では、昨日の日本映画に続き、今日は、外国映画編です。



【作品賞】(3本以上10本まで)
  「マリーゴールド・ホテルで会いましょう 」    5点
  「ハンナ・アーレント 」    5点
  「おじいちゃんの里帰り 」    4点
  「少女は自転車にのって 」    4点
  「ヒッチコック 」    2点
  「魔女と呼ばれた少女 」    2点
  「二郎は鮨の夢を見る 」    2点

  「鑑定士と顔のない依頼人 」    2点
  「愛、アムール 」    2点
  「東ベルリンから来た女 」    2点
【コメント】全体になかなか見応えがある作品が多かった気がします。ベテランの演技陣の活躍もいろいろな作品で見られ、それも嬉しかったです。「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」「愛、アムール」は、いずれも、ベテラン演技陣が光っていました。「鑑定士と顔のない依頼人」は、掘り出し物感たっぷり。宣伝文句通り、2度観たくなります。

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【監督賞】                   作品名
   [ハイファ・アル=マンスール] (「少女は自転車にのって」)
【コメント】映画、だけでなく、娯楽を取り巻く厳しい状況の中、本作が撮影されたというだけでも画期的なこと。それを成し遂げただけでも大きな功績だと思いますし、一つの作品としても楽しめる良作だったと思います。

【主演男優賞】
   [アンソニー・ホプキンス] (「ヒッチコック」)
【コメント】観ているうちに、本人がそこに居るのではないかと思えてくる名演でした。

【主演女優賞】
   [エリザベス・オルセン] (「マーサ、あるいはマーシー・メイ 」)
【コメント】現実と非現実の間を揺れ動く感じが良かったです。

【助演男優賞】
   [マシュー・マコノヒー] (「ペーパー・ボーイ 真夏の引力 」)
【コメント】いかにも常識的な人間だったら...と思わせて実は...という展開にリアリティを持たせた演技が印象的でした。

【助演女優賞】
   [マギー・スミス] (「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」)
【コメント】皮肉れた感じが実にリアリで、とても素敵な"いじわるおばあちゃん"を存在させていました。

【ニューフェイスブレイク賞】
   [ラシェル・ムワンザ] (「魔女と呼ばれた少女」)
【コメント】命を懸けて戦う兵士としての厳しい表情と少女としての可愛らしい表情、母になる覚悟を決めた凛とした表情...様々な表情を演じ分けていて印象的でした。

【音楽賞】
  「バックコーラスの歌姫(ディーバ)たち

【コメント】作中で歌われる数々の名曲。"ディーバ"たちの歌唱力もあり、鳥肌モノでした。

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今年も日本インターネット映画大賞への投票をしながら、1年間のこの1年に観た映画を振り返ってみたいと思います。例年通り、今年公開された作品で、映画館で観たもののなかから選びたいと思います。


今年、映画館で観たのは、日本映画28本、外国映画33本の合計61本。昨年も例年より少なめの69本だったのですが、更に少なくなってしまいました。前は、1日に3本くらい平気だったのですが、2本でも疲れを感じる今日この頃。やはり、トシ...なのでしょうか...。


では、まずは、日本映画編です。



【作品賞】(3本以上10本まで)
  「舟を編む 」    5点
  「映画『立候補』 」    4点
  「燦燦-さんさん- 」    4点
  「言の葉の庭 」    3点
  「ハーブ&ドロシー ふたりからの贈り物 」    3点
  「かぐや姫の物語 」    3点
  「相棒シリーズ X DAY 」    2点
  「共喰い 」    2点
  「さよなら渓谷 」    2点
  「凶悪 」    2点
【コメント】

文句なく、スゴイ傑作、と思えるような作品は、あまり、見当たらなかったのですが、それなりに楽しめる作品は多かったような気がします。7~10位は、選から漏れた作品を含め、かなり迷いました。

