はこれ以外にあり得ないと思わせられるような役柄の雰囲気にピッタリの声でした。

【音楽賞】 
 「君の名は。」 
【コメント】 

 RADWIMPSによる音楽が印象的でした。作品の世界にぴったりで、音楽の力で物語の世界の奥深くに魂を引き込まれた感じがします。

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外国映画 

【作品賞】(3本以上5本まで) 順位(点数記入なし)、作品数(順位を削除)、自由採点(点数記入)から選ぶ
1位  「ハドソン川の奇跡」 
2位  「ルーム」 
3位  「将軍様、あなたのために映画を撮ります」 
4位  「シリア・モナムール
5位  「最高の花婿」 
【コメント】 

 相変わらず、クリント・イーストウッドの作品は見応えあります。「ハドソン川の奇跡」は、今、揺らいできている正義について考えさせられる佳作でした。事件解決でメデタシメデタシではない「ルーム」の視点も良かったです。

【監督賞】           
  [ジェイコブ・トレンブレイ] 
【コメント】

 「ルーム」の事件解決後の物語を丁寧に描いた視点が印象的でした。

【最優秀男優賞】 
  [グンナル・ヨンソン] 
【コメント】

 「好きにならずにいられない」のフーシ役で、見事な存在感を発揮していました。確かに、好きになってしまいます。

【最優秀女優賞】 
  [ヴィッキー・チャオ]      
【コメント】

 「最愛の子」 のリー・ホンチン役が印象的でした。ちょっと滅茶苦茶なところも感じさせる人物に同情を引き寄せる説得力のある演技だったと思います。

【音楽賞】 
 「マジカル・ガール」 
【コメント】

 懐かしの日本の歌謡曲が巧く使われていて印象的でした。作品の雰囲気にもよく会っていたと思います。 

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【私が選ぶ"NOと言える日本"賞】 
  [八木景子監督] (「ビハインド・ザ・コーブ~捕鯨問題の謎に迫る~」) 
【コメント】 

 捕鯨問題について描いた「ザ・コーブ」。日本人として、日本への偏見を感じる作品でしたが、それに対し、NOを突き付けた作品です。初監督作品ということもあるのでしょう、映画としての完成度は必ずしも高くなかったと思いますが、こうした形で世界に向かって発信することはとても大切なことだと思います

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キリング・ショット

テーマ:

 

テス、カラ、ドーンの女性3人のグループは、ボスのメルに指示されて、郊外のダイナーに乗り込みます。メルのシマで勝手に行われる麻薬売買の現場を押さえることが彼女たちの目的でした。そのダイナーには数組の客がおり、テスは、誰がターゲットなのかを探ろうとしますが、銃撃戦になり...。

 

物語自体は、ツマラナイというワケではなかったと思います。作品としての構成も悪くなかったと思います。出演陣にしても、少なくともブルース・ウイリスとフォレスト・ウィテカーは良かったと思います。けれど、映画作品として面白いかということになると、不思議なほど、ツマラナイ作品になってしまっていました。

 

多分、登場人物たちの会話がくど過ぎるのだと思います。これでもかというほど時間をかけてやたらと喋ります。そして、いろいろと必死に喋っているのですが内容がどうでもよい感じで物語に巧く絡んでこなくて、それで、作品全体のテンポが悪くなってしまっているのではないかと...。

 

時間が前後しながら、事件の背景や個々の登場人物の抱える事情などが徐々に明らかにされていくのですが、どうも、ワクワク感がないというか、緊張感がないというか、全体にグダグダしてしまっています。

 

警官から制服を奪ってテスを追ってきたロニーも不思議な人です。何故、警官から制服を奪ったのかは、後々、示されるのですが、そのために何もそこまでしなくてもという感じは否めませんし、テスへの想いという点についても意味不明な言動が目立ちます。ボスのメルも何がしたいんだかよく分かりません。ロニーを演じたフォレスト・ウィテカーは独特の存在感を出していますし、メルを演じたブルース・ウイリスもごく短い時間の中で存在感を示していますが、それぞれの人物設定には難ありです。2人が、もっとゾクゾクするような不気味さや背筋が寒くなるような怖ろしさを感じさせてくれていたら、物語がグッと引き締まったのではないかとも思いますが、何だかとっても残念な作品でした。

