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Don 幸庵は"どんこうあん"と読むのだそうです。

 

初めてこのお店を知ったのは、とあるデパートの催事でのこと。ショーケースに並べられたサシがしっかりと入った美味しそうなローストビーフを見て、どうしても食べてみたくなって衝動買いしたのが出会いでした。

 

ローストビーフは、ブロックのサーロインとスライスされたサーロイン、黒毛和牛サーロインの3種類。折角だから(?)、黒毛和牛を買ってみました。

 

見た感じからして美味しそうだったのですが、食べてみて満足。これまでに食べたローストビーフの中でも、結構、美味しい部類の味だと思います。

 

やや、レア過ぎる感じなのですが、お店の方のお勧めに従って、食べる前にレンジで15秒程度チン。添えられていたソースをつけて口に入れると、ほどよい柔らかさのお肉の感触とじんわりと沁みだしてくる肉汁で口の中に幸せが拡がります。

 

若干、バラツキがあるようで、中には噛み切りにくい部分が含まれているスライス片もありましたが、基本的には、質の良い牛肉が使われている感じで、誤魔化しのない肉のおいしさが楽しめました。

 

お安くはありませんが、お勧めです。

 

元々は精肉店で、お肉料理中心のレストランとなったとのこと。静岡のお店とのことで、私の生活圏からはだいぶ遠く、レストランに食事をしに行くのは、少々、難しいと思うのですが、時々、よく行くデパートの催事に登場するので、その都度、いただいています。

 

お店のホームページからもローストビーフやハンバーグなどの製品を購入できます。

 

公式サイト

http://donkoan.com/

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オーシャンズ13

テーマ:

 

オーシャンズ1112に続く第三弾。

 

オーシャンの師であるルーベンは、ホテル王、バンクと手を組もうとして裏切りに遭います。そして、そのショックから心筋梗塞を起こし、死の淵を彷徨っていました。オーシャンは、強盗の途中で盗むはずの金も放り投げ、ルーベンの元に駆けつけます。オーシャンは、仲間たちと、最強のセキュリティを誇るオープン予定のバンクのカジノを潰すことにし...。
 

これまでは、利益を得るためだったり、身の安全のためだったり、自分のための犯罪でしたが、今回は、ルーベンの敵討ち。そして、その過程で、自分たち以外の人々に利益がもたらされるよう考慮されています。彼らの作戦の中で"被害者"となってしまう人物にも高額な報酬が用意されています。自分たちのことだけでなく、仲間を想い、そこに居合わせる人々にも配慮し、迷惑をかけた相手にはそれ以上の埋め合わせをし...。

 

ベネディクトが狙ったダイヤの処理についても、なかなか粋な方法で良かったです。ベネディクトの思惑通りにはさせず、けれど、彼を裏切って後で制裁を加えられるような形でもなく、巧い落としどころだったと思います。

 

ただ、盗みのプロットなど、設定やストーリーには甘さが感じられます。肝心の盗みの手段も、知恵や熟練の技を駆使するというよりは、とにかくお金をかけたという感じ。まぁ、知恵を使う場面もありますが、それは、本筋の盗みよりも、ホテルへの嫌がらせなどに使われている感じで、"大変な想いをして数々の危機を乗り越えて目的を達した"という盛り上がりや爽快感には欠けてしまっています。

 

周囲に気を配る余裕というかゆとりというか、その辺りが、11や12との違いかもしれません。そして、その余裕が、コミカルな雰囲気と合っていると思います。やはり、大物たちが楽しそうに演じているのは、観ていて楽しいものです。

 

このシリーズの中で順位をつけるとすれば、一位は11で本作が二位といったところでしょうか。レンタルのDVDなどで気軽に楽しむ分には悪くないと思います。

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サムライ

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4,104円
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殺し屋ジェフ・コステロは、依頼を受けてナイト・クラブのオーナーを殺害しますが、その日に出演していた女性のピアニスト、ヴァレリーに顔を見られてしまいます。ジェフも警察に呼び出され、クラブの従業員たちを前に面通しをされますが、なぜかジェフをしっかり見ていたはずのヴァレリーは彼ではなかったと証言をします。ジェフは放免されますが、捜査責任者の警視はジェフへの疑いを消し去ることが出来ず、彼に尾行をつけ...。