「舟を編む」は、長編の原作を無理なくまとめられていて、面白く観ることができました。「映画『立候補』」は、これまで、気になってきた人々のことが取り上げられ、興味深く観ることができましたし、エンターテイメント作品としてもまとまっていたと思います。「燦燦-さんさん-」は、作品の視点が面白く、これからの高齢化社会の一面を見事に捉えていて秀逸。「言の葉の庭」は、史上最高に雨を美しく描いたアニメではないかと思います。「ハーブ&ドロシー ふたりからの贈り物」は、前作に引き続き、2人の情熱をしっかり伝えていて作品の世界に惹き込まれました。「かぐや姫の物語」は、これまでのジブリ作品では一番ではないかと思います。「相棒シリーズ X DAY」は単なるスピンオフ作品という以上の出来だったと思います。「共喰い」「さよなら渓谷」「凶悪」は、それぞれに魅力的な原作の味わいをよく出していたと思います。

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【監督賞】           作品名
   [石井裕也     ] (「舟を編む」)
【コメント】面白かったです。何気なく使っている辞書を作るという作業の背景にあるものを伝えてくれて、その地味で根気の必要な作業を地道に続けている人々の様子が描かれていて引き込まれました。

【主演男優賞】
   [堤真一      ] (「俺はまだ本気出してないだけ 」)
【コメント】意外な感じもするキャスティングでしたが、ど~~~しようもない中年オヤジを見事に作中に存在させていたと思います。

【主演女優賞】
   [吉行和子     ] (「燦燦-さんさん-」)
【コメント】しっかり年齢を重ねているところを出しながら、可愛らしさも覗かせていて印象的でした。

【助演男優賞】
   [大西信満     ] (「さよなら渓谷」)
【コメント】事件を越えて、何も変わらない会話をかな子と交わす場面などゾクゾクしました。

【助演女優賞】
   [樹木希林     ] (「そして父になる 」)
【コメント】他の作品でもそうですが、この人の登場で作品全体が締まる感じがします。子どもの取り違えが分かった娘に掛ける言葉も、この人の口から発せられたことで作中で生きている感じがします。

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【私が選ぶベスト声優賞】
   [地井武男     ] (「かぐや姫の物語」)
【コメント】まさに、鬼気迫る演技だったと思います。もしかしたら、ご自身が、最期の仕事になることを覚悟していたのではないかと思えるようなそんな凄みが感じられる演技で、実に印象的でした。

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鑑定士と顔のない依頼人

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著名な美術品の鑑定士で一流のオークショニアでもある、ヴァージル・オールドマンは、仕事一筋の孤独な生活をしていました。彼の唯一の慰めは、隠し部屋の壁いっぱいにかけられた女性の肖像画に囲まれて過ごすひと時。ある日、クレアと名乗る女性から電話がかかり、資産家の両親が残した絵画や家具を査定してほしいと依頼されます。しぶしぶながら引き受け、彼女の屋敷を訪ねますが、待ちぼうけを食わされます。彼女の態度に不快感を抱いたヴァージルは、依頼を断ろうとしますが、結局、再度、彼女の屋敷を訪ねます。クレアの両親の使用人だったという男に案内され、膨大な数の部屋に置かれた多くの美術品を見て回ったヴァージルは、その中に、不思議な歯車を見つけます。その歯車への興味もあり、査定を引き受けますが、クレアは、ヴァージルの前に姿を見せようとせず...。


今年、映画館で観る映画は、これが最後。"トリ"に相応しい一本となりました。多少、粗というか、乱暴な纏め方がされているところも感じられましたが、面白かったです。"リピーター割引"のサービスがある本作、年が明けてからになると思いますが、もう一度観に行こうかなと思っています。


ラストが判ってからも、いろいろと謎が残されますし、はっきりとは示されず曖昧なままに終わる部分もあります。そんなアレコレを確かめたくなったり、いろいろ考えたくなったり、そんな一本でした。




ネタバレありです。








たしかに、ビックリなラストですが、結構、怪しげな伏線は張られています。あの状態で、クレアの引き籠り生活が成立するというのも不思議。隠し部屋の肖像画は、どこかで見たことあるような有名な作品もあり、

のセリフと併せて考えると、ヴァージルが不正な手段を使って手に入れた作品と言うことになり、その"犯罪"に関して、彼に恨みを持つ者がいてもおかしくないということになります。いくらロバートが機械関係について天才的だとしても、あれだけの部品からあんなに簡単にオートマタを再現してしまうのは裏がありそう。ビリーのあるセリフも意味深で、彼のヴァージルへの感情が現れているようで...。


