めめめのくらげ

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めめめのくらげ DVD/末岡拓人,浅見姫香,窪田正孝
¥3,990
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震災で父を亡くした正志は、母と新しい家に引越します。引越し先へ向かう道で、クラゲの様な不思議な生き物を見かけますが、母はそれに気付かない様子。新しい家での生活が始まった頃、まだ、開けていない段ボールがガタガタしているのを見た正志は、その中に、以前、見かけたクラゲのような生き物を見つけます。正志は、その生き物に"くらげ坊"と名付け、次第に仲良くなっていきます。リュックにくらげ坊を入れて転校先の学校に行くと、他の生徒も不思議な生き物="ふれんど"を連れていました。実はこの"ふれんど"、この街にある研究所が関係していて...。


普通、引越し先の家に段ボールを運び込む前に掃除機をかけたり、雑巾がけをしたりするでしょうとか、そんなに大きくない車に積み込める段ボールを引っ越し後、何日も放置することはないでしょうとか、オーダーメードの制服を買いに行くのに正志が行かないってことはないでしょうとか、"くらげ坊"を見て、クラゲみたいだと感じるだろうかとか、児童養護施設の子どもが言っているのだから公立の学校だと思うのですが、公立の学校でオーダーメードの制服とかないでしょうとか、研究所の警備があまりに緩いとか、正志たちがあの短時間で開けられそうにはない扉の中の内側に入ったと思いこんだり、開けっ放しで別の場所に行ってしまう警備員というはあり得ないとか、研究室の中の乱雑さは変だとか、最後に登場する巨大な怪獣が他の"ふれんど"たちの電池のような役割だからそいつを消滅させたら"ふれんど"も消えるというのなら、登場前は一体どうやって存在していたのかとか、いろいろな部分が引っ掛かってしまって、今一つ、物語の世界に浸ることができませんでした。


そして、ストーリーは、全体的に説明不足で、よく分かりませんでした。黒マント4人組の目的とか、あの研究所が何故、作られたのかとか、その中で直人の存在は何だったのかとか、その辺りがほとんど描かれていないので、肝心な研究所の実態や目的もよく分からない感じ。どうやら、今の世界に不満があり、新しい世界を築きたいと思っていて、そのためには、今の世界を破壊する必要があると考えているらしいのですが、今の世界の何が問題と捉えていて、どんな世界を築こうとしているのかは全く見えてきません。あの黒マント装束は、いくら何でも安っぽい感じ。


震災とか、新興宗教とか、エネルギー問題とか、イジメの問題とか、不登校の問題とか、いろいろ盛りだくさんに詰め込んでいますが、どれもが中途半端。


雰囲気的にはポケモンの実写版と言ったところでしょうか。くらげ坊が可愛かった、ゴン太くんか怪獣たちのいるとこのを思い起こさせるようなルクソーも良かった、出演陣はなかなか豪華だったという点を除いては、見所のない作品でした。かなり残念。エンディングの後にパート2の予告がありましたが、観ることはないかと...。

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スマイル、アゲイン

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スマイル、アゲイン [DVD]/ジェラルド・バトラー,ジェシカ・ビール,デニス・クエイド
¥3,990
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ジョージ・ドライヤーは、サッカーの元スター選手。しかし怪我で引退した後は、過去の栄光と請求書の山しか残されていない寂しい日々を送っていました。別れた元妻のステイシーと、9歳になる息子のルイスが住んでいる町、マクレーンに移り住み、家族の絆を取り戻したいと思うようになったジョージは、TVのサッカー解説の職を求めて就活に励みますが、そう簡単に空いたポストは見つかりません。しかも、ヨリを戻したいと思っていたステイシーには同棲する恋人がいて、彼との再婚を決めていました。それでも、いつかチャンスは巡ってくると信じ、サッカーのジュニア・チームで練習に励むルイスの送り迎えを買って出るなど、精一杯の家族サービスにつとめます。そんなある日、ひょんなことからルイスのいるサッカーチームのコーチを引き受けることになりますが...。


ステイシーやルイスとの生活を取り戻すために、頑張って、けれど、どこか空回りして、紆余曲折しながら、何とか、幸せなゴールに辿り着く...のかと思ったら、あまり波風なく、順調に、一歩一歩、コマを進め、手堅くゴールするという感じです。