 

ジェフ・コステロを演じたアラン・ドロンが実に格好良かったです。

 

プロの殺し屋なのですが、その殺しの手段は、あまりにシンプルというか、芸がないというか、真正面から拳銃で銃声を響かせつつズドン。殺人行為を隠そうとか、捕まらないようにしようとか、余計なことは一切考慮していません。で、ともすれば、間が抜けて見えてしまいそうな殺し屋をカッコよくプロフェッショナルに見せてしまうのは、アラン・ドロンの存在故でしょう。

 

セリフが最小限に抑えられ、感情の揺らぎも、動作も控えめで、とても静かで緊張感のある映像となっています。この辺りは、"侍"を彷彿とさせるものを感じさせてくれます。

 

そしてラストの展開も印象的です。裏切り者に対してはきっちり制裁を加え、自身のミスに対しても落とし前をつけ、守るべき相手を守り切る。このコステロの美学は、"サムライ"というタイトルに通じるものと言えるでしょう。

 

とは言え、人を殺して報酬を得るのですから、"侍"というよりは、"人斬り"と言うべきではないかと...。侍は、必ずしも相手を殺すことを第一にしているわけではないと思うのですが...。本物の侍にとって、人殺しを生業にすることは真っ当な生き方とは言えないと思うのですが...。普通のフランスの人が"サムライ"に対して抱いているイメージがこれということなのでしょうか...。

 

何はともあれ、アラン・ドロンの魅力を堪能できる作品です。アラン・ドロンの佇まいに魂を奪われる107分でした。

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オーシャンズ12

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「オーシャンズ11」の続編。前作については、ここに感想を書いています。

 

ラスベガスのホテル王ベネディクトから1億5000万ドル強奪し、テスを取り戻したオーシャン。その3年後、ベネディクトから、盗んだ1億5000万ドルに3年分の利息をつけた1億9000万ドルを2週間以内に返さないと命はないと脅されます。かつての仲間、ラスティは、車を爆破され、命を狙われており、本気だと悟ったオーシャンは、昔の仲間を集めます。3年前の金など全員で山分けして、既に全部使ってしまった者も。ベネディクトの要求を飲まざるを得ないと観念しますが、そのためにはどこかから大金を奪うしかなく、新たな強盗計画を立て...。

 

どうしても、前作と比べてしまいますが、少なくとも、ストーリーの面白さについては、だいぶ落ちる感じがしました。

 

豪華キャストはさらに豪華になっているのですが、それぞれの見せ場が十分にあるワケではありません。まぁ、ヘンに大物に気を遣ってグダグダな作品になるよりはマシと言えるのでしょうけれど、折角の豪華さを活かしきれていないのは勿体ない感じがしてなりません。

 

何も考えずに楽屋落ち的なお遊びを楽しむ分には悪くないのでしょうけれど、これだけの面々を揃えておふざけだけで済ましてしまうのはどうかと...。おふざけを楽しめる作品に仕上げるためには、本来、生真面目な支えが必要なのだと思いますが、そこが弱いのではないかと思います。全体に緩い感じで、今一つ、物語の世界に浸れませんでした。

 

カラクリが全て"実はこうだったのよ"的なネタ晴らしには、釈然としないものがありました。まぁ、オーシャンがルマークに「(ナイト・フォックスは挑戦をした時点から監視を始めるから)凝った演技をしろよ」と意味深な忠告をする場面を思い出せば、成程とは思えるのですが、それにしても後出し感たっぷりで...。そして、本作でオーシャンたちの敵役であるナイト・フォックスの動機があまりに子どもっぽいのも気になります。それに、オーシャンズvsナイトフォックスの勝負も、オーシャンズの泥棒としての力量がナイト・フォックスを上回ったことより、オーシャンが大物からの力添えを得られたことが勝敗を左右している感じで、その点も、消化不良感の原因となっていると思います。