どうやら、純情なおじいちゃんが騙される物語...とも言えないようです。まぁ、彼の生身の女性に対して純情な面が利用されたことは確かですが、そもそも、クレアの依頼を引き受けた背景には、オートマタに対する興味があったワケだし、オートマタについてはクレアに隠しているし...。


本当は、クレアが最初から怪しげな臭いをプンプンさせているのですから、きちんと、あの屋敷の所有者が誰かとか、彼女の身元、両親のことなど、きちんと調査すべきだったのですよね。何もせず、簡単に依頼を受けてしまう辺りもベテラン鑑定士にしては脇が甘い感じがします。それもこれも、オートマタへの"好奇心"ということになるのでしょうか...。


自分自身が詐欺まがいのことをやっていたり、明らかに不注意だったリ、どちらかというと、自業自得ではあるのですよね...。


終わりの方は時系列が前後しているのでしょう。どの部分が時系列的に最後になるのかは、解釈が分かれるかもしれませんし、どう考えるかで、本作への印象も変わるかもしれません。ヴァージルは、大切にしていた多くのものを奪われたけれど、全てを奪われたわけではないのですよね...。多分、その先の人生をそれなりに過ごせるだけのものは残されたのではないかと...。


誰が、どんな理由で、ヴァージルを追い詰めようとしたのか、明確にはされません。恐らく、自分の才能を認めなかったヴァージルに対するビリーの意趣返しなのでしょうけれど、それだけでは、少々、動機が弱いような気もします。ヴァージルが興奮するほどの珍品であるオートマタをどこからどうやって見つけてきたのかも???。あれは、贋物なのでしょうか...。夜道でヴァージルが襲撃されたのは、偶然か計画か...。計画なら、事件を目撃したクレアの様子は不思議。


肝心なところがぼかされたままだったリ、いろいろと穴もあります。それでも、ヴァージルに気持ちを引き寄せられながら最後まで楽しめたのは、ヴァージルを演じたジェフリー・ラッシュの演技力ゆえ。クレアへの想いが募るにつれ、どんどん不用心になっていくあたり、年齢に似合わない子どものような可愛らしさも感じられました。


恵まれない生い立ちの中で、苦労して築き上げてきたキャリア。そのためには、相当、気持ちを張ってきた部分もあったでしょうし、慎重な面もあったはず。そんな全てを捨てても手に入れたい恋に巡りあえたなら、たとえそれが"贋作"だったとしても、その中に僅かに見られる"本物"に触れる一瞬があったのだとしたら、一流の美術鑑定士、オークショニアとして名声を馳せていても孤独で女性もしらないままに過ごすよりも、ヴァージルの人生は幸福だったと言えるのかもしれません。






公式サイト

http://kanteishi.gaga.ne.jp/

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ウォルター少年と、夏の休日

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ウォルター少年と、夏の休日 コレクターズ・エディション [DVD]/ハーレイ・ジョエル・オスメント,ロバート・デュヴァル,マイケル・ケイン
¥2,625
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14歳の少年、ウォルターは、夏のある日、母に、2人の大叔父、ハブとガースが住む田舎の家に連れられてきます。母は、ウォルターと2人での生活を安定させるため、簿記を学びに学校に行きたいので、その間、ウォルターを大叔父たちの元に預けたいと主張。さらに、ウォルターに、2人が持っているといわれる大金のありかを突き止めるよう密かに命じます。予告なくウォルターを預かることになった大叔父たちも、いきなりTVも電話もない田舎に連れて来られたウォルターも、最初は戸惑いますが...。


薄くても血縁関係はある...にしても、全くあったこともない子どもを押し付けられることになったハブとガース。そして、見ず知らずの老人のところ、それも、生活の中になくてはならなかったTVもないところで生活することになったウォルター。正直、どちらにとっても、大迷惑な降って湧いた災難だったことでしょう。


自分の都合だけで、息子をハブとバースに預けた育児放棄のメイ。彼女は、確かに、母親失格ですが、無理をして自分で抱え込んで、結局、過酷な環境の中に子どもを置き続けたり、虐待死させるようなことはせず、自分の手元に置くことを諦めて手放した点は評価すべきなのかもしれません。もちろん、ハブとガースがメイよりもよい子育てができない可能性もあったわけですが、ハブとバースも、ウォルターも、それまでより楽しい生活を手に入れた様子ですし、まぁ、結果オーライ。