 

 

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幸せなひとりぼっち

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フレドリック・バックマンの小説「En man som heter Ove(オーヴェという男:本作の原題と同じ)」を映画化した作品。原作は未読です。

 

コラムニスト、フレドリック・バックマンは、ジャーナリストとして働いていたある日、頑固で気難しい父親と買い物をした時のエピソードをブログに投稿したところ、予想外の強い反応をがあり、それをきっかけに書き始めたのが、この小説だそうです。

 

59歳のオーヴェは、ある日、突然、43年間勤務していた会社から首を宣告されます。最愛の妻、ソーニャに先立たれ、近所では偏屈な頑固爺で通っていて友人もいない彼は、愛する妻との再会を願い、自宅で首を吊ろうとしますが、目の前で引っ越しが始まり、自殺するタイミングを逃してしまいます。引っ越してきたのは、イラン出身で妊娠しているパルヴァネと夫、2人の娘の4人家族。明るく積極的なパルヴァネは、オーヴェにペルシャ料理を届けたり、区r間の運転を教えて欲しいと頼んで来たり、何かと接触して来て...。

 

生真面目というよりもビョ~キなレベルに四角四面に規則を押し付ける頑固ジジイなオーヴェなのですが、そんな彼のソーニャとの素敵な恋愛と幸せな結婚生活が徐々に明らかにされ、バルヴァネに振り回される中で彼の優しさと純粋さが少しずつ見えてきて、彼に心を寄せたくなります。正直で不器用で真っ直ぐで、何度も理不尽な目に遭わされながらもその不運を乗り越えてきた彼の人生を知ることで、オーヴェを愛おしく思えてきました。

 

物語自体は、特に目新しさのない平凡なものですが、オーヴェの現在と過去、ソーニャとのロマンス、パルヴァネ一家との交流、ルネとの友情、ご近所さんとの関係といった要素がバランスよく組み立てられ、心に沁みてくる味わい深い作品となっています。

 

車を巡るあれこれなどは、私自身に車についての知識があまりないので、多分、十分に楽しめていないし、そこで意図されるものを十分にくみ取れてはいないと思います。

 

原題は、"オーヴェという男"という意味だそう。頑固ジジイで周囲から煙たがられているオーヴェですが、決して孤独という印象は受けないので、邦題よりもしっくりくる感じがします。

 

カミングアウトして父親と衝突するケバブ屋のお兄さんとか、その彼を含めて一緒に"パトロール"するお兄さんとか、本筋に対する絡み方が中途半端なエピソードも散見され、傑作とまでは言い難い感じもしますが、ところどころ笑わされたり泣かされたりしながら、ホッコリと温かな気持ちで観終えることができる優しい作品です。

 

 

公式サイト

http://hitori-movie.com/

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夜顔

テーマ:
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4,104円
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マノエル・ド・オリヴェイラ監督が、ルイス・ブニュエル監督の1967年の映画「昼顔」の38年後を描いた続編。

 

初老の紳士、アンリ・ユッソンは、コンサート会場で、偶然、昔の親友、ピエールの妻だったセヴリーヌを見かけますが、セヴリーヌは、逃げ出します。その後、アンティークショップの前でばったり出会い、アンリは、セヴリーヌを強引にディナーに誘います。2人は、豪華な個室でディナーを共にし...。

 

2人の間に性的な関係があったのかなかったのか、あったようなことも仄めかされますが、明確に語られているわけではなく、真実は曖昧になっています。そして、セヴリーヌの秘密を知ったアンリが、セヴリーヌの夫であり親友であるピエールに伝えているのかどうか。セヴリーヌとしては、亡き夫が自身の秘密を知っていたかどうか、気になって仕方ない様子です。一方、アンリは、その件について、真実を語る気はないようです。はっきりされないだけに、観ていても気になり、あれこれ、想いを巡らされれます。