 

テスが自分にそっくりなジュリア・ロバーツに扮する場面とか、まぁ、ありがちなギャグではありますが、それでも、出演陣が皆、本心から楽しそうなので、それなりに愉快な気持ちで観ることができる作品だということは間違いないと思います。

 

レンタルで気軽な気持ちで観る分には悪くない作品だと思います。

オーシャンズ11

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"オーシャンと11人の仲間"のリメイク作品。オリジナルは以前観ていて、感想をここに書いています。

 

4年間服役していた、ダニー・オーシャンは、仮釈放の日から次の犯罪に向けて行動を開始します。狙いは、ベガスの3大カジノ、ベラージオ、ミラージュ、MGMグランドから入金される地下金庫。3大カジノのオーナーは、ホテル王ベネディクトで、彼の現在の恋人テスは、泥棒稼業から足を洗う気のないオーシャンに愛想をつかした彼の元妻でした。オーシャンは、古くからの親友でイカサマ師のラスティ、スリの名人のライナス、爆薬の達人バシャー、元カジノオーナーのルーベン、車両のプロのバーシルとダークの兄弟、カードディーラーのフランク、配線のプロのピングストン、アクロバットの達人イエンら11人の仲間を集め...。

 

それなりに爽快感もあり、面白く観ることができました。気軽に楽しめる良質な娯楽作品だとは思うのですが...。

 

オーシャンたちの計画も綿密に練られ、盗みの過程もしっかりとしているのですが、出演陣の豪華さも相俟って成功するに決まっている感が半端なく、ハラハラドキドキは薄くなってしまった感じがします。計画の進行を妨げるような事態が起こったり、ちょっとした狂いが生じたりはするのですが、それも、都合の良い偶然に救われたりして、あまり危うさは感じられません。

 

オーシャンを演じたジョージ・クルーニー、ラスティを演じたブラット・ピット、ライナスを演じたマット・デイモン、バシャーを演じたドン・チードル、バーシルを演じたケイシー・アフレック、敵役のベネディクトを演じたアンディ・ガルシア、テスを演じたジュリア・ロバーツ...。出演陣が、オーシャンたちが盗み出した金額にも負けず劣らず豪華なのですが、それでも、無理して各々に見せ場を作るようなヘンな"配慮"はせず、ストーリー重視で描かれていた点も良かったと思います。

 

全然悪い奴ではない(敵対する相手には容赦ないようですが、まぁ、それは、彼らの世界においてはそういうものではないかと...)ベネディクトが、大きな被害に遭ってしまうのはかわいそうな気もします。テスの件についても、ベネディクトが略奪したわけではないのですし...。

 

最後、テスがベネディクトに愛想をつかすのは分かる気がするのですが、だからと言って、即、オーシャンとよりを戻すというのもヘンな気がします。あの美貌なら、他の選択肢も山ほどあるはず。やはり映画である以上、ヒロインが必要...ということなのかもしれませんが、テスの存在なしで物語を構成しても良かったのではないかと...。

 

それでも、お洒落な雰囲気が漂い、映像も音楽もカッコよくて、思いの外、作品の世界を楽しむことができました。あれこれ背景などを考えず、頭を空っぽにして物語の世界に浸れば、結構、楽しめる作品だと思います。

 

肩肘の張らない娯楽の世界に浸りたい時にお勧めです。

 

あんど慶周のコミックを基に実写映画化した作品の第二弾。原作コミックは未読ですが、映画第一弾については、先日、ここに感想を書いています。

 

同じ大学に進学した狂介と愛子。狂介は相変わらず愛子のパンティを被って悪を倒していましたが、狂介が変態仮面になること、自分のパンティが仮面として使われることに抵抗感を覚える愛子はパンティを返すよう要求。徐々に2人の心はすれ違うようになります。そんな頃、世界中でパンティが消えていくという前代未聞の事件が起こり...。

 