仕舞い込んだ大金をほとんど使うことなく過ごしていたハブとバースは、ウォルターにより、お金を使い生活を楽しむことを知ります。ウォルターも、メイとは違い、頼りになる保護者を手に入れます。


恋人とともに、ハブとバースの元で過ごしていたウォルターを連れ戻しに来たメイ。嘘をついて、自分を捨てた母親でも、ウォルターにとっては、大切なただ一人の母親。けれど、ハブとバースの財産を狙いで近付いてきていた恋人にぞっこんでした。彼がウォルターに何をしようとしたのか、それが判ってもなお、彼と離れられないメイ。再会した直後は、メイを慕う気持ちを見せていたウォルターが、母親と決別する時がやってきます。


子どもは、いつか、親から離れていくもの。ウォルターの母との決別は決して幸福な形ではありませんでしたが、それでも、ウォルターには、ハブとガースがいました。母の運転する車から逃げ出し、ハブとガースの元に戻ったウォルターが2人の"条件"を突きつける場面など、大人への階段を一つ上ったウォルターの成長と、2人に対する信頼が垣間見られて印象的でした。


ガースがウォルターに聞かせる2人の物語、そして、ハブがウォルターに語る"愛"と"信じること"についての話、がとてもカッコよく、胸に響きました。


したいことをして、自由気ままに生きているように見える2人ですが、ここに至るまでには様々な苦労もあったのでしょう。そして、見渡せる範囲に人家が見えないような場所で、2人だけの生活を成り立たせてきたのは、決して楽なことでもないでしょう。けれど、そんな苦悩などおくびにも出さず、自分たちのペースで生活する2人。けれど、そんな2人は、年齢も育ってきた環境も全く違うウォルターを受け入れる懐の深さを持っていました。初めて、大人に無償の愛を注がれたのかもしれないウォルターが、大きく成長する姿が清々しかったです。


ウォルターが、聞かされてきた2人の"武勇談"。あまりに奇想天外で、お伽噺のような物語の真相が明らかにされるラストが秀逸。メイに聞かされた"ウォルターを2人のところに預けなければならない理由"と、2人の物語の対比が、ウォルターにとって、どちらが、保護者として相応しいかを示していて、この辺りの描き方も面白かったです。

一度は観ておきたい作品だと思います。お勧め。

レオン

テーマ:
レオン 完全版 [DVD]/ジャン・レノ,ゲイリー・オールドマン,ナタリー・ポートマン
¥1,280
Amazon.co.jp


ニューヨークで孤独に生きるイタリア系移民のレオンはプロの殺し屋。イタリア系マフィアのボスで表の顔はイタリアンレストラン経営者のトニーの仲介で仕事を受けていました。ある日、レオンは、アパートの隣室に住む少女、マチルダと知り合います。マチルダは、実父のジョセフ、継母のマージン、継母の連れ子、義姉のジョアン、4歳の弟のマイケルの5人で生活していましたが、ジョセフとジョアンには暴力を振るわれ、マージンには無視され、マイケルにしか心を開けない寂しい日々を送っていました。2人が知り合った翌日、麻薬密売組織の"商品"を横取りしたことで、ジョセフは、スタンフィールドとその部下にマージン、ジョアン、マイケルとともに殺されます。レオンに頼まれ、買い物に行っていたマチルダは、難を逃れ、レオンに助けを求めます。戸惑いながらも、レオンは、マチルダに救いの手を差し出します。彼が殺し屋だと知ったマチルダは、復讐するために殺し屋になりたいと訴えます。ともに生活するようになった2人は、心を通わせるようになりますが...。