チームに所属する子どものお母さんたちにモテモテで、お母さんたち同士のトラブルが多発とか、ルイスを連れ出した時の危ない"お遊び"が過ぎて事故になったりとか、ルイスと過ごした夜、仕事の話につられてルイスを一人にしてしまって事故になるとか、何かと紆余曲折があるに違いないと、勝手に妄想して、ドキドキしたり、ヒヤヒヤした場面もありましたが、何事もなく、順調に予測される結末に向かって進んでいきます。


ジョージの生活振りも、それ程、零落れ感はありませんでした。家賃は滞納していたようですが、衣食に困る様子はなく、特別に何かを切り詰めている風でもなく...。酒におぼれて自堕落になっているとか、危ないクスリに手を出すという感じもなく...。それなりに身体も鍛えているようだし...。


ステイシーとヨリを戻していく過程にも、ルイスとの関係を築いていく過程にも、ほとんどアップダウンはなく、こちらも概ね順調。まぁ、これだけサッカーが巧くてカッコイイジョージなら、ステイシーの気持ちを取り戻すのも、ルイスを惹きつけるのも当然...なのかもしれませんが...。


まぁ、それでも、決してツマラナイ作品ではなく、全体的に、地味に、小奇麗に纏まった安心して観ていられるほんわかとした雰囲気の優しい作品になっていると思います。


出演陣も豪華。特にジョージを演じたジェラルド・バトラーは、コーチとしても有能なようだし、モテモテだし、善き父だし、キャスターとしての才能も発揮するし、息子のために頑張るし、欲しいと願ったものを手に入れるし...。サッカーがちゃんと巧いところも良かったです。ほとんどジェラルド・バトラー、そして、ルイス役のノア・ロマックスを観るのための作品です。ノア・ロマックスは、ほとんど反則技の可愛らしさ。ちょっと不貞腐れた感じとか、拗ねた感じとか、観る者を虜にする力に溢れていました。


レンタルのDVDで十分とは思いますが、観て損はない作品だと思います。

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錆びた黄金

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錆びた黄金 [DVD]/ジーン・ハックマン,テレサ・ラッセル,ルトガー・ハウアー
¥3,990
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1943年にバハマで起きた事件を基に書かれたマーショル・ハウツの原作を映画化した作品。


ゴールドラッシュのなか黄金を探し当てることに人生を懸けてきたジャックは、10年以上原野を彷徨っていましたが、ついに、雪山で金鉱を発見します。20年後、世界でも有数の大富豪となり、美しい妻と娘ととも自身が所有するにカリブ海の島の豪邸に住むようになっていたジャックは、人生の目的を失い、酒浸りの日々を過ごしていました。娘のトレイシーは、支配欲が強く、自分を溺愛する父親への反発から、 フランス人のプレイボーイ、クロードと結婚しますが、財産目当てで娘と結婚した と信じているジャックはクロードを嫌い、父娘の折り合いは悪くなっていました。一方、マイアミのマフィア、マヤコフスキーは、カジノを建設するために以前から ジャックの島を狙っており、買収交渉のために、相棒の弁護士をジャック の元に送り込みますが、ジャックは、首を縦に振ろうとはしません。そんな中、ジャックが何者かに惨殺され、容疑者としてクロードが逮捕されますが...。


水晶玉の占いとか、ブードゥー教っぽい雰囲気の儀式があったり、ジャックを助けるように都合よく雷が落ちるとか、神秘的、オカルトチックな要素があったり、父と娘、母と娘の葛藤があったり、富を巡る駆け引きがあったり、ホラーっぽいグロテスクな殺人場面があったり、偏屈な成功者の哀しい末路があったり、プレイボーイと娘の恋があったり...。かなり、盛り沢山な内容です。次から次へ、唐突に場面が変化していくので、きちんと観ようとすればするほど、底なし沼に引き摺り込まれるように、訳の分からない世界に連れ去られることになります。通常とは、少々、違った意味で"ジェットコースター"な感じです。


場面場面を切り取ってみると、調度品などがなかなか凝っていたり、怪しげだったり、おどろおどろしかったり、それぞれに雰囲気は出ていたと思うのですが場面から場面への繋がりがぎこちなく、全体としての纏まりも悪く、いろいろな物が詰め込まれて収拾がつかないままとっ散らかってオシマイ...という印象は拭えません。


傲慢で自信たっぷりのジャックを演じたジーン・ハックマンは、これ以上にないくらい嫌味なオジサンでしたし、結構、ビッグネームが揃えられ、それぞれにそれらしさを出していたりはするのですが、作品としての面白さがあまり感じられず、全体にもったいない感じがします。