 

アンリは、秘密をピエールに告げたのかどうか、その真実を隠すことで、セヴリーヌとの関係を繋げることができると考えたのでしょうか。けれど、セヴリーヌは、自身がその問いに縛られている限りアンリに縛られることになると悟ったのでしょう。セヴリーヌがアンリの元を立ち去った時、彼女は、心の中に渦巻ていた苦しい疑問を手放したのではないでしょうか。最後の切り札を失ったアンリは立ち尽くすしかありません。

 

この2人きりのディナーのシーンは出色です。黙々と食事をする2人、激しく言い合う2人...。2人のこれまでと今後について考えさせられます。

 

このディナーのシーンだけでなく、対話中心の物語です。その積み重ねに厚みが感じられました。緊張感やサスペンス的な色彩を帯びたスリルも感じられます。

 

本作単体でも訳が分からないということにはなりませんが、「昼顔」を観ておいた方が、より、楽しめる作品だとは思います。「昼顔」を観た上での鑑賞をお勧めします。

グッドモーニング、ベトナム

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ベトナム戦争時の米軍放送の実在したDJを描いた物語。

 

ベトナム戦争中のサイゴン。米軍放送にDJとして赴任したエイドリアン・クロンナウア(ロビン・ウィリアムズ)は着任早々、その強烈なジョークと選曲で忽ち人気DJとなりますが、その過激さと型破りな行動によって上司からは睨まれます。そんな中、英語学校に通う現地の少女、トリンに一目惚れします。彼女に言い寄るうち、トリンの兄、ツァンと知り合い、親しくなりますが...。

 

DJ復帰の説得に応じようとしなかったクロンナウアが外出した際、戦地に向かう兵士たちのリクエストに応えてDJトークを繰り広げるシーン。最後に、一人一人の名前を聞き、「君たちのことを覚えている」と言って送り出します。単なる"戦いのコマである一兵卒"でなく"かけがえのない一人の人間"として遇するクロンナウアの心情が切なく、胸に沁みてきます。

 

クロンナウアの放送は、兵士たちに、一時、自分たちの置かれた状況の過酷さを忘れさせ、慰めを与えたのかもしれません。けれど、戦場に若者たちを送り出すシステムに組み込まれ、その仕組みを強化する側に置かれていたことも、また、事実。

 

戦争が泥沼化し、多くの若者たちが戦場に送られ、命を賭けて戦っているという現状。それはそれで、酷いものですが、それは、アメリカからの視点。その若者たちが送り込まれている土地に居る者たちからすれば、かなり迷惑な話。クロンナウアも、自分たちがベトナムのために来ているという発言をしていますが、現地の人間としては「だったら来るな」と言い返したいところでしょう。

 

アメリカの視点だけでなく、戦争を持ち込まれたベトナムの側の視点も取り入れられている点が、本作の物語に厚みを持たせています。ツァンの言葉をクロンナウアがどれだけ理解できたのか、本作を観たアメリカ人たちがどだけ理解できるのかは分かりませんが、アメリカが行ったことの現実を突きつけるような場面が登場し印象的です。

 

ルイ・アームストロングの"What a Wonderfull World"が流される戦闘シーンも印象的です。この世界は美しく、戦争の中でも、敵味方を超えた友情が生まれることはあり、戦う人々を取り囲む自然も美しいのに、人々は戦い、傷つけあい、命を奪いあうことを止められない...。

 

フォレスト・ウィテカーが演じたクロンナウアのよき理解者ともなるエドワード・ガーリック。ベトナム戦争は、初めて"黒人部隊"が組織されず、黒人が士官にもなり、黒人が白人に命令する事態が生じた戦争です。アフリカ系の人々は、"国のために命を賭けて戦う"ことにより、その力を認めさせ、地位を向上させたわけですが、その背景で、アフリカ系の兵士たちは勿論、多くのベトナムの人々が犠牲となっているということを考えると複雑なものがあります。