"レオンとマチルダの恋の物語"に重点が置かれている感じは、少々、気になりました。恋人同士というよりも、親子というよりも、もっと深いものとして描いて欲しかったような...。この2人の関係はそれぞれに、大きな幸福をもたらしていると思います。レオンは、守るべき相手を得ることができ、孤独から解放され、命を懸けた"仕事"の代償を託す相手を得ることができました。一方もマチルダも、レオンとの出会いによって、大人は...というより、自分を取り巻く世界が信頼に足るものだと実感することができたのだと思います。何ものにも、特に、レオンにとっては、命にも、代えがたい大切なものを得た2人ですが、払った犠牲も大きかった...。けれど、もし、この結末が判っていたとしても、それでも、その道を選んだのではないかと思える、それだけの幸福をもたらした出会いだったのだろうと思います。


レオンの様に誰かを愛し、護ることができたとしたら、マチルダの様に誰かに愛され、護られることができたとしたら、どんなに幸せか。マチルダは、レオンによりスタンフィールドたちから救われますが、レオンも、それ以上にマチルダに救われたのだと思います。ずっとともに過ごしてきた観葉植物と、トニーに預けたお金を託せる相手と出会えたこと、それは、"腕利きの殺し屋"として人生を全うすることよりはるかに幸福なことでしょう。


レオンの最期は残念な気もしますが、もし、この一件を生き延びたとしても、その先に、マチルダとの幸せな人生はなかったのではないかと思います。レオン自身も、マチルダが自分とともに生きていくことより、学校に戻り、堅気の世界の中で生きていくことを望んだことでしょう。けれど、もし、レオンが生きていれば、マチルダはレオンの元を離れたがらなかったでしょうし、そうなれば、レオンは、マチルダを堅気にするために彼女を"捨てる"ことになったかもしれませんし、マチルダは堅気になり切れなかったかもしれません。そういう意味では、悲劇的だけれど、"最良の結末"だったのではないかと思います。


バイオレンスとアクションとコミカルな部分と、いろいろな要素がバランスよく盛り込まれ、最初から最後まで飽きずに観ることができました。


とっても、気になったことが一点。レオンのお金はきちんと保管されているのかというところ。トニーも悪い人にも見受けられませんので、全額、自分の懐に入れたとも思えないのですが、全く使い込んでいないかというとそうでもないような...。マチルダに自分が預かっていることを話している以上、マチルダが必要とするだけのお金を渡そうという気持ちは持っていると思うのですが...。少なくとも、マチルダに学校へ戻ることを勧めているのは、きちんとマチルダの将来を考えたからこそでしょうし...。


レオンを演じたジャン・レノ。マチルダと2人でいる時の不器用で純朴な雰囲気と、"勤務中"の冷徹な感じと、その切り替えが見事でした。本作が公開された1995年の16年後、このジャン・レノがドラえもんになるなんて、誰が想像したでしょうか...。


スタンフィールドを演じたゲイリー・オールドマンは、素晴らしくキレまくっているし、複雑な家庭の中で孤独に過ごしてきて、子どもな部分と大人にならざるを得なかった部分がアンバランスに混在するマチルダの可愛らしさとひねくれ感を表現したナタリー・ポートマンも印象的でした。


一度は観ておきたい作品だと思います。というより、今まで、こんな面白い作品を観ずにいた自分が信じられません。

アンダルシア 女神の報復

テーマ:
アンダルシア 女神の報復 スタンダード・エディション [DVD]/織田裕二,黒木メイサ,戸田恵梨香
¥3,990
Amazon.co.jp


映画"アマルフィ 女神の報酬 "に続くシリーズ第2弾。前作も観ています。


スペイン北部に隣接する小国、アンドラで、日本人投資家の遺体が発見されます。殺されたのは警視総監の息子、川島直樹。国際会議の準備でパリを訪れていた黒田は、その事件の調査を命じられます。一見、物盗りの犯行と思われましたが、第一発見者は彼と取引のあった銀行に勤務する新藤結花は、何者かに狙われ、捜査を担当するインターポールの神足誠は捜査情報を隠そうとします。


本作の一番残念なところは、展開や結末がすぐに読めてしまうところ。大体、新藤結花が、ただの銀行員にしては行動が怪し過ぎ。そして、最初の方では、"プロの仕事人"かと思うような身のこなし、用心深さなのに、イザというところで、あまりに焦った風な軽率な行動をしてしまう辺り、映画の尺を考えて事件を終結させようとしたようにしか思えません。"アレ"で騙されてしまうなんて...。