本作に登場するのは、ジャックはもちろん、彼の妻にしても、トレイシーにしても、クロードにしても、マヤコフスキー一味にしても、それぞれに、一癖二癖あり、欲望を抱え、醜さを持つ人々。題材としては悪くないと思うのですが...。

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くそガキの告白

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くそガキの告白 [DVD]/今野浩喜,田代さやか,辻岡正人
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映画監督を夢見る32歳のニート馬場大輔は「俺の世界観に合わない映画は撮らない!」と格好つけているくせに一本も映画を撮ろうともせず、成功しないのは周りのせいだとばかりに周囲に当たるだけ。2人暮しの母親にも「いいかげん自分の食いぶちくらい自分で稼ぎなさい。30すぎてみっともない」と呆れられています。ある日、馬場は、メイキング・スタッフとして参加した同級生のイケメン監督、花岡の撮影現場で売れない女優の桃子と出会います。桃子のインタビュー映像を撮影するうちに、彼女の不器用な性格や、気さくに接してくれる態度に惹かれていきますが、桃子は花岡に片想いをしていて...。


良くも悪くも青臭い感じが漂う作品でした。30歳を過ぎてニートという主人公そのままの雰囲気...と言えるのかもしれませんが...。まぁ、イマドキ、30歳を過ぎてニートというのは、それ程、珍しくはないのかもしれません。人生80年の時代ですから、30歳とは言え、人生の半分にはまだまだ、人生の3分の1を少し過ぎたところですから。人生50年の時代の17、18歳くらいの感じなのでしょうか...。


ストーリーが迷走している感じとか、放り出されたままになっている伏線がいろいろあったりとか、勢いは感じられるけどまとまっていない感じとか、観ていて面白いとか、作品の世界に惹き込まれるとか、そんな感じはしないのですが、エネルギーは感じられます。


多分、映画を作ることに関わっているベテランの人たちが、若かりし頃を振り返りながら観る分には、心に沁みるものがあるのではないか、そんな大人になれなかった頃の自分を懐かしむには良い映画なのかもしれません。


正直、本作で語られているような想い出を持たない人にとっては、あまり、面白い作品とは言えないと思います。ただ、救いは、馬場をキング オブ コメディの今野浩喜にキャスティングしたこと。この今野浩喜のリアルな存在感が、面白かったと思います。

カタログハウスの店

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以前、新宿のカタログハウス本社ビルのところにあった"カタログハウスの店"。その後、新橋に移転していたのですが、今月6日から、また、新宿に戻ってきました。


カタログハウス本社ビルは、自宅が近く、カタログハウスの店をよく利用していたのですが、いつの頃だったか、新橋に移転。私にとって、新橋というのは、普段、ほとんど行かない場所だし、通勤の経路からも外れた場所。まぁ、基本的に、"通販"で買えるので、それでも、不便はないとも言えるワケですが、ずっと、店で買うことに慣れていたので、買いにくくなった感じがしていたのも確か。


もしかしたら、新宿にお店がなくなってしまったことに不便を感じていた人も少なくなかったのでしょうか、2011年10月に、京王百貨店新宿店にセレクトショップがオープン。まぁ、お店の規模としては、かなりこじんまりとした感じではありましたが、実店舗ができて、買い物しやすくはなりました。


で、今回、再び、新宿に戻ってきました。以前は、地下1階のワンフロアだった店舗が、地下1階と2階の2フロアに拡大。とはいえ、地下1階のスペースは以前より狭くなっているので、全体として、それ程、広くなったという感じではありませんが...。新橋にあったお店よりは、明らかに狭くなっていますし...。


地下1階は、お米、野菜、果物といった農産物とジャムなどの加工品が中心。お酒やジュースもありました。特に、福島産の農産物を取り扱っています。地下は衣料品や日用雑貨が中心。衣料品のコーナーには、試着室も。


平日の仕事帰り、土、日には、かなり便利に利用できる立地で、これからは、また、ちょくちょく立ち寄れそうです。


今年になってからの良かったことのひとつ。



公式サイト

http://www.cataloghouse.co.jp/shop/

スーサイド・ショップ

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スーサイド・ショップ スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]/出演者不明
¥4,179
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ジャン・トゥーレの原作を映画化した作品。原作は未読です。