 

クロンナウアとガーリックを危険な場所に送り出した意地の悪い上役も登場します。実際、軍隊において、こんなイジメや嫌がらせはあったのでしょう。かつての日本の軍隊でも、酷い上官が戦闘時に後ろから味方に撃たれたりとかあったようですし、自衛隊内でのイジメの問題が取り沙汰されることもあります。これも、戦争の一面ということになるのでしょう。

 

英語のジョークが連発されます。この部分をきちんと理解するには、かなりの英語力と当時のアメリカ社会への理解が必要で、日本語の字幕や吹き替えに頼って観ている私には、十分に楽しむことが難しい作品ではあると思います。その点では、日本で、本作を十分に楽しめる人は限られてしまうのかもしれませんが、その部分を覗いても、興味深く観られる作品であることは間違いないと思います。

 

亡きロビン・ウィリアムズに出会える作品という意味でも一度は観ておきたい作品だと思います。いろいろと考えさせられる印象的な作品です。

皆さま、ごきげんよう

テーマ:

フランス革命の時代、処刑を見に来た人々の目前で貴族の男が断頭台の露と消えます。時代は変わり、近代の戦場で、戦車に乗った兵士たちが民家に押し入り、金品を強奪して去って行きます。現代のパリでは、警察署長が向かいのアパートの人々の様子を、望遠鏡で覗いていて...。

 

フランス革命期、近代の戦場、現代のパリを舞台に繰り広げられる人々の様々な営みが描かれます。

 

ギロチンで首が落とされるシーンがあっても血飛沫が上がることはなく、男性がトレーラーに轢かれてペチャンコにされても血が流れることはありません。そして、いくつかのエピソードが脈絡なく散発的に登場し、同じ俳優が時代を超えて違う役を演じていたりもします。そんな手法が、物語に幻想的な味わいを与え、寓話的な要素を加えています。

 

作品の中心となる人物は現代において武器の売買をしているアパートの管理人とその悪友の人類学者。そして、アパートの管理人を演じるリュファスは、フランス革命時にはギロチンで処刑される貴族であり、近代の戦場では軍隊にいる刺青の聖職者を演じています。

 

時代を超えて、人間は愚かな行為を繰り返し、世の中は理不尽と矛盾に満ち満ちていて、生きることは時に大いなる苦痛をもたらしますが、それでも、生きていればお酒を飲み音楽を楽しむことができる。こんな世の中でも生きるに値する...そんな風に思えてきます。

 

基本的にワケの分からない雰囲気を漂わせているので、集中力が削がれたり、眠気に襲われたりという部分もありますが、不思議と魅力的な作品でした。

 

 

公式サイト

http://www.bitters.co.jp/gokigenyou/

ミス・シェパードをお手本に

テーマ:

劇作家であり、脚本も書いているアラン・ベネットの回想録を映画化した"ほとんど実話"な作品。原作は未読です。

 

ミス・シェパードは、ロンドンの北部、カムデン・タウンの通りに年代物のバンを停め、車上生活をしていました。悪臭を放ち、周囲から手助けされながらも感謝もせず高圧的な態度に出る彼女を街の人たちは追い払うことなく、受け容れていました。劇作家ベネットは、路上駐車を注意される彼女の姿を目にし、自宅の前庭にバンを移動させるよう勧める。一時的に駐車させるつもりでしたが、他に移る気配もなく...。

 

邦題の"お手本に"というのは、よく分からなかったのですが、ミス・シェパードと彼女に振り回されながらも、疫病神のような彼女に対し悪口を言いながらも、追い払うことなく、色々な形で手を差し伸べている人々が描かれます。偏屈で頑固で意固地で身勝手で人の迷惑を顧みないミス・シェパードの物語は、同時に、それ以上に、彼女を取り巻く人々の物語なのです。