黒田もただの外交官としてはやり過ぎ。特に、隠密行動でもなく、裏で取引があった様子でもないのに、いくら何でも、あそこまでやりたい放題はできないはず。神足にしても、一捜査官。上の命令を無視して自分の判断で行動することなど許される立場ではないはず。この2人の"作戦"にしても、見え見えだし...。


警視総監の息子が海外で遺体で発見されるとか、インターポールの登場とか、総理大臣も登場したりとか、マネーロンダリングへの国際的な対策とか、かなり大きく話を膨らませた割には、どうってことないところが、肩透かし感たっぷりで、ガックリきました。


黒田があまりに万能で天才的過ぎるのも興醒め。もう少し、人間味を感じさせられるような部分が欲しいような...。


映像は美しく、スペインの観光案内としては、効力を発揮できる作品になっていると思いますし、その観光地の景色に劣らず、出演陣も、かなり豪華。けれど、それが活かされておらず、無駄に豪華な感じが切なかったりします。


スペインの観光地巡りを楽しむ、良くも悪くもそれ以上でもそれ以下でもない感じの作品。

始まりも終わりもない

テーマ:

舞踏家、田中泯の舞で綴られた映像。


"人間の生と死"を"木、火、土、金、水"をモチーフに、ほとんどセリフによらず田中泯の身体表現だけで哲学的、詩的に人間の一生を描きます。


俳優としても存在感を示している田中泯。"たそがれ清兵衛 "で映画初出演。その後、"隠し剣 鬼の爪"、"メゾン・ド・ヒミコ "、"地下鉄に乗って "...等、数々の映画に出演しています。いつも感じるのが、その圧倒的な"身体の存在感"。特に大きいとか、筋肉ムキムキというワケではないのですが、その神経線維の一本一本までコントロールされているような、見事に鍛えられた感じが、他の出演者たちとは一線を画している感じがするのでしょう。名だたる実力者演技陣の中に居ても、決して埋没することがありません。


1945年生まれと言うことですから、御年、68歳。見事な肉体です。積み重ねてきた日々が、そこでの経験が、すべて詰まっているような姿。長い年月と、その間の気の遠くなるような鍛錬により創り上げられてきたものであろうことが想像されます。


全編、唸り声はしても、意味のある言葉が発せられている部分はほとんどなく、映像と効果音、音楽のみで、綴られています。その中心にあるのが田中泯の肉体。それも、多くの場面で、ほとんど何も身に付けていない姿で登場。まさに、裸一貫、身一つでの勝負。


少々、演出が過剰な感じもしました。正直、95分の本作を観ていて、長い感じがしてしまいましたし、ある程度の長さのある映画での表現となると、なかなか厳しいのかもしれませんが、もっと、田中泯の肉体だけで通してしまっても良かったのではないかという気もします。


私たちは、便利さや安全を追求し、身体の負担を減らし、身体を使う機会も少なくしてきています。頭でっかちになりがちな、現代の私たち。ついつい、精神を肉体の上に置きがちですが、体調が精神に与える影響は決して軽視できるものではないはず。人類は、ヒトである前に生き物だと実感させられる作品でもあります。


面白いとか、観ていて楽しいとかいうのとはまた違った感じですが、長く印象に残る作品だと思います。



公式サイト

http://hajimarimo.com/


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ここのところ、恒例になっていますが、今年も新宿高島屋で予約しました。


今年は、リュー ド パッシー(Rue De Passy)のケーキ、"ショコラ ノエル"を選んでみました。昨年同様、1~2名用の比較的小ぶりのものを選びました。


チョコレートのスポンジ生地とガナッシュを重ねた、割と、シンプルなタイプのケーキです。


濃厚なガナッシュの味としっかりめのスポンジのチョコレート味のバランスがよく、美味しかったです。カカオの香りが豊かで、たっぷりとチョコレートを楽しめました。


1~2名用を家族3人で分けて食べましたが、結構、重量感があるので、満足できました。


今年も、残すところ約1週間。今年から来年にかけては、日並びが良く、9連休。これは、11年振りのことだそうですが、久し振りにゆっくりと休めそうです。


大掃除をしなければならなかったり、いろいろあるので、のんびりしているばかりとはいきませんが、それにしても、9連休は大きい!!!