生きる希望を失った人々で賑わう"自殺用品専門店"。経営者一家の自慢は、"首つりロープ"や"腹切りセット"など豊富な品揃えにより、顧客の希望を成功に導くことでした。けれど、そんな中、生まれてきた末っ子のアランは、両親、姉、兄とは違い、笑顔の可愛い明るい子ども。両親は、そんなアランを自殺用品を扱う商売をしてきた一家に相応しく育てようとしますが、アランは持ち前の明るさで、ポジティブに成長していき...。


ストーリーは、良くも悪くも素直な感じ。冒頭のダークな感じは、これまでにない新しい世界に入っていく予感を持たせてくれたのですが、アランが生まれてからは、ほぼ、アランのペースに掻き回される感じ。明るく人生を肯定する方向に突っ走っていきます。


ミュージカル仕立ての軽快なアニメで、テンポ良く話が進んでいくのですが、少々、浅い感じは否めません。何故、こんな一家にアランのような性格の子どもが生まれてきたのかとか、アランが、何故、一家を変える力を持ち得たのかとか、その辺りの理由付けも欲しかった気がします。


自殺者が多い背景などが説明されず、自殺に対する周囲の反応なども示されず、人が自殺すると言うことがどういうことなのか、その辺りがあまり描かれないままに、人生は素晴らしい、生きる価値があると、明るく人生を謳歌する内容になっているため、何だか、公共機関が行う"自殺防止キャンペーン"のような感じで、少々、拍子抜けというか、ガッカリというか...。


店主の"ミシマ"という名前は、やはり、三島由紀夫からきているのでしょうか。刀を振り回しているし、自殺の手段として"ハラキリ"を挙げているし...。さらに、お母さんのルクレスは、独特の毒薬で次々と政敵を倒したボルジア家のルクレツィア・ボルジアを想起させるし、長女のマリリンは、マリリン・モンロー、長男のヴァンサンは、ゴッホといったところでしょうか。


一家は商売替えをしたけれど、結局、お父さんは...、という展開は、ブラックな感じで、けれど、そうは簡単に変わらない人の本性を示していて印象的でした。そこは、本作の中で光っていたと思います。


公開時、3Dでも上映されていたようですが、2Dの方が楽しめる作品のような...。

ふるさと

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ふるさと [DVD]/加藤嘉,長門裕之,樫山文枝
¥3,990
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平方浩介の「ジイと山のコボたち」を映画化した作品。


ダムが建設させることになり、水没することが決まった岐阜県、揖斐川上流にあった徳山村。長年、連れ添った"バア"が亡くなり、認知症が目立つようになった"ジイ(伝三)"。息子の伝六、はな夫婦と一緒に生活していますが、伝六は、言動がおかしくなることがある伝三をなかなか受け入れることができません。そんな中、かつてはアマゴ釣りの名人と言われた伝三の元に、近所の少年、千太郎がアマゴ釣りを教えて欲しいとやって来て...。


"うさぎ追いし..."と歌われる"ふるさと"がここにあると思わせてくれる作品です。まさに"日本のふるさと"と言えるような心に染み入るような美しい風景。そして、その中で生まれ育ち、その中で生き抜いた伝三を演じた加藤嘉の出色の演技。穏やかだけれど、記憶や言動に歪みが見られるときの表情、混乱し苛立った時の表情、活き活きと釣りをする時の表情...。それぞれに、本当にこの村で生まれ育って、生きてきた老人としか思えないような自然さ、リアルさで伝三の存在を際立たせています。


言動がおかしくなった伝三の扱いに困り果てて、"離れ"に隔離しようとする伝六。そんな伝六に反発し、喧嘩になった後、はなに諭され、気持ちを落ち着けた伝三のセリフなど泣けてきました。「オラもチト怒り過ぎたかもしれん。・・・オラもうそう長いことない、じきにお迎えがくる身じゃから...。せがれのこともしんぺい(心配)でな。・・・はな、しんぺいかけたがな、オラやっぱりはなれで寝る。・・・・・ぜん六に嫌われるのもつれぇでな。オラ隠居じゃから隠居部屋で寝るのが似合いじゃわい。」