前作以上に、変態が生真面目に真摯に描かれています。そして、いやらしくもなく、酷くお下劣なわけでもなく、きちんと楽しめる娯楽作品になっています。前作がPG12だったのに、本作はレイティングなし。それでも、好き嫌いは分かれると思いますが、タイトルから想像されるよりずっと万人向けの内容になっています。

 

変態でもヒーローたる者、カッコよくなければならない、美しくなければならない、強くなければならない。あくまでもヒーロー物の王道を行く姿勢は、前作同様。

 

前作では"変態仮面は変態だが、自分は変態ではない"と言っていた狂介が、"変態ではいけないのか"と悩む本作。前作から本作にかけて自己認識を深めたということになるのでしょうか。正義も悪も、それぞれに悩みを抱えていて、その悩みがパンティ関係だったりしますが、"普通"ということ、"普通でない"ということについて、結構、真面目に描かれています。

 

コミカルな味わいを前面に出しながらも、細部まで丁寧に真っ当に作られている感じが物語に引力を生み、観る者を惹き込んでいくのだと思います。

 

前作の頃よりもずっとメジャーな存在になった主演の鈴木亮平はじめ、案外、豪華な出演陣も、本作の世界観を支える大きな力となっていると思います。

 

無駄なほどに豪華で贅沢な映画作品。前作以上に楽しめました。

オーシャンと11人の仲間

テーマ:

 

第二次大戦中、第83空挺部隊の軍曹だったオーシャンは、一獲千金を夢見て、ラスベガスのカジノを5カ所同時に狙うことを考えます。かつての仲間を集め、大勢の人で賑わう大晦日の夜、計画を実行に移しますが...。

 

ジョージ・クルーニーが本作をリメイクして「オーシャンズ11」を製作しています。

 

こうした作品の場合、時代を感じさせられる部分が多いもの。セキュリティのあり方とか、それを破るためのテクニックとか、のどかというか、甘いというか...。それでも、当時の最先端をいく技術が駆使されてはいるのでしょうし、1960年の作品で、もう、56年も前の作品なのですから仕方のないことですが、時代とともに古びていってしまうのは、こうした分野の作品の宿命なのかもしれません。

 

まぁ、その一方で、本作は、"古き良きアメリカ"をたっぷり見せてくれてもいます。登場人物たちの間で交わされる会話も、ユーモアのセンスに溢れて楽しかったです。

 

似たような風貌、服装の登場人物もいて、混乱しがちでした。欧米人の区別が苦手なのかもしれませんが、もうちょっと、人によって服装やヘアスタイルなどに特徴を持たせて欲しかったと思います。前半で、人物紹介に結構な時間を使う割には、個々の人物造形も薄いですし...。

 

全体的なテンポの悪さも気になりました。当時としては最新の警備システムを突破して大金を手に入れようとしている割には、緊迫感も薄かったです。もう少し、ハラハラドキドキさせて欲しかったです。

 

ラストの処理も時代の影響が強いのでしょう。仮にも罪を犯した者が、その犯罪により利益を得て万歳!!!ってワケにはいかなかったのでしょうけれど、爽快感には欠けてしまった感じがします。

 

オープニングは、なかなか洒落ていて、十分に今でもアリな感じだっただけに、その後の失速感にはがっかりさせられてしまいました。

 

サミー・デイビス・Jr.やディーン・マーティンの歌は良かったです。一方、シナトラが歌わないのは残念でした。折角なのですから、しっかり歌って欲しかったです。これだけの大御所が揃ったのですから、しっかりと歌ってくれていたら、それだけでも、何度も観たくなるような作品となったかもしれないのですから...。

灼熱

テーマ:

クロアチア紛争前後の3つの時代の3組の男女が描かれます。

 

【イェレナとイヴァン】紛争前の1991年、民族対立が激化していくクロアチア。恋人同士のセルビア人の娘イェレナとクロアチア人青年イヴァンは、2人で安全なザグレブへ引っ越そうとしますが...。