仕事は、あと3日。頑張ろう!!!


Merry Christmas!!!


サンタさんが来てくれる皆さまも、そうでない皆さまも、幸せなクリスマスになりますように!!!

少女は自転車に乗って

テーマ:

10歳の少女、ワジダには、アブダラという男の子の幼馴染がいます。彼が自転車を買ったのを見て、自分も自転車を買って、アブダラと競走をしたかったのですが、お母さんは男の子と遊ぶことも、自転車を買うことにもいい顔をしません。ワジダが生まれ育ったサウジアラビアでは、女の子が男の子と遊んだり、自転車に乗ったりすることが禁じられています。女性は、子どもの時は父親に、大人になっても夫に従うことが求められ、自立することなど認められないのです。ある日、お店で、綺麗な緑色の自転車を見て、どうしても欲しくなったワジダは、自分でお金を貯めていつか手に入れることを誓います。手作りのミサンガを学校でこっそり売ったり、上級生の密会の橋渡しのアルバイトをしたりしましたが、それでも自転車代の800リヤルには手が届きません。そんな時、学校でコーランの暗誦コンテストが行わることになります。優勝賞金は1000リヤル。コーランは苦手だったワジダでしたが、迷わず立候補、必死にコーランを覚えて練習を重ねますが...。


外出する際は、目以外は覆い尽くさなければならないし、女性のひとり歩きや車の運転を禁じられているサウジアラビア。ワジダが通う学校は、もちろん、女子校で、教師も女性ばかり。結婚していても、男の子を産むことができなければ、妻としての立場を守ることは難しい。子どもの頃は父親に、大人になれば夫に服従しなければならず、ワジダの同級生の一人が父親によって売り飛ばされ...。女性だからと言うことだけで、多くの制約を受けている現実。本作の随所に、そんな現実が垣間見られます。


サウジアラビアで、女性たちの権利が認められていない背景としてコーランが持ち出されているわけですが、宗教を理由に禁じられている自転車を買うために、コーランの暗誦コンテストの賞金を使おうとするというのも、コーランを勉強する手段としてプレイステーションが使われているというのも、ガチガチの原理主義的な考え方に対する皮肉のようで面白かったです。


そもそも映画などの娯楽を認めていないサウジアラビアですから、映画を撮るなどという"暴挙"を決行するには、かなり命懸けな面もあったことでしょう。女性たちを取り巻く状況についてあからさまに描くことなど、ほとんど不可能でしょうし、そのために、随分、抑えた表現にはなっていると思いますが、物語や映像に描かれていることを細かく探っていくと、いろいろな問題が浮かび上がってきます。そして、このような抑制をかけざるを得なかったというところに、問題の深刻さが現れているようでもあります。


2008年ですから、5年前ですが、FaceBookで男性とチャットをしていることを父親に知られた娘が、その父親に"名誉殺人(家族の名誉を守るため不名誉なことをしでかした女性を殺す)"の名目で殺されるという事件も起きています。


で、本作の魅力的なところは、単に女性差別を糾弾するだけの物語にはなっていないところ。そんな部分を全部無視してもなお、一人の少女が欲しいものを手に入れるために頑張る成長物語、そして、それを幼馴染の少年が支える幼く可愛らしい恋の物語としても、きちんと成立しているということ。


さらに、厳しい立場に置かれてはいても、その中でしっかり生きていこうとする女たちが描かれていることも印象的。アバヤ(サウジアラビアの女性たちが外出の際に着用を義務付けられている頭から足までを隠す服)の中は、私たちと変わらないような服装だったリ、様々な工夫を重ねながら、欧米の音楽を聞いたり、映画を観たり、お洒落をしたり...。かなり抑圧されている彼女たちの逞しさに触れることができ、光を感じることができます。


本作の主人公であるワジダも、本作のハイファ・アル=マンスール監督も、しなやかに、粘り強く、したいことを諦めずにすむ社会を築いていくのでしょう。兎にも角にも、本作が撮影されたと言うこと自体が、その成果が上がっている確かな証拠。厚く強固な壁にも、いつか穴が開けられ、崩されていく...。まだまだ淡いものだけれど、確かな希望が感じられます。