長年慣れ親しんだ住処を奪われる人々。環境が大きく変化していこうとしている中で、認知症が進行していく老人。暗くなりがちなストーリーですが、クライマックスでの伝三の回想シーンが、美しいふるさとの中で育まれてきた彼の輝きのある豊かな人生を示してくれて、観る者に、伝三の幸福を伝えてくれています。人の死は哀しいものですが、いつか必ず死を迎えることが決まっているのなら、幸福な形での死を願いたくなるもの。自分自身の能力を最大限に発揮できる場で、懐かしい想い出とともにあった伝三の最期は、間違いなく幸福なものであったことでしょう。


失われていく村。やがて、水没し、そこを訪れることもかなわなくなる家土地。けれど、そこにあった想い出は、人々の中に生き続けていくのでしょう。旧徳山村については、徳山村で農業の傍ら民職を営んでいて、1977年から村の写真を撮り始めた増山たづ子の「故郷-私の徳山村写真日記」(じゃこめてい出版、1983年、絶版)、「ありがとう徳山村」(影書房、1987年、絶版)、「増山たづ子 徳山村写真全記録」(影書房、1997年)等の写真集や、ドキュメンタリー映画「水になった村」などとともに、本作は、徳山村を記録した記念碑となるのでしょう。


良くも悪くも加藤嘉の映画という印象ですが、一度は観ておきたい映画の一つだと思いますし、後世に遺すべき映画の一つであることは間違いないと思います。


当初は、洪水調整用ダム、1957年には、深刻な電力不足を補うための水力発電用のダムを建設する計画ができ、最終的には、多目的ダムとして建設されることが決定。1987年に村は廃村となり、1989年に水没地帯の住民の移転が完了しています。2000年に工事に着手し、完成が2008年。徳山ダム建設の必要性については、全国的な論争も起きています。八ツ場ダム、川辺川ダムとともに、事業の計画から完成まで51年と、日本の長期化ダム事業の代表格となっています。

人生、いろどり

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人生、いろどり [DVD]/吉行和子,富司純子,中尾ミエ
¥3,990
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過疎化と高齢化が進む徳島県の上勝町で、シルバー世代の女性たちが中心となり、道に生えている草や葉っぱを料理のツマとして販売するビジネスが大成功を収めた実話を映画化した作品です。


町の経済を支えていたミカン産業が全滅し活気を無くした町で、若き農協職員の江田は、葉っぱを売ろうと思いつきます。町中から猛反対されるも、面白半分で賛同した花恵と、花恵の誘いを断れなかった薫は、家族に知られないようにこっそりと葉っぱ作りに参加。けれど、そんな思いをして出荷した葉っぱは市場でゴミ扱い。落ち込む薫たちに、助言をしたのが花木農家の娘で都会から帰ってきた路子。料亭の料理長に教えを乞い、売れる商品にするための努力を重ね、ようやく、受注も増え、世間の注目も浴びるようになりますが...。


基本は、"お祖母ちゃんたちのサクセスストーリー"ですが、そこに、それぞれの生きてきた人生、そして、今置かれている状況が巧く絡められ、物語に深みが感じられます。そして、彼女たちを取り巻く状況は、今の日本のあちらこちらにある普遍的な問題と繋がります。高齢者と子ども夫婦の在り方。高齢者とその親の在り方。夫婦の在り方。ほとんど限界集落となった町。どれも、多くの人にとって身近に感じられる問題なのではないでしょうか。


花江と息子夫婦。子どもや孫のことばかり考えているお祖父ちゃん、お祖母ちゃんより、1人の人間として何かに夢中になっていたり、果たすべき役割を持っていたりするお祖父ちゃん、お祖母ちゃんの方が、子どもにとっても、孫にとっても魅力的だし、"会いたい"、"話したい"という気持ちも自然に湧くものでしょう。


路子と母親。いずれは、老々介護の問題を抱えるようになるであろうこの母娘。葉っぱビジネスを通してできた人の繋がりは、彼女たちを支える力となるはず。


薫と輝雄は、この世代の日本の夫婦としては珍しくない...というより、むしろ典型的と言えるかもしれません。イマドキのオンナたちにすれば、輝雄は、とんでもなく横暴で身勝手な夫ということになるのでしょう。恐らくは、無理を言われても自分を抑えて輝雄に従ってきた薫ですが、ついに、輝雄に自己主張します。クライマックスで、示される2人の間にあるもの。長い時を経て、互いにきちんと向き合える夫婦になる。それが、2人の歩みなのでしょう。クライマックスの場面など、薫を演じた吉行和子、輝雄を演じた藤竜也が、年月を重ねた夫婦ならではの味わいを見事に表現しています。