【ナタシャとアンテ】紛争終結後の2001年、クロアチア人に兄を殺されたセルビア人のナタシャは、クロアチア人に対して憎しみを抱いています。けれど、紛争で荒廃した彼女の家の修理にクロアチア人の青年アンテがやってきて...。

【マリヤとルカ】平和を取り戻した2011年、クロアチア人大学生のルカは、かつてセルビア人のマリヤとの間に子どもをもうけましたが、両親は2人の仲を引き裂き...。

 

3つの物語は、互いに関連してはいません。登場人物たちの間に何らかの関係や接点があるワケではなく、紛争が3つの物語を貫く経糸となっています。また、画面の片隅に登場する犬なども、それぞれの物語を繋ぐ存在となっています。そして、物語の中心となる男を全てゴーラン・マルコヴィッチが、女の全部をティハナ・ラゾヴィッチが演じたため、時代が変わっても、背負うものが変わっても、地域が変わっても、同じようなことが繰り返されていることが印象付けられます。ヒロインとヒーローのそれぞれが一人三役という試みは見事に成功していると思います。

 

そういう意味では、クロアチア紛争を絡めた物語でありながら、普遍的な男女の愛を描いたものとも言えるかもしれません。

 

クロアチア紛争が人々に与えた影響も描かれるのですが、戦闘場面は登場しません。荒廃した家屋、壁に残る銃弾の跡、人々の心に残った憎しみや傷が、紛争によりもたらされた被害の大きさを伝えています。

 

第三話では、"平和を取り戻した"日々が描かれるわけですが、紛争が終結した1995年から16年。紛争で戦った人々がまだまだ多く存命しているワケです。そう簡単に、人々の心の中の争いを鎮めることはできないでしょう。かつて、異なる民族同士が平和に共存していた時代から争いの時期に入る時はあっという間ですが、その間に崩されたものを立て直すのは容易なことではありません。

 

背景となる青い海と大地を映し出す映像がとても美しく眼福です。激しい戦闘も、壊すことができなかったものが確かに存在するのです。決して容易ではなくとも、人々の心に残された大きな傷も立て直すことは可能なのだと本作の物語は訴えてくるようです。愛の力がに憎しみを超えられることを信じたくなる、そんな物語でした。

 

3つの独立した物語が描かれるので、個々の物語は、少々、浅くなってしまった感じもしますが、それでも、観ておいて損はない作品だと思います。

 

 

公式サイト

http://www.magichour.co.jp/syakunetsu/

湾生回家

テーマ:

タイトルにある"湾生(わんせい)"とは、戦前の日本統治下の台湾で生まれ育った日本人のこと。その多くは、戦後、日本に引き揚げますが、日本に帰って日本人として生活してはいても台湾のことを思わずにはいられない人も多いようです。そんな湾生たちを描いたドキュメンタリー。

 

終戦から71年。台湾に生まれ戦後に日本に引き揚げた日本人で、ある程度、台湾での生活を記憶している人は、どんなに若くても70代後半、というより、80歳間近といったところでしょう。"湾生"は約20万人と言われていますが、もう、相当の割合の方々が亡くなっているのではないでしょうか。こうしたドキュメンタリーを作れるのも、もう、これが最後のチャンス...という時期、本作が撮られたのは意義のあることだったと思います。

 

本作に登場する湾生の人々の生まれ育った台湾への強い想いに胸を打たれました。多くの人にとって、故郷というのは特別な感慨を抱く場所なのだと思いますが、それが、戦後、なかなか簡単には行けない時期もあった場所となると尚更なのでしょう。

 

湾生の人々の姿とこれまでが淡々と描かれていくのですが、そこにあった事実の重みに圧倒されました。

 

単に、古い良き時代を懐かしむだけでなく、簡単にではありますが、闇もあったことにも触れられています。その点は良かったと思いますが、マイナス面についても、もう少し、突っ込んだ方が、台湾と日本の歴史の中での湾生の人たちの在り方を、より深みをもって感じ取ることができたような気がします。

 