ともに自転車を走らせるワジダとアブダラ。サウジアラビアの社会では、恐らく、とんでもなくお転婆なワジダに、アブダラは「結婚したい」と告げます。自由な恋愛など夢のまた夢なサウジアラビアの社会の中で、彼の願いがかなえられることがあるのかどうかは分かりません。けれど、ワジダのような少女を愛し、愛する相手との生活を願う男性が増えれば、サウジアラビアの社会も変わるのかもしれません。


厚い壁を一つ突き抜けたワジダの未来に幸あれと願わずにはいられません。きっと、これからも、彼女たちは、しなやかに、諦めず、自分たちの生きる道を少しずつ広げていくことになるのでしょう。時間がかかるかもしれないけれど、確実に変わりそうな、そんな予感がして、ワクワクしました。


作品を取り巻く状況の厳しさが感じられ、抑圧されている感じが気になったりする部分もないではありませんが、娯楽作品としても、問題を提示する社会派の作品としても、きちんと成立するバランスの良い作品だと思います。


一度は観ておきたい作品だと思います。



公式サイト

http://shoujo-jitensha.com/

様々なミュージシャンを、類いまれなる歌唱力で支えてきたバックシンガーたち。彼女たちの多くは聖歌隊で歌うことを覚え、才能を開花させました。けれど、多くがソロでの活躍を夢見ながら失敗に終わっています。数々のミュージシャンを陰で支えてきたバックシンガーたちの成功と挫折を描いた音楽ドキュメンタリーです。


主に取り上げられているのは、以下の6人です。


ダーレン・ラヴ:音楽雑誌"ローリング・ストーン"で歴史上最も偉大な100人のシンガーの1人に選ばれた

メリー・クレイトン:ローリング・ストーンズの"ギミー・シェルター"でミック・ジャガーとデュエット

クラウディア・レニア:ローリング・ストーンズのバックアップシンガーだったが、現在は、スペイン語の教師

タタ・ヴェガ:70年代にソロでも活躍

リサ・フィッシャー:80年代にはソロ・アーチストとしてグラミー賞を受賞したこともあるが、現在もローリング・ストーンズのツアーに参加

ジュディス・ヒル:マイケル・ジャクソンとデュエットしており、彼の死によって実現されなかったツアーに参加する予定だった


原題は、"Twenty Feet from Stardom"。20 feetは、6mちょっと。大人の一歩の長さが60~80cmだそうですから、8~10歩くらいの距離ということになるでしょうか。バックコーラスとスターを隔てる距離は、僅かですが、それを越えることは簡単ではありません。


スターに合わせて歌うことと、自分の世界を表現するために歌うこと。そのために使われる才能は、必ずしも同じものではないのかもしれません。バックコーラスをステップにしてスターになる人もいる。バックコーラスとしては才能は優れていても、スターとしての才能を持っていない者もいる。バックコーラスで必要とされるのは、まず、"技術"ということになるのかもしれませんが、"ス、ター"として多くの人を惹きつけるためには、また、別の力と、それ以上に運とかめぐりあわせとかいった、個人の力を超えたところにあるものが必要となるのでしょう。成功するには、実力も不可欠。けれど、実力のある順番に成功を収められるわけではないところが人気商売の難しいところであり、厳しいところであり、面白いところでもあるのでしょう。


そんな中、あくまで、スポットライトを浴びる場所に行くことを目指し続ける人もいれば、バックコーラスに生きる道を見出す人もいます。


ブルース・スプリングステーン、スティング、ローリング・ストーンズ、マイケル・ジャクソン、デビッド・ボウイ、スティービー・ワンダー...、彼女たちが、競演する大物たちの顔ぶれを見れば、彼女たちの実力が、どれ程、高い評価を得ているかが分かります。


本作で取り上げられている6人のディーバたち。私は、本作を観るまで、彼女たちのことを全く知らなかったのですが、見事な歌を十分に堪能することができました。ゾクゾクするような迫力の歌声をたっぷり聞かせてもらえます。


ドキュメンタリー映画としては、ごくオーソドックスで奇を衒わない、王道を行く作りで、特に目新しさか感じられませんが、取り上げた題材にオリジナリティが感じられ、新鮮で、魅せてくれる作品になっています。


観て良かったです。お勧め。



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