それぞれの人生を背負ったビジネスが大きくなること。そのことで、単に、関係者が経済的な利益を得ただけでなく、それぞれが自分の可能性に気付き、それぞれの中に自信が生まれたのでしょう。注文が増えるということは、周囲からの期待が大きくなっていると言うことでもあります。期待されていることを数字で実感できるというのは、やはり、大きな経験だったのでしょう。


薫を演じた吉行和子、花江を演じた富司純子、路子を演じた中尾ミエ、それぞれに、流石の力のある演技で、物語をしっかり支えています。特に吉行和子が秀逸。


エンドロールで、実話の主人公たちの映像が流れます。タブレットの操作に奮闘している姿を見ると、やはり、そこに、人間の大きな可能性が感じられ、明るく清々しい気持ちになることができます。新たな可能性と居場所を見出した人たちの笑顔が眩しかったです。


葉っぱが売れるようになった背景があまり描かれないので、注文が増えてくるところに唐突感があるとか、"いろどり"の葉っぱを使う前から多くの和食のお店では葉っぱを使っていたわけで、そうしたお店が、以前の仕入れ先から"いろどり"に替えたのだとしたら、その理由は何だったのかとか、その辺りが分かりにくかったのは残念でしたが、年齢を重ねることの喜びを味わわせてくれるようななかなか魅力的な作品でした。


ちなみに...

株式会社いろどりの公式サイト

http://www.irodori.co.jp/

しわ

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しわ [DVD]/出演者不明
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スペインの漫画家、パコ・ロカの「皺(しわ)」を映画化した作品。原作は未読です。


長年、銀行の支店長として働いてきたエミリオは、息子夫婦と生活していましたが、認知症の症状が見られるようになり、老人ホームに預けられます。同室のミゲルは、お金にうるさく抜け目がありません。他に入居しているのは、他人の言葉をおうむ返しにする元DJのラモン、息子に迎えに来るよう電話をかけようと右往左往しているソル、面会に来る孫のためにバターや紅茶を貯めている女性アントニアや、アルツハイマーの夫モデストの世話を焼く妻ドローレス、オリエント急行で旅をしていると信じ込んでいるロサリオ、火星人に襲われることを心配しているカルミーニャ、犬好きでホームで禁じられているのに犬を飼いたがっているマルティンといった面々。徐々に、施設の概要を理解するようになったエミリオは、症状の重くなった老人は、2階の部屋に移されることを知ります。ある日、エミリオは、モデストと薬を間違えられたことで、自分もアルツハイマーであることに気づいてしまいます。2階へ送られる日も遠くないと嘆くエミリオのため、ミゲルは...。


ミゲルを始め、老人ホームに暮らす人々の描写がリアルです。いかもにも居そうな人々と、起こりそうな出来事が連ねられ、可笑しさを感じながらも身につまされる部分があったり...。


現実の厳しさを見せつつも、そこに至るまでの懐かしい時間、美しい想い出も見せてくれます。多分、今では良い思い出となっている過去も、その時点では、過酷だったりもしたことでしょう。けれど、苦しみや痛みを時間が洗い流し、輝きを持った時間として刻み込まれるものなのかもしれません。老人たちの"妄想"をリアルに見つめる視点と"妄想"の主から見る視点とで描くことにより、記憶に歪みが生じることの"恩恵"のようなものが感じられます。"青春時代が夢なんて、後からほのぼの想うもの"ってところでしょうか...。


かなり重い内容ですが、ほんわかとしたアニメの絵柄が、その暗さに穏やかさを加えています。実写では、目を背けたくなった題材かもしれません。


決して、目新しい内容ではありませんが、こうした形で老いを真正面から描いたという点で、興味を引かれる作品となっています。


哀しさや切なさに彩られながらも、苦い記憶を捨て去ったからこそ味わえる幸福を感じさせられる場面があったり、年齢を重ねたからこその落ち着きが見られる場面があったり、世代の違う家族とは理解しあえなくても、同じ立場にある老人同士で連帯できる可能性を見せてくれる場面があったりするところに救いや希望が感じられました。


最初は嫌なヤツとしか思えなかったミゲル。他の思考力が衰えてきた老人たちをバカにするような感じだったミゲルも、エミリオに寄り添い、エミリオが残した痕跡を発見することで、エミリオとともに歩むことを決意します。それは、決して、エミリオのために犠牲となる道ではありませんでした。孤独だったミゲルも、エミリオという仲間を得ることで、救われた面はあったのでしょう。