そして、本作に登場した人たちは、台湾において、それなりの生活を築き、幸せな思い出を持つことができた人たちのようですが、そうはいかなかった人たちもいたことでしょう。台湾で、あるいは帰国後の日本で、辛酸をなめた人々についても触れられていた方が、ドキュメンタリー作品としての厚みが出たようにも思えました。

 

その辺り、もう一歩、踏み込み不足で物足りない感じも残りますが、それでも、東日本大震災で、改めて日本人が気付かされた台湾の人々の日本への視線が伝わってくるようで、心に沁みるものがありました。

 

湾生の人々の故郷、台湾への想い、故郷を訪れる湾生たちを迎え入れる台湾の人たちの温かさ、そして、台湾に残った片山清子さんの想いを支える家族の熱意...。何度も泣かされました。

 

戦前への回帰が危惧される今だからこそ、今を"戦前"にしないためにも、観ておきたい作品だと思います。

 

 

公式サイト

http://www.wansei.com/

カレーライスを一から作る

テーマ:

探検家であり医師でもある関野吉晴教授による武蔵野美術大学における課外ゼミの様子を描いたドキュメンタリー。野菜、米、スパイス、肉など全ての食材を自分たちで育て収穫して調理し、食器も自分たちで作って、カレーライスを食べるまでを追います。

 

"料理を一から作る"と言われてイメージするのは、餃子を皮から作るとか、市販のルーやカレー粉を使わずカレーを作るとか、味噌を自分で作るとか、梅干しを自作するとか、せいぜいその程度。食材を育て、食器まで作るところからという徹底振りは、それだけで興味をそそられました。

 

野菜や米を育てることの大変さは勿論ですが、やはり、育てた動物を殺して食べるという行為を巡るあれこれには考えさせられます。良い食材に育て上げるには大切に世話をすることが不可欠。あれこれ世話を焼けば当然のことながら愛情も芽生えます。いくら、食べるために覚悟を決めて飼い始めたとはいえ、食べるという結論に変わりはないとはいえ、元気に動き回る命を奪う場面で様々な感情が湧き上がるのは当然のことでしょう。屠畜場の職員が話をする場面などで、ペットと食べるために飼育した家畜の違いについて触れられていますが、人間がいかに自分の都合で自然を掻き回しているか、実感させられます。まぁ、私たちは、動物についてだけでなく、人間を相手にしても、相手を"敵"と決めてしまえば、残虐な形で平然と命を奪えてしまったりする位に身勝手なワケですから...。

 

確かに、ゼミの内容は魅力的でしたし、こうした取り組みについて考えさせられましたし、特に、簡単に便利に一定以上のレベルの完成品を手に入れられる今、食べ物をきちんと始めから作るということには大きな意味があると思いますし、ゼミに参加した人たちにとって、本作を観た私たちにとって貴重な体験だったと思います。そして、ゼミに参加し、自身の汗を流した人にとっては、間違いなく美味しいカレーだったと思うのですが、映像的にはあまり美味しそうに見えず、その点だけは惜しまれます。勿論、初心者がいきなり美味しい野菜や食肉を作れるわけもなく、味がどうこうという問題でないことも明らかなのですが、それでも、ちょっと残念な感じはしました。(カレーとして美味しく仕上げるには、もうちょっといろいろスパイスも必要ではないかと...。実際に食べてもないのに断言はできませんが、普通に考えて特に美味しいと言えるものではなかったのではないかと...。)

 

もっとも、一から作って、なおかつ、美味しく仕上げるために必要な材料をそろえることができるとなると、なかなか難しそうです。醤油を使うとなると、大豆などの材料を揃えたうえで、醤油作りだけに1年かけることになるので、醤油を使う料理はできませんし...。

 

必ずしも題材が食べるものでなくてもよいのでしょうけれど、やはり、食べるものをテーマとした方がインパクトは大きいでしょうし、食べものの中でも"国民食"とも言われるカレーが取り上げられれば強く興味を惹かれます。

 

私たちにとって必要不可欠な"食べる"という行為にきちんと向き合うためにも、一度は観ておきたい作品であることは確かだと思います。

 

 

公式サイト

http://www.ichikaracurry.com/