 

そして、そこには、周囲の人々が彼女からどれ程大きなものを受け取ったかが浮かび上がっていきます。カムデンの人々はミス・シェパードに施しているように見えますが、物語の中でも触れられていたように、彼らは、それと意識していなかったかもしれませんが、ミス・シェパードを受け容れ、何らかの世話を焼くことで自分たちの罪滅ぼしをし、自分を赦し、天国へ行ける安心感を得ようとしたように感じられました。

 

ミス・シェパードもそれを感じていたから、感謝もせず、大きな顔をしていたのかもしれません。周囲の彼女への行為が贖罪なのだとしたら、天国へのステップだとしたのなら、彼女が傲慢で扱いにくい人間であるほど、周囲の人々の行為は尊いものと神様に評価されるに違いないわけですから。まさに"情けは人の為ならず"。

 

ミス・シェパードを演じたマギー・スミスが、他の女優がミスシェパードを演じることなど考えられない程、ぴったりと嵌っています。どんなにうらぶれても、どこか威厳を感じさせ、流ちょうなフランス語を喋っても、それ程、違和感がなかったです。貧しく、人の行為を頼らずには生きられない状況の中でも誇り高くある姿は、例え、ボロをまとっても凛としてカッコよかったです。

 

どの程度、真に受けて良いのか分からないのですが、これが"ほとんど実話"というのも、スゴイ話です。

 

そして、ベネットを"書くベネット"と"生活するベネット"の2体存在させる手法も面白かったです。最初、双子かとも思いましたが、1人の人間の中の2つの人格でした。最初、違和感がありましたが、この手法によりコミカルな雰囲気が加えられ、ミス・シェパードに対して湧いてきてしまう嫌悪感を薄めています。

 

なかなか面白かったです。レンタルのDVDを見られるようになってからでも良いかとも思いますが、観ておいて損はない作品だと思います。

 

 

公式サイト

http://www.missshepard.net/

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この時期、お約束のクリスマスケーキです。もう数年来、恒例となっていますが、高島屋で事前に予約しました。そして、これもここ数年と同様、小さいサイズをチョイスしました。基礎代謝が落ちてきて久しくなると、食べ物を選ぶ際、"少量"ということが、結構、大きなポイントになったりします。

 

で、2年前、2014年と似たタイプのケーキとなりましたが、チョコレート系です。チョコレートの得意なシェフだそうで、2年前もとても美味しく頂きましたが、今年もしっとりとして、濃厚ながらもしつこくないチョコレートを堪能することができました。

 

三鷹駅北口から中央通りを真っ直ぐ徒歩7分程、井の頭通りと交差するところにお店があります。今年の8月、10周年を迎えているのだそうです。新宿高島屋の"パティシェリア"にもケーキが並べられています。

 

では、皆さま、Merry Chiristmas!!大切な人と過ごすクリスマスも、一人で過ごすクリスマスも、それぞれに想い出深いものでありますように!!そして、よいこな皆様にも、残念ながらよいこにはなれなかった皆様にも、素敵なプレゼントがありますように!!

 

 

マ・プリエール公式サイト

http://www.ma-priere.com/

田沼旅館の奇跡

テーマ:

 

観光客の姿もまばらな温泉街にある田沼旅館。1912年創業の100年の歴史を持つ老舗旅館ですが、今は満室になることもありません。そんな田沼旅館に、1人の女性記者が宿泊します。彼女は、田沼旅館の存在を人々に知らせて人気旅館にしたいと願っていましたが、旅館の宿泊客は、会社の債務を生命保険で返済をしようと考える社長、元妻の再婚を前に彼女が引き取ることになる息子と親子として最後の旅行をする父親、小説家と偽って時効成立まで宿泊し続けようと考えている犯罪者など、訳ありなお客ばかり。旅館も、借金の返済のために売られようとしていて...。