人生を終えるのは楽なことではないけれど、そんなに悲惨なことでも、悪いことばかりでもないし、それなりの輝きも得られるものかもしれない。そんな風に思えてくる作品でした。


原作の漫画は、日本語訳が2011年8月に刊行されているそうです。是非、読んでみたいと思います。

孤独な天使たち

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孤独な天使たち スペシャル・エディション [DVD]/ヤコポ・オルモ・アンティノーリ,テア・ファルコ
¥3,990
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ニコロ・アンマティーニの小説を映画化した作品。原作は未読です。


ロレンツォは、少し風変わりで独りが好きな14歳。彼は両親に嘘をつき、学校のスキー旅行をさぼり、自分の住むアパートの地下で過ごすことを計画。スキー旅行の参加費をくすね、1週間分の食料を買い込んで、密かに準備を進めます。いよいよ旅行に出発する日、親や管理人に気付かれないように地下室に入り込み、好きな音楽と本だけの気ままな1週間がスタートします。そんなところに、思いがけず異母姉妹のオリヴィアが現れ...。


1日、1本のジュース、1本のコーラ、1缶の食料...。7個ずつ数えて買い物をするロレンツォの姿には、彼なりのきっちりとした計画があり、それに向けて、周到に用意をしていることが窺われます。彼の計画そのものについて、詳しく説明される場面はないのですが、母にもらったスキー旅行の参加費をポケットに入れる場面などが丁寧に積み重ねられ、その概要が観る者に理解できるようになっています。


そして、いよいよ始まった地下室生活の滑り出しは順調。予定された通りにスタートします。けれど、もちろん、それだけで終わるわけはなく、突然の乱入者が登場。自分の生活を守るためにも、オリヴィアを排除することができず、結局、彼女の要求を呑まざるを得なくなり、"1人の時間"は消滅してしまいます。


けれど、理不尽としか思えない相手を受け入れられるようになるということこそ、大人になるために身に付けるべき能力なのかもしれません。人は1人では生きられないこと。例え、理不尽で、煩わしい存在であっても、他人との関係を持ちながらしか生きられないこと。それを思い知る経験なくして、大人になることは難しいのだと思います。


ロレンツォは、最初は、乱入者であるオリヴィアに、嫌悪感を示し、彼女に抵抗をしますが、徐々に、彼女を受け入れ、彼女に寄り添うようになります。ロレンツォにとって、実に邪魔な存在だったオリヴィアですが、彼女こそが、ロレンツォを成長させるトリガーだったのでしょう。


一方のオリヴィアは、麻薬への依存から抜け出そうと、禁断症状に耐えています。取り敢えず、麻薬を摂取することは、何とか我慢できた様子。けれど、地下室で過ごした最後の晩、麻薬を買ってしまいます。迷う様子はありましたが、買った麻薬は、その場では摂取せず、煙草の箱の中へ。その煙草の箱を地下室に"置き忘れて"地下室を出ていこうとします。ところが、その忘れ物に気付いたロレンツォは、煙草の箱をオリヴィアに差出し、オリヴィアは躊躇しながらも受け取ります。オリヴィアの心の揺れが感じられる一連の描写ですが、オリヴィアの前途が必ずしも明るくないことを暗示してするこの辺りの描写が見事。


ただ、このオリヴィアがあまりに強烈で、観ていても、気持ちを寄せにくく、彼女に翻弄されるロレンツォが情けなく見えてしまい、そのために、ロレンツォの成長がどうこうというより、"悪魔に魅入られ、翻弄されたかわいそうなロレンツォが、何とか、1週間を大過なく切り抜けてメデタシメデタシ"的な面が印象付けられてしまいました。


確かに、オリヴィアも、父をロレンツォの母に奪われてしまっていたり、不幸な生い立ちなど、同情すべき点があることは分かるのですが、いくら、母を奪った憎き女の子どもとは言え、10歳以上は年下なのではないかと思われるロレンツォをあそこまで振り回してしまっては反則かとも思いますし...。


もう少し、どこかを何とかすれば、もっとずっと面白い作品になったような気もするのですが...。ロレンツォを演じたヤコポ・オルノ・アンティノーリ、オリヴィアを演じたテア・ファルコ、どちらも、それぞれのキャラクターを巧く表現していたと思いますが、それだけに、残念な気がしました。