 

創業100年となれば、立派に歴史ある旅館と言えるレベルですが、旅館の佇まいや調度品などにその重みが感じられません。100年の歴史がある旅館というよりは、古びて安っぽい感じの場末感が強く、女性記者の思い入れもよく分かりませんでした。

 

"奇跡"の描き方は面白かったです。よくある温泉旅館の楽しみが、いつの間にか、大きなことになり、しかも、そこに奇跡が起こると予測しながら観ていたら、他に持っていかれるという展開。"他に持っていかれる"部分については、分かりやすい前振りがあって意外性が薄れてしまったのは残念でしたが、この展開自体は面白かったと思います。

 

ただ、それにしても、時効を目前に控えた男性の行動もあまりにヘン。UFOキャッチャー依存症だとか、あの中にどうしても必要なものが入っていたとか、よりによってあの時あの位置でUFOキャッチャーをした理由について、それなりの理屈をつけて欲しかった気がします。

 

まぁ、あれこれ理屈を捏ね回すまでもない軽いお笑いのコント映画ということなのかもしれませんが、それならそれで、"今は寂れているけれど老舗の旅館"などと無理せず、違和感のない設定にすればよかったわけで、笑いの要素を際立たせるためにも、物語の設定や舞台の作り込みなどはしっかりこだわって欲しかった気がします。

 

もっと面白く描けて良い物語だったと思うのですが、それだけに残念です。

ハプスブルク家のコレクションや、ピーテル・ブリューゲルの「バベルの塔」「農民の踊り」など膨大な美術品を所蔵し、ヨーロッパを代表する美術館として名高いウィーン美術史美術館。2012年からスタートした改装工事に密着し、館長から修復家、ゲストサービス、コレクション責任者、清掃員ら多くのスタッフにカメラを向け、それぞれのドラマを映します。

 

数多くの美術品を収納する美術館を描いていますので、当然のことながら、教科書などでも見たことのある有名な絵画や彫刻など、数々の名作が登場するのですが、本作は、基本的に、美術品について語る作品にはなっていません。

 

美術品よりも、修復をする人々、展示の企画をする人々、予算を管理する人々、接客をする人々、収蔵品を管理する人々、新たな美術品の購入を担当する人々、清掃をする人々、展示品を運搬する人々...。美術館を支える様々な職種の人々が描かれています。

 

人々の興味を惹くような展示をするためには、美術品に対する知識、造詣だけでなく、マーケティング的な能力や発想力、企画力が必要だし、世の中に訴える宣伝力も必要だし、ポスターやチケットのデザインにも神経を使わないといけないし、長い年月の経過に耐えてきた美術品を護るためには、修復の技術や経験が必要だし、美術品を傷つけないように運搬、展示、保管をするにも、熟練の腕が必要。実に様々な場面で、多くの種類の熟練が必要とされていることが分かります。

 

他にも、「エルミタージュ幻想」、「ようこそ、アムステルダム国立美術館へ」、「フランコフォニア ルーブルの記憶」など、美術館を扱った映画を観たことはありますが、接客を担当する職員まで登場する作品は他になかったように思います。不届き者が混じっていないとは限らない大勢の客をきちんと捌いていくのも、本来、とても大切な仕事なのだと改めて実感させられました。

 

ただ、ウィーン美術史美術館がどのような特色や歴史を持つ美術館なのか、その収蔵品にはどのような特徴があるのかについては、あまり触れられていません。常識として分かっているだろうということなのかもしれません。だた、作中では、展示の企画の担当者たちや経営の中心になっている人々が外国人を含む観光客の興味を引くことを意識している様子が描かれているので、美術館そのものについての基礎知識にはもう少し触れて欲しかったところ。

 

ある程度、美術館についての予備知識を仕込んでおいた方がいいかもしれませんが、そうでなくても、結構、興味深く観ることができました。面白かったです。

 

 

公式サイト

http://thegreatmuseum.